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ユニバーサル・ミュージアムをめざして26

 

漢字、絵文字、コミュニケーション支援絵記号-1

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

 

BBC-artefacts.jpg

石のナイフと ものを突き刺す道具、そしてふしぎな模様の彫られた石が、7万5千年前のブロンボス洞窟という場所から出土しました。ブロンボス洞窟は南アフリカの南端にあります。南アフリカ、ウィットウォーターズランド大学のホームページから 

 

 

 <文字>の事を調べていて、おもしろい文献を見つけました。南アフリカのブロンボス洞窟で出土した7万5千年前の赤い石に、何か意味があるらしい模様が彫ってあるというのです (1) 。この文献は、<ことば>や<(何かある事の)象徴>は、すでに7万5千年前には存在していたと主張していました。これまでは、現代につながる高い創造性がヒトに見られたのは4万年から5万年前であった――それもヨーロッパで――という考え方 (2) が優勢でした。それが一気に古くなって7万5千年前から、しかもアフリカで、となったのです。だいぶイメージが変わります。彫られていた模様が<象徴>、たとえば<明日>とか、<正義>とか、<幸せ>といった心の中にあるイメージを表しているのだとしたら、それはきっと<ことば>に結びつくはずです。なぜかと言うと、<ことば>はそれ自体が手で触れられない、心の中だけにあるものだからです。

 

 7万5千年前というのは、どんな時代なのでしょうか。日本列島の歴史だと1万数千年前からは縄文時代が始まりますから、縄文時代よりもずっと前の話です。それでも、我われホモ・サピエンスの歴史は20万年前にアフリカで始まっていたそうですから、ホモ・サピエンスの歴史に比べれば、だいぶ後の事になります。

 

 ただ、今となっては、その模様が何を意味していたかはわかりません。模様が何を表しているかが、わかればおもしろかったのですが、あまりに大昔の地層から出土したので、模様を読み解くルールがわからないのです。それでも人が模様が彫りつけた事は確かです。読み解くルールはわからなくても、誰かが彫りつけたという事はわかります。そして当時の人びとは、読み解くルールを知っていたこともわかるのです。

 

 わたしは知らなかったのですが(うかつな事です)、ブロンボス洞窟から出た<模様を付けた石>の話は、すでに有名な話だそうです。たとえばウイッキペディアというインターネットの百科事典にも、英語版ですが。ブロンボス洞窟のことは出ています。またヘンシルウッドさんが勤めている南アフリカ共和国のウィットウォーターズランド大学のホームページ (3) にも出ていました。最初に載せた<模様を付けた石>の写真は、ウィットウォーターズランド大学のホームページやウイッキペディアに載っていた写真です。

 

 この写真には、同じブロンボス洞窟から出土した石のナイフや骨で作った何かの道具が出ています。そういったものだと、物を切るために使ったのだろうという事がすぐにわかります。しかし、模様が描いてある石は、ナイフとか物を突き刺す道具とはずいぶん違います。昔の生活を想像してみても、何に使ったのかわかりません。写真を見ていると、模様は格子のようにも見えます。アフリカでよくある、これと似たものを探せば、家の周りの垣根(かきね)でしょうか。この時代に垣根があったのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、これを彫りつけた人は何かを表現しようとして彫りつけたに違いありません。それも、やがて消えてしまう土の上に描いたのではなくて、わざわざ石に彫りつけたのです。長く残す必要があったのでしょう。現にわたしたちは、7万5千年も経っているのに知る事ができたのですから。でも、いったい何を伝えたかったのでしょうか?

 

 

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子どもたちがもたれている家の垣は、ブロンボス洞窟から出土した石に描かれていた模様に見えなくもありません。アフリカ中央部のコンゴ共和国で撮影しました。

 

 

☆   ☆

 

 アラブ世界では、有名なヒエログリフ(聖刻文字、象形文字)とは別に、ヒエログリフに似たものとしてトークン (4) と呼ばれる粘土玉があったそうです。トークンは商取引の証(あかし)のために使われた<お呪(まじな)い>のようなものです。これは後に粘土玉ではなくなりました。トークンを象徴する模様(象徴の象徴?)を書き付けてトークン代わりにしたそうです。

 

 トークンは商取引の証(あかし)でした。商売に苦労は付き物ですが、商取引のたびにわざわざ粘土玉を結ぶというのは、当時でも、手間のかかる作業だったでしょう。これはわたしの想像にすぎませんが、粘土玉のトークンには、もともと何か呪術的な意味があったのです。正直な商人ばかりなら、トークンで証拠を残す必要はありません。でも、中には約束を破る不誠実な商人もいたのでしょう。そのような人に対して約束を破ると災(わざわ)いが起こるのだと神の前で示したい。トークンは、そのために結んだような気がします。

 

 それが、実物の粘土ではなくなり、模様を書き付けた、ただのイメージとなると、より抽象度は上がった事になります。今、わたしは、昔の人も現代人と同じ精神世界に住んでいるような気がしています。わたしの感覚では、近所の神社のお守りが、トークンとそっくりです。神仏を信じるわけではない。それでも神や仏との約束を破れば罰(ばち)があたる(ような気がする)。科学的に真実ではないのかもませんが、神社やお寺をまつる人びとの精神世界は、もうひとつの<事実>だと思うからです。

 

☆   ☆

 

 漢字は一種の絵文字です。コンピュータや携帯電話で使う顔文字の親戚のようなものです。ですから、漢字にはどこかしら、イメージが付きまといます。たとえば「虎(とら)」という漢字を見て、どのような想像をしたでしょう? お正月の年賀状に描かれた虎の絵のイメージかもしれませんし、阪神タイガースの縦じまのイメージかもしれません。生きたトラを知っている人なら、足先の巨大さと静かに歩くようすを思い浮かべるのでしょうか。「虎(とら)」という字に限らず、漢字には、字というコミュニケーション・ツールを越えた大きな象徴性があるのです。

 

 ですから、たとえばハングルだけで書かれた文章では、あまり朝鮮語(韓国語)に詳しくない人にとって、「ハングルである」という以外、何のイメージももたらしません。しかし、漢字が混じったとたんに、実に豊かなイメージをもたらします。わたしは大学生の時、ドイツ語やラテン語といっしょに朝鮮語(韓国語)を習っていました。プサン(釜山)やテグ(大邱)にも何度か行った事があります。そこで感じた文章のイメージが、これに近いものでした。「ハングルだけで書かれた文章」の雰囲気は、アラビア語やタイ語で書かれた文章のイメージに近いでしょうか?

 

 コンピュータや携帯電話の顔文字を嫌う人がいます。実はわたしにとっても、節度のない顔文字の氾濫は、あまり気持ちのいいものではありません。でも、顔文字の持つイメージの力(ちから)を、じょうずに利用している人がいます。

 

 たとえば、

 

ものすごく 嬉しい \(^o^)/\(^o^)/\(^o^)

 

とか、

 

すいません。 <(_ _)>

 

といった文章からは、弾(はじ)けるような躍動(やくどう)や、何かをすまなく思う気持ちが素直(すなお)に伝わります。これは、実際にわたしの知り合いからいただいたメールの文章から取りました。

 

 ひとつひとつの記号には、絵の要素としての意味以上のものはありません。そして、\(^o^)/はバンザイを叫ぶ人だし、<(_ _)>は、両手をついて謝(あやま)っている人だと了解できます。\(^o^)/や<(_ _)>も、いつかは、何かを象徴する、漢字のような働きを担(にな)うようになるのでしょうか。

 

 つぎに続きます。

 

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(1) Archaeological Evidence for the Emergence of Language, Symbolism, and Music. An Alternative Multidisciplinary Perspective,  F. D'Errico, C. Henshilwood et al., 2003 in Journal of World Prehistory.

http://www.eva.mpg.de/evolution/staff/soressi/pdf/Derrico-and-al2003_JWP.pdf

著者のおひとりであるヘンシルウッドさんは、長くブロンボス洞窟で発掘作業を続けてこられた方です。

 

(2) Merritt Ruhlen (1994)  The origin of language: Tracing the evolution of the mother tongue.  インターネットのホームページは、ありませんでした。

 

(3) University of the Witwatersrand, Johannesburg

http://www.wits.ac.za/academic/research/ihe/archaeology/blombos/7106/blomboscave.html

 

(4) トークンのことは、次のホームページにくわしい情報が載っています。

The Origins and Invention of Writing

http://www.usu.edu/markdamen/1320Hist%26Civ/chapters/16TOKENS.htm

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

みなさん、こんにちは(^^)/

博物館に隣接(りんせつ)する深田公園は、今日はぽかぽか~春の陽気です。

深田公園

 

3月24日(日)に、この深田公園を、研究員と一緒に探検する

「ふかたん~石ころをさがそう~」を行います。

隊長は、古生物学、地質学が専門の、古谷主任研究員(*^^*)

古谷主任研究員と一緒に、深田公園を、楽しく探検します。

どんな石が見つかるかな?? 石の疑問、なんでも聞いてね。

時間:14時~(約1時間)

集合場所:4階ひとはくサロン

参加費:無料(観覧料は必要、小中学生は無料です)

定員:20名

ふかたん

 

4月のふかたんは…

4月28日(日)

「初夏(しょか)の鳥(とり)を探(さが)そう」

隊長は、動物生態学が専門の布野研究員です。

研究員との楽しい一時間、ぜひ、ご参加くださいね。

 

みなさんのご参加を、心よりお待ち申し上げております。

笹山由利子(フロアスタッフ)

 

 

昨日に引き続き、ひょうご恐竜化石国際シンポジウムがやまなみホール、

山南住民センター(丹波市山南町)に場所を移し開催されました。


 

     会場の風景

 

サイエンスカフェ 丹波市恐竜復元画プロジェクトでは、昨日の講演者も
コメンテーターとして参加されました。

 
          
サイエンスカフェ会場の様子(やまなみホール)

 
 
                   ちーたんの館
 
   

午後からは、恐竜化石を活かした地域づくりフォーラムが行われました。


 
   進士五十八氏(東京農業大学名誉教授)による基調講演

    「地域資源を活かし環境への感性を育むまちづくり」

 

パネルディスカッションでは丹波竜発見者の村上茂氏をはじめ、荻野慎太郎氏、
金子幸雄氏、浅倉陽子氏、東朋子氏がパネリストとして登壇され、活発な
議論が行われました。


 
         パネルディスカッションの様子

 

他にも、たくさんの催しもあり、大勢の方々で賑わっていました。


 
    ワークショップ

 

   ポスター・パネル展示

 

     化石発掘体験

      屋台グルメコーナー

 

2日間にわたるひょうご国際シンポジウムは無地終了いたしました。

ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた関係者の皆さま、

大変ありがとうございました。

 

ひとはくの20周年事業もほぼ終わりを迎えることができました。

21年目を迎える来年度、成人したひとはくをお楽しみに!

 

         恐竜TF

本日、ひょうご恐竜化石国際シンポジウムが当館ホロンピアホールで開催されました。県内外からの参加者により会場は満員となりました。

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会場風景

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中瀬ひょうご恐竜化石国際シンポジウム      井戸知事のあいさつ
実行委員会会長のあいさつ


国際シンポジウム「白亜紀前期の恐竜研究最前線」では日本はもちろん、
アメリカ、中国、フランスから世界有数の研究者が講演されました。

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  三枝春生研究員の基調講演   ジェームス・カークランド 氏

                    アメリカ・ユタ州地質調査所 研究員


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     徐 星 氏            對比地孝亘 氏
中国科学院古脊椎動物古人類学研究所    東京大学大学院理学系研究科 講師
                教授

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     柴田正輝 氏          ロマン・アミョ 氏

  福井県立恐竜博物館 研究員     フランス クロード・ベルナール・
                          リヨン第一大学 研究員

DSC_5343_1.jpg  P1060808_1.jpg

     山田敏弘 氏            楠橋 直 氏
 金沢大学理工研究域自然システム学系 
    愛媛大学大学院理工学研究科 助教
                      准教授

 

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パネルディスカッションのようす

 

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岩槻館長のあいさつ

 

明日は、会場を丹波市のやまなみホール、山南住民センター、丹波竜化石工房に移してさまざまなイベントが開催されます。

 

当日参加可能なイベントもあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

           → http://hitohaku.jp/top/dinosaur_symp.html

 

恐竜TF   

 

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして25

 

ユニバーサルなホームページを考える事

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

 

Hitohaku_HP.JPG 

 今度、人と自然の博物館のホームページを変える計画があります。デザインは大きく変えないようですが、新しい機能が必要になることもあります。時に応じて変更することは大切です。

 

 ホームページの管理は、人と自然の博物館では情報管理課の方たちが責任を持っていますが、研究者の立ち場で意見を言うことも必要です。研究者の三橋弘宗さんはコンピュータに詳しいので、研究者の立場で意見を言う役を引き受けています。わたしは、その三橋さんから「ホームページをユニバーサルなものにしていく、よいアイデアがあれば教えて下さい」と言われました。ただし、お金はないのだそうです。

 

 わたしのこの「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」というブログは、趣旨から言えば、本当は博物館全体を「ユニバーサル・ミュージアム」にするにはどうするかと考えるべきです。しかし、ひとはくの建物は建って20年以上が経っています。今からユニバーサルなものを立て直すのは大事です。ただ、館員が行うサービスを変えるのなら建てかえるよりは簡単ですし、機会がある時にホームページを「ユニバーサル・ミュージアム」らしいものに作りかえるのも、それほどお金はかかりません。それに、ホームページのユニバーサル化は、いろんな企業が進めています。すでにノウ・ハウもあるに違いありません。現にハンドブック (1) の類(たぐい)も、いろいろ出ています。

 

 そこで、わたしは、わたしにしか書けないモノを考えて、ブログに書いてみることにしました。ホームページのユニバーサル化がどんな事に注意するべきなのかは、それぞれのハンドブックに任せます。ぜひ、そちらを見て下さい。

 

 まず、わたしはどんな人間かを書いておきます。

 

 わたしには、漢字の学習障がい(LD)があります。上に書いた「ハンドブックの類」ということばには、「たぐい」というルビがないと、ついつい「るい」と読んでしまいます。ですから、ルビは振ってあるとうれしい。これは生まれつきです。

 

 それから、高次脳機能障がいもあります。11年前に脳梗塞(こうそく)になり、その後遺症(こうい・しょう)でマヒがあります。そして、疲れると失語が出るようになりました。ホームページに関係しそうなことでは、失語の経験が役に立ちそうです。

 

 失語症は脳に受けたダメージによっていろいろな症状が出てきます (2) 。そのような症状のひとつが、「長い文章を読み切れるほど根気が続かない」というものです。朝、起きてすぐとか、午後、疲れてくると、長い文章が読み切れなくなります。たとえば新聞の社説ぐらいになると、途中で休憩しないと読み切れません。新聞だと、毎日毎日、そんなに大きく論旨が変わるわけではありませんから、この新聞社は、だいたい○○のことを言っているのだとわかってしまいます。少なくとも、そのわかったような気持ちになります。すると、そこで止めてしまいたいのです。ですからわたしは、とんでもない誤解をしているニュースも、きっとあるはずです。

 

 そんな時、コンピュータが使えるのなら、自動読み上げソフト (3) を使います。自動読み上げソフトは、もともと全盲や弱視の視覚障がい者が使っていたものですが、わたしのように失語の出る人や高齢で字を読むことが苦痛になった人、LDで読めないという人にも役に立つはずです (4) 。自動読み上げ機能は、ぜひ入れて下さるようにお願いしましょう。

 

 ふたつ目は老眼です。わたしは年相応の老眼ですから、小さな字で、何でもかんでも情報は入れてあるような文章は、読む気が起こりません。そのような文章は、ひょっとして、書いたご本人でさえ二度と読まないのではないでしょうか? これでは、情報を伝えるという、一番大事な文章の役割を投げ捨てているようなものです。ただ「書いた」という事実が残るだけです。少なくとも、ある年齢以上の人は読めません(し、まだ文字のリテラシーが発達していない小さな子どもや知的障がい者は読みません)。

 

 どのコンピュータでも、普通は字の大きさが調節できます。しかし、目立つところにボタンがあって、簡単に画面操作で大きくなったり、小さくなったりするのでなければ、大抵の人は諦めてしまいます。コンピュータの苦手な人は特にそうです。字の大きさの調節機能は、ちょっと気の利いたホームページなら、付いているものです。これは、ぜひ入れていただくことにしましょう。

 

 三つ目は字の形への注文です。わたしはLDだと書きましたが、デスレクシア(=難読症)というほどではありません。デスレクシアの人は、縦棒(たてぼう)と横棒(よこぼう)の太さが違うと、全体でイメージがつかみにくくなるのだそうです。具体的には漢字です。アルファベットもそうなのかもしれませんが、漢字は典型的です。

 

 漢字は、よく明朝体で書きます。この明朝体というのは、縦の線と横の線の太さが違います。つまり、明朝体で書いた文章は、一部の人には、よくわからないということになります。ところが縦と横の太さが同じゴシックや丸ゴシックは、デスレクシアの人でもイメージしやすいのです。そのためにユニバーサル・デザインでは、なるべく明朝体は避け、ゴシックや丸ゴシックを使います。少なくとも、「全ての人にわかりやすいユニバーサルなものを」と心掛けている人なら、そうするでしょう。ホームページを書く時には、デスレクシアの人に見やすい字体をそろえておけばいいのです。

 

 今日、考えたユニバーサルなホームページで、少なくとも、わたしにわかりやすいものは、(1) 読み上げ機能が付いている事、(2) 字の大きさの調節機能が付いていること、(3) 明朝体は止めて、縦と横の太さが同じ字体で表すこととなります。でもこれは、LDで高次脳機能障がいがあるわたしにとっての見やすいホームページです。別の人には、また別の機能が必要になるでしょう。

 

 それにしても、デスレクシアの人には、字体によって意味が理解しやすかったり、理解しにくかったりするなんて、多くの人は想像もできないでしょう。わたしは、デスレクシアで学校の先生になった神山 忠さんの講演 (5) で、初めて知りました。でもLDの人は左右が区別しにくいので――わたしの場合は<へん>と<つくり>がゴチャゴチャになったり、“C”は“⊂”であったか“⊃”であったか、わからなくなったりします――、わたしには何となく理解できます。

 

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(1) 兵庫県では「ホームページ作成において配慮している項目」で、どのような内容に配慮するべきと考えているかが出てきます。

http://web.pref.hyogo.lg.jp/ud/consideration.html

また「ユニバーサルデザインに配慮したホームページ作成のガイドライン」が兵庫県県民政策部知事室広報課から公表されています。

http://web.pref.hyogo.lg.jp/documents/guideline_all.pdf

でも、これはコンピュータを使い慣れた方向きのような気がします。わたしには、ちょっとね……。

 兵庫県以外にも、さまざまな自治体や企業、市民団体が、誰にでも使いやすいホームページの作り方を公表しています。

 

(2) 失語症者の一般的な情報は、三谷(2011

http://hitohaku.jp/research_collections/no22pdf/HN22_06_43_51.pdf

や三谷(2012

http://hitohaku.jp/research_collections/no23pdf/NH23_05_61_67.pdf

にまとめました。ご覧下さい。

 

(3) 有償ですが、わたしはドキュメント・トーカを使っています。

http://www.createsystem.co.jp/DTalkerSapi1.html

 

(4) 自動読み上げ機能はデイジー(DAISY)に似ていますが、デイジーでは字が数行表れ、読み上げているところの色が変わります。中でもマルチメディア・デイジーでは動画や静止画も利用できます。(5) の神山 忠さんの講演はマルチメディア・デイジーです。マルチメディア・デイジーは視覚情報が大切ですから、視覚障がい者ではない人向きです。それに、視覚障がい者がホームページを<読む>時には、自分用の自動読み上げソフトを入れています。

 

(5) 神山 忠さんの講演はユーチューブで見ることができます。「デスレクシア」の講演は長いので、1から4に分けてあります。

http://www.youtube.com/watch?v=YISIvygN08I

http://www.youtube.com/watch?v=O9vZoRhFqng

http://www.youtube.com/watch?v=ALplOx0eHW4

http://www.youtube.com/watch?v=7UJFGob2O8c

神山 忠さんの講演のようすを流していますが、まさにこれがマルチメディア・デイジーです。

 

 

 

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三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

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