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2014年アーカイブ

クリスマスが終わり、2014年のゴールが見えてきました。
皆さまにとって、どんな一年でしたか?

1月4日(日)に開催されるKidsサンデー
追加プログラムが決定しましたのでお知らせします!

NPO法人 人と自然の会の皆さんによる
『サイエンスショー スティックぶんぶんゴマづくり』です☆

アイスのスティック(棒)を使って、ぶんぶん♪よく回る
ぶんぶんゴマを作ります。
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◆時間:13:00~15:00
◆場所:4階ひとはくサロン 
◆対象・定員:5歳以上、200名


そして!年明け最初の開館日、1月3日(土)は、
今年設立20周年を迎えた、連携活動グループ NPO法人 人と自然の会さんが
昔ながらのお正月あそびを用意して皆さんをお待ちしています!

昔のキッズたちが大好きだったお正月遊び、
凧揚げ、コマまわし、羽子板などにチャレンジして、お正月を思いっきり楽しんじゃおう!

『ひとはくのお正月~日本の昔あそび~』
◆時間:13:00~15:00
◆場所:ホロンピアホール(博物館3階から連絡通路で会場へ)
◆対象・定員:なし

もちろん、3日も4日も 『アンモナイトのレプリカづくり』など
フロアスタッフによるプログラムもありますよ!
くわしくはコチラ!

ひとはくは明日28日から年末年始のお休みに入ります。

今年も一年ありがとうございました。
そして来年も皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。

ステキな年末年始をお過ごしくださいね!

(たかせゆうこ/Kidsひとはく推進プロジェクト)

きょうは今年最後の開館日
本日のフロアスタッフとあそぼう「キラキラ万華鏡」もにぎわっておりました。

キラキラ光るモルフォチョウの標本も観察しましたよ。


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また、12/24(水)に行われた うきうきワークショップ「チョコで作る恐竜の歯」も
たくさんのお客様にご参加いただきました。ありがとうございます。

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お正月もイベントをたくさん用意しておりますので、来年もひとはくに、ぜひお越しください。
新年は1月3日(土)より、開館いたします。スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。

みなさま、よい年をお迎えくださいませ。

                                                                     (フロアスタッフ まつだ)

☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆

+。::゚ハッピークリスマス+。::゚
みなさんのところにサンタさんはやってきましたか?

ひとはくでは、ただいまアンモナイト化石のレプリカをつくるイベントを行っております♪
好きな色をえらんで、カラフルなアンモナイトをつくってみよう♪
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▲レプリカ見本とイベントの様子

本日、参加できなかった方は明日 12/26(金)お正月(1/3(土)・1/4(日)にも行いますので、ぜひ作ってくださいね。

s-anmo1.jpg ◀くわしくは、こちらをクリックしてください

また、12/27(土)のイベントは
フロアスタッフとあそぼう 「キラキラ万華鏡」 を行います。キラキラ光る万華鏡をつくろう!
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当日10:00から4階ひとはくサロンにて、参加申し込みの受付を開始。定員になり次第終了します。

時間:13:30~14:00 場所:4階実習室
定員:10名 参加費:200円

クリスマス・お正月のイベントはうきうきカレンダーでチェック!
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▲くわしくは、こちらをクリックしてください。



  博物館の年末年始おやすみ    

2014年12月28日(日)~2015年1月2日(金)

新年は1月3日(土)から、開館いたします♪
                                      (フロアスタッフ まつだ)

もうすぐ、冬休みですね。

冬は虫がいなくて寂しいな〜と思っているキミたちへ、朗報です!!

「あすたむらんど徳島」さん(徳島県立 あすたむらんど 子ども科学館:徳島県板野町)にて、
12月30日(火)から1月18日(日)の間、「真冬の昆虫展」を共催いたします。
会期中、1月5日(月)・6日(火)の二日間は、移動博物館車「ゆめはく」が出動し、「むしむしたいけんinとくしま」を実施いたします!

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ひとはくは、12月28日から1月2日までお休み。1月3日・4日はお正月開館いたしますが、1月5日から2月6日の間は、メンテナンス休館となります。

みんな、橋を渡って、徳島へ、ドライブだっ!!
あすたむらんどは、子ども科学館のほか、プラネタリウムや「わんぱく砦」もあり、子どもたちが一日遊べる施設です。
交通案内などの情報は、あすたむらんど徳島のホームページでお確かめください。

「真冬の昆虫展」では、ひとはくから、昆虫標本105箱を展示いたします。

こんな感じで、モルフォチョウが、壁にずらりとならびます。
名付けて青一色記念撮影してください。
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タマムシやカナブンたちも、かわいいよ。記念撮影してください。
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そのほか、セミやカマキリなど、身近な虫たちも。
まだひとはくではデビューしていない新作もあります。

大きな虫さん模型は、2体。カブトムシ(左端)とオオスズメバチ(右から2番目)が参ります。
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昆虫迷路や世界のカブトムシの生体展示もあり、もりだくさんです。

1月5日・6日は、「むしむしたいけんinとくしま」
1月5日は午後から、6日は朝から夕方まで開催。
世界の生きたカブトムシにさわれます(ひとはくのときより、種類が多い!)。
イモリくんたち、連れて行きます。
残念ながら、大っきな虫かご(蚊帳)は、設置いたしません。(中に入ってくれる虫さんが、いないから)
ぬり絵もできますので、ぜひいらしてください。

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(八木 剛 記)

今年も残すところ、あとわずか...楽しいクリスマスまでもうすぐですよ♪

さて、博物館のおやすみ のお知らせです。

 年末年始  2014年12月28日(日)~2015年1月2日(金)

新年は1月3日(土)より、開館いたします♪お正月はぜひ、ひとはくへお越しくださいませ。


また博物館はメンテナンスのため、1月5日(月)から長期休館いたします。

 冬期メンテナンス休館  2015年1月5日(月)~2015年2月6日(金)

2月7日(土)から開館となります。

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クリスマス・お正月のイベントはうきうきカレンダーでチェック!

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▲くわしくは、こちらをクリックしてください。


ご参加お待ちしております。 
                                        (フロアスタッフまつだ)

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毎週土日祝日
に好評上映中の、フロアスタッフ手作りによる「デジタル紙芝居」

今日は、間もなく上映開始の新作デジタル紙芝居についてご紹介させて頂きます♪

 




  新作    デジタル紙芝居『オランとウーたんのジャングル探検記』

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舞台はボルネオ島のジャングル。
二匹の子どものオランウータン、オランウーたん
〝世界一おいしいくだもの〟をさがしに、ジャングル探検にでかけます。

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〝世界一おいしいくだもの〟って、どんなかたちをしていて、どんなにおいがするのかな?

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ジャングルには、また見たことのないふしぎな植物や動物がたくさん!
はたして、オランとウーたんは〝世界一おいしいくだもの〟をみつけられるのでしょうか?
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 『オランとウーたんのジャングル探検記』初演12月20日(土) です!





今後の上映スケジュール

12月   20日(土)・21日(日)・23日(火/祝)

  1月   3日(土)・4日(日)

※上映時間などの詳細は、ひとはくHPのイベントカレンダーでご確認ください。

http://www.hitohaku.jp/MusePub/EventCalendar/

 


「オランとウーたんのジャングル探検記」以外にも、たのしい紙芝居をたくさんご用意しております!
 詳細は コチラ 

その日によって上映作品も変わりますので、コチラ で上映予定を確認して是非観に来てくださいね♪



フロアスタッフ一同、おまちしております。

 




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フロアスタッフ たにぐち はるな

 


クリスマスまでもう少しですね。
街の楽しい雰囲気にわくわくします(^^)♪

実は、フロアスタッフに新しい仲間が加わりました!
ご紹介します、石倉さんです。

======石倉さんからのメッセージ======

まだまだドキドキの日々ですが、楽しいです。
みなさまに気持ち良く博物館をご利用いただけるよう
頑張りますので、どうぞよろくしお願いいたします。

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優しい雰囲気をもっている石倉さんに、
フロアスタッフ一同、日々癒されています。
ぜひ、みなさん会いに来てくださいね!

さて、そんな石倉さん初めてのイベント
「画はくの日」が12/13(土)、(日)に行われました!
今回のテーマは「2階生物多様性フロア」です。

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まずは、「コウノトリ」のお話から。
兵庫県のシンボルにもなっているコウノトリ、
ヨーロッパのコウノトリと兵庫県のコウノトリの違いなど、
みなさん真剣に聞いています。

お話が終われば、さっそく作業開始!
みんなどの標本を描くのでしょうか?
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お父さんと一緒に作業、描いているのは鳥類の標本です。
どの色が本物に近いかな?
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色を塗って、完成!
可愛らしく描けた絵にみんなの笑顔、すごく素敵です(*^^*)
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たくさんのご参加、ありがとうございました!

次回のフロアスタッフとあそぼうは
12/20(土)、21(日)、23日(火・祝)に行われる
ゆらゆらゆれる「クリスマスモビール」です。
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クリスマスにぴったりの可愛らしいモビールを作ってみませんか?

みなさんのご参加、
心よりお待ちしております!

フロアスタッフ きただにさやの





ユニバーサル・ミュージアムをめざして61

インクルーシブ。 ん? 何のこと?-2

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

 2014年12月7日の日曜日に、ひとはくの博物館セミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」を開きました。「障がい者と社会のあり方」について、皆で本音をぶつけてみようというのが、このセミナーの主旨です。セミナー参加者には、あらかじめ要求を出していただき、それに応えながら、よいセミナーを作り上げていく。まるで"インクルーシブ・セミナー"です。

 

☆   ☆

 

 セミナーを準備する前に、ある参加者から「三谷さんの書いた原稿の意味が、今ひとつ判(わか)らないのだが、それを説明して欲しい」と注文を受けていました。わたしが「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」の57 (1) と58 (2) に書いた、「誰が美しいと決めるのか?」の事です。こうおっしゃるのも無理はありません。その方は高次脳機能障がいの一種で、ろうに似た聴覚失認という症状あり、カタカナや、ひらがなばかりだと意味が取れないという症状もお持ちだからでした。この原稿で使った大事な言葉は「バリアフリー・デザイン」、「ユニバーサル・デザイン」、「インクルーシブ・デザイン」の三つです。三つとも、そろって外来語です。読んでもカタカナばかりで、さっぱり意味がわかりません。

 

 その上「誰が美しいと決めるのか?」の文章では、「ユニバーサル・デザイン」と「インクルーシブ・デザイン」の二つに、どんな違いがあるかがわかっていないと、議論できません。ところで、わたし自身、かつてはそんな言葉が区別できなくて困ったことがありました (3) 。そこで、今回のセミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」ではこの三つを取り上げ、わたしなりの解説を試み、自由に議論していただこうと思ったのです。

 

 聴覚失認の方というと、「聞いてもわからない」、「頭の中から言葉が消えてしまった人だ」と誤解している方が、よくいらっしゃいます。わたしも似た経験があるので強調しておきます。頭の中から「言葉」が消えてしまうことは決してありません。そうではなくて、言葉を形作る音が、まるで風や波、洗濯機のモーターが廻る音と同じように聞こえてしまい、意味をなさないのです。しかし認識は、しっかり保っていらっしゃいます。

 

 そうした人と会話をする時には、「要約筆記(ようやく・ひっき)」という技術があります。喋った言葉を、そのまま文字に直していくのは「口述筆記(こうじゅつ・ひっき)」ですが、それだと書き手が疲れます。いつ喋り始めるかわからないので、息も抜けません。その上、何から何まで記録したのでは、読む聴覚失認者にとっては情報が多すぎて、頭がパンクしてしまうのです。そこで、要点だけを書いて行く「要約筆記(ようやく・ひっき)」が生まれました。

 

 ただ「要約筆記」をするのには技術が必要です。講演会などでは、ろう者や聴覚失認者のために、手話通訳者と共に要約筆記者が活躍しますが、よい要約筆記者であるためには練習が必要なのです。でも要は慣れだという事にしておきます。わたしに立派な「要約筆記」はできませんが、今回のセミナーでは、白紙を大量に持ち込むことにしました。この白紙に喋ったことの要点を書いて、参加者にお示しすることにしたのです。――実際は、わたしがヨチヨチと左手で書くのを見かねた別のセミナー参加者の方が、筆記を引き受けて下さいました。セミナーが終わってから、書いた紙はコピーを取って、皆で一部ずつお持ち帰りいただきました。筆記を引き受けて下さった○○さん、ありがとうございました。

 

☆   ☆

 

 今回のセミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」では、「バリアフリー・デザイン」、「ユニバーサル・デザイン」、「インクルーシブ・デザイン」の違いについて、わたしなりに説明をしてみました。こうすれば、ひとはくブログ「誰が美しいと決めるのか?」も、どうしてそう書いたのか、意味がわかってもらえるのではないかと考えたのです。

 

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 まず「バリアフリー・デザイン」からです。

 

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 バリアとは「障壁(しょうへき)」のことです。生活をする上で、いろいろ障壁になることがある。その障壁、つまりバリアを取り除けば、困っている人が生活しやすくなる。具体的には、視覚障がい者の進路をガイドする黄色の点字ブロックや、車イス利用者のために階段をスロープにするといったことが当たると思います。

 

 しかし、困難が困難だと認識されない人にとってはどうでしょう? 解決が技術的に難しいとか、お金がかかりすぎる場合です。困難が「困難である」と認識できないのならば、当然のことながらバリアを取り除く努力はされません。多数者が無知であっても起こります。例えば宗教上の理由で学校に通うことのできなかった(=母語以外の言葉はしゃべれない)人が、突然、異民族の中に投げ込まれたとしましょう。そんな人が近所に住んでいても、多くの人は(=その人にとって異民族のコミュニティでは)どう対処したらいいかわからないでしょう。「難民」には、そんな人が現にいます。

 

 「バリアフリー・デザイン」に対して、わたしが抱くイメージを図に表すと、次のようになります。

 
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 バリアフリー、つまり、バリアから自由になる人が一部にいるのに、同じ社会に暮らしながら、バリアが無くならない人もいる。これは理不尽です。なくさなければ、ご近所として平穏には暮らせません。それなら「バリアフリー・デザイン」は止めて、最初から、もっと多様な人が住む生活を想定したらどうでしょう? この方が居心地はいいでしょう。それが「ユニバーサル・デザイン」です。

 
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 「できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」が、「ユニバーサル・デザイン」に根ざした社会のあり方です。障がいがある人やない人、年齢、性別、民族や母語、人種にかかわらず、さまざまな人が、いっしょに生活できるようにしようという考え方です。「ユニバーサル・デザイン」なら、「バリアフリー・デザイン」のように、困難があっても無視されるということは、(建前上は)無くなります。

 

 都道府県や市町村、あるいは公(おおやけ)の施設では、「ユニバーサル・デザイン」の考え方を採り入れている所が多くあります。この考え方なら、知らない内に人を差別する畏(おそ)れはなくなります。そもそも、そのような地方自治体や公(おおやけ)の施設で働いている全ての人が、「人権」を理解しているかと言えば、そんなことはありません。当然、ルールを無視する人もいるのです。そこで、「ユニバーサル・デザイン」の考え方をマニュアルにして、考え方は理解できなくても、「こんな場合は、こうしましょう」と、例をあげておく事がよくあります。マニュアルがあれば、「なぜそうするのかは理解できなくても、取りあえず、そうしておく」事が可能になるからです。

 

 実際には、マニュアルに忠実に従っていたとしても、本質を理解していないために、バリアがバリアのまま残される――それでもマニュアルには従っているのだから、設置者の責任ではない!――事がよくあります。例えば階段の手前で「危険、注意!」の点字ブロックはあるのだが、点字ブロックと階段の手すりが遠くに離れすぎているために、視覚障がい者の手が手すりに届かなくて、実質的に「注意!」は用をなさないといったことがあります。また車イスを使えば自力で上り・下りできるはずのスロープが、上半身にマヒがあるために力が足らず、現実には上り・下りできなかったり――中でも下りるのは恐い――と言ったことは、しょっちゅう、驚くほど身近で起きています。

 

 つまり、「よくできたマニュアル」があり、それに従っていたとしても、「実際に使う人の意見は、何も聞いていない」という愚かな事が起こっているのです。言いかえると、「ユニバーサル・デザイン」とは、具体的な生活者ではなく、どこにもいない「人というもの」=「抽象的、観念的、非現実的な人」を対象に組み立てた、仮想空間にある「仮の図面」に沿った建物や社会だと言えるのかもしれません。きつい言い方かもしれませんが、これは現実に起こっている事です。

 

 「ユニバーサル・デザイン」に対して、わたしが抱くイメージを図に表すと、次のようになります。

 

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 非現実的な、目の前にいない人を想定して作る「ユニバーサル・デザイン」は重大な欠陥があるのですから、別のデザインを考えましょう。計画の作り始めから困難を抱えた人が参加する「インクルーシブ・デザイン」はどうでしょうか。

 

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 「インクルーシブ・デザイン」では、作り始めから高齢者や障がい者など、いろいろな立場の人が、その人なりの要求を出し、デザイナーといっしょになって、その要求を実現するように計画します。その人が美しい、使いたい、行ってみたいと思うようなデザインを創造していくのです。「美しいはずだ」とか、「使いたいはずだ」、あるいは「行ってみたいはずだ」というのではなく、「当事者がデザイナーといっしょになって社会を創る」という考え方です。協働(きょうどう)という言葉がありますが、それに近いのかもしれません。ただ、あくまで具体的に困っている A さんや B さんと、デザイナーの a さんや b さんが共同で創り出す、具体的な「美しい」もの、「使いたい」もの、「行ってみたい」ところという意味です。

 

 「インクルーシブ・デザイン」(4) に対して、わたしが抱くイメージを図に表すと、次のようになります。

 

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 「インクルーシブ・デザイン」には、丁寧(ていねい)な共同作業が必要です。当事者は、「困っている事の本質」をよく理解して主張しなければ、ただのワガママになってしまいます。またデザイナーも、自分のことではなくても(=実感ができなくても)「本当に困っている事の本質」は理解する必要があります。

 

 「インクルーシブ・デザイン」はいいことずくめのように思えます。しかし、現実に、社会の全てにわたって実現することは難しそうです。「ユニバーサル・デザイン」に比べて、何倍ものお金が必要ですし、マニュアルも、なかなか作れないでしょう。第一、あまりにも多くのデザイナーが必要です。しかも、デザイナーなら誰でも、敏感な人権感覚を持っているわけではありません。これは当たり前です。

 

 そのような中で、「インクルーシブ・デザイン」を実践しようと努力している場所があります――「できている」と言っているのではありませんよ。それは教育現場です。生涯学習施設でも努力している場所はあるのですが、ここでは学校教育を取り上げます。

 

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 なぜ教育に「インクルーシブ・デザイン」なのでしょうか? それは公共財であり、社会的共通資本である「教育」という営みでは、一人ひとりの要求や才能、興味などを尊重しなければならないからです。そのために教育は、もともとインクルーシブ・デザインとは相性が良いのでしょう。「インクルーシブ教育」(5) という言葉もあります。

 

 教育の受け手――学校教育では生徒――の一人ひとりの要求を満たす教育では、担任はデザイナーに当たります。ひとりの先生がひとりの生徒を世話するのが理想でしょう。しかし、現実にはそうもいかないのです。それで副担任を置きます。授業や教室の運営を主にするのは担任ですが、一人ひとりの生徒が教育を受ける時、何かに困っていると、副担任がそれに応じた補助をします。地域によって、またクラスによっても違うのでしょうが、副担任が複数いる場合もあります。繰り上げ算ができなかったり、漢字が書けなかったりする生徒に合わせた教え方をしてくれますし、突然、海外から来た生徒には言葉の面倒もみてくれます。簡単な挨拶は、ハングルや北京語、広東語、南米のスペイン語やポルトガル語、フィリピンのタガログ語といった、生徒の母語に合わせた言葉を使ってくれる公立学校があるそうです。

 

 生活する上での困難、特に「障がい」の考え方は大きく変わりつつあります。新しい「障碍観(しょうがい・かん)」では、〈医療モデル〉から〈社会モデル〉に移行しつつあります。〈医療モデル〉では、「障がい」はケガや病気といった「治すべきもの」でしたが、〈社会モデル〉では、いびつな社会の仕組みが「障がい」を新しく作り出していると考えます。「健常者」という抽象的、観念的、非現実的な「ひと像」を持ち続けるより、現実的で多様な人を目の前にして、具体的な対処法を考える方がよい。わたしは、それが〈社会モデル〉だと解釈しています。

 

 「コミュニケーション障がい者にわかりやすい文章とは?」ということを考えて、この話題を終わりにします。

 

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 この図は、IFLA(国際図書館連盟)という組織が本や文章を読みにくい人のためにまとめた、「読みやすい図書」の対象となる人びとを表す図です (6) 。円がだいたいの対象グループを表し、四角形は読みやすい図書を示しています。この図と具体的な「インクルーシブ・デザイン」との関係は、わたしにも、まだよくわかりません。さまざまな人の読みにくさを同時に満たす文章の書き方を工夫しているのですから、ひょっとすると、これは「ユニバーサル・デザイン」の試みなのでしょうか?

 

 「バリアフリー・デザイン」、「ユニバーサル・デザイン」、「インクルーシブ・デザイン」のそれぞれに欠点はあります。大切な事は他人の〈こころ〉を理解することですが、社会には大勢の多様な人が生活しています。一律に「他人の〈こころ〉」を理解しようと言っても、機嫌の悪い、理解する余裕のない時は誰にでもあるものです。必ずしも理解できるとはかぎりません。そこで、デザインが必要になるのです。

 

 人と人の触れあいにデザインを利用しようとする時は、「ユニバーサル・デザイン」とか「インクルーシブ・デザイン」とかといった言葉には囚(とら)われずに、誰も区別することなく、しかし丁寧に、対応する事が必要ではないでしょうか。

 
☆   ☆

 このようなセミナーでした。いかがだったでしょう? 全国の皆さん、感想をおよせ下さい。

 

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 (1) 「誰が美しいと決めるのかー1」
http://www.hitohaku.jp/blog/2014/10/post_1923/

(2) 「誰が美しいと決めるのかー2」
http://www.hitohaku.jp/blog/2014/10/post_1924/

(3) 「ユニバーサル・ミュージアムをめざして4:ことばの整理」(2012年4月10日付けひとはくブログ)
http://www.hitohaku.jp/blog_old/2012/04/post_1498/

(4) たんぽぽの家が出した「インクルーシブデザインの手法によるユーザー参加型デザインの仕組みづくりに関する調査研究」という報告書:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/08-07a.pdf
の21ページから57ページには、
具体的な制作の過程が載っていて、よくわかります。

(5) 「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)概要」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321668.htm

(6) 三谷雅純 (2013)  「生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか : 総説」(人と自然 Humans and Nature 24: 33−44)
http://www.hitohaku.jp/publication/r-bulletin/No24_04.pdf
の図1(40ページ)にあります。


 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

 ふたご座流星群

2014年12月14日
今年最後の大きな天体ショー(?)かな、ふたご座流星群
50枚の内の1枚
 こんな感じで撮ってきました(2014/12/13 22:40~23:25)。途中から雲に覆われ40分間ほどの観測でしたが、肉眼では10数個確認できました。写真は50枚の内の1枚に残ってました(ISO3200 F3.5 SS30")。
 極大(もっともたくさん流れると予想される時間)は14日21:00頃といわれていますが、前後1週間位は流れていますから、十分観測出来ると思います。

 ですが、めっちゃ寒いので風邪などひかないよう万全の防寒対策でお出かけください。



めっっっっっちゃ、寒いねんて(‥;)

もうすぐ楽しいクリスマスですねs-s-kutusita.jpg
4階ひとはくサロンには 大きなクリスマスツリーがあります
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12月のうきうきワークショップは、クリスマス スペシャルバージョンで
恐竜の歯のレプリカを チョコレートでつくるイベントを用意しておりますよ☆゚o。
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12/24(水)  「チョコで作る恐竜の歯」

時間:①10:30~11:30 ②13:30~14:30                        
場所:4階実習室 参加費:300円 各回定員:15名

当日10:00から4階ひとはくサロンにて、参加申し込みの受付を開始
※定員になり次第終了

カラフルな アンモナイト化石のレプリカも つくることができます。
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12/25(木)・26(金)  「とっても簡単!化石のレプリカづくり」

時間:10:30~16:00 随時受付 (時間内はいつでもご参加頂けます。)
場所:4階ひとはくサロン 参加費:100円

※材料がなくなり次第終了

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▲くわしくは、こちらをクリックしてください

ほかにもイベントがいっぱい!ぜひ遊びにきてくださいね。

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▲フロアスタッフのイベント、くわしくはこちら

ちなみに 年末年始のおやすみは

2014年12月28日(日)~2015年1月2日(金)となっております。
ひとはくは、1月3日(土)から開館しますよ!

                                                              (フロアスタッフ まつだ)

-2℃(マイナス2度)を記録した12月7日、
今年最後のKidsサンデーが開催されました。

さすがに元気なキッズたちも朝は寒かったのか、
寒さがすこしゆるんだお昼頃からぞくぞくと遊びに来てくれました。

◆わくわくネイチャー・テクノロジー自然ってすごい!
『どんぐり☆ラボ』&『タのしいネ☆プレイルーム』
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141207Kidssunday (6).JPG 141207Kidssunday (4).JPG
『どんぐり☆ラボ』では植物はかせとどんぐりの不思議を探りました。
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141207Kidssunday (1).JPG
『タのしいネ☆プレイルーム』ではドングリやオオオナモミなどの「タネ」を使ったゲームや工作に挑戦!
 
◆オープンセミナー『落葉をはりつけ 絵をかこう』
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◆四季の星空案内 冬編
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4階ひとはくサロンから深田公園を見てみると...一角に人だかりが!
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『ひとはく探検隊「落ち葉であそぼう!」』に参加の皆さんでした。
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詳しくはコチラ(フロアスタッフのブログ)!

今回のキッズサンデーでは、キャラバンで伺った幼稚園に通っているお友だちが、
ご家族で遊びに来てくれて、ひとはく研究員やスタッフと感動の再会!が何度かありました。
スタッフ一同、とっても嬉しかったです(^^)
キッズたちを連れてきてくださった保護者の皆様ありがとうございます。

次回のKidsサンデーは2015年 1月4日(日)です。

新年のひとはくは1月3日(土)からオープンしています!
毎年恒例、NPO法人人と自然の会のみなさんによる
「ひとはくのお正月~日本の昔遊び~」(13:00~15:00)
では、羽根つきや凧あげなどができます!
もちろん、フロアスタッフの楽しいプログラムも実施しますよ!

ひとはくの年始年末のお休みは
2014年12月28日(日)~1月2日(金)です。

年末年始はキッズの皆さんも大忙しだと思いますが
風邪などに気をつけて、楽しい時間を過ごしてくださいね!

最後に、クリスマス☆クイズをプレゼント!

Q:クリスマスカラーが入っている虫さんです。名前がわかるかな?(答えは最後)

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クイズの答え:①ヤマトタマムシ②アカエリトリバネアゲハ
       (たかせゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)

本格的な寒さが近づいていますね。
お布団、こたつ、ストーブ、お鍋、恋しい季節になりました。
みなさん、体調を崩さないよう寒さ対策をしっかりなさってください!

さて12月7日(日)に、ひとはく探検隊を行いました。
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今回は、植物博士の黒田研究員と深田公園で
色々な種類の落ち葉を拾って遊びました!

身近なものでできる遊びに、子供たちからは驚きの声がたくさん!
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何ができるのかわくわく♪


拾ってきた植物について、熱心に質問する子もいました。

きのみもたくさん!
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みんなそれぞれ、お気に入りも見つけました。
こちらは双子のどんぐり、とってもかわいいです。
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約1時間で...
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葉っぱ、きのみがこんなにたくさん!
どれも衣替えをしていて、とてもきれいですね(^^)!

寒い中、たくさんのご参加ありがとうございました。

 

次回のフロアスタッフのイベントは、
12月13日(土)、14日(日)の「画はくの日」です。
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たくさんある展示のなかで今回のテーマはどこでしょう?
今年最後の「画はくの日」。
週末はぜひ、ひとはくへお越しください。

フロアスタッフ きただにさやの

ユニバーサル・ミュージアムをめざして60

インクルーシブ。 ん? 何のこと?-1

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

seminar 0 black_line.gif博物館セミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」

 

 口(くち)では「誰にでも読みやすい文章」を書いたり、「誰にでも わかりやすい話し方」をすることは、とても大切なことだと言います。しかし、実際にやってみると、大変に難しいことが よくわかります。言葉は、時や場所がら、場合に応じて柔軟に使い分ける必要があるからです。具体的には、たとえば、いつ育ったかによって書く文章は変わりますし、使う話し言葉も変わります。おじいさんや、おばあさんに、子ども言葉で話したのでは相手を傷付けます。素直なおじいさん・おばあさんなら、怒り出すかもしれません。反対に小さい子どもに対して、おとなのように話しかけるのも変です。これは考えものです。

 

 同じように、自分とは違うコミュニケーション手段を使う人に対しては、自分と相手が共にわかる方法を探さなければなりません。たとえば、耳があまり聞こえない難聴者や聴覚失認者、ろう者には、話しかけるよりも、書いて意味を伝えることが大切です。また手や腕にマヒがある人は文字を書くことが苦手ですから、書きたくても、ゆっくりとしか書けません。わたしは右半身にマヒがありますが、字や絵が必要な時は左手を使って、それこそ、ヨチヨチと書き、また描くのです。わたしとの〈文字を介した対話〉では、テンポが遅いのは我慢(がまん)して いただかねばなりません。

 

 ひとはくの博物館セミナーで、わたしは「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」を企画してきました。ちょうど12月3日から9日までは障害者基本法によって障害者週間と定められています――12月9日が「障害者の日」です――し、国際連合で1992年に宣言された「国際障害者デー」が、毎年12月3日です。それに合わせて、このセミナーを企画したのです。「障がい者と社会のあり方」について、既存の考え方に縛られずに、皆で本音をぶつけてみようという意図があります。

 

 ところが、しばらく前から何とはなく皆さんの集まりが悪くなってきました。なぜかと考えて思い付いた理由が、この企画は飽きられてしまったかもしれないと言うものでした。それとも、ひとはくは公共の博物館ですから、「県の福祉施策を宣伝する場に利用しているのではないか」と誤解されたのかもしれません――わたしは本務が兵庫県立大学の教員ですから、「兵庫県はまったく関係がない」とは言いませんが、あくまで研究者であり、大学の教員です。行政職員のつもりはありません。とりあえずは、障がい者を含むヒトの多様性や社会の多様性を全面的に肯定してみる。そこから出発すると、世界はどう見え始めるのかが、わたしの発想の基本です。セミナーの企画にも、基本的に研究者の発想があるのです。ですから、場合によっては兵庫県行政の施策方針に反する主張もあるに違いありません。

 

 2014年の博物館セミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」は、受講された方が少なかったので、最初は困ってしまいました。しかし、ある時、ふと気がつきました。

 

受講者が少なければ、その方の特別な要求に合わせたセミナーを創ってみたら、どうなるのだろう。

 

 さまざまな方が参加して下さるのなら、あまり特定の方ばかりの要求に合わせたセミナーはできません。極力、皆さんが満足できるように、セミナーのやり方を工夫しなければなりません。しかし、2014年度は人数が少ないのだから、セミナーのやり方を、特定の人に合わせることができます。よい考えに思えました。

 

 わたしは、このアイデアにワクワクしました。それって、つまり、インクルーシブ・デザインのやり方ではないのか? そう、まさにインクルーシブ・デザインです。受講者は、ただ座っている「お客さま」ではなく、その人なりの要求を出し、それに講師(=三谷)が応えて、セミナーを創り出す。その中から新しいものが生まれる。そういうことかもしれません。一回ごとに、個別のセミナーを創っていくのです。

 

 そのようなセミナーを創り出すためには、あらかじめ受講者の困難さを、よく知っておく必要があります。幸い2014年度の受講者は、以前から深い付き合いのある方ばかりでした。

 

 具体的なセミナーの内容は、後で述べます。今は、まだどうしても超えられないインクルーシブなセミナーの課題を書いておきます。

 
☆   ☆

 ひとつは、いくら工夫しても残る「特定の人」のことです。今回は、この困難がある方はおられませんでしたが、たとえば「赤ん坊」はセミナーには参加できません。なぜなら、赤ん坊は言葉がわからないからです。少なくても2歳ぐらいにならないと、会話ができません。本当の意味で社会性が育つのは、小学校の高学年ぐらいだと言います。

 

 「赤ん坊がセミナーに参加できないなどと、当たり前のことだ」と切って捨てないで下さい。ここで言う「赤ん坊」には、1歳に満たない本当の赤ん坊もいますが、それよりも、もっと多くの人が含まれるからです。幼児や児童は「赤ん坊」とは違いますが、精神の発達では赤ん坊に毛が生えたようなものです。知的障がい者の心は――肉体の年齢はどうであれ――発展途上の段階です。認知症者でも同じです。一旦は獲得していた社会性ですが、だんだん失われることが多いのです。これらの人全員が、今は「赤ん坊」と呼んでいる人たちです。この「赤ん坊」に接する術(すべ)を、ぜひとも見つけなくてはいません。

 

 もうひとつは、どのデザインにも付き物の短所のことです。ユニバーサル・デザインにせよ、インクルーシブ・デザインにせよ、長所があれば、必ず短所もあります。このブログは「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」ですので、ユニバーサル・デザインに寄りかかっているみたいですが、実際にはインクルーシブなものの見方をしていることも多いのです。

 

 わたしが言いたいことは、他の人の優れたアイデアをそのまま借りてきて実行するということではなく、アイデアの優れたところを生かしつつ、自分たちの実際に生活するコミュニティに合った具体的なものを創り出す。それが超えていかなければならない課題だと思います。ユニバーサル化、インクルーシブ化といった名前にはこだわらずに、物事の本質を探っていきたいと思うのです。

 
☆   ☆

 次は「インクルーシブ。 ん? 何のこと?-2」として、具体的な博物館セミナー「むすぶ、ひらく、ユニバーサルなこと」のようすをお伝えします。お楽しみに。(一気に書いてしまおうかと思いましたが、書き切れませんでした。)

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

小さな学校キャラバン】本年度最終回!!
行ってきました、小さな学校キャラバン ~ 丹波市立神楽小学校 2014/11/27 ~


10月23日からスタートした小さな学校キャラバン。7校目の訪問となる丹波市立神楽小学校に出発しました!
神楽小学校にはビオトープがあります。15年前に総合的学習の一環で、人と自然の博物館の中瀬館長をはじめ博物館の研究員たちのアドバイスでビオトープが作られた経緯があり、博物館にとってもゆかりのある学校です。今回の学校キャラバンにはNHK神戸放送局の取材班が同行されています。
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午前中は、1・2年生19名を対象に研究員の先生が神楽にある樹木について葉の写真を見せながら説明されました。 児童たちも質問に活発に答えていました。
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次に校内にあるビオトープを散策し、兵庫県のレッドデータブックのBランクに指定されているバイカモ(梅花藻)について説明されました。 15年前には、現地の川でもいたるところで見ることができましたが、今ではほとんど見ることができなくなっているそうです。

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先に説明された樹木について、現地で解説されています。児童たちも、樹木の名前をよく知っていて驚きました。
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移動博物館車ゆめはくの中を見学しました。みんなきれいな色をしたチョウや兵庫の昆虫を納めた標本箱に大興奮です。
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再び教室に戻って、次は化石のお話です。まず丹波竜の発見と名前の由来について聞きました。実際の化石を手に持って、その重さに驚いていました。
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次に佐治川で実際見つけた化石についてお話しを聞きました。 この化石は古生代のペルム紀(今から2億8千年前)に、放散虫が死んで海の底に沈み、地形の変化とともに長い年月を経て今ここにあることを、児童たちにわかりやすいように説明されました。また、佐治川は火山の噴火によってできた石が多いそうです。DSC_8279.JPG


次にアンモナイトについてクイズを交えて学習したあと、実際にアンモナイトのレプリカづくりに挑戦しました! 各自好きな色を2つ選んで自分だけのオリジナルなアンモナイトを作りました。
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午後からは、中瀬館長も到着し、3・4・5年生の26人を対象にビオトープについて説明されました。 具体的にビオトープ発祥の地といわれるドイツ、アメリカの事例を用いて神楽小のビオトープについて説明されました。
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中瀬館長も久しぶりにビオトープを訪れられました。15年前に作られたビオトープですが、児童のみなさんのご協力もあり管理ができていると感想を述べられていました。
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最後に、ゆめはくの中の標本箱を見学しました。NHKのインタビュー取材もありました。
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この日はNHKの取材班もあり、児童たちにとっても思い出に残る充実した一日になったと思います。
本年度からスタートした「小さな学校キャラバン2014」は丹波市立神楽小学校で最終回となります。
また、来年度新たに訪問させてもらうかもしれません。お楽しみに!!

小さな学校キャラバン隊

展示物に近づくと、スマートフォンで展示物の説明がみられるアプリ
『館ナビ』ご存知でしょうか?
ひとはくでは、実証実験として試行しています。

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体験いただくには、お手持ちのiPhoneにアプリをインストールする必要があります。

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博物館の3階入口、『館ナビ』案内板にQRコードがありますので、そちらでもインストール可能ですよ。


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▲『館ナビ』アプリ

『館ナビ』ガイドを開き、展示物に近づくと...
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情報(写真・文章など)が自動 表示されます!


3階・2階の展示物の情報が自動的に切り替わってみることができ 面白いですよ(^^)

ぜひ、おためしください。

◆『館ナビ』アプリ(無料)


・実施予定期間:2014年10月24日~2015年3月31日(予告なく中断・休止する場合があります。)
・対応する機種:iPhone(iPhone4s以降)/iPad

App Storeで『館ナビ』と検索すると、簡単にインストールできます。

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寒くなり、深田公園も赤・黄・緑と紅葉が深まってきました。
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今年もあとわずか・・・

4階ひとはくサロンには恒例のクリスマスイルミネーションも夕方になると
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4時45分でひとはくサロンが終了なので・・・見られるかな(?_?)

フロアスタッフによる手作りのデジタル紙芝居も今年は

2作新しいものが完成しました。(*^_^*)

「ぽこぽこぽこ~森をつなぐ~」
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(日替わりで上映中)

森では、どんなことがおきているでしょうか?

生きものには、どんなつながりがあるかな?


「オランとウーたんのジャングル探検記」
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(もうすぐ完成!間もなく上映されます)

二匹のこども、オランとウーたんが世界一のおいしいくだものを探しに

ジャングル探検にでかけます。見つかるのでしょうか?

もうご覧になられましたか?

ぜひ、博物館に見に来てくださいね!(^^)!

デジタル紙芝居の詳細は↓

 http://www.hitohaku.jp/exhibition/staff.html#kamisibai

みなさまのご来館❤心よりお待ちしています。

     

         フロアスタッフ  にしぐちひろこ



ユニバーサル・ミュージアムをめざして59

何日もかかって アフリカの森を歩いた事がある。

三谷 雅純(みたに まさずみ)

OdzalaBai-07-03.JPG 半年がかりで、アフリカ中央部の森を、歩いて旅した事があります。

 土地の言葉で、わたしが〈ンドキの森〉と呼んだ森が出発点でした。広い広い無人の森でしたから、最初、その森に名前はありませんでした。しかし、その中をンドキ(=悪霊)川が流れていたので、そこから「ンドキ」という名前をもらったのです。その〈ンドキの森〉に初めて足を踏み入れてから、わたしはコンゴ人民共和国、カメルーンと横断し、ギニア湾にある赤道ギニアの洋上アルプス、ビオコ島を駆け上りました。消耗の激しい半年でした。わたしは、何とか自立して、誰も知らない森を自分の力だけで見付け、新しい調査地を開拓したかったのです。わたしは結局、つい最近、世界自然遺産に登録された〈ンドキの森〉、現在のヌアバレ=ンドキ国立公園 (1) を調査地にしたのですが、今、改めて思い出すのは、1988年から1989年にかけてのカメルーン南部の森での出来事の方です。

☆   ☆

 それにしても、どうして人は不安に襲われてまで、未開の地に足を踏み込むのでしょうか? わたしも、〈ンドキの森〉という、誰も知らない未開の地に踏み込んだのですから、自分のことを振り返ってみればよいようなものです。カメルーンの森で出会った人たちも、ご本人が、あるいは高だか数世代前のひとりの男性が――不思議ですが、ことごとく男性でした――、カヌーで川辺を行き来して、家を建てる固い地面を捜したのでした。固い地面が見つかったら、近くに飲める水が流れているかどうかを確かめます。水が確認できたら辺(あた)りに生えている木の種類を見て、農地になるかどうかを見きわめます。農地になりそうだと判断し、そこに住む決心がついたら、焼き畑にするための最初のひと斧(おの)を振り下ろしておくのです。

 この旅の最中に、なぜその村を開いたのかと問う機会が、何度かありました。

 理由はいろいろでした。村が滅びてしまったからという話をよく聞かされました。

 例えば感染症です。ある村は、かつて、もっと北にあったのですが、皆既日食の年、みんなで太陽を見ていると目が痛みだした。血の涙が出て、人びとは死んでしまった。その場所には、もう住めないからと、残ったもの何人かで今の場所に移ってきた。それがこの村の始まりだと教えてくれました。

 別の村では、昔は千人を超えるほどの大きな村だったそうです。ある時、病気が流行り、人びとはバタバタと死んでいった。そのために村は滅びた。そして河川の何十キロも上流に、同じ名前の村を開いた。今は少数のバンツー農耕民と狩猟採集民のピグミーが、いっしょに暮らしている。新しく村を開いたのが、あの村長だと、椅子でくつろいでいる老人を指さして聞かせてくれたこともありました。

 まるで、むかし話そのままです。わたしたちの周りにも、よくあった事に違いありません。しかし、何世代にも渡って、安定して暮らす事が当たり前のようになると、「人が死に絶える」とか「村が滅びる」というのは、日常感覚では捉えきれなくなってしまいました。わたしたちの普通の言葉で言い直すと、それは「コミュニティが滅びる」とか、「ひとつの地域が滅びてしまう」ことに当たるのでしょう。アフリカで村が滅びるというのは、それほど大変な事なのです。しかし、よくある、当たり前の事でもあります。

☆   ☆

 バンツー農耕民は、もともとは、今で言うカメルーンとナイジェリアの国境近くに住んでいたサバンナの農耕民だったそうです。その人たちが、ある時、サバンナから森の中へと逃げ込んだという話があります。バンツーは北から南下してきた異民族に追われたディアスボラなのだそうです。その異民族もディアスボラなのでしょう。今から、三千年とか、四千年とかいう大昔の話です。我われにとっては縄文時代に当たります。

 サバンナのような乾燥して見晴らしのよい土地から、森という、湿り気の多い、見通しの悪い土地に入るのですから、おそるおそる、恐ごわと、歩を進めたような気がします。そんな想像をしてしまいます。一気に、雪崩を打って侵入したというのではないのです。

 カメルーンには、〈マキザール〉という「森の精」の言い伝えがありました。小さな、人のように見えるのですが、明らかにピグミーとは違う。夜になると人を襲い、殺してしまう。〈マキザール〉から逃れるには、――記憶は不確かですが、確か――〈白魔術〉があったと思います。〈白魔術〉が使えるのは、村の長老だけだと聞いたように思います。

 多くの動物とは違って、人はなぜ広大な地域に住むようになったのかと考えていて、カメルーンの森の奥に点在する村の消長に思いが至りました。〈マキザール〉の言い伝えは、〈むら〉という空間、つまり自分たちバンツーの住むその場所だけが「人の住む世界」であることを意味します。その外には〈異族〉、つまり人間以外の生き物がいるという意味です。そのためでしょう。〈マキザール〉は恐ろしい「森の精」ですし、ピグミーもバンツー(=バンツーの言葉では「人」という意味)ではないのです。

 アフリカのサバンナで長く文化人類学を研究しておられる川田順造さんは、『サバンナの博物誌』(ちくま文庫) (2) という本の中で、西アフリカのサバンナに住むモシ族の人たちは、住んでいる家や住む場所、さらに「気心の知れた人びと」、つまり「いっしょに暮らす人たち」を指すのに〈イリ〉という言葉を使うのだと書いておられます。この〈イリ〉に対する言葉が〈ウェオゴ〉です。〈ウェオゴ〉は野獣や荒れ野の精〈キンキルシ〉のいる場所なのだそうです。川田さんは、〈イリ〉と〈ウェオゴ〉に当たる概念をわたしたちの周りに探すとすれば、ひょっとして〈さと〉と〈やま〉に当たるのかもしれないと書いておられます。人が居住し、畑仕事をする〈さと〉に対して、〈やま〉はクマや鬼の住む異界です。〈キンキルシ〉はちょうど、カメルーンの森林地帯では〈マキザール〉に当たるのでしょう。そうだとすれば、〈マキザール〉のいる森は、サバンナでは、人ではない、得体の知れない何かがいる「荒れ野」に当たります。

 「新しい村を築く場所を探す」ということは、まさに、「〈マキザール〉や〈キンキルシ〉のいる場所」の中で、恐ごわ歩を進めることなのです。「〈マキザール〉や〈キンキルシ〉のいる場所」に踏み込まなければ、「新しい村を築く場所」は探せない。しかし、そうだとしても恐がっていては何も始まらない。「人が死に絶える」とか「村が滅びる」というのは、アフリカに限らず、人にとっては、それほど頻繁に起こる事なのですから。

☆   ☆

 ヒトは地球上のあらゆるところに分布しています。その移住の様をあれこれ考えていたので、今回は原稿が、「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」で立てていた主題からは、ずれてしまいました。これがどう結び付くのかは、そのうち、説明します。

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(1) 世界自然遺産はコンゴ共和国のヌアバレ=ンドキ国立公園とともに,カメルーンのロベケ国立公園と中央アフリカ共和国のザンガ=ンドキ国立公園が含まれる「サンガ川流域の3か国保護地域」として登録されました.

(2) 『サバンナの博物誌』(ちくま文庫)

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三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

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 ただいま4階ひとはくサロンにて、恒例のクリスマスイルミネーション
設置されています。
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▲深田公園が望める窓際にも、素敵なツリーがあります(昼と夜の様子)

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今年は動くかわいいウサギもいますよ♪

ご紹介したのは一部です。ぜひ博物館で本物をご覧くださいませ。

▼楽しいクリスマスイベントもご用意しております♪

http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9567_subkeyFILE1


リニューアルした4階ひとはくサロンも、ぜひご覧ください。


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                                                           (フロアスタッフまつだ)

小さな学校キャラバン】第4弾!!

  行ってきました、小さな学校キャラバン ~ 香美町立余部小学校&御崎分校 2014/11/14 ~

 

第4弾の小さな学校キャラバンでは、香美町立余部小学校&御崎分校に行ってきました。

11月中旬でしたが風は冷たく、早くも冬の訪れを感じさせる一日でした。

今回の小さな学校キャラバンの中ではもっとも遠方の小学校で、片道3時間弱の道のりでした。

 

キャラバンは余部小学校で実施させていただいたのですが、応募していただいたのは御崎分校です。御崎分校は、余部小学校から車で山道を10分ほど走らせた場所にあります。

小さな校舎が日本海を臨む高台に建っています。分校に通う子どもたちは、定期的に余部小に来て学んでいます。

キャラバンは、分校の子どもたちが余部小学校に来る日に合わせて実施しました。

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私たちが三田から余部小まで移動している午前中、ひとはくの元研究員(現在は兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科)の先山徹さんから余部の石や地形についての授業がありました。

その後、NPO法人おおやアート村理事長の田中今子さんのご指導で、ストーンペインティングをおこないました。

子どもたちが思い思いに描いた絵には、海を連想させるものが多いようでした。やはり暮らしのなかに海が浸透しているのでしょう。
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三田からのゆめはく部隊は11時過ぎに余部小に到着し、12時過ぎには設営が完了しました。

グラウンドに停めたゆめはくには、昆虫標本のセットを展示しました。

校舎の中の廊下には、ゴホンダイコクコガネとススメバチの拡大模型&昆虫タペストリーです。
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13時から、幼稚園児、1・2年生、3~6年生の順で見学に来てくれました。

標本をじっくり観察して、引いたカードとまったく同じ虫を見つける「むしむしみっけ」に挑戦です。くまなく観察しなければ、なかなか正解できません。

ほかにも、針で刺すハチはオスとメスどっち?といった虫にまつわるクイズを出題したり、最近シカが増えているためシカのふんを食べるゴホンダイコクコガネも増えていることなどを、拡大模型を見ながらお話しました。IMG_1622.JPG IMG_1627.JPG IMG_1630.JPG
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子どもたちには初めての体験や話題ばかりだったようで、目を丸くしたり、歓声をあげる場面が多々ありました。

先生のなかには、「この昆虫はこの辺で見かけたことがあるけど、こんなにじっくり観察したことはなかった」とおっしゃる方もおられました。

 

御崎分校の児童と先生で学校周辺の昆虫を調べているそうで、今回のキャラバンをきっかけに、今後そういった活動を応援していければと思います。

 

小さな学校キャラバン隊

 皆さん寒くなってきましたね~

 きょうはスタッフ仲間が 作ってくれたカリンとショウガのハチミツ漬けを飲んで 風邪予防を

 しました~(*^_^*)(ホッコリ)

  
 11月22日(土)・23日(日)に フロアスタッフとあそぼう「ぽこ・ぽこ☆キノコのしおりづくり」を
 行いました。

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 ☆明日24日(月・祝)も フロアスタッフとあそぼう「ぽこ・ぽこ☆キノコのしおりづくり」がありますよ! 

  デジタル紙芝居「ぽこぽこぽこ~森をつなぐ~」は キノコが主人公の とてもかわいいお話です。

  ぜひ ひとはくへ お越しくださいね。

                                  フロアスタッフ おの まゆみ

11/15(土)・16(日)のフロアスタッフとあそぼうは、
「きょうりゅう骨パズル」を行いました。
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丹波の恐竜の大きなパズルを、みんなで組み立てていくイベントです。
最初は、兵庫県で発見された 丹波の恐竜のお話を聞きます。

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これまで、「丹波竜」という愛称で呼ばれていましたが
新種の恐竜として「タンバティタニス・アミキティアエ」と命名されました。

お話のあとは、いよいよパズルです。
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しっぽの骨はどこ?これは首の骨かな?それとも...... 
みんなで相談しながら、どんどん組み立てていきます。

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みんなで力をあわせて、丹波の恐竜が完成しました!

ご参加、ありがとうございました。

ただいま、ミュージアムショップにて

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▲当館の三枝主任研究員の監修の「丹波の恐竜フィギュア」販売中!


11月うきうきカレンダーはこちら イベントをチェック!

http://www.hitohaku.jp/infomation/event/ukiuki1411.pdf

11/22(土)・23(日)・24(月祝) 13:30~ フロアスタッフとあそぼうは

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「ぽこ・ぽこ☆キノコしおりづくり」です。

受付は10:00~、4階カウンターにて。ご参加お待ちしております!

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 今、ひとはくサロンで「伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展」を開催しています。

 主催は阪神間ユネスコ協会連絡会の合同事業によるもので、22日の早朝より三田市ユネスコ協会の役員の方々がご来館になり準備されました。
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 展示期間は22日(土)~26日(水)と短いですが、ひとはくにお越しの際は是非4階ひとはくサロンに足をお運びください。

生涯学習課

人と自然の博物館では、兵庫県立有馬高等学校 人と自然科の1年生を主な対象とするセミナーを年間8回行っています。

 ※ 第1回~第7回は、一般セミナーとしても実施しており、一般の方にもご参加いただけます。
本日、11月21日(金)は第7回目、三谷研究員による『霊長類学が描くヒトの姿-われわれは何者か』のセミナーです。

◆ 2キロ余りの道のりを歩いて来館。[13:40ごろ]
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◆セミナー参加は、県立有馬高校 人と自然科1年生のみなさんです。
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◆類人猿とヒトの認識のちがいや、アフリカ・コンゴにおける類人猿に関する調査研究の成果について教えていただきました。
 長時間の講義でしたが、高校生だけでなく、その面白さに筆者も引き込まれていき、あっという間の90分でした。
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◆講義が終わり、ホッと一息。 ◆次は、最終回 三谷研究員のセミナー続編です。
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                   ★ お疲れ様でした。[15:30ごろ]

『平成25年度有馬高校連携セミナー』一覧
 【第1回】(5/2):「タンポポの話」(鈴木武)                  【第2回】(5/30):「アフリカの大地に人類進化の謎を探る」(加藤茂弘)
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第3回】(6/27):「植物の形から自然を探る」(秋山弘之)  【第4回】(9/5):「化石からみた生き物たちの歴史」(菊池直樹)
 
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 【第5回】(10/10):「コケとキノコ美と多様性」(秋山弘之) 【第6回】(
10/24):「次世代に残したい風景について考えよう」(大平和弘)
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 第7回(11/21):第8回( 1/16):「霊長類額が描くヒトの姿-われわれは何者か?」(三谷雅純)        -《以上全8回》-

 ※ 第1~7回セミナーは、既に終了しております。
 

このように「ひとはく」では、次世代を担う子どもたちの育成をめざし、学校連携事業に取り組んでいます。
                 
                                                          生涯学習課840
 




小さな学校キャラバン】第5弾!!
行ってきました、小さな学校キャラバン ~ 神河町立越知谷小学校 2014/11/18 ~

5弾の小さな学校キャラバンは、秋も深まる神河町の越知谷小学校です。山はすっかり紅葉で色づいていました。この日はオープンスクールの期間中ということで、保護者の方や地域の方にもキャラバンのことをお知らせいただいたそうです。中に入ると、うれしい歓迎の言葉が...
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越知谷小の校舎には、地元の木材が使われています。この温かみのある校舎で児童43名が学んでいます。
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当日は10時前に来校し、準備開始です。まずはツキノワグマを下ろしてっと...。最近この地域に出没するようになったそうで、ぜひ間近で本物を見たいという学校のリクエストにお応えしました。
ゆめはくの中は昆虫の展示です。11時頃には設営が完了しました。
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1120分から見学がスタート!まずは34年生がやってきました。
めずらしい鉱物や間近で見るクマに興味津々でした。
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1140分からは、56年生の見学です。アンモナイト化石をさわってみたり、昆虫標本をじっくり観察しました。

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お昼は児童の皆さんと給食をいただきました。スタッフにとっては、うん十年ぶりの給食...(正直なところ、これを楽しみにしていたメンバーもいました 笑)子どもたちの笑顔に囲まれて、とってもおいしかったです。

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午後一番に、幼稚園の園児4名も見学に来てくれました。ゆめはくの中に入るなり、「わぁ〜!」という歓声とともに園児たちの拍手が!これはスタッフにとってうれしい驚きでした。

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13時半からは、12年生(展示の見学)、34年生(昆虫観察)、56年生(植物観察)の3グループに分かれ、それぞれセミナーをおこないました。

12年生は、標本を観察しながら「チョウとガの見分け方」や「モルフォチョウの光るしくみ」などのお話を聞きました。

34年生は、学校の近くにいる昆虫のお話を聞き、実際にさわって観察しました。ちなみに、学校の周りにはカメムシがとても多いそうです。そのカメムシにもいろんな種類がいることを学びました。

56年生は、学校から出て川沿いにどんな植物が生えているか観察しました。見慣れた風景の中に、実はたくさんの植物があることを知りました。

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終了後の子どもたちの感想の中には、「知らないことがわかってよかった」「三田のひとはくに行ってもっと見たい」といった声がありました。今回のキャラバンが、新たな学びのきっかけになればうれしいです。

また先生からは、「今日のキャラバンでの子どもたちの反応は、明らかに普段とは違い、とても集中していました」といった声もありました。

キャラバンでの学びがどんな効果をもたらすのか、今後整理していきたいと思います。

私たちスタッフにとっても、学びと刺激に満ちた学校キャラバンでした。

小さな学校キャラバン隊

 今日の深田公園

2014年11月19日


 ホロンピアホールホワイエから見た深田公園

11月19日(水)、AM11:00より
朝来市立朝来中学校1年生52名のみなさんが来館され、赤澤研究員による 特注セミナーミニ逆さビデオカメラづくりを受講されました。
このセミナーは、受講者が作ったミニカメラによって、遠方にあるものをレンズをとおしてスクリーンに映し出し、カメラの仕組みや原理について学ぶセミナーです。

Ⅰ 赤澤研究員のお話『カメラのはじまり』
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Ⅱ 『ミニカメラづくり』
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  ♡ コチラがカメラの材料です。(黒画用紙、虫眼鏡(レンズ)、セロテープ、黒ガムテープ、ハサミ)
   ※他にスクリーン用トレーシングペーパーが必要です。

① 黒い画用紙を、左の図のように2種類の型にそって切り抜きます。
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 ※ 上の図の筒は、四角い窓をあけ、小さなレンズを取り付けます。
   下の図の筒は、片方にスクリーンと貼り付けます。

② 上の図をもとに、2種類の筒を作ります。
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③ 一つの筒の四角い窓に、左の図のようにレンズを取り付けます。
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④ もう一方の筒にスクリーンを貼り付けます。
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⑤ スクリーンの筒を、レンズのついた方の筒に差し込んだら・・・・・・
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⑥ ミニ逆さカメラの「で☆き★あ☆が☆り~!!」
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♡みんな、のぞいています。 ピント合わせに、必死です。
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◆「うわー、すごい!!」/◆「すごい、きれいに映ってる!!」/◆「本物みたい!!」 etc

⑥ みんなが見ているのは・・・・!!!!???
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 《コレが、ミニカメラに写った映像》     《コチラが実際の映像》
  ※ ↑写真をクリック☆彡

 ★★結構きれいに映っています。(赤澤研究員のカゲも映っています。)‥‥ ただし、全部 逆さです。

★★★最後に、赤澤研究員から、人間の眼球でも同じ現象が起きており、逆さ画像を脳が修正し、上・下・左・右を正しく認識できていると聞いて、驚きです。
しかし、ミニカメラを作ってみると、人の目の中で起きている光の現象も実感をもって理解できたような気がします。

本日は、朝来中学校の皆さんに、実習をとおして光の不思議な世界を体験していただきました。

なお、このセミナーは受講料200円にて、提供させていただいております。


特注セミナー
のページはコチラ

                                        生涯学習課 840

11月16日(日)、兵庫県立人と自然の博物館では、NPO法人 人と自然の会によるスーパードリームスタジオがホロンピアホールで開催されました。また本館でも、多数のオープンセミナーが開催されました。当日は、「関西文化の日」として観覧料が無料ということもあり、多くのお子様連れのお客様がご来館され大賑わいの一日でした。

ご来館できなかった方は、12月もドリームスタジオが開催されていますので是非ご参加ください。詳しくはこちら

【スーパードリームスタジオの様子】
ホロンピアホール入り口では、開催時間前から多くのお客様がお待ちでした。

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ホロンピアホールの様子です。

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●強化ダンボールで巨大恐竜作り
顔や首、胴体、手足の各パーツをみんなで協力してつくり、最後に組み合わせて恐竜が完成しました!

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●けん玉作り、けん玉選手権
ペットボトルを材料にけん玉を作りました。その後、ホロンピアホールステージでけん玉選手権が開催されました。画像の女の子は何と!「106回」という記録を出しました。

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●粘土で恐竜を作ろう
粘土で模型を見ながら恐竜を作っています。

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●松ぼっくりのクリスマスツリー
クリスマスシーズンを前にベイマツの松ぼっくりに個性豊かな飾りつけをつけてオリジナルなクリスマスツリーが完成しました。

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●鶴のクラフト作り&竹笛作り
お子様、いつの間にか保護者も夢中になって作っていました。

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●ダチョウ卵の殻でペンダント
砕いたダチョウの卵に各自アクセサリーを貼ったり、色付けをしたりオリジナルなペンダントが出来上がりました!

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●スペシャルミンミンゼミ作り
用意された翅(ハネ)を切り取り、容器に取り付けて完成。糸をつけて回すと音も出ます!

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【オープンセミナーの様子】

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お庭の立体カードをつくろう
庭のパーツを思い通りに貼って、自分オリジナルのお庭の立体カードを作っています。

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わらで紙づくり

稲わらを原料にして紙づくり(溜め梳き)を体験していjます。仕上げの乾燥作業はご自宅で。

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鳥の羽根を使って「ペン」をつくろう!
「最も歴史の古いペン」の一種、鳥の羽根を使って、ペンを作っています。インクをつけて、上手に字を書いてみよう!
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 フロアスタッフとあそぼう「きょうりゅう骨パズル」
大きな丹波の恐竜パズルをみんなで完成させよう!
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風に乗って飛ぶタネの模型をつくろう!
紙、クリップ、ホッチキスなどを使って、風に乗って飛ぶタネの模型を作っています。
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ひょうごの活断層はぎとり展示解説
大震災後の20年間に作成・収集した兵庫県内の主要な活断層のはぎとり標本と、兵庫県南部地震の直後に撮影された野島断層による地表変位等の写真について研究員より解説がありました。
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さわって観察!動物のホネ
シカやイノシシなどいろいろな動物の骨格標本を展示します。実際にさわって重さや質感を体験!
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昆虫標本を見てみよう
通常は非公開の昆虫標本が展示されていました。
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情報管理課 阪上勝彦

11月14日(金)、AM10:00に小野市立河合小学校3年生41名のみなさんがお越しになり、入館後、山内研究員による 特注セミナー『ワクワクこん虫ワールド!!』を受講されました。
 ※ 当館では、従来より各ご希望により ひとはく研究員による特注セミナーを行っております。

『ワクワクこん虫ワールド!!』では、普段は展示していない 標本棚の中のこん虫標本を、子どもたちが自由に取り出して、間近に見ることができます。
また、たくさんの標本の中から厳選したこん虫を、山内研究員が顕微鏡を使ってモニターに大きく映し出し、詳しく解説します。
 

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    ☆★山内研究員のお話☆★       ☆★標本を自由に観察☆★        ☆★昆虫の解説☆★

 
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   ♡♥顕微鏡を使っての観察♡♥     ♡♥スクリーンに映った昆虫♡♥       ♡♥顕微鏡で観察♡♥

 
    
 

このセミナーでは、こんな(⇓)昆虫を見ることができます。
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     《モルフォチョウ》           《コガネムシ》              《クワガタムシ》

本日は、河合小学校の皆さんに、めずらしい標本をとおして「こん虫ワールド!!」を体験していただきました。

ひとはくでは、昆虫だけでなく、動物、化石、植物など、様々な 特注セミナーを実施しております。

特注セミナーのページはコチラ

                                        生涯学習課 840

11月14日(金)【トライやる・ウィーク最終日】

トライやるウィーク最終日は、フロアスタッフのお手伝いと標本整理の班に分かれてそれぞれ活動しました。

フロアスタッフの班は、12月20(土)・21(日)・23(祝・火)日に開催されるイベント:フロアスタッフとあそぼう「クリスマスモビール」で使用するの飾りを作っています。
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その後、デジタル紙芝居の上映にむけて3人で息を合わせて練習を繰り返し、本番を迎えました。
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午後は、小学校の団体が来館され、展示室ツアーを手伝いました。小学生を前に補助的にパネルを持ったり積極的に活動してくれました。
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標本整理の班は、カニのアクリル封入標本の作製をしました。
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トライやる終了後、お世話になった博物館職員に挨拶を済ませ解散しました。

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博物館にはさまざまなお仕事があります。体験することによって少しは理解できたと思います。次回は、セミナー等を機会に博物館に足を運んでくださいね!

情報管理課 阪上勝彦


11月13日(木)【トライやる・ウィーク3日目】

博物館でのトライやるウィーク3日目の様子をお伝えします。
午前中は2班に分かれて総務課、情報管理課の仕事を手伝いました。

総務課では、数多くある書類の整理を手伝いました。

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情報管理課では、収蔵庫棟の図書室に入り、書棚の本の移動や整理を手伝いました。

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午後は、6人全員でタンポポ調査の資料整理をしました。 一般の方から送られてきたタンポポ調査用紙の内容を確認しながら、花を番号ごとに袋に入れて整理しています。

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明日は最終日ですね。レポートの冊子もしっかり仕上げていきましょう!
情報管理課 阪上勝彦



11月12日(水)【トライやる・ウィーク2日目】

博物館でのトライやるウィーク2日目の様子をお伝えします。
午前中、神戸市立夢野の丘小学校1年生が来館され、お出迎えからスタートしました。

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深田公園は、このようにどんぐりでいっぱいです!
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小学生たちは深田公園でドングリ拾いをしました。トライやるの中学生は小学生がはぐれないよう見守りながらサポートしてくれました。
 
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最後には小学生たちからもお礼のあいさつをいただきました。

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午後は、明日の特注セミナーの準備を手伝いました。主にカタツムリの部屋の掃除です。 また、鈴木研究員から岡場駅周辺のカタツムリ生息場所や種類と見分け方についても説明していただきました。

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 残り2日、明日はどのような活動が待っているのでしょうか。お楽しみに!

情報管理課 阪上勝彦



11月11日(火)【トライやる・ウィーク初日】
兵庫県立人と自然の博物館では、秋のトライやる・ウィークとして神戸市立北神戸中学校、有野中学校、有野北中学校からそれぞれ2名、計6名の中学生を受け入れています。

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 初めに職員の前で自己紹介をしました。DSC_8094.JPG

午前中は、セミナーの教材を作成しました。フライドチキンの肉を削ぎ落とし、骨のみにした様子がこちら↓。ほぼ9ピースで1羽分になるそうです。
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午後から館外で展示されていた標本が返ってきたので、展示室に戻す作業を手伝いました。その後、博物館の展示を見ながら、来館者用のクイズ作成に挑戦しました。
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今日一日の内容を日誌に書いて解散です。この機会に博物館の裏側の仕事を経験し、理解してくださいね!
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情報管理課 阪上勝彦

11月2日(日)にKidsサンデースペシャル2014が開催されました!
スペシャルにふさわしく、遠くは九州からキッズが楽しめるプログラムを用意して
多数の団体がひとはくに集結してくれました。

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<兵庫陶芸美術館>        <しぜんクラブ(フレミラ宝塚)>

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<兵庫県立考古博物館>      <関西モバイルプラネタリウム>

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<九州国立博物館>       <キッズプラザ大阪>

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<国立淡路青少年交流の家>   

ほかにもおなじみのひとはく連携活動グループの皆さん、
ひとはく研究員やスタッフによるプログラムが実施されました。
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キッズの皆さんからのメッセージです。
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楽しかったこと、うれしかったこと、面白かったことを書いてくれました。

次回のKidsサンデーは12月7日(日)です。


で・も!その前に!

今週の日曜日、11月16日(日)は Kidsサンデーでもおなじみの、
ひとはく連携活動グループ NPO法人 人と自然の会の皆さんによる、
『スーパードリームスタジオ』が開催されます!
詳しくはコチラ!(←クリックしてね!)

同日にひとはくの研究員によるオープンセミナーが多数実施されます!
詳しくはコチラ!(←クリックしてね!)


キッズの皆さんも参加できるプログラムも
もりだくさんですので、皆さんひとはくにおこしくださいね!!

         (たかせゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)

『小さな学校キャラバン』 第3弾!! キャラバン in 道谷小

11月12日(火)、小春日和の中、国道29号線沿い鳥取県との県境に近い山間の小さな小学校「宍粟市立道谷小学校」に行って参りました。
道谷地区(どうだに)では、昭和58年から32年間にわたり、200名以上の山村留学生を受け入れてこられました。
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※ 現在、「山村留学生」の募集は終了しています。

今年度の道谷小学校の児童は、地元小学生5名と山村留学生4名を合わせ、全児童数9名です。
ここには豊かな自然と地元の人々との温かいふれあいがあり、子どもたちがたくましく健やかに成長するすばらしい環境が残っています。
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しかし、残念ながら子どもたちの減少にともない、同校は今年度をもってその歴史を閉じることとなっています。

◆では、この度のキャラバンの様子をご紹介します。

①ゆめはく号がやってきた!
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②キャラバン展示準備中でーす。  ③準備を終えた『ゆめはく号』!   ④大きな展示ができました。
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⑤PM1:00~PM2:00 授業『道谷の植物』高橋 晃(たかはしあきら) 先生
    《高橋先生のお話》        《地元の方も多数参加》    《熱心に耳を傾ける子供たち》
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 地元の方から、薬草や毒のある植物について質問があり、話は大いに盛り上がりました。
 また、最後に高橋先生から子供たちに、「地元の年輩の方々が経験し、知っておられる『知恵』を今のうちにたくさん聞いておいてほしい」とのお話も。

⑥PM2:00~3:00 展示見学&解説
 《写真で見る展示コーナー》
 〔1〕古谷先生の展示解説(鉱石・ゾルンンホーフェン化石・丹波竜)
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 〔2〕展示物・ゆめはく号の見学(ティラノサウルスのレプリカ・鉱石・植物画・植物写真・ダイコクコガネ大型模型・昆虫標本)
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                  ◆ゆめはく号、みんなでパシャリ!

⑦PM3:00~ 閉会式
 《閉会式の様子》         ◆一人ずつ感想を言いました。  ◆先生方に「ありがとうございました。」         
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⑧さようなら『ゆめはく号』
 IMG_4818-1.jpg IMG_4822-1.jpg ゆめはく号は道谷小学校を後にしました。

この度は、道谷小学校にお呼びいただき、「小さな学校キャラバン」としてキャラバン展示と研究員によるセミナーを開催させていただきました。
地元の皆さんにも多数お越しいただき、大盛況の内に終えることができ大変嬉しく思っております。

福田善彦校長先生が、校報『ひろば』4月号に、「この1年は、道谷小学校にとって集大成の年に当たります。こどもたちは勿論、地域のみなさまにとっても、惜しまれる学校、誇れる学校として閉校を迎えたいと思います。」と記されています。
その重要な年の1ページに「小さな学校キャラバン」を選んでいただいたことに感謝します。
道谷小学校の皆様にとって、残りの年月がより充実したものとなりますようお祈りいたします。

◆◆それでは、最後に記念撮影です。◆◆
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みなさん、これからもお元気で、そしてまたいつかぜひ「ひとはく」へ!!
                                       小さな学校キャラバン隊








 


2014年11月9日(日)、ゆめはくは、相生市教育委員会さんにお呼びいただき、「羅漢の里 もみじまつり」に行ってまいりました。
テーマは「きらきら多様性体験プログラム」。
生き物が持つ多様性の神秘さを感じたり、豊かな自然環境の中でのワークを通して、違いを認め合う心を高めましょう。みんな ちがって みんな いい。

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ゆめはくの中では、カードを引いて、同じ標本を探すゲーム、「むしむしみっけ」をいたしました。
みんな ちがって・・・に気づき、体験するプログラムです。小さな子どもたちも、楽しめます。
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一つの標本箱の中は、みんな同じ種なので、カードの虫がどの箱に入ってるかは、すぐにわかります。
しかし、箱の中のどの個体かは、じっくりみないと、わからないです。
じーっと見ているうちに、形や色、模様が、個体によってちがうことが、わかってきます。
私たちひとりひとりの顔がちがうのと、同じですね。

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これは、手ごわい。そんなときは、保護者の方も、真剣に。

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世界の美麗昆虫のほか、兵庫県で見られる昆虫も、展示しました。
見たことのない昆虫だけでなく、見たことのある昆虫も、人気がありました。

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「いろいろな兵庫の昆虫」をスケッチしています。将来有望な昆虫少年です。

(八木 剛 記)

 展示の準備しました

2014年11月 7日
明日11月8日から「震災20年 ひょうごの活断層はぎとり展示」が公開されます。

詳細は.....↓
  2014年11月8日(土)〜 2015年1月4日(日)
◆ 場 所 : 兵庫県立人と自然の博物館 4階ひとはくサロン
◆ 展示物 : 兵庫県内の活断層の地下断面はぎとり標本  9点
         (暮坂峠断層1点、琵琶甲断層2点、草谷断層1点、須磨断層3点、六甲断層2点)
          上記のはぎとり標本の解説パネル              9点
                        兵庫県内の活断層に関する解説パネル          3点程度
        1995年兵庫県南部地震直後の野島断層の写真パネル 13点

等です。ここから詳細参照

 
 そして、その準備の様子を1枚の写真で紹介します ワイワイがやがや、喧々がくがく   完成しました。

 是非ご来館のうえご観覧ください。

小さな学校キャラバンの1番目は、ちょっと前になりますが、10月23日(木)、姫路市立安富北小学校へ行ってきました。
10時過ぎに到着して、校庭にゆめはくを乗り入れさせてもらい、校舎の横で展示を展開しました。

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ゆめはくの中では昆虫の展示を、外にはスズメバチの大型模型、アンモナイト化石、生きているカタツムリやダンゴムシなどを広げます。
1時間ほどかけて展示の設営を完了して、子供たちがやってくるのを待ちました。

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11:30、第4校時になり、いよいよ1・2・3年生が見学にやってきました。
歓声を上げながら大きなスズメバチの下をくぐり、ゆめはくの中へ。

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キラキラ光るモルフォチョウや大きなカブトムシを熱心に見ていました。

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アンモナイトの化石は触ってもいいもの。みんな「つるつるしてきれい」とか「こっちはザラザラや!」と声を上げていました。

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鈴木研究員は生きているカタツムリを説明しています。校舎の横の花壇にたくさんのカタツムリがいて、子供たちが次々見つけてきます。
鈴木研究員も校舎の裏のほうへ行って、さらにカタツムリを探してきましたが、足をヒルにかまれて血を流すという一幕も。

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昼休みはフリータイム。午前中に見た低学年の児童たちがもう一度やってきて、生きているヤスデに触って「かわいい、かわいい」と大騒ぎです。
13:20 チャイムが鳴って掃除の時間になりました。あれほど大騒ぎしていた子供たちでしたが、みんなまじめに掃除をししていて感心しました。

午後からは4・5・6年生が見学来ました。 先生たちも「化石って本当に石なんやね、でもきれいものね」と、本物のアンモナイトに触って楽しんでおられた様子。子供たちはヤスデを掌の上で歩かせて楽しんでいましたが、先生たちは苦手なようでした。

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博物館に来る機会の少ない県内のへき地校を回ろうという小さな学校キャラバン。とても楽しんでもらえたと思います。
昆虫の大型模型、化石、その他いろんな展示物だけでなく、地域の自然にちなんだお話の時間もいっしょにセットして、11月中に残り5校を回ります。乞うご期待!。

                                    小さな学校キャラバン隊

11月2日(日)にひとはく探検隊「キノコGETだぜ!」を行いました。

当日は雨の予報でどうなることかと心配していました。

ずーっと曇り空でしたが、雨が降ることなくじっくり観察できました。

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フェアリーリングといって、円状に発生しているコムラサキシメジ

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みんな真剣にキノコをさがしていますが、散策の舞台の深田公園は紅葉がはじまっていて素敵です。

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探険隊報告書は、4階ひとはくサロンに掲示中です。

次回のひとはく探検隊は12月7日(日)「落ち葉であそぼう!」です。
是非ご参加ください。

フロアスタッフ せら ゆうこ

肌寒い日が続きますが、みなさま風邪などひかれていませんか?
季節の変わり目ですので体調には充分お気をつけくださいね。

さて、11/1(土)、11/3(月・祝)の両日にフロアスタッフとあそぼう
「アンモナイトおりがみ」を行いました。
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おりがみでアンモナイトをおり、自由に色を塗るというものです。

説明を聞きながら、お父さん、お母さんと一緒におっていきます。

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上手にできるかな?
難しいところは手伝ってもらいながら...... みんな真剣!


アンモナイトがおれたら色塗りです。 
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何色にしようかな?

完成!綺麗にできました!
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カラフルだったりダイナミックだったり、個性的なアンモナイトたくさん!

たくさんのご参加、ありがとうございました!

次回のフロアスタッフとあそぼうは11/8(土)、11/9(日)に行われる「画はくの日」です。
どこの展示がテーマになるか、楽しみにしていてくださいね。
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「画はくの日」の様子 2階展示室


みなさんのご参加、お待ちしております!

フロアスタッフ いわきはるか

10月30日(木)、芦屋市立打出浜小学校3年生95名の皆さんが来館!
和田研究員による特注セミナー『海辺の生きもの』を受講しました。

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打出浜小学校には、今年の夏から、三橋・和田両研究員が訪問し、海の生きもの観察などの指導にたずさわってきており、
秋には、隣接の打出浜で「ケフサイソガニ」「タカノケフサイソガニ」などを採集し、標本にするため博物館であずかっていました。
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今日は、セミナーの終わりに、アクリル標本となった自分のカニに再開し、みんな大喜び!


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博物館の研究員の専門的な知識・スキルで、プログラムがよりダイナミックなものに。
「ひとはく」では、このような学校教育支援も行っております。

                                 生涯学習課 ハシオ

小さな学校キャラバン】第2弾!!

  行ってきました、小さな学校キャラバン ~ 姫路市立家島小学校 2014/10/29 ~

 「小さな学校キャラバン」は、日頃なかなかひとはくに見学に来る機会の少ない県内のへき地校を対象に、ひとはくにある大型模型やレプリカ、標本や資料をゆめはくに詰め込んで出前をしましょう。そして、ひとはく研究員によるセミナーや講演会などもセットメニューとしてお届けしましょう。

  ってことで、この秋、県内7つの小学校に出かけます.....

    

 その第2弾の会場校が姫路市立家島小学校です。ちょうど、オープンスクールの実施期間中ということもあり、保護者の方や地域の方にも楽しんでいただけたと思います。


            

 

 前日のうちに貨物船でゆめはくを運びます。学校までの道のりではちょっと迷いながらも無事に到着。すぐに展示の準備にかかります。夕方までかかって、ようやく前日準備の終了。


 

         
             

 

 まず1校時低学年(1・2年)児童、校舎の玄関ホールに展示した「オオスズメバチ(大型模型)」「ティラノサウルス頭骨(レプリカ)」「巨大なアンモナイト化石」を目の前に、お話しを聞きながら展示を見たり触ったり!! そして運動場にあるゆめはくの中では、美しく妖しく輝くチョウの標本や、きれいに並べられたカブトムシやタマムシのなかなどの標本、そして身近に見られるバッタやトンボなどの標本を、虫眼鏡を使ってじっくり観察しました。


 2-3校時は中学年(3・4年)と高学年(5・6年)が多目的室と理科室に分かれてそれぞれ八木研究員のお話、小林研究員のお話を聞きました。
   

 中学年は、三田から連れて行ったハチに加え、前の日に島で捕まえたカマキリや虫の巣、セミの抜け殻、でんでん虫やでんでん虫の殻などをガチャコロケースに入れて、じっくり観察したり触ってみたり!! そして、ゆめはくに積み込んだ標本の見学もしました。




            

 高学年は家島がどうやってできたのか?というテーマから大地の動きやマグマのこと、プレートテクトニクスなどの話をじっくり聞きました。大昔には家島は本州と陸続きだったことやハワイ諸島が段々日本に近づいてきている話など、難しい内容もありましたが専門的な話を聞きました。



    
     
 オープンスクールにお越しになった保護者の方や、弟さんや妹さんなどのちびっ子たちや、すぐ隣の幼稚園からも見学に来てくれました。
     
 みんな、目をまん丸っこにしながら虫眼鏡片手に昆虫標本にくぎ付けになり、「きれっー」「うわぁ!!」「すっげぇ」などの歓声が飛び交っていました。
 一泊二日の島体験でしたが、とっても楽しかったです。子どもたちの眼もランラン・いきいき!!

 そして、また元通りお片付けをして島を後にしました.....機会があれば是非また行かせてください。 
 そして、今度は三田にあるひとはくにも是非お越しください!! お待ちしております!(^^)!


小さな学校キャラバン隊

木の葉も色づき、あっという間に秋。
深田公園の木も、少しずつ衣替えを始めています。
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さて、10月25日(土)、26日(日)に フロアスタッフとあそぼう「丹波の恐竜万華鏡」を行いました!
まずは「丹波の恐竜」についての説明から。
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学名は「タンバティタニス・アミキティアエ」 舌をかみそうな名前ですねぇ~。
この名前の由来をご説明させていただきました。
みなさん頑張って覚えてくれていました。

万華鏡の仕組みの説明の後は早速作業開始!
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キレイに見える秘密道具、分光シートを貼っていきます。
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家族みんなで作業、難しい針での穴あけはお父さん。
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好きな色を塗って...
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完成!カラフルな作品がいっぱい!

こちらの作品は...
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丹波にちなんで黒豆柄を描いてくれました!
とってもかわいいですね(*^^*)!

たくさんのご参加、ありがとうございました!

次回のフロアスタッフとあそぼうは11月1日(土)、3日(祝・月)
「アンモナイトおりがみ」
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自分だけのオリジナルのアンモナイトを作ってみましょう!
みなさんのご参加、お待ちしております。

フロアスタッフ きただにさやの

みなさんこんにちは~♪ 秋の行楽シーズンを満喫されていらっしゃいますか~?
ひとはくはこの秋、4階ひとはくサロンをリニューアルいたします!

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4階ひとはくサロンインフォメーションカウンターでは、館内の各種お問い合わせ、授乳室や救護室のご利用案内などを受付けております。
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   こちらが目印です。→・→・
















ひとはく
サロンで、まず目に入るのがこのです。
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ミュージアムBOX
はテーマごとに分けてありますので、標本などを解り易く観察して頂く事ができます。 パズルやかるたなど、楽しく学べるアイテムもありますよ!

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今はまだ数が少ないミュージアムBOXですが、これから増やして行く予定です。
「こんなミュージアムBOXがあるといいなぁ~。」と思われた方は、カウンターにいるフロアスタッフまで、是非ご意見をお寄せください。(*^_^*)

また4階ひとはくサロンインフォメーションカウンターでは、「フロアスタッフとあそぼう!」や「ひとはく恐竜ラボの化石発掘体験」などの参加申し込みの受付も行っています。
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 ひとはくにお越しの際は、ぜひ4階ひとはくサロンにお立ち寄りくださいませ。

                                                                                
                                                                                          フロアスタッフ てらお ゆみこ

~ひとはく探検隊!アリをみつけよう!~

台風接近で心配されていましたが・・・お天気でした♪

探検に行く前に

お部屋で、アリのお話!!!

橋本佳明先生より、アリについての質問?!


アリのお話









日本にはどれだけの種類のアリがいますか?

世界中にはどれだけの種類のアリがいますか?

シロアリはアリのなかま?

ハキリアリ?ってどんなアリ?

みんなは何問答えられたかな?!

アリのことが少しわかったところで

深田公園に出発!!!

先生!このありの名前は?先生!このアリの名前は?


よく見るクロヤマアリ発見!

茶色で小さいアメイロアリも見つけたよ!

先生、このおおきなアリは?・・・ムネアカオオアリ!!!

アリどこにいるかな?スコップで土や落ち葉を・・・

土や落ち葉をザルでこすと・・・アリ発見!

トビイロシワアリトビイロケアリアミメアリ

 

6種類のアリが見つかりました。(^-^)

たくさんご参加いただき、ありがとうございました。

来月のひとはく探検隊は...
11/2(日)13:00~ ひとはく探検隊「きのこGETだぜ!」

▼ひとはく探検隊の年間予定はこちら
http://www.hitohaku.jp/exhibition/staff/2014tankentai.pdf

             フロアスタッフ  にしぐちひろこ




皆既月食のコマ送り

2014年10月15日
一つ前の投稿では写真で皆既月食の様子をお届けしましたが、さらに枚数を増やしたものでコマ送りを作ってみました。

 特別なソフトではなく、PCに標準(?)でついてくるムービーメーカーで、写真をつないで動画にするだけの操作です。細かい設定や修正等はしていませんので、見やすさはさほどではありませんが、雰囲気だけお届けできれば^^;
 


 次のファイルを開くかダウンロードして再生してみてください。

  moon.wmv

 
 
平成26年10月8日(水)
                     17:52 頃オレンジ色の月が昇りました 夕方 満月が昇り始めました。 低い位置にある時は結構赤味の多い印象でした。


 
 その後18時10分過ぎくらいから部分的に地球の影で月が食われていきました
                18:18~18:33 頃moon02.jpg
                18:40~18:43 頃moon03.jpg
                18:50~19:10 頃moon04.jpg 少しずつ少しずつ左の下の方から食われていき、19時40分頃には全部食われてしまい(皆既月食)、光り輝く満月は、赤銅色かオレンジかピンクか、そんな色に見えました。なのでBloodMoonと呼ばれることもあるそうです。
                19:18~19:41 頃moon05.jpg
 そしてゆっくりと、同じ時間をかけて元の月が姿を現してきました。
                21:09~21:14 頃moon06.jpg
                21:22~21:30 頃moon07.jpg
22時前には元の満月になったとさ(^^)

                        21:47 頃IMG_1000.JPG
次回日本で皆既月食が観察できるのは、来年の4月4日だそうですよ。

KAOKAO.jpg
生涯学習課



おまけ

今夜.....空をみあげて

2014年10月 8日
いよいよ今夜

皆既月食  観察できるといいですね....  18時過ぎから

http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2014/lunar-eclipse.html(外部サイトへリンク)

生涯学習課

10月のKidsサンデーが10月5日に開催されました。
南の方からだんだん台風が近づいてきて、
ご来館予定の皆さんは大丈夫かしら...と心配していましたが
元気なキッズたちが遊びに来てくれました。
お足もとが悪いなか、ありがとうございました!

<自然ってすごい!~ひっつきむし☆ラボ~>
植物はかせと3種類のひっつきむしのひみつをさぐりました。
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<展示室ツアー『海の仲間たちツアー』>
クジラ、サメ、ウミガメなどステキな海の生きものたちの楽しいクイズに挑戦。
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<フロアスタッフとあそぼう『六角パズル』>
ふしぎ!くるくる絵が変わるパズルを作りました。
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<サイエンスショー『スーパー飛行機作り』>
割りばしと紙だけでできた、ビューンとよく飛ぶ飛行機を作りました。
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<パネルシアター>
今の季節にぴったりの『さるかにがっせん』のお話。
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<自然ってすごい!~ひっつきむし☆プレイルーム~>
ひっつきむしで布に絵や名前をかいてワッペンを作りました。
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マネキンが来ている服(ズボン)についたひっつきむしを数えたら...
時間内にみんなに数えてもらっただけでも3000コ以上ありました!
(これは「アレチヌスビトハギ」の生えている草むらを3分間歩いたらついたものでした。)
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皆さんのまわりにはどんなひっつきむし=ひっつくタネが見られるかな?
服はとるのが大変なので、お家の人に布をもらってさがしてみるといいかも!

ここで大事なお知らせです☆
来月、11月2日(日)はKidsサンデースペシャル2014を開催します!
いつもよりたくさんのプログラムを用意して皆さんをお待ちしています。

夏休みに大好評だった『むしむしたいけん』や、プラネタリウム☆も登場予定!
プログラム詳細は決まり次第、ホームページなどでお知らせします。
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キッズの皆さん、秋の毎日を元気に楽しみましょうね!

              (たかせゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)

ユニバーサル・ミュージアムをめざして58

 

誰が美しいと決めるのか?-2

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

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  ジュリア・カセムさんの『「インクルーシブデザイン」という発想:排除しないプロセスのデザイン』という本を読んで、インクルーシブ・デザイン(この本では、分かち書きのない「インクルーシブデザイン」)やユニバーサル・デザインについて考えたことを書いています。

 

☆   ☆

 

 もうひとつ。この本を読んでいて、これは何か変だと感じたことがありました。それはデザイナーとデザイン・パートナー(ここでは障がい者や高齢者)が、共同してものを創っていく(219ページから221ページ)という発想です。

 

 誤解しないでほしいのですが、デザイナーが美的感覚や創造力を生かし、障がい者や高齢者が自分の経験を生かすというのは、まさにインクルーシブな協働です。デザイナーが美的独善に陥(おちい)る愚を防げますし、デザイン・パートナーは積極的に創作に貢献できるのです。ただこのことを、さらに突っ込んで考えてみると、例えばデザイナーが障がい者だったら、どうなるのだろうと思ってしまうのです。

 

 もしデザイナーが障がい当事者だとしたらどうでしょう? その場合は、デザイン・パートナーはデザインだけに没頭するデザイナーの頭を冷やすことが求められるのでしょう。そうでないと、その障がいのあるデザイナーは自分にだけ便利なデザインをしてしまうかもしれません。自分の思いだけで良しとしてしまうのでは、インクルーシブなものはできません。感覚の違う人たちがグループになり、コミュニケーションしあい、協力しあうことで、より使い勝手のよいものができあがる。そのことの方が重要なのだ。つらつら、そんなことを考えました。

 

 カセムさんの言うデザイナーとデザイン・パートナーは、健常者と障がい者や高齢者のことです。イギリスではデザイナーの60パーセントが40歳以下の青年で占められている(198ページ)そうです。デザイナーにこっそり潜む障がいがあっても(人には自分でも気が付かない障がいがあるものです)、その障がいは、まだ目には見えないでしょう。そしてユニバーサル・デザインやインクルーシブ・デザインの利用者は、デザイナーの生きる世界の「外側」にいる障がい者であり、高齢者です。カセムさんも、この思考の罠(わな)に捕まっているのかもしれない。そんな気がしました。

 

☆   ☆

 

 デザイナーは単なる技術者ではない。美的な感覚と感性がためされる芸術家です。わたしは霊長類学という、70パーセント理系、30パーセント文系の人類学(もちろん、研究者によって見方は異なります)を専門にしているので、わかる気がするのですが、デザイナーにとって審美性とか美的感覚は、とても大切なものなのです。

 

 わたしには、仕事をする上では美よりも真理が重大事です。しかし、カセムさんにとっては真理よりも美が重大事なのかもしれません。ただし、真理と美は介在するものが違います。つまり、「真理」は文化や時代性といったものに影響を受けない(はずの)ものですが、「美」は文化によっても、また時代によっても変わるのです。先ほど「判断する基準」について書きましたが、ここでも同じことを言います。何を美しいと感じ、何を醜いと感じるのかの基準を示さないと、わたしのようなデザインのイロハも知らないシロウトは戸惑うばかりなのです。

 

 わたしは、「人(あるいはヒト)に理想の姿などはなく、時代と場所に応じて多様に変わる『人(あるいはヒト)像』だけがある」のだと思っています。そのように仮定して、ものごとを考えています。この考え方から、多様な人(あるいはヒト)を生かすためにはどうすればよいかと考え、ユニバーサルな物事の発想を探ってきたのです。その上で問いますが、では障がい者スポーツに使うスポーツ義足やスポーツ車イスやチェアスキーは、はたして美的でしょうか。かっこう良く、機能的です。わたしなど、スポーツ車イスやチェアスキーが乗りこなせたら、世界は変わるだろうなと思います。しかし、「美的」というのとは違うと感じるのです。

 

 もちろん「美的」だと感じる人もいるのでしょう。人によって感覚は違うのが当然です。そんな感覚の違いは、使用者(=障がい当事者)によってもあるはずです。例えば男女には感性に差があるでしょう。育ってきた環境も影響します。年齢も違います。障がいの種類も違います。視覚障がい者と失語症者では、美しいと感じる内容が大きく違って当然です。そんな多様な人びとがいるのだから、その人たちには、使い勝手だけではなく何を美しいと感じるか(あるいは、感じないか)を、当事者にこそ選ばせてほしい。そう思いました。デザイナーは創意を発揮した提案ができます。しかし、デザイナーは必ずしも障がいの当事者ではありません。だからこそ、インクルーシブ・デザインにはデザイン・パートナーが必要だと発想したのではなかったのですか。

 

 違うでしょうか?

 

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

ユニバーサル・ミュージアムをめざして57

 

誰が美しいと決めるのか?-1

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

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平成25年度 誰にでもやさしい観光地づくり形成事業 観光バリアフー推進モデル事業 報告書から引用しました。
発行 : NPO法人バリアフーネットワーク会議(沖縄市照屋)
http://barifuri-okinawa.org/bfn/

 

 障がい者のスポーツ大会で、もっとも有名なものがパラリンピックです。国際的な大会です。パラリンピックでは、スピードの出るスポーツ・タイプの車イスとか、板バネのような強くしなう義足など、日常では使わない、しかしスポーツの世界では当たり前の装具をご覧になった方も多いでしょう。アスリートたちの、まさに手足となる道具です――リハビリテーションの世界では、このような道具の内、身に付けるものを装具(そうぐ)と呼ぶので、ここでもそう呼びました。もちろんスポーツ大会ですから、必要以上に力の出る装具は認められません。補助ロボットのたぐいもタブーです。補助ロボットを付けて競技に出たら、ドーピングをするようなものですものね。しかし、一定のルールの中でなら、従来の装具概念を打ち破った新たな装具が認められます。制約の中で、いかに速く、いかに強いものを創り出すか。それはデザイナーや技術者の腕の見せどころです。デザイナーや技術者にとってパラリンピックの競技場とは、感性と知恵を競うアリーナであり、スタジアムなのです。

 

 わたしが、パラリンピックは「デザイナーや技術者の腕の見せどころ」だと知ったのは、ジュリア・カセムさんの『「インクルーシブデザイン」という発想:排除しないプロセスのデザイン』 (1) という本を通じてでした。現代では障がい者のための道具を創るデザイナーや技術者には、パラリンピックなど国際的な競技大会が格好の舞台となったのです。それなら、現代のようにパラリンピックが脚光を浴びるまでは何を通じてだったかというと、......それは戦争でした。

 

 大昔から、戦争はさまざまな技術を発展させてきました。火薬や大砲はもちろんですが、最近では衛星写真やコンピュータ技術など、「戦争のおかげで発展した技術」がいろいろあります。障がい者は戦争のどこから恩恵を受けているのかというと、それは義肢(ぎし)です。金属の棒を足にくっ付けただけのような素朴な義足――報道写真で見たことがあります――から、最新のテクノロジーを駆使して、脳波で人工関節や人工筋肉の動きが当節できる義足まで、失った手足を蘇(よみがえ)らせる技術なのです。

 

 戦争はどんどん過酷さを増しています。無人戦闘機ではパイロット役の技術者が、「日常の業務」として家から通勤できるオフィスで、遠隔操作のミサイルを放ちます。そして死者の数――ミサイルを発射する側にではなく、発射される側の――は、うなぎ登りに増えていきます。兵士が身体を張って陣地を争ったころの戦争とは、較べものになりません。兵士ばかりでなく、ごく普通の家族や親子までが殺されます。いくら「大義」があったところで、国家が人を死に追いやるのが戦争の実態です。できるだけの補償はし(て見せ)なければ、国家の体(てい)をなしません。その補償のひとつが、高度な技術を駆使した装具の開発にあったのです。時代の潮流が追い風となって、現在はそれがパラリンピックに受け継がれたのでした。戦争は現実に起こる人間の行いですが、戦争を「戦争」と言葉に出すことが、はばかられたのかもしれません。

 

☆   ☆

 

 インクルージブ・デザインとユニバーサル・デザインは、もともと同じような考え方です。ただしカセムさんは、ユニバーサル・デザインという言葉が嫌いなようです。『「インクルーシブデザイン」という発想』によると、ユニバーサル・デザインは官僚的で、当事者(=障がい者や高齢者)の使い勝手ではなく、形式をそろえることだけに腐心していて、当事者の意見を聞くことがない(この本の66ページから70ページ、78ページから79ページなど。以下、同じようにページ数を表記します)とおっしゃいます。日本では「ユニバーサルデザイン」という言葉が浸透してきましたし、多くの役所で、今や「ユニバーサルデザイン」は大流行です (2)。わたしが書いている、このコラムも、「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」です。確かに、「当事者の意見を聞かず、形式だけをそろえる愚を犯して、それでよしとする」というのは、昔も今も、日本の悪しき習慣です。その習慣を改めるために、「みんなの美術館プロジェクト」 (3) では、美術館を訪れるさまざまな困難を抱えた人たちの声を集め可能な解決策を提案しています (4)。また、このコラムには、以前、博物館員になりたい車イスを使う中学生の博物館探検記(=ひとはくの良い所と悪い所):「聞いてみて、初めてわかることがある-1」 (4) を書いたことがあります。自分たちの周りにはたくさんの当事者がいる。それにも関わらず、それでも当事者には聞こうとしない態度を皮肉ったのです。マニュアルに頼って、あるいは「専門家」や「デザイナー」と称する人が勝手に決めることで、不便の何がわかるというのでしょう?

 

 このカセムさんの本を読んでいて、わたしが不思議に思ったこともあります。それは、ユニバーサル・デザインは(利用者でなく)デザイナーにとって安全で退屈、そしてしばしば醜い(185ページ)と書いてあったのです。「醜い」とは強いことばです。「ある品物が醜い」という以上、そこにはそれなりの判断基準があるのだと思います。どのような規準で判断されたのでしょうか。これを「デザイナーとしての審美性」(191ページ)だとおっしゃっても、その審美性には、さらに、何が美しいのか、何が醜いのかという客観的な規準があるはずです。ところが、この本の中に、明確な規準は書かれていませんでした。これは、いちばん不思議な点でした。

 

 ユニバーサル・デザインは形式的で、みんなに使いやすいものは、本当には実現しない(68ページ)のだと、カセムさんは主張されています。まさにそうだと思いました。だから多様な人それぞれの要求をデザインに生かすことが大切だと主張されているのです。これも、そのとおりだと思いました。

 

 しかし、「醜い」という判断は強烈です。おそらく、それは、多民族から成り立つコミュニティでは――カセムさんはイギリス人だということですが、ヨーロッパは自分たちとは生活習慣の違う異民族が隣り合って生活しています。第一、グレートブリテン・北アイルランド連合王国(=イギリス)自体が、もともと独立した制度や習慣、そして伝承を持った、いくつもの民族で成り立ったものなのです――曖昧(あいまい)なことは嫌われます。ヨーロッパでは、定義の明確な法という文章で定めることが重要なのです。その法定主義的な文化や習慣が、芸術家という、もっとも自由な精神をもっているはずのカセムさんには、耐えられなかったのかもしれません。

 

 次に続きます。

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(1) 『「インクルーシブデザイン」という発想:排除しないプロセスのデザイン』 ジュリア・カセム著、平井康之 監修/ホートン・秋穂 訳、フィルムアート社 (Inclusion through Design by Julia Cassim)

http://filmart.co.jp/books/design/「インクルーシブデザイン」という発想/

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(2) 「インクルーシブデザイン」や「ユニバーサルデザイン」という書き方には、表記の〈わかりやすさ/わかりにくさ〉という点で大きな問題があります。最近の日本語では、外国語を表記する時に、「ユニバーサル デザイン」のような分かち書きも、「ユニバーサル・デザイン」のような中黒も使わなくなりました。なぜでしょうか? それなりの理由はあるのでしょうが、わたしは、よく知りません。おかげで、失語症などの高次脳機能障害者やコミュニケーション障がい者が、〈読めない・理解できない〉ということが、よく起こります。しっかりとした認識能力を持っていたとしてもです。おそらく、ひらがなやカタカナのような表音文字でも、「分かち書きをしない」とか「中黒を入れない」というのが、「いま風の日本語」なのでしょう。しかし、当事者の戸惑いを知った上で、当事者の存在を無視してまで流行を優先するという態度に、わたしは書き手の傲慢(ごうまん)さを感じます。意識しないで書いているのなら、そこにはまた別の傲慢さが潜んでいるのでしょう。ドイツ語は単語をやたらと続けて書くことがありますが、英語やフランス語では単語ごとに区切るのが当たり前です。先日、本当にひどいと思った例がありました。ある本の表紙に「ユニバーサルデザインハンドブック」と大まじめに書いてあったのです。悪ふざけで書いたのではありません。これなど高次脳機能障害者やコミュニケーション障がい者でなくても、一回読んで(眺めて?)わかる人は、圧倒的に少ないのではないでしょうか。

 

(3) みんなの美術館プロジェクト

http://www.museumforall.org/

 

(4) 『みんなの美術館デザインノート』(みんなの美術館プロジェクト Museum for All Project Museum x Inclusive x Design Committee)

http://www.museumforall.org/102work.html

http://www.museumforall.org/pdf/DESIGN_NOTE.pdf

 

(5) 「聞いてみて、初めてわかることがある-1」

http://www.hitohaku.jp/blog/2014/06/post_1883/

「聞いてみて、初めてわかることがある-2」

http://www.hitohaku.jp/blog/2014/06/post_1884/

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館
台風の接近も心配されていたのですが、10月4日5日の二日間、神戸ハーバーランド近くの会場にて「ひょうごミュージアム2014」が開催されました。ひとはくも二日間ワークショップ出店で参加してきました。

 オープニングステージでは、こべっこ少年少女合唱団による合唱曲のご披露がありフェアの開会を盛り上げてくださいました。また県内のゆるキャラたちも何人か集合して、会場のあちらこちらで写真撮影に応じてくれました。
         

 今回ひとはくから提供させていただいたワークショップは......石膏でつくったアンモナイトのレプリカ(真っ白)に、絵の具で自由に色を塗ってもらう、というものでした。ホンモノのアンモナイトの標本も展示していましたが、子どもたちの発想力にはほんとに驚かされます。石頭の大人の私には真似できない自由な発想で、カラフルに色を塗ってくれました。

     

        



 会場は両日とも大変な盛況でした。

 参加いただいたみなさま、ありがとうございました!!


生涯学習課

恐竜に変身だ!!

2014年10月 5日
4階ひとはくサロンに、とつぜん・・・
トリケラトプスティラノサウルスがあらわれました。

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じりじり近づいてきて...

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  「ガオォォーーーッ!!」

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きゃー!大迫力ですね。
こちらは、トリケラトプスとティラノサウルスに変身できる
なりきりハットです。

博物館に遊びにきてくれたおともだちに、なりきってもらいました(*^_^*)

恐竜に変身したいおともだちは、
博物館の4階ひとはくサロンのカウンターに、なりきり恐竜ハットがあります。
トリケラトプスとティラノサウルスに なりきっちゃいましょう♪

イベントもたくさんご用意しておりますので、ぜひ遊びに来てくださいね。
                             (フロアスタッフ まつだ)

秋は遠足のシーズン、ひとはくにもたくさんの小学校が来てくださり、
館内もとても賑やかです。

さて、先日ブログにも掲載した10/4、5のイベント
フロアスタッフとあそぼう「六角パズル」ですが
カウンターに置いていたところ、みんな興味津津!
とても楽しそうに遊んでいました^^

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ちなみに参加費は無料!

みなさんもぜひ今週末、ご参加ください!
お待ちしております。

フロアスタッフ きただにさやの

秋も深まり、木の葉も色づいてきましたね。
今から紅葉が楽しみです^^!

さて、9/27、28日にフロアスタッフとあそぼう
「ちょうちょのクイリング」を行いました!
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 細い色紙をくるくる巻いて、オリジナルのちょうちょ作りです。
どんなちょうちょが出来上がるのか楽しみ!


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まずは「蝶」と「蛾」の違いについての説明です。
その後ひとりひとりに配られたカードを蝶と蛾に分けてもらいました。

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難しい問題でしたが、みなさんほぼ正解でした!
すごい^^!

 
違いについて分かったところで早速作業開始!
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小さいお友達は、お父さんお母さんと一緒に。くるくるくる、みなさん真剣です。

 

 

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コスモスの花にとまらせて完成!
大きさも色々なオリジナルのちょうちょがたくさん!

たくさんのご参加、ありがとうございました!

次回のフロアスタッフとあそぼうは、10/4(土)、5(日)に行います!
内容は牛乳パックを組み立てて作る「六角パズル」です。
みなさんのご参加、お待ちしております!


フロアスタッフ きただにさやの

 

 

秋の夜長.....こんな過ごし方はいかがですか?

「皆既月食を観察しよう2014」
 http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20141008-lunareclipse/

ボルネオジャングル体験スクールから帰国して1カ月が過ぎました。兵庫県立人と自然の博物館で「ボルネオジャングル体験スクール事後学習会」が開催され、参加メンバーが久しぶりに顔を合せました。
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開会のあいさつの後、画像を投影し仲間と過ごしたジャングル生活を感慨深く振り返りました。
各自それぞれ懐かしい思い出がよみがえってきたと思います。その後、参加者それぞれ感想を述べてもらいました。

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高橋校長から最後のあいさつ、そして解団宣言がありました。解団宣言の後、参加メンバー、保護者も加え最後の集合写真の撮影がありました。
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感想文やアンケートの提出もありました。これから冊子編集に取り組んでいきたいと思います。製本されるのを楽しみにしていてください。
年度末にはボルネオジャングル体験スクール卒業生の集い(OB・OG会)が予定されています。君たちを含めた卒業生たちと会えることを楽しみにしています。また、今回の第15回ボルネオジャングル体験スクールに参加した君たちの今後の活躍を期待しています。

                                        情報管理課 阪上勝彦


 自宅庭の山の芋のツルに居着いた芋虫くん。
 先日まではプクプクの青虫だったのですが、気がつけば茶褐色系に変身!!
 キイロスズメガの幼虫だと教えていただきましたが、他にもまだ数匹居候していますので観察を楽しみにします(^^)

   4,5日前はこんなんでした^^;

今年もひとはくにおいて、三田市立中学校理科自由研究作品展を開催いたしております。
 市内各中学校から数点ずつ作品が寄せられ、約40点の作品が展示されています。

 今年は、風力発電に関する大きな実物展示等もあり、見応えもあります。

 是非、中学生の研究をご覧にお越しください。入館料は別途必要ですが、9月30日まではクールスポット期間ですので通常の半額でご入館いただけます。中学生以下は無料です。

期間 平成26年9月19日(木)~9月25日(木)15:00過ぎ頃
場所 4階 ひとはくサロン

          


生涯学習課
すずかけ台小学校の2年生のみなさんが電車に乗って社会見学に来られました。

その中でこんな場面に遭いました。
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押し合い。
へし合い。


さあ!何をしているでしょうか?


正解は                  
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みんなで大きなアンモナイト化石を
持ち上げようと頑張っているところでした。

先生も一緒に参加されてましたよ。
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ひとはくには、このように
触れる標本もたくさんあります。



みなさんも是非お越しください♪

フロアスタッフ せら ゆうこ

 お彼岸が近づいてきました。
 この時期になると田んぼの畦のあちこちに真っ赤に燃えるような彼岸花(曼珠沙華)が目につくようになります。子どもの頃には、「家の中に持って帰ると火事になる。」などと家族にいわれ、何だかこわぁ~いイメージがありましたが^^;

          

 不思議です。自然の営みって。この時期になると必ず花を咲かせます。


 不思議といえば、色!!

 彼岸花は赤色ばかりかと思ってましたが、下の写真でおわかりでしょうか?「白色」「黄色」の彼岸花も!! そして、「ピンク」にも見える色のついた花もありました。みなさんの身の回りの彼岸花は何色でしたか?


           

    (※これらの写真は、多可郡多可町中区内で撮影しました)

生涯学習課blogger

秋の気配も近付き、朝晩は寒くなってきましたね。
気温の差が大きいので、みなさん体調には十分お気をつけください。

さて、13日に「フロアスタッフとあそぼう 画はくの日」を行いました!
9月のテーマは2階展示室の収蔵コレクション展「ゾルンホーフェンの化石」です。

まず最初にクイズ!
難しいクイズでしたが、全問正解の方もいました!
予想外の答えに、みなさんからは驚きの声も。
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化石についてわかったところで、早速お絵描き開始!
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一番人気はカスザメでした。

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じっくり見て、描いて、色をぬって丁寧に仕上げ。

今回も画はくさんたちがたくさん素敵な絵を描いてくれました!
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15日(月・祝)も画はくの日を行います。
ひとはくに来られた方はぜひご参加ください!
お待ちしております(*^^*)

フロアスタッフ きただに さやの

 



 これまで、「丹波竜」という愛称で呼ばれた丹波市から発掘された竜脚類が新属新種Tambatitanis amicitiae (タンバティタニス・アミキティアエ)と命名・記載されました。


 これを記念して、タンバティタニスの化石のうち普段収蔵庫に保管されているものを展示しております。
 また、新属新種名の由来、タンバティタニスの特徴やその系統的な位置づけをパネルで説明します。


展示概要
 ◆ 期 間 : 2014年10月19日(日)まで
 ◆ 場 所 : ひとはく3階 丹波の恐竜化石展示コーナー
 ◆ 展示物 : ホロタイプ標本など約20点


 関連する情報はこちらをご参照ください
  ↓
  丹波市より発掘された竜脚類化石(通称"丹波竜")の記載論文の出版について



 ※9月30日(火)まではクールスポット指定施設として観覧料が通常の半額になっております。
  まだお越しになっていない方は、是非この機会をお見逃しなく!!



生涯学習課

風土・文化が異なる兵庫県とASEAN諸国の間で、双方の学校管理職が授業等に参加するなどの実地体験を通じて学び、今後の教育実践に役立てるため、平成18年度から高校生の相互交流の蓄積があるタイ王国との教育交流を行うとともに、友好親善を推進しています。

 その一環として、このたび、タイ王国の教育省職員及び学校の校長・教頭がひとはくを訪問されました。
      

 高野主任研究員による展示解説を交えながら館内を見学されたました。キノコの展示コーナーでは「美味しいですか?」など日本語での質問も出てきました。ひとはく恐竜ラボでクリーニングの様子もご見学されました。
    
 熱心に質問される場面やタイの国との違いなどについても盛り上がる場面が幾度もありました。


 ひとはくでは、タイ王国との教育関係者交流事業にも協力しています。8日に来日され15日まで滞在されます。

生涯学習課

スーパームーン

2014年9月 9日

 ということで、今日はスーパームーン!!
 地球に近づいてて、とても大きく見えます( ゚Д゚)

 月の出の頃には、もっと大きくてオレンジ色の満月でしたが、中空まで昇り光り輝く満月を撮影しました。
 次のお楽しみは、10月8日の皆既月食(^^♪ 晴れるといいですね....


ひとはくの周りの深田公園では、
今日はツクツクボウシとミンミンゼミが元気に大合唱していました。

夏休みが終わって、幼稚園、学校が始まりましたね。
キッズの皆さん、元気にしていますか?

秋の訪れを感じさせる、少し高くなった青空のもと開催された
9月のKidsサンデーでのキッズの皆さんの様子をお伝えします!

<自然ってすごい~バッタ☆ラボ~>
昆虫はかせのお話を聞いて、本物のバッタがどれだけ はねるか実験しました。
「バッタとキリギリスは どこがちがうか、わかるかな?」
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<ダンゴムシをさわろう>
いろんなダンゴムシのなかまや小さな生きものにさわりました。
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<ふしぎなバランスとんぼづくり>
真剣に制作中&にこにこ笑顔で応援中!「がんばって~」
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<パネルシアター>
NPO法人人と自然の会の皆さんが楽しいお話をしてくれました。
「ふしぎ!お月さまが光ってる!」
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<自然ってすごい~ぴょんぴょん☆プレイルーム~>
本物のバッタやカエルを見たり、はねる生きものの工作をして遊びました。
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この他にも館内のあちらこちらで開催されたプログラムに参加して、
ひとはくを楽しんでいるキッズの皆さんを見かけましたよ。
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次回のKidsサンデーは10月5日(日)です。

だんだんと外で過ごしやすい季節になってきました。
お天気なら、お昼ごはんは 深田公園でピクニックもいいかもしれませんね!


          (たかせゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)

中秋の名月を愛でる

2014年9月 8日

今日は"中秋の名月"ということで....

 でも、実は満月ではないそうです。
 「9月8日の月齢は13.5」  「9月9日の月齢は14.5」ということで、明日火曜日が満月だそうです!!


 しかし、美しからいいでしょう(^^♪ 今日の名月も明日の満月もお楽しみください。

おかえり!!

2014年8月28日


ボルネオジャングル体験スクール8日目 

8月28日(木)雨 およそ15分遅れてマレーシア航空52便が関空に到着しました。
 やや疲れた表情も見えますが、全員元気で無事に帰国できました!!
  少し遅れてます   ゲートが開きました!!


 すぐさま到着ロビーの片隅で解団式が行われ、スクール代表高橋校長、スクール生代表多田さんのあいさつがありました。
 お出迎えのご家族の方々 高橋校長のあいさつ スクール生代表 多田さんのあいさつ

 また道中ずっと健康管理をしていただいた山下看護師からも、帰国後の注意などを聞き、橋本先生からもスクールの意義など、7泊8日間を今後にどう生かすかなどのまとめの話を聞かせていただきました。
山下看護師のおはなし 橋本先生のお話 


   橋尾先生からの宿題
 最後に事後学習会のアナウンスと宿題を橋尾先生から聞いて、それぞれ家族の方々とともに帰宅の途につかれました。


 また、スクールの様子などは逐次報告してまいります。
 
 ※facebookにも関連ページがあります
       https://www.facebook.com/BorneoJungleSchool

ボルネオジャングルスクール7日目。
午前はマレーシア国立サバ大学に向かいました。サバ大学では第15回ボルネオジャングルスクールの修了式が行われ、参加者全員にそれぞれ修了書が手渡されました。
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昼食前、5日間一緒に過ごしたラハダトゥ・サイエンススクールの生徒との別れ際には、お互いに感動のお別れの場面が見受けられました。
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その後、サバ大学収蔵庫を見学しました。みんな興味津々に昆虫、動物の標本を覗き込んでいました。
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午後、市内でショッピングを楽しみお土産いっぱい手にしました。
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コタキナバル空港からクアラルンプール空港へ移動し、ここでお世話になった安間先生、東京から参加の大友君は成田行きに搭乗のため、お別れです。それぞれあいさつをいただきました。
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本隊は23:45発MH052便で関西空港に向けて離陸予定です。
翌8月28日7:05に関西空港に到着予定です。
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ブログを楽しみに見て下さった方、途中通信状態が悪くご不便をおかけしました。
またお世話になった方々、関係者の皆様、全員、病気や怪我もなく無事帰国の途へ着くことができそうです。
貴重な経験をありがとうございました。これでジャングル体験報告を終了します。ありがとうございました。

情報管理課 阪上勝彦 

ボルネオジャングルスクール6日目。
早朝トレッキングの後、お世話になったガイドさんにお礼の挨拶し、レインフォレストロッジを出発しました。
ジャングルからタワウ空港へ向かい、空路コタキナバルへ移動。予定通り宿泊のホテルに着きました。
夕食時には、参加者それぞれ旅の思い出を語り、和やかな雰囲気で食事を楽しみました。
明日は国立サバ大学で第15回ボルネオジャングルスクールの修了式が予定されています。旅もいよいよ最終章に入ってきました。
病気、怪我もなく全員元気に過ごしています。

 
 

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お世話になったレインフォレストのガイドさんたちにお礼の言葉とプレゼントの贈呈

7887_1DSC_7887.JPGお世話になったガイドさんとともに記念撮影

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林道を出てワゴン車からバスに乗り換え、4日間過ごしたジャングルともお別れです。

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サイエンススクールの生徒とともに最後の夕食

 

情報管理課 阪上勝彦 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして56

人の多様性をマネジメントする?

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

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「私の眼前に一頭のインパラが現れた。黄金の草地に足を着き、透き通る大気に首を立て、たった一頭でたたずんでいた。インパラは草を食むこともなく、歩きまわることもなく、緊張している様子でもなく、だからと言って気を抜いてくつろいでいるふうでもなかった。誰かに追われることもなく、誰かを追いかけることもなく、静かにそこに立っていた。インパラの濡れた美しい目は、周囲のすべてを吸収し、同時に遠い世界を見据え、遥か彼方を見渡していた。」(中村安希『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』集英社文庫)

 

 アメリカ合衆国の大手優良企業の間では、1990年頃から「ダイバーシティ・マネジメント」(=人の多様性マネジメント:さまざまな人が力を合わせて企業のために努力すること)講習が大流行だという噂を聞きました。わたしは「ダイバーシティ・マネジメント」という言葉を知らなかったのですが、調べてみると、個別の多様な意識を持った人から成るアメリカでは、従業員を雇う時には、従業員の意識を大切にしなければ企業としての連帯感は芽ばえない。例えて言えば、中国出身の漢族のお母さんとスペイン出身のラテン系のお父さんがいる女性がいたとして、その女性を雇いたいなら、それぞれの民族性とその女性が混血であるという事実を大切にした職場環境を作らなければならないという事です (1)

 

 今は「ダイバーシティ」、つまり「人の多様性」を問題にするのですから、性別やジェンダー、青年とか高齢者とかといった心の発達段階、さまざまな障がい、それに(生物学的には実在しないが)社会的な「人種」、つまりアフリカ系かアジア系かといった特徴も大きな問題になります。このようなもろもろの差異をていねいにフォローしていかなければ企業としての生産性は上がらない。第一、評判が悪くなる。反対に、社員が持つ多様性を有効に生かせれば、ものを買う消費者の本心まで引き出せる。これは「高齢の女性は髪の毛がペタンとしてしまうのを気にしている」とか、「若い男性は仕事が忙しくて海に行けず、そのせいで肌が焼けないのを気にしている」といった類のことです。こういったことは、当人でなければ、なかなか気が付きません。しかし従業員にとって他人事でないのなら、企業も従業員を通してそれに気づき、商品開発に生かせる。こうすれば多様性は生かせる。そういう理屈です。

 

 そう言えば、アメリカの子ども向け番組「セサミ・ストリート」は、子どもが、「社会にはいろいろな人がいる」と素直に認識できるように作られていると聞いたことがあります。確かにエルモやクッキー・モンスターは、わたしの知るあの人やこの人を思い出させます。おまけにビッグ・バードというキャラクターにいたっては、人でなく鳥だということです。

 

 ただし「ダイバーシティ・マネジメント」は、現実のアメリカにあるビジネス潮流です。ユニバーサル・ミュージアムのような(日本では、まだまだ?)「夢物語」や「絵空事」ではありません。企業に「ダイバーシティ・マネジメント」を教えるコンサルタントには、一日当たり平均 2,000 ドル、日本円では20万円以上ものお金が支払われるそうです。有名なコンサルタントだともっと高いそうですし、中には長期契約で数百万ドル(数億円!)ものお金を支払わないと引き受けないというコンサルタントまでいるそうです (2)

 

☆   ☆

 

 それにしても、アメリカの「ダイバーシティ・マネジメント」、つまり「人の多様性」のマネジメントですが、先ほども書いたように、わたしはその存在を知りませんでした。自然科学や博物館運営の話ではなく、基本的にビジネスの世界の出来事です。「ダイバーシティ・マネジメント」には限りませんが、世事に疎いわたしには、知らないことは多いのです。それでも「人の多様性」なのですから、このコラムを連載する者としては、うわさぐらいは聞いていてもよさそうです。それが聞いたこともなかったのです。

 

 欧米発の情報なら、「グローバル経済」や「市場主義」、あるいは「競争社会」でさえ、日本社会は喜んで取り入れてきました。ところが「ダイバーシティ・マネジメント」がわたしの耳に届くことはありませんでした。不思議な思いです。これはいったい、どうしたことでしょう?

 

 「競争社会」や「市場主義」は、そう呼ばなかっただけで、最初から日本社会には根付いていたものだと思います。例えば「丁稚(でっち)」という制度は少年たちを下層労働で競わせましたし、商人の商いは「ものを売る」ことが基本です。このような習慣は自然に企業に引き継がれ、現代風に名前を変えたのです。「グローバル経済」は少し説明が必要ですが、要は商家の需給バランスが崩れ、規模が大きくなって、国境を越えなければ身の置き所がなくなっただけ。そんな気がします。少なくとも企業倫理や経営志向(嗜好?)は何も変わっていない。もとのままで日本の企業は国際企業になった。違うでしょうか?

 

 それならば「ダイバーシティ・マネジメント」は、なぜ取り入れられなかったのでしょう? 「『日本人』は同質性の高い民族グループだからだ」という意見が、今、確かに聞こえました。確かに同質性は高いのです。なぜなら、今では習い性のようになった水稲耕作(すいとう・こうさく)の労働習慣では、陸稲(おかぼ)や雑穀(ざっこく)の栽培よりはるかに、人びとが力を合わせた労働力が求められるからです。収穫量の多い水稲を基本にする限り、日本に住む人びとは、例え民族グループが異なっても、同じ顔をして労働しなければならない。それができなければ村八分になるか、アジール (3) にでも行くしかありません。

 

 「ダイバーシティ・マネジメント」は「日本人の舌には合わなかった」。だから最初からなかった事にしてしまった。それが真相ではないのでしょうか。

 

 これは、言ってみれば「しろうと談義」です。しかし、まったく根拠のないものでもありません。昔から親しくしているある学校友だちと気楽な話をしていて――わたしの友人の中では数少ない企業人です――彼の言ったことを思い出し、なぜなのだろうと考えた結果です。

 

☆   ☆

 

 中村安希さんはバックパックで世界を回るノンフィクション作家です。アメリカのカリフォルニア大学アーバイン校で舞台芸術学を修められ、日本に帰って「母国の社会へ適応するため、できる努力はしていた」時に、イラクに行った日本人青年が人質になり、命を落とすという事件が起こりました。次の文章は、中村さんがお書きになった『インパラの朝』 (4) という本に載っていたものです。ヨルダンの安宿で聞いた爆撃音の振動を描いた「ヨルダン [夜空に散る火花]」という章にありました。

 

 「私はテレビの前に座って、遠いどこかの国で人が死ぬのをじっと見ていた。そして私はいつの間にか、迷惑を被った人になった――血税を納める納税者として、日本国民の一員として。随分とのん気な迷惑だった。

 多角度的な論争や事情の細かい検証は、日増しに敬遠されていったし、代わって論調の統一と事態の安易なフレーズ化が、好意的に受け入れられた。事件の神髄や世界の裏面の抜本的な再考なんて、聞いただけでも面倒だった。政府もメディアも国民も、事件に早く決着をつけ、さっさと忘れてしまいたかった。青年はイラクで見捨てられた。イラクで人がたくさん死んだ。誰かが大声でこう言った。

 『反日分子』

 分子? 私は化学が苦手だった。」

 

 中村さんは日本での一見平穏な仕事に苛立ちを深め、「経済的な優位性と人的犠牲が組みになり、人命の尊重と経済面の不利益が別の組みになっていて、世界に可能な選択はその二組に一つのはずだったが、現実は四つを混同させて、建て前と本音に再分割した」のだと考えたそうです。そしてこの章を、次のように締めくくられます。

 

 「不運にも事件に巻き込まれたら......。恐ろしいことが待っているだろう。恐ろしいのは人質になることや犯人からの暴行ではなく、日本の世間の冷笑や、残してきた日本の家族への激しい批判と非難だった。両親は国家に頭を下げて世間に許しを乞うてでも、娘の命を救うために命乞いをするだろうし、それを止める権利はない――国家に個人を救えるだけの力があるかは別として。

 けれど、と、私は考えている。それが子から親に対する残酷な要求と知りながら、それでも無理を望むなら、運の尽きた娘について胸を張って語ってほしい。誰かに聞かせる必要はない。ただ呟(つぶや)くだけで構わない。

 『とても幸せな娘でした。少なくとも自宅のテレビの前でポテトチップスを食べながらぼんやりと座っていたのではなく、現実と彼女の間の距離をたとえわずかであったとしても縮めようとする試みの中で志半ばで敗れたのだから。あの子は日本が好きでした。だから日本を離れました。そして、世界が好きでした』と。」

 

 もちろん微妙に違いますが、世界や日本に対しては、わたしも似た感情を抱いています。

---------------------------------------------

(1) 谷口真美さんという早稲田大学の先生がお書きになった論考が役に立ちました。

谷口真美 (2008)  組織におけるダイバシティ・マネジメント.  日本労働研究雑誌 574/ May: 69-84.

http://eforum.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2008/05/pdf/069-084.pdf

 

(2) ダイバーシティ・マネジメントのコンサルタント料については、

有村貞則 (2000)  ダイバーシティ・トレーニングの失敗とその原因. 山口経済学雑誌 47: 69-118

file:///C:/Users/mitani/Downloads/C050048000403%20(2).pdf

の73ページに載っていました。

 

(3) 歴史家の網野善彦さんのお書きになった『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』によれば、アジールとは地域コミュニティーを逸脱した人が、どうどうと暮らせる場所であったそうです。犯罪者や離婚をしたい女性などもいましたが、盲人やハンセン病者もアジールに逃げ込んだということです。そういえば、宮崎 駿さんの映画「もののけ姫」の中で、砂鉄から鉄を採るタタラ場には、顔を包帯で包んだハンセン病者や多くの女性がいたことを思い出します。

 

『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』(網野善彦、平凡社ライブラリー150)

 

(4) 中村安希『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』(集英社文庫)。「ヨルダン [夜空に散る火花]」は、この本の115ページから119ページにありました。
http://www.shueisha.co.jp/shuppan4syo/21nen/outline01.html

 

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

むしむしたいけん2014に来場下さった保護者のみなさまには、子どもたちが楽しんでいる間に、無作為にコメントをお願いし、会期中130ほどのコメントをいただきました。お礼申し上げますとともに、いくつか紹介させていただきます。
子どもたちの表情もあわせてごらんください。

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昨年に引き続き来てくださった方、会期中何度も足を運んでくださった方、ありがとうございました。
3年連続の方もいらっしゃいました。大きくなった子どもたちに再開できたのも、うれしかったです。

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こちらは、はじめて来てくださった方々。今年の夏は台風をはじめ、雨が多く、そのおかげ?で、ひとはくに足を運んでくださった方々も多かったと思います。これを機会に、またご来館くださいね。

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子どもたちの笑顔は、まわりを明るくすると、思います。

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体の小さな子どもたちにとって、昆虫の存在感は、大人が感じるよりもはるかに大きなものだと思います。
しかも、それが、動いている。ふしぎであるとともに、こわさもあります。
そんな昆虫に触れてみることは、子どもたちにとって、大きなチャレンジだったでしょう。

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「虫が苦手」という保護者の方も、少なからずおられます。ここなら安心ですね。
身近な虫も、目の前に見る機会は、なかなかないものです。

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実物を間近に見ると、図鑑やウェブの写真では気づかない発見がいろいろあるものです。
ヘラクレスオオカブトの背中やツノに毛が生えていることを発見した子どもたちは、たくさんいたでしょう。
生きた虫がちょっと苦手な子どもたちも、標本をじっくり見ることで、虫の色や形のふしぎを感じてくれたのではないかと思います。

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大っきなむしかご(蚊帳)の中では、スタッフのお兄さんお姉さんが、虫の持ち方を指南しておりました。
正しい持ち方をすると、かまれることもなく、虫も弱りません。裏を返せば、正しく扱わないと、虫はすぐに傷つき、弱ってしまいます。
「虫が弱ってかわいそう・・・」とのご意見もいただきました。たくさんの虫をたくさんの子どもたちにさわってもらいたい。しかも、できるだけ虫を弱らせずに。スタッフ一同努力はしていますが、なかなか難しいところです。

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虫を介して子どもたちとやりとりしていた高校生、大学生ボランティアの多くは、中学生対象のセミナー「ユース昆虫研究室」の出身者で、虫の扱いに習熟しています。高校生になると、スタッフとして活躍してもらっています。
博物館の研究員よりも、お兄さんお姉さんに対しての方が、子どもたちはもちろん、保護者の方も、いろんな質問がしやすいですね。彼ら彼女ら自身も、子どもたちや保護者の方と会話する中で、さまざまなことを学ばせていただいています。
なお、比較のために導入している一部の外国産を除けば、使った虫はすべて、スタッフが自力で採集したものです。蚊帳の中の虫のほとんどは、博物館のまわりの深田公園産です。「ユース昆虫研究室」や「昆虫サマースクール」の際にも、確保しています。里帰りにあわせて1日、2日だけ応援に来てくれたスタッフもいましたので、そのあたりの経緯をうまく説明できない者がいたかもしれませんね。今後の課題とさせていただきます。

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ご要望ありがとうございます。
さらに多くの種類・・・難しいところです。
 小さな子どもたちにさわってもらうためには、ある程度の大きさがあり、動きがゆったりしていて、丈夫であることが、要件になります。そのような昆虫を、多くの種類、期間に合わせて確保し、よいコンディションで維持することは、そう簡単ではありません(気づいた方がいらっしゃるかもしれませんが、虫たちも、連日勤務だと過労死しますので、交替制となっています!)。来年のスタッフにご期待ください。
会場が狭い/人が多すぎる・・・これも悩ましいところです。
 会期中、何度か入場制限させていただくことがありました。これは事前申込制にすれば解決するのですが、そうなると、ぶらっと来て気軽にたいけんできるというプログラムのよさが変質します。検討事項とさせてください。
IMG_9337.jpg ← 入場制限のとき

ともあれ、たくさんのご来場、ありがとうございました。
虫たちにも、感謝!
来年どのような形で開催できるかわかりませんが、機会がありましたら、またお会いしましょう!

(八木 剛 記)

ボルネオ・ジャングルスクールも5日目を終えました。全員無事元気に過ごしています。
昨夜、現地で活動中の第6回ジャングルスクール卒業生、中林雅さん(京都大学野生動物研究センター博士課程3回生)が合流してくれました。レインフォレスト滞在中、自然観察のガイドをしていただきました。英語、マレー語の指導もしていただきました。

早朝より自然観察に出発!高さ40mのキャノピーウォークから森林の樹冠の上から眺める風景は絶景でした。
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朝食後、再びトレッキングに出発しました。ここでも山頂から見る世界でも数少ない原生林の姿は絶景でした。
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下山後はサイエンススクールの生徒と一緒に自然のジャグジープール(滝つぼ)で楽しみました。
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午後、高橋校長の講話の後、ジャングル体験の中で一番印象に残った出来事を1枚の画用紙にまとめ発表しました。
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夜には、昨日に引き続きナイトドライブ、ナイトウォーキングの班に分かれて夜のジャングルを満喫しました。
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明日はレインフォレストロッジからコタキナバルに移動します。


情報管理課 阪上勝彦

ボルネオ・ジャングルスクール4日目。
フィールドセンターでのプログラムを終え、午後から次の宿泊地のレインフォレストロッジに向け出発しました。
ジャングルスクールの生徒26名、サイエンス・スクールの生徒8名全員元気に過ごしています。
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レインフォレストロッジ到着後、早速、自然観察トレッキングに出発。フィールドセンターとは違う自然林の雰囲気を感じることができました。途中レッドリーフモンキーやオナガザルにも遭遇!!
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夕食後はナイトドライブに出発し、メガネザル、サイチョウ、ジャワジャコウネコなどを見ることができました。
中でもメガネザルを見ることができたのは珍しいとのことです。
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明日のトレッキングではオランウータンに会えることを全員が期待しています。
明日は早朝6:00よりキャノピーウォークに向けて出発します。

情報管理課 阪上勝彦
夏休みもラストに近づいていますが、みなさん宿題は終わりましたか?

博物館では自由研究の仕上げに、植物や生き物の調べものに来館される方が
たくさんいらっしゃいます。
ひとはくの図書コーナーはそんなに大きくはありませんが、専門書がたくさんあります。
調べ物がある方は、是非ひとはくへお越しください。

ところで、8月の一ヶ月間ひとはくで博物館について学ばれている兵庫県立大学大学院生をご紹介します。
桐間さんです。
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ときどきフロアスタッフ業務も体験されています。
子どもたちにも大人気です。


(忙しいお盆の時期もレプリカづくり)




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(川でさかなつり)            (デジタル紙芝居)

いろいろなスタッフ業務をこなされています。

次回は8/31に「フロアスタッフとあそぼう~紙コップでつくるこんちゅう万華鏡」を担当されます♪
このイベントは、桐間さんが図案を考案されていますよ。
みなさん、是非ご参加ください。

フロアスタッフ せら ゆうこ


ジャングルスクール3日目。
霧のかかる早朝より、トレッキングに出発しました。
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早朝トレッキングの後は、森の動物や研究員を囲んでの朝食です。
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朝食後、いよいよジャングルの中に入り動物や昆虫、植物を観察しながら歩きました。
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午後、は水生昆虫の観察です。近くを流れる川に入り水生昆虫を採集しました。 その後は、川で見た水生昆虫についてまとめ1~4班それぞれ発表しました。 高校2年生から小学6年生、サイエンススクールの生徒が協力しながら発表しました。
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「ナイトウォーク」では夜のジャングルを体験しました。途中、電灯を消して静かにしていると昼以上に虫の声が響き渡り驚かされました。
空を見上げると、日本では見ることができないと思われるほど星空が明るく感動的でした。 

情報管理課 阪上勝彦

ジャングルスクール2日目。
宿泊先のホテルを出発し、ラハダトゥ・サイエンススクールに向かいました。 サイエンススクールではさまざまな歓迎セレモニーで盛大に私たちを迎えてくれました。私たちも日本の紹介を兼ねて文化や自然についてプレゼンテーションをしました。 クイズを交えて、みんなと一緒に盛り上がることができました。 その後の交流会では、現地の伝統的な遊びを教えてもらい一緒に楽しむことができました。
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サイエンススクールから8名の生徒が私たちと一緒にジャングルに向けて出発しました。 これからいよいよジャングルの中に向かいます。
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夕暮れ時、ようやく宿舎となるダナンバレー・フィールドセンターに到着しました。
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明日から本格的にジャングルでの活動が始まります。今回のジャングル体験も様々なプログラムが用意されています。どんなことが起こるかお楽しみに!

 情報管理課 阪上勝彦

12:05 関西空港を出発、成田経由し、ボルネオのコタキナバルへ現地時間20:40に無事到着しました。
その後、すぐサンダカンへ向けて再び離陸し、予定通り22:30に到着。
全員元気です。各班の仲間同士の会話も弾んできた様子です。

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     関西空港での出発式               搭乗ゲートへ

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     成田空港に到着

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 成田発マレーシア航空081便でコタキナバルへ

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 コタキナバルからサンダカン空港へ到着

宿泊するサバホテルに23:00(日本時間0:00)全員無事到着しました。移動の疲れを取るためにすぐに就寝しました。
明日は、ラハダトゥ・サイエンススクールに向かい交流会の後、サイエンススクールの生徒8名とともにダナンバレーのフールド・センターに向かいます。
フィールドセンターでは通信状態が良くないことが予想されます。ブログ更新は後日楽しみにお待ちください。

情報管理課 阪上勝彦

 

BorneoJungle School2014!!

2014年8月21日
★☆★ボルネオジャングル体験スクール★☆★始まりました!!

 待ちに待ったボルネオジャングル体験スクールは8月21日(木)から始まりました。朝10時関西国際空港集合少し早めに来るスクール生、前日から泊まり込みで乗り込んでくれたスクール生....関空集合のスクール生は全員定刻までに集合完了!! 
      
 出発式の前にマレーシアリンギッドへの外貨交換とチェックインを済ませました。
 みな時間的余裕をもって集合してくれたので、スムースにできたようです。
      
 そして、いよいよ出発式。スクール代表の高橋校長の話とスクール生を代表して、4班の副班長入交達也くんの力強い宣誓がありました。
 その後健康管理の注意を聞いて、お忙しい中お見送りに来てくださった家族の方々にそれぞれ「行ってきまぁ~す!!」
  



    

 
 12:27 無事に機体は浮き上がりました!!  
 そして、成田では大友君と安間先生が待っていてくれて、合流して後ボルネオジャングル体験スクールの本格スタートとなります。


 今日は大移動の初日なんです。
 【関空~成田】約1時間30分  
 【成田~コタキナバル】約6時間  
 【コタキナバル~サンダカン】約1時間   1日に3回も飛行機を乗り継ぎます。
 最後はバスでホテルへ。到着は日本時間で深夜0:00頃です。くれぐれも体調には気をつけて!!

 明日は、ラハダトゥサイエンススクールで交流会を経て、いよいよダナンバレーの森へ入っていきます。
 明日以降は現地からのレポートを待つことになります(^^)
 Facebookの閲覧が可能であれば、橋本佳明先生(Yoshiaki Hashimoto)のページで情報がUpされているかも知れません。

  ボルネオジャングル体験スクールのFacebookはこちらです
              https://www.facebook.com/BorneoJungleSchool

夏休みもそろそろ終わりに近づいてきました~

学生のみなさん、もう宿題は 済みましたか?

まだの人は もうひと頑張りしましょうね!

さて ひとはくのクールスポットは9月末まで実施中、半額料金(例 大人100円)で
涼しくご利用いただけます。

8月後半(25日(月)~29日(金))のワークショップも 日替わりで もりだくさんです。

 
 
8月うきうきワークショップ・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9556_subkeyFILE1

なんと4階ひとはくサロンには 強化段ボール製の 大きな恐竜も現れましたs-P1020221.jpg!!s-P1020220.jpg


まだまだ残暑厳しいですが 楽しい夏の思い出づくりに ぜひひとはくへ お越しくださいませ。

                                               フロアスタッフ おの まゆみ

8月9日(土)から16日(土)までの「むしむしたいけん」、終了しました。
今年も、会期中2,000人近くのたくさんの子どもたちが楽しんでくれました。小さな生き物に触れた経験が、みんなの小さな自信につながっていけばいいなと思います。
キラキラKidsのスナップ写真をお楽しみください。
来場者の声もあわせてごらんください。)

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最後に。昆虫ファッション、ベストドレッサー賞です。
けっこう、いろんなお洋服があるのですね!
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IMG_9359.jpg IMG_9284.jpg テントウムシです。

(八木 剛 記)
今年も「むしむしたいけん」が始まりました!

博物館4階実習室で、10時30分から16時までです。
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部屋の中は、3つのコーナーに分かれています。

まずは、セミやトンボなど、よく飛ぶ虫に触れる「大っきなむしかご」です。
蚊帳の中に入ると、世界が変わりますよ。
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つぎに、あまり飛ばない、カブトムシやクワガタムシに触れるコーナーです。
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もうひとつは、標本を見ながら、ぬり絵やお絵かきができるコーナーです。
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本日のシーンをいくつか。

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すばらしいファッションです。

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蚊帳の中で。

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とってもいい笑顔です。

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取材に来てくださった記者さんも、この表情。

「むしむしたいけん」は、8月9日(土)から、16日(土)まで、連続8日間。
小学3年生以下は、保護者同伴願います。
参加費は一人100円で、同伴の保護者も必要です。

(八木 剛)

キッズのみなさん、夏休みを楽しんでいますか?

Kidsサンデーが開催された8月3日(日)は たくさんの方がご来館くださって、にぎやかな館内でした。
お足もとが悪いなか 本当にありがとうございました。
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<展示室ツアー「ひょうごの自然じまんツアー」>
   <オープンセミナー「色々なタネを観察しよう!」>

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<フロアスタッフとあそぼう「川でさかなつり」>   <展示室ツアー「ボルネオジャングル探検ツアー」>

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<パネルシアター>                 <サンゴで額縁づくり>
 
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                                                     <自然ってすごい!~チョウのはね~>


Kidsサンデーの一日が、夏休みのステキな思い出になりますように!
9月のKidsサンデー9月7日(日です。

でも!まだまだ夏休みはここからが本番。
夏休みのひとはくは、キッズが楽しめるイベントを 毎日実施しています。
くわしくは・・・コチラ!


そして明日、8月9日(土)から8月16日(土)まで8日間連続
いろんな虫にさわれちゃう
スペシャルワークショップが開催されます!
くわしくは・・・コチラ!!

「むしむし たいけん」の会場(博物館4階実習室)をそ~っとのぞいてみたら、
 研究員が はりきって 準備中でした↓
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  扉の向こうには どんな ステキな 虫たちが みんなを待ってるのかな?

                 (たかせゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)

第15回ボルネオジャングルスクール出発に向けて2回目の事前学習会が行われました。(1回目は7月5日(土)実施済)

午前中、初めに特別講義「ボルネオのジャングルで学ぶ生物多様性」として河合雅雄名誉館長より講話がありました。
DSC_7276.JPGその後も研修講義として、ジャングルスクール校長・高橋主任研究員から「ボルネオジャングルスクールの概要」について、橋本佳明主任研究員から「なせボルネオなのか?」として講義を聞きました。

DSC_7282.JPG午後は、班別活動です。現地のラハダトゥサイエンススクールとの交流会に向けて準備をしました。 1か月振りに参加者全員が顔を揃えるとともに、現地で発表する「日本」の紹介について 各自が準備した内容を持ち寄り、短い時間で仕上げることができました。 今回の参加者は小学校6年生から高校2年生です。 上級生がそれぞれ下級生をしっかりサポートしてくれています。

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1班の課題制作と発表練習       2班の課題制作と発表練習 

 
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3班の課題制作と発表練習
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4班の課題制作と発表練習

次回顔を合わせるのは、出発日の8月21日(木)関西空港です。 みなさん元気な姿で会うことができることを期待しています。

                                    情報管理課 阪上勝彦

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シャワシャワシャワ・・・・
クマゼミの声がよく聞こえる季節になってきましたね~

夏休み期間中、ひとはくは休まず開館!
たのしいイベント盛りだくさんご用意しております♪

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◆フロアスタッフとあそぼう 
(
土・日・祝13:30~)
※当日10:00から4階ひとはくサロンカウンターにて受付を開始します。
 

2(土)・3(日) 川でさかなつり 
 ◎2階展示室  定員15名 無料
9(土)  画はくの日 
 ◎場所・テーマは来てのおたのしみ♪  定員なし 無料
16(土)・17(日) きょうりゅう骨パズル 
 ◎3階丹波の恐竜化石展示室 定員15名 無料
              23(土)・24(日) 簡単!化石のレプリカづくり 
               ◎4階ひとはくサロン 定員20名 参加費100円
                30(土)・31(日) こんちゅう☆万華鏡 
               ◎4階中セミナー室 定員20名 参加費100円

              ※各日程のタイトルをクリックすると詳細ページに飛びます


              
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ひとはく探検隊
8月10日(日) 13:00~ 
ひとはく探検隊「150年前のひょうごの風景をみてみよう!」

 
4階ひとはくサロン集合 定員20名 無料
※当日10:00から4階ひとはくサロンカウンターにて受付を開始します。


ひとはくに収蔵されている普段非公開の江戸時代の絵図や古写真を特別公開!
今月の隊長は上田研究員です。

              ※タイトルをクリックすると詳細ページに飛びます




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◆うきうきワークショップ
11日(月)・12日(火)・13日(水)・14日(木)・15日(金) 
時間:10:30~16:00 (時間内はいつでもご参加いただけます)
「とっても簡単!化石のレプリカづくり」
 4階ひとはくサロン 参加費:100円

そのほかのワークショップ 
時間:①10:30~11:30 ②13:00~15:00
            (時間内はいつでもご参加いただけます)
                                       
※材料がなくなり次第終了します

             25日(月)恐竜★化石うちわづくり
             26日(火)きょうりゅうおりがみ
             27日(水)リサイクル工作「ミニクリップ
             28日(木)とぶタネの模型をつくってあそぼう!
             29日(金)アンモナイトネームカードづくり

             ※各日程のタイトルをクリックすると詳細ページに飛びます
          
             


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「きょうはなにが開催されてるかな?」
博物館のイベント一覧を見るには『うきうきカレンダー』が便利です♪

http://www.hitohaku.jp/infomation/about/ukiuki1408.pdf

あつ~い夏は涼しいひとはくで楽しく過ごしましょう!
夏休みの自由研究のヒントも得られるかもしれませんよ♪


みなさまのお越しをスタッフ一同お待ちしております。


                                                 フロアスタッフ  たにぐち はるな

ユニバーサル・ミュージアムをめざして55

 

どんな声なら聞こえるか

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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 「どんな声なら聞こえるか」。そんなこと、大げさに言うほどのことでもないと言われそうです。でも、「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」で問題にしたいのは、生涯学習施設(つまり、「博物館や美術館、図書館」)の案内放送とか展示解説の放送の声が聞こえるかどうかという意味です。ある館内放送が、例えば、この声は若い女性アナウンサーが吹き込んだものだとか、別の声は初老の男性アナウンサーが吹き込んだということが、聞こえでは問題になるのかもしれない。そのために「どんな声なら聞こえるか」と言っているのです。

 

 そんなの、別にどうだっていいではないか。吹き込んだ人が女性でも男性でも大して変わらない。

 

 だったら、合成音声と呼ばれる声はどうでしょうか。よく、「ロボットのような声」と呼ばれる、抑揚(よくよう)のない機械のような声(音?)のことです。これだったら、わたしが「どんな声なら聞こえるか」と聞いても、不思議には思わないかもしれません。

 

 現実には、今は最初から電気的に作った、全くの人工合成音声は少ないようです。声優さんが吹き込んだ声を元にして、そこから言葉を再構成する技術が進みました。言うなら、半なまの合成音声です。半なまの合成音声なら本物らしく聞こえると言います。人の話し声に特化したボイスロイドとか、歌声に特化したボーカロイドとかいう製品も売られているくらいです。ですから、世の中の人が、合成音声にあまり違和感を感じなくなりました。今でも「ロボットのような声」はありますし、わざと電気的な処理をして自然な人の声をつぶし、「ロボットのような声」にした歌手さえいます。ただ技術はどんどん進んでいます。うっかりしていると、合成音声と肉声が聞き分けられないほど、合成音声の質は上がっているのだそうです。

 

 しかし、ちょっと待って下さい。合成音声の品質がそれほど上がってしまって、少し聞いたぐらいでは見分け(聞き分け?)がつかないのなら、アナウンサーという職業は、この先、なくなってしまうのでしょうか? いくら何でも、そんなことはないと思うのですが。

 

☆   ☆

 

 多分、どれほど技術が進んでも、人の果たす役割が消えることはないのだと思います。「人の果たす役割」というのは、例えば「医師や看護師が病人やけが人をケアしたり、学校の教員が生徒や学生の前に立って物事を教える」といったことです。ロボットでも教えれば、手順に従ってケアをします。授業ができます。現に顕微鏡でなければ見えない手術ではロボット医療が進歩していますし、授業をインターネットでやる予備校がはやっているそうです。それはそれで技術としては立派なのでしょうが、人間がやる<ケア>や、人間が人間の前に立つ<授業>とは、どこか根本的に違う気がします。その「根本的に違う何か」とは、あいまいです。しかし、その「あいまいなもの」こそが、人の果たす役割なのです。人のやるケアを<ケア>とし、人が人の前に立つ授業を<授業>としたのは、そこにプラス・アルファがあるのだと明瞭に示すためです。本当は、そのアルファが大切なこともあるのです。

 

 このことを認めていただいたとして、さらになのですが、それでも合成音声は難聴者に評判が悪いのです。難聴者ばかりではありません。聴覚失認と呼ばれる人では、脳の受けたダメージのために音声が普通の音――医療の世界では、「言語音」に対して「環境音」と呼びます――とゴチャゴチャになって、音声とは認識できないのです。人の肉声でも同じかもしれませんが、聴覚失認の人にとって合成音声は「音声」と認識することが難しいのです (1)。

 

 このような人びとに対して、わたしは「どんな声なら聞こえるか」と問いかけたいと思います。だから、「そんなこと、大げさに言うことでもない」とはとても言えないことだと、わかってもらえたでしょう(か?)。

 

 人はいくつものアイデンティティを感じながら生活をしています。それはちょうど人を分ける方法が、男女とか、年齢とか、血液型とか、国籍とか、宗教とかといった具合に、いくつもあるということです。生涯学習施設では、来館者と施設職員といったふうに(一応は)分けられます。今、問題にしていることは、「言葉がわかりやすいか、わかりにくいか」です。「言葉のわかりにくい」人は、どんな立場の人にもいますから、「言葉のわかりにくい来館者」とか、「言葉のわかりにくい施設職員」がいるということになります。

 

 「言葉のわかりにくい施設職員」なら、その施設で働いている人は多かれ少なかれ、その人は「言葉のわかりにくい」のだと知っているはずです。ですから同じ職場で働く人の間に配慮があれば、問題はないはずです――組織によっては配慮のないケースがあります。そんな時はたいてい、ハラスメントが起きているのです。しかし「言葉のわかりにくい来館者」とは、日常の接触がありません。その人が「言葉のわかりにくい」のだとわかりません。その、普段、付き合いのない人とどう接するのか? そこがもともとの始まりです (2) 。

 

☆   ☆

 

 音声合成の技術はどんどん進歩しています。そしてその技術は、健聴な人だけの技術に留まっている気がします。これでは社会のあり方として歪(いびつ)です。しかし、商品であれば健全なやり方なのでしょう。買う人がどれほどいるかは、重要な判断基準です。市場経済を無視しては、どんな理想も実現は難しいからです。ただし、人の社会は市場経済の原理だけで動いているわけではありません。人間は規格どおりに作られたロボットではないからです。人には個性があります。一人ひとり多様なのです。売れる商品だけを作っていく社会では、いつか規格化された商品に押しつぶされます。

 

 市場経済の原理にプラスして、どんなアルファが付けられるのか。それが人間としての知恵だと思います。

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(1) 母語が異なる人びともいます。このような人が引っ越しをしてきて間がないと、聞いても、言語音と環境音、つまり風や波の音と何も差がないことになります――外国語を習い始めて間がない頃のことを思い出して下さい。

 

わたしが書いた研究紀要の総説「生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか : 総説」の第2部「対応策について」も見て下さい。

人と自然 Humans and Nature 24: 33−44 (2013)

(2) 「言葉がわかりにくい人」を、「仕事ができない人」とか「一人前に扱うべきでない人」だと誤解しないで下さい。言葉がわかりにくくても優秀な人は、いくらでもいます。

 

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

ひとはく探検隊とは、ひとはくの研究員が隊長となって、公園や博物館を探検するイベントです。

7/13(日)の探検テーマは「深田公園のひみつ」
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深田公園は博物館のとなりにある自然公園です。
当日は残念ながら雨。
外での探検はできませんでしたが、
隊長の大平先生が館内で公園をみながら、解説してくださいました。

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昔の深田公園は、谷戸(やと)といって
森と森にはさまれた田んぼやジメジメした湿地で生き物がたくさんいる場所でした。

公園にはキツネもいるそうですよ!


では、ここでクイズです。

Q深田公園の土の下には、たくさん埋まっているものがあります。それはなに?

恐竜の化石かな?
それとも大きな岩かな?



答えは、水です。
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深田公園の地中には、ダム(水をためるそうち)がうまっていて、大量の水があります。
これはビックリですね!

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ほかに、古代ギリシャのステージをつくるワザをお手本にした野外ステージ(円形劇場)は、
マイクがなくても上~下まで聞こえるようになっています。晴れた日にぜひ、チャレンジしてみてくださいね。

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深田公園は、人と自然が仲よく暮らすためのひみつがいっぱいつまっていることがわかりました。
ご参加いただきありがとうございました。

来月のひとはく探検隊は...
8/10(日)13:00~ ひとはく探検隊「150年前のひょうごの風景をみてみよう!」

8月のひとはく探検隊・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9276_subkeyFILE1

ひとはく探検隊の年間予定はこちら
http://www.hitohaku.jp/exhibition/staff/2014tankentai.pdf

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◆うきうきワークショップ

8月のイベント一部をご紹介します♪
うきうきワークショップはアンモナイト化石のレプリカづくりなど、
4階ひとはくサロンで、小さなお子様でも気軽にご参加いただけるプログラムをご用意しています。
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くわしくは、下記の案内をごらんください。

 ▼8月うきうきワークショップ・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9556_subkeyFILE1


みなさまのご参加をおまちしております。

 

(フロアスタッフ まつだ)

夏ですね〜 みなさんの近所では、もうセミが鳴いていますか?
六甲山の南側では、クマゼミがじゃんじゃん鳴いています。
ひとはくの周りでは、7月11日にニイニイゼミの抜け殻を拾い、今日16日、初めて鳴き声を聞きました。
昨日はクマゼミ、今日はアブラゼミの抜け殻が見つかりましたから、鳴き出す日も近いと思います。

さて、ひとはくの大型バス駐車場の周辺は、多様な在来植物で囲われています。
その中に、イタヤカエデが植えてあります。
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2、3日前、この木に、カナブンがたくさん来ていることに気づきました。
よく見ると、シロテンハナムグリも。
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カエデですから「メープルシロップ」でしょうか。甘〜い汁が出ているのでしょうね。 IMG_8463.jpg

夜になって、クワガタムシやカブトムシが来るかどうかは、まだたしかめていません。来たら楽しいですね。

(八木 剛 記)

梅雨らしい曇り空の7月6日、Kidsサンデーが開催され、
今回もキッズの皆さんが参加できるプログラムが 多数実施されました。

各プログラムで取りあげるものは「人と自然」の博物館らしく、
とってもバラエティ豊か!

◆どうぶつ
『フロアスタッフとあそぼう「どうぶつビンゴ」』では
兵庫県に住んでいる動物(ほ乳類)たちのことをクイズやビンゴで楽しく学びました。
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◆むし
人と自然の会の皆さんによる『スペシャルみんみんぜみを作って鳴らそう』
ではぐるぐる回すと音が出るふしぎな「せみ」を作りました。
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◆ほし
『パネルシアター』では「たなばた」のお話を聞きました。
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◆くさ・き(しょくぶつ)

『自然ってすごい!クスノキ☆ラボ』では
兵庫県の木、クスノキのひみつを 植物はかせの小舘研究員と探求しました。
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↑クスノキの葉っぱをくんくん。

クスノキにやってくるチョウのかみかざりも作りましたよ!
このチョウは見たことあるかな?
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ヒント:ア○スジアゲハ

そして、『自然ってすごい!みどりのはっぱプレイルーム』では
葉っぱできせかえカードを作ったり、
笹舟を作って植物はかせのお話を聞いたり、葉っぱで楽しく遊びました。

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次回はどんな生きもの・自然にフォーカスにした
プログラムが実施されるのでしょうか?どうぞお楽しみに!

8月のKidsサンデーは 8月3日(日)です

水分、栄養、睡眠をよーくとって夏を楽しみましょうネ!

(たかせ ゆうこ/キッズひとはく推進プロジェクト)


教職員・指導者のみなさま

 もうお申込みはお済みでしょうか? この夏も「教職員・指導者セミナー」を実施します。
       教職員セミナー!!
 今年度は8月4日(月)から8月8日(金)の1週間に集中しての開講です。

 学校での授業に役立つヒントを見つけに、ご自身の専門のテーマを学びに、興味関心のある内容をのぞきに.....いろんなアプローチでご参加ください。

 お申込みは,当館ホームページからweb上で受け付けております。また、学校に送付しております要項によりFAXでのお申込みもできます。
 暑い夏には、クールスポットのひとはくでセミナーをご受講ください。


【参考URL】
   http://www.hitohaku.jp/musepub/seminarlist/?view=bunya#_G
生涯学習課 教職員・指導者セミナー担当

ヒメボタルっ

2014年7月 2日
季節は7月 今年の後半に入ってきました

 夕べ、近所にヒメボタルを見に行ってきました。光り方がゲンジボタルとは違って、0.5秒くらいの間隔で細かくフラッシュするように輝きます。 八木主任研究員のblogに詳しく書いてあります → http://www.hitohaku.jp/blog/2014/06/post_1889/

 で、私も真似して写真に挑戦しました^^;
 こんな感じに.....画像にノイズが出てて上手な写真ではありませんが、素人の私でも撮影できました!! コンパクトカメラや携帯では無理だと思いますが、一眼レフのようなタイプのものでシャッターを開放にできる機能(バルブ撮影)と三脚があればできます!!

 まだ、しばらくは飛んでいると思いますので、是非挑戦してみてください。くれぐれも、虫刺されやヒル、マムシにはご注意ください(^^)/
生涯学習課 八尾

自然と都市のよい関係をどう創り育てるか〜都市山・まちやま・21世紀の森づくり〜
自然と都市が近接し、身近な場所で環境保全や森づくりの活動が進められる神戸・阪神地域。こうした地域の特徴を生かしつつ、よりよい環境を実現していくため、今後どのような取り組みが期待できるか。これからの環境づくりの方向性を自然と都市との関係づくりの視点から話し合います。

「ふるさと環境交流会」の全体については、兵庫県のホームページをごらんください。

【開催概要】
1.名称 ふるさと環境交流会in神戸・阪神
2.開催日 平成26年7月6日(日曜日)13時30分〜16時30分
3.会場 兵庫県立人と自然の博物館大セミナー室
4.参加費 無料
5.定員 80名(先着順)

6.プログラム
(1)基調講演「神戸・阪神地域の自然環境の現状と課題」兵庫県立大学名誉教授 服部 保 氏
(2)事例報告
ア 六甲山のみどりが伝えるもの ブナを植える会会長 桑田 結 氏
イ 心に「物語」が生まれる森を目指して 兵庫県阪神南県民センター尼崎港管理事務所 尼崎21世紀プロジェクト推進室 守 宏美 氏
ウ 次世代に伝えたい都市山・まちやまの楽しみ方 自然体験教育研究所主宰 足立 勲 氏
エ 都市のヒートアイランドに拍車をかける都市の緑の消失 関西学院大学総合政策学部准教授 客野 尚志 氏
(3)全体討論会 (進行)兵庫県立大学名誉教授 服部 保 氏

7.主催 兵庫県

【参加申込方法】
下記の宛先まで、郵送、FAX、電話、電子メールのいずれかで、参加したい地域名を記した上で、ご氏名、年齢、性別、連絡先(住所、電話番号、電子メールアドレス)をご連絡ください(郵送、FAXの場合は、チラシの様式を活用してください。)。
☆先着順のため、お早めにお申し込みください。
☆複数の地域別交流会に参加して、兵庫県の広さを実感してみませんか。複数参加を希望する場合は、その地域名も合わせて記してください。

☆お申し込み、お問い合わせは、こちらへ!
兵庫県 農政環境部 環境創造局 環境政策課 活動支援班
電話:078-362-9895
FAX:078-362-4024
Eメール:kankyouseisakuka@pref.hyogo.lg.jp


(八木 剛 記)

7月の楽しいイベントをご紹介します!


フロアスタッフとあそぼう
土・日・祝13:30~から行っているイベントです。


5(土)・6(日) どうぶつビンゴ ◎3階展示室「森にいきる」
12(土)  画はくの日 ◎場所・テーマは来てのおたのしみ♪
19(土)・20(日)・21(月/祝) くるくるとぶたね ◎1階展示室
26(土)・27(日) モールで恐竜をつくろう! ◎4階ひとはくサロン


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▲「どうぶつビンゴ」  7月5日(土)・6日(日)   ▲「画はくの日」  7月12日(土)

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▲「くるくるとぶたね」              ▲「モールで恐竜をつくろう!」
  7月19日(土)・20日(日)・21日(月/祝)        7月26日(土)・27日(日) 

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ひとはく探検隊
7月13日(日) 13:00~ ひとはく探検隊「深田公園のひみつ」 4階ひとはくサロン集合
ひとはくの研究員が隊長となって、公園や博物館を探検するイベント。今月の隊長は大平研究員です。

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7月のひとはく探検隊・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9275_subkeyFILE1
ひとはく探検隊の年間予定はこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9185_subkeyFILE2


「フロアスタッフとあそぼう」、「ひとはく探検隊」ともに
受付 10:30~ / 4階ひとはくサロン・カウンターにて(定員になり次第終了)
定員 先着20名

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うきうきワークショップ

28(月)・29(火)・30(水)・31(木)の4日間は、
4階ひとはくサロンで、小さなお子様でも気軽にご参加いただけるプログラムをご用意しています。


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アンモナイト化石のレプリカづくりなど、多数イベントをご用意しております。

 

7月うきうきワークショップ・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key11137_subkeyFILE1

みなさまのご参加お待ちしております♪

(フロアスタッフ まつだ)

 オタクサって?

2014年6月26日


          
 

 今の時期、庭先や道沿いで美しい彩りを放っているアジサイ 白、赤、青、紫・・・・・様々な色になることから「七変化」とか「八仙花」などと呼ばれることもあるそうです。
 また、ドイツの医師であり博物学者であったシーボルトが妻の楠本滝にちなんで、「オタクサ」と名付けたこともあるという.....。三田市のお隣の神戸市では、市花にしていされているとか。


 是非身近なアジサイを近くで観察してみてください。新たな発見があるかも?!

生涯学習課 八尾


今年で、第9回になる丹波市山南町の「姫ボタルまつり」(ひとはくも、共催)が、6月28日(土)、7月12日(土)に開催されます。
ヒメボタルは、日本固有の陸生のホタルです。丹波市山南町には、ヒメボタルの生息地が多数あります。


昨夜(2014年6月25日)、「猪名川流域ひめぼたるネットワーク」のみなさんと、山南のヒメボタルを見に行きました。
20時頃からいっせいに湧き出してきて、暗闇の中で多くの個体が同調して光るようすは、とてもすばらしいです。

いっしょに行った伊丹市昆虫館の長島さんは「ホタルの光で山の形がわかりますね」と言ってました。
みなさん、この意味、わかりますか?

ヒメボタルのメスは飛べないため、メスを探して飛ぶオスは地表近くの低空を飛翔します。飛ぶ高さはだいたい決まっているので、地形に沿って飛んでいることになります。ヒメボタルのオスが数十匹いやそれ以上の個体数、0.5秒間隔ほどの黄色いフラッシュ光で同調して光ると、いっせいに光った瞬間を見渡したとき、光の集合が、そこの地形、山の形になる、ということです。

そのようすは、写真ではとても表現できませんが、昨夜の写真をご紹介しておきます。

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この機会に、みなさんも、ぜひいらしてください。

【集合場所】6月28日(土)薬草薬樹公園リフレッシュ館駐車場/7月12日(土)丹波市役所山南支所(やまなみホール)前
【受付時間】午後6時30分~午後8時 順次、現地へ出発
【参加費】中学生以上500円・小学生300円・未就学児以下無料(申込不要)
【注意】当日は靴で参加下さい。
※ ヒメボタルは野生の生き物ですので、当日の気象条件等により見られなかったり数が少ないこともあります。


本件へのお問い合わせは、姫ボタルまつり実行委員会(薬草薬樹公園リフレッシュ館:0795-76-2121)まで。


- - - - - - - - -  もう一つの見どころ!  - - - - - - - - -

ヒメボタルは本州北端から九州南端まで各地に生息していますが、このような「祭り」が継続的に開催されているところは、そんなにありません。


まず、ヒメボタルの生息地を発見するのは簡単ではありません。限られた時期、時刻に、暗い森の中の、地道な調査が必要です。
ヒメボタルが生息していて、かつ、多くの人が安全、快適に観察できる場所となると、一気に限定されます。広々とした明るい空間に、ヒメボタルはあまりいません。
ここまでは物理的な環境条件ですが、さらに重要な条件は、地元のみなさんです。
わかる人にはわかると思いますが、地元の方々の温かい「おもてなし」、しかも継続的に、となると、そんなに簡単なことではありません。

姫ボタルまつりのスタッフの方々のみならず、観察地の近くにいらっしゃる地元のみなさんも、とてもいい雰囲気です。
昨夜も、ヒメボタルを見に来られてる地元の方々に何人もお会いしました。
いい雰囲気は来場者にも伝わりますので、全体の雰囲気がよくなるんですよね・・・

ぜひ、そんな空気を、感じていただければと思います。

(八木 剛 記)

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梅雨真っ只中、じめじめと蒸し暑い日が続きますがみなさんいかがお過ごしでしょうか?

4月から、フロアスタッフに新メンバーが加わったことをみなさまご存じでしょうか?
今日はその新メンバーをご紹介したいと思います!
北谷沙也乃さんです♪



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★  北谷さんからのメッセージ  ★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆

初めまして!フロアスタッフの北谷です^^!
まだまだ新米ですが、先輩方に支えられながら頑張っています!
「ひとはく」は研究員の先生方、フロアスタッフをはじめ楽しく、魅力的な方ばかりです。
ぜひ、会いにきてください^^!


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★

明るく天真爛漫な北谷さんの周りは、いつも笑いが絶えません!
また、しっかり者で頼もしい存在でもあります^^

8月の『うきうきワークショップ』に向けて、何やら楽しいイベントを企画中の様ですので
北谷さんに会いに、みなさま是非ひとはくへいらしてくださいね!
フロアスタッフ一同お待ちしております♪


7月の『うきうきワークショップ』のポスターはこちら




また、ひとはくへ遊びに来られる際はぜひ『うきうきカレンダー』をチェックして来てくださいね!
たのしさ2倍になることまちがいなしですよ♪
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ユニバーサル・ミュージアムをめざして54

C・W ニコルさんと森を歩く――『アファンの森の物語』書評――

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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 親しくしている方が信州に行ってきたとおっしゃって、本を届けて下さいました。その方とは、もう、長い付き合いです。いつ知り合ったのか記憶をたどると、ニコルさんの穏やかな声に行き当たりました。その方と共に、ニコルさんと談笑した記憶にたどり着いたのです。その方も、わたしがニコルさんと談笑していたことを憶えていたのでしょう。奥さまとお二人、長野県の黒姫(くろひめ)を訪れた際、わたしの為にニコルさんの本を求められたのでした。本の名前は『アファンの森の物語』 (1) といいます。

 

 その方は化学畑の技術者でした。実験室のお仕事が多かったのだと思います。しかし、その職業とは裏腹(うらはら)に、野遊びが大好きです。魚釣りやハイキングといった趣味をお持ちでした。

 

 その方は読書と歴史も好きなのですが――事実、古い歴史のある街(まち)を歩くこともなさるのですが、数多くお持ちの趣味の中で、わたしは野遊びが一番好きだとおっしゃるような気がします。

 

 だからでしょう。十年ほど前から狩猟免許をお持ちです。狩猟免許には種類があって、ライフルや空気銃、罠猟(わなりょう)など、使う猟具に応じた免許が必要なのですが、その方は空気銃の免許をお持ちでした。

 

 狩猟というと鳥や獣(けもの)を殺す残酷な行為だと、頭から毛嫌いする人がいます。理由もなく野生動物を殺すことは慎むべきです。しかし、わたしは野生動物を狩って肉を得ることと、理由もなく殺すこととは、本質的に異なる行為だと思っています。頭から毛嫌いする人は、その区別がつかないのでしょう。

 

 その方は区別がつくのです。キジやカモといった獲物が捕れれば、料理をして、きちんと食べるのだそうです。野にいるキジやカモは、確かに温かい血の通った野生生物です。そして調理をすることによって食物になります。人にとって火のコントロールは象徴的な儀式でもあるのです。人の本質的な行為のひとつだと思います。

 

☆   ☆

 

 『アファンの森の物語』は、南ウエールズ出身のC・W ニコルさんが日本に出会ってから、長野県北部の黒姫で森の一部を買い取り、手入れをし、いろいろな方と協力して、現在の「アファンの森」ができあがるまでを記録した本です。その歴史にはニコルさんのさまざまな思いが込められているのでしょう。実際、最初の黒姫の森は、「幽霊林」と呼ばれる、人が利用しなくなった荒れ果てた森でした。

 

 「アファン」というのは、ウェールズに住むニコルさんたちケルト人の言葉(ことば)――英語のことではありません。スコットランドやアイルランドと同じように、ウェールズに住むケルト人も他民族に侵略され、英語という強者の言葉(ことば)を強要された民族なのです。ちなみに「アファン」はウェールズ語で「風の通る谷間」という意味だそうです。もともと南ウェールズには、アファン・アルゴード森林公園と名付けた公園があったのだそうです。

 

 先に「さまざまな思い」と書きましたが、ニコルさんの主張は一貫しているようです。それは、「人の手が入らない森は荒れた森だ」という主張です。わたし自身はコンゴ共和国で、ンドキの森という無人の原生林に初めて足跡を記(しる)しました (2) 。その森で、消耗の激しい、全身、泥だらけの調査を経験しました。しかし、ニコルさんは「人の手が入らない森は、荒れた森だ」とおっしゃるのです。ニコルさんとわたしの言うことは、矛盾して聞こえます。なぜなのでしょう?

 

 本物の原生林は、そうおいそれとあるものではありません。ンドキの森にしたところで、わたし達の侵入を阻んだ沼地には、驚くほど昔――数十年前――のアブラヤシの種がひとつ、腐らずに残っていたのです。アフリカでアブラヤシは大昔から栽培されていました。多分、新しい森を求めた進取の気性に富むピグミーの若者がンドキの森に入り込み、森に歩道のように伸びたゾウ道をたどって、アブラヤシをかじり、捨てたのだと思います。そのような森に少しばかり人が入ったとしても、森は何事もなかったかのように振る舞います。しかし、大昔から人が生活に使い、利用してきた森では、人が使わなくなると、とたんにツルがはびこり、空間がふさがれて、簡単には入れなくなるのです。ウェールズも日本も、すでに本当の原生林はありません。どこまでも人の痕跡が続くのです。そのようなところでは、積極的に利用することが、美しい森を維持するためには、とても大切なのです。ニコルさんとわたしの言うことは、何も矛盾していません。

 

 ニコルさんも自分用の狩猟免許を手に入れ、地元の猟友会に参加しました。猟師こそが、もっともよく森を知り、伝統的に自然に親しんできた人びとだからです。もちろん今では、元来の意味で猟師はいません。つまり、「狩猟だけで生計を立てている人はいない」という意味です。にも関わらず現在でも信州の「猟師」は、雪の中で火を起こし、クマを狩ることができるのです。

 

☆   ☆

 

 ウェールズのアファンの谷は、炭坑で栄えた地域にあったのだそうです。ニコルさんが少年の頃は、石炭を掘る時に出る土砂や石でできたボタ山が、あちこちにあったようです。その時、アファン・アルゴードに森はすでになく、炭坑で働く人びとは、ずらりと並んだ集合住宅で暮らしていたということです。

 

 ところがエネルギー源が石炭から石油に変わると、ウェールズの鉱業地帯はさびれてしまいます。アファン・アルゴードでは、風雨にさらされたボタ山から有毒物質が流れ出したということです。

 

 そのアファン・アルゴードのボタ山に緑がよみがえりました。ウェールズの人びとは、ボタ山に緑を再生したのです。最初は根で土砂を留(と)めるために草を生やし、次に土を豊かにするカバやポプラ、カラマツといった木を生やす。このような樹種は空中窒素を固定して土を肥やします。そうしている内に、やがてハリネズミやキツネ、イタチ、リス、シカなどの動物がもどってきます。森は少しずつにぎやかさになるのです。こうした努力の結果が、アファン・アルゴード森林公園として結実しました。

 

 ニコルさんは石炭採掘のボタ山で荒れたウェールズと、人の介入で豊かに森が再生したウェールズのふたつを間近で見ました。この経験があるからこそ、信州の黒姫でも「幽霊林」を「アファンの森」と名付け、人為的によみがえらせる努力をしてきたのだと思います。

 

 わたしが『アファンの森の物語』からイメージしたのは、産業革命以前のウェールズの豊かな森と人びとの暮らしでした。ニコルさんはそこに、自然と人のよりよい(とニコルさんが信じる)関係を見つけたのではないでしょうか。黒姫の「幽霊林」を「アファンの森」と名付けたのも、人の努力によって、自然と人はよい関係を再生できると信じているからだと思います。

 

☆   ☆

 

 ニコルさんには、『アファンの森の物語』以外にも、『勇魚(いさな)』 (3) という小説があります。幕末の紀州・太地浦とカナダの話です。片腕を失ったクジラ捕りが軸になって展開する歴史物語です。捕鯨は非難されがちです。希少生物の保全という見方は肯けます。しかし、伝統的な猟法で捕る捕鯨も残るべきだという気がします。捕鯨が、みさかいもなく市場経済と結び付くことがいけないのだと思うのです――市場経済は現実の経済システムですから、否定するべきものではありません。ここでは、市場経済の枠では括(くく)れない事実も、現実に存在すると言っているのです。

 

 ニコルさんは、基本的にはクマを守りますが、クマ狩りもします。やみくもな保護ではなく、関係を維持したいという保全の発想です。クマは森の一部です。クマは人も含めた循環のサイクルを作り出します。ニコルさんにとって、人とは、重要な循環を形作るはずの自然の一部なのでしょう。

 

 今回は、あまり「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」にふさわしい内容ではなかったかもしれません。

 

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(1)  『アファンの森の物語』(C・W ニコル 著、アートデイズ、1,400円+税)

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB12379705

 

(2) 『ンドキの森』(三谷雅純 著、どうぶつ社、絶版) 残念ながら絶版になっていますが、古本では、まだ、きれいな物が手に入ります。この本の出版の後、ンドキの森は世界遺産に登録されました。

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN15594185

http://kodomonohon.com/bul/314/314_w.html
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/forest-elephant/aj011_3.html

 

(3) 『勇魚』 上・下(C・W ニコル 著、文春文庫、絶版)

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

 ユリノキ

2014年6月21日
三田には「ゆりのき台」というニュータウンがあります。

 これは「ユリノキ」の葉っぱです。形がおもしろいでしょう!! ゆりのき台のネーミングと関係があるのでしょうかね?
 葉っぱは特徴的な形なので、一度見ると覚えてしまいそうです(^^)  そして、英語の名前は"TulipTree"っていわれています。チューリップに似た花をつけるところから、そう呼ばれているようです。今回花はまだつけていなかったので葉っぱの写真だけです。小舘研究員に教えていただきました!!

 でも、寂しいので少し遊びました(^^)
失礼しました  やお

 虹の木

2014年6月21日

博物館のある深田公園のオブジェ 
 ご覧になったことありますか?


今日、水を噴き上げています。
彫刻家の新宮晋さんの作品「虹の木」です。

風のミュージアム に連動して今日から1週間限定でご覧いただけます。 http://www.susumushingu.com/shinguwm.shtml


博物館もオブジェも両方欲張りに楽しんでください。
土曜日曜は,来てすぐ楽しめる楽しいイベントが盛りだくさんです!(^^)!


生涯学習課

 おしゃれな方!!

2014年6月18日
何気なく歩いてると.....出会う虫




そういえば,去年もここで会った気がする・・・・・・その前の年も!! 
毎年ここにいるのね^^;  まさか同じ個体!!  それはどうでしょう?

なんだかタキシードを着ているようなおしゃれな昆虫です。
出会いたい人は、ひとはくへ来て探してみてください!(^^)!

生涯学習課 八尾

<<東お多福山草原生物多様性ガイド養成講座受講生募集!!(全5回:6月~11月)>>

 兵庫県立人と自然の博物館は、兵庫県神戸県民センターと東お多福山草原保全・再生研究会との共催で東お多福山草原における生物多様性の魅力を案内するガイドを養成するセミナーを開講いたします♪

 六甲山東お多福山には、かつてはさまざまな草原生植物がみられる、生物多様性豊かなススキ草原が広がっていました。しかし、戦後の管理放棄等により ネザサが密生し、草原生植物が生育できない生物多様性の乏しい姿に変わってしまいました...。このため、現在、東お多福山草原保全・再生研究会が中心となり、ひとはく、環境省、兵庫県、神戸市とも連携して、生物多様性保全を目的としてネザサの刈り取り管理を進めています。活動7年目を迎え、ススキや草原生植物の草花が増えるなどの再生の兆しが少しずつ、しかし確実に現れています!

 このような東お多福山の自然の現状と魅力を深く知っていただける方、またそれを多くの人に伝えていただける方を、私たちは求めています。ひとはくブログ読者の皆様は、様々な活動でお忙しい方々が多いことと存じますが、ぜひ、これはとお感じになった方は、ご参加いただけると嬉しいです。

申込方法などは下記のURLを参照ください。
 http://web.pref.hyogo.jp/kok12/higashiotahukuyama.html


 また、「ガイド養成講座への参加は迷うけれど...、話だけなら聞いてみたい!」という方には、公開講座も用意しております。是非お誘い合わせの上、ご参加ください♪


<<東お多福山草原生物多様性ガイド養成講座《公開講座》>>

◆日時:平成26年6月28日(土曜日)13時30分~16時30分(受付は13時から)

◆内容

【講演1】 松村 俊和 (甲南女子大学 准教授)

【講演2】 橋本 佳延 (県立人と自然の博物館 主任研究員)

◆定員:60名(事前申込制・受付先着順)

◆参加費:無料 (ただし、交通費は自己負担)

◆申込方法
http://web.pref.hyogo.jp/kok12/higasiotahukuyamakoukaikouza.htmlをご覧ください。

◆締め切り:平成26年6月25日(水曜日)

ひとりでも多くの方にお会いできることを心待ちにしております。(自然・環境再生研究部 橋本佳延)

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6月8日、ひとはく探検隊『初夏の鳥をさがそう!』が行われました!
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▼まずは、隊長の布野先生から双眼鏡の使い方を教わりました。肉眼で狙いを定めたら、そのまま目の前に双眼鏡を添えるようにして見てみましょう。
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練習が終わったら、いよいよ博物館の外へ出発です!

▼博物館4階入り口前には、コシアカツバメの巣がたくさんありますよ!さぁ見つけられるかな~?
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▼作りたての巣を発見!ツバメは運んできた土を唾で固めて巣を作ります。
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▼高架下に鳥が潜んでいます...双眼鏡で見えるかな!?     ▼メスのハトがたまごを温めていました!!
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▼博物館向かいの建物の屋上に、鳥がとまっていました。鳥は高い建物のはしっこにとまるのが好きみたいです。
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▼今度は深田公園へ向かいます!日差しが出てきて暑くなってきましたよ~
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▼さぁ、公園のどこかに鳥の巣がありますよ。どこかな~?
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▼ありました!松の木の枝にカラスの巣を発見!
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梅雨に入りどんよりした天候が続いていましたが、この日は日差しも強く良いお天気でした♪
お暑い中ご参加頂きましたみなさま、ありがとうございました!

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たんけん報告ポスターはコチラをご覧ください



次回のひとはく探検隊は... 『深田公園のひみつ』です!1fukada.jpg

隊長の大平先生と一緒に、深田公園にはどんなひみつがあるのか調べてみましょう!
ちらしはコチラです

みなさまのご参加をお持ちしております♪



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たにぐち はるな 

6月7日(土)の"フロアスタッフとあそぼう"は毎月恒例の「画はくの日」を行いました。

6月のテーマは「昆虫標本をみてかこう!」でした。s-P1120011.jpg
兵庫県の昆虫なので、みんながよく知っている
虫です。

改めて観察すると、
思っている以上に
きれいな色をしていたり、
かっこいい形をしています。

足はどこから出てるかな?

翅は何枚かな?

みんな真剣にじっくり観察しながら描きます。
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出来た作品は、4階ひとはくサロンにて掲示しています。s-P1120016.jpg(7月の第2週まで)














作品の中から次の3作品がひとはく博士賞に輝きました。

力作ぞろいで博士も選ぶのに苦労されていましたよ。

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次回の「画はくの日」は7/12(土)です。

みなさんのご参加お待ちしています。


フロアスタッフ  せら ゆうこ








ユニバーサル・ミュージアムをめざして53

 

聞いてみて、初めてわかることがある-2

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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 兵庫県の中学生には、地域のいろいろな場所を選んで行ってみて、そこで職業体験を積むという制度があります。「トライやる ウィーク」と呼んでいます。<ひとはく>にも何人もの中学生がやって来ます。博物館員の「修行」をしていくのです。今年は、わたしもお世話しました。ただし、お世話はしましたが、お返しに、多くのことを教えても、もらいました。<ひとはく>の建物で、車イスでは不便なところを探してもらったのです。わたしがお世話した男の子は、日頃から電動車イスを利用していました。この課題は、彼にしかできませんでした。

 

 館内で見つけた困ったところは、床の段差でした。段差にはスロープが付けてあるのですが、上るには車イスのモーターでも大変でした。その上、下りるのにも介助がないと、スロープが短くても恐いのです。わたしにもマヒがあるのですが、障がい者がスロープや階段を下りるのは、本当に恐いのです。

 

 展示の前の幼児用の踏み台は、車イスには邪魔になります。踏み台がないと小さな子は展示が見えません。かと言って、車イスの人も展示が見たいのです。これには困りました。全国の皆さん、何か良いアイデアがあったら、ぜひ教えて下さい。

 

☆   ☆

 

 4日間の内、3日目と4日目は、博物館の外側を見て回りました。

 

 三田市はもともと山がちな地形ですので、<ひとはく>のあるフラワータウンにも、大小の起伏があります。博物館はそんな中に作られたので、どちらに行っても坂に突き当たります。そこを車イスで行くには誰かに助けてもらうか、いっそのこと諦めるしかありません。でも、諦めていたのでは、「トライやる ウィーク」の課題を遂行(すいこう)することはできません。博物館の裏手にはダラダラ坂が続いているのですが、その坂でも、車イスの人が自分ひとりで上り下りするのは無理だと思います。今、「無理だと思います」と書いたのは、障がい者は、その障がいをもたない人が想像もしていなかったことが、できてしまうことがあるのですが、その坂は、車イスの中学生が自力で上り下りするのは、どう考えても無理だと思うからです。

 

 ボランティアの人に引いてもらって、あるいは押してもらって、坂は乗り越えました。ただし、案の定、その坂を下り、また上ると、男の子はへとへとに疲れていました。肉体的にと言うよりも、精神的に疲れたのです。

 

 4日目は、屋上に出る方法を考えました。何とか車イスで行く作戦を、ふたりで考えます。ミッション・インポッシブルです。

 

 前にも書きましたが、階段は車イスでは無理です。羽根がないのに「飛べ」と言っているのと同じです。では、どうするか? 昨日、長いダラダラ坂では苦労しました。へとへとに疲れてしまいました。

 

 博物館周辺のことをよく知っているわたしが、助け船を出しました。

 

 車イスで屋上に上がるには、

 

① 博物館の通用門のそばのスロープを利用する。一番、簡単です。しかし、この方法は、車イスでは勾配がきついかもしれません。

② 博物館から100メートルほど離れた商業施設のエレベータを使う方法。この方法は勾配がなく、楽ですが、人混みをかき分ける必要がありそうです。人混みで疲れてしまう可能性があるのです。

③ 商業施設のそばのスロープを上る方法。でも、これだと①とあまり変わりません。

④ 時間はかかりますが、ぐるっと深田公園を回って、反対側から屋根に取り付く方法。深田公園を回るには、1キロほど歩かなければいけません。

 

 作戦会議の結果、このよっつの方法があるとわかりました。後は男の子が、それぞれのコースの良いところ・悪いところを判断して、自分にとって、どれが良いかを選ぶことです。

 

 迷いましたが、結局、②の博物館から100メートルほど離れた商業施設のエレベータを使う方法を選びました。実はわたしも、②が一番、車イスに向いているのではないかと思っていたのです。ただし、わざと②に誘導したのではありませんよ。

 

☆   ☆

 

 たかが100メートルです。ですが、途中、何カ所もの障壁がありました。まず博物館と商業施設の間にある道路です。車が通ります。横断歩道を探さなくてはなりません。次に段差です。フラワータウンは、いたる所に段差があると言いました。商業施設の前にも大きな段差があるのです。それを避けるようなスロープを見付けたい。しかし、スロープの勾配は恐いかもしれません。それをクリアーしたら、今度は人混みです。商業施設の中には大勢の人が歩いています。その人たちを避けて、エレベータを見付けるのが、また一苦労でしょう。

 

 あれこれ工夫し、苦労しながら、やっとの事でエレベータを見付けました。これで上の階に行けます。もう安心です。

 

 ところが、エレベータは目的の階には止まりませんでした。目的の階には、決まった時間が来なければ、止まらないのでした。このことは、わたしも知りませんでした。決まった時間は午前10時です。幸い10時はもうすぐです。「どうする」と聞くと、「10時まで待つ」と答えました。

 

 10時になってエレベーターが目的階に止まる時間になると、突然、ガラガラとシャッターが開き、専門店街の店が開きました。男の子はびっくりしましたが、シャッターが開くところは初めてだといって、興味深く見入っていました。シャッターが開くところだけでも、商業施設までやって来た甲斐(かい)があったというものです。でも時間はありません。先を急ぎます。

 

 商業施設の次は、三田市の公共施設やスイミング・スクールの入ったビルです。そのビルを抜けると、直接、歩道橋に出ます。それが博物館の屋上に続く一般歩道になっているのです。

 

 「ここが屋上だよ」と言うと、キョトンとしていました。そして周りを見回してみて、やっと自分の状況がわかったようでした。「登頂(とうちょう)の記念写真を撮ろう」というと、ピース・サインを出しました。屋上に当たる歩道を、端から端までぐるっと回って「下山」しました。「下山」では、博物館近くのスロープを、ボランティアの人の力を借りて下りてみました。

 

☆   ☆

 

 男の子は<ひとはく>が、はたして自分を「トライやる・ウィーク」に受け入れてくれるかどうか、とても不安だったそうです。車イスで博物館員にトライすることなど、できるのだろうか。字は書けるが、ふつうよりも大きな字だし、ハサミは使えるが、ぎごちない。何よりも疲れやすい。疲れやすいという事を、博物館の人はどこまでわかってくれるだろう?

 

 基本的には、わたしも同じです。わたしには、脳塞栓症(のう・そくせん・しょう)の後遺症があります。車イスは使わないのですが、マヒした右手で字を書いたり、ハサミを使ったりすると、とても疲れてしまいます。第一、それほど長時間は続けられません。ですから、わたしの作業を補佐して下さる方が必要なのです。でも、わたしは仕事を続けています。なぜ仕事を続けているかというと、きっと、わたしにしかできない事があるはずだと、固く信じているからです。

 

 「きっと、わたしにしか、できないことがある」。それは何だろうと、わたしは今でも探し続けています。あなたの「トライやる・ウィーク」の記録ノートに、わたしは「課題をやりとげました。これからもがんばって」と書いてしまいました。あなたは、十分、がんばっているのにと、書いてしまってから後悔しました。今、書き直すとしたらこう書きます。

 

 「課題をやりとげました。これからも、未来の『博物館員』をめざして下さい」

 

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

ユニバーサル・ミュージアムをめざして52

 

聞いてみて、初めてわかることがある-1

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 
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 わたしには、聞いてみるまでわからなかったという経験が、何度もあります。聞いてみて初めて「そうだったのか」と思い当たる。聞いてみることは大切です。勝手な思い込みはひかえるべきです。当事者の意見を尊重するべきです。特に本人が身近にいる場合には、そして、気楽に話してくれるなら、ぜひとも聞いてみるべきです。

 

☆   ☆

 

 兵庫県には「トライやる ウィーク」という制度があります。中学2年生になった時、子どもがおとなの仕事を「学び」に行くのです。中学生になって、子どもの世界から、いろいろな世界が見えるようになった時に、おとなの世界を覗(のぞ)いておけば、現実の社会を知るいい機会になるはずだ。現実の社会に繋(つな)がるかもしれないという試みです。

 

 現代に生きる子どもたちには、現実の世界と空想だけで作ったバーチャルな世界が、区別できなくなっている人がいます。と言うより、(わたしも含めた)おとなには、現実世界の変化が速すぎて、「空想の出来事」だと思っていたことが、いつの間にか現実に起こっていると言った方が実感があるのでしょうか。でも、どれほど「想像を絶すること」であっても、現実の世界では、やるべきことと、やるべきではないことがあります。「できること」と「やっていいこと」は別物です。

 

 「トライやる ウィーク」に参加する中学生も、頭で考えただけの知識ではなく、現実の可能性として将来が思い描けるようになる。「トライやる ウィーク」は、そうあってほしいという試みかもしれません。今年は、わたしもひとり、中学生を預かることになりました。

 

 その生徒は、初めて出会うわたしに緊張気味でした(中学生ですから、初対面では、緊張して当たり前です)。しかし、会ってみるとハキハキとした、言うべきことが言える男の子でした。実を言うと、わたしも緊張していました。どんな中学生だろうと、内心、ドキドキだったのです。しかし、彼の言い方を聞いて安心しました。どうやら、わたしにうちとけてくれそうです。

 

 「トライやる ウィーク」は、その子といっしょに4日間、博物館の建物を見て回りました。

 

☆   ☆

 

 彼は博物館員になってみたくて<ひとはく>を選びました。ほかの中学生も、それぞれの研究員について行きました。標本の整理法だとか、ビオトープ("人工の自然"と呼べば、わかりやすいのかもしれません)の掃除といった、地味だが大切な日常の作業があるのだと教えてもらいます。

 

 その男の子には、どんな仕事をやってもらえばいいのでしょうか? 実は、その子でなければできないことがありました。それは「<ひとはく>の建物で、あなたにとって不便なところを教えて下さい」という課題でした。

 

 その子は電動車イスを使っていました。

 

 法律や条令では、公共の建物は誰でも自由に行き来できるように整えましょうと決まっています。ですが、<ひとはく>は20年以上前に建ちました。<ひとはく>が建つ前には、同じ建物がホロンピア館として博覧会で利用されていました。<ひとはく>の建物は古いのです。どれほど手直しをしても不便は残るでしょう。そんな不便を、車イスを使う来館者になって見付け、こんなところに、こんな不便があったのだと教えてほしい。こんな課題は彼でなければできません。それに、背の高さが車イスを使う彼と同じ幼児の目線ですから、その意味でも不便なところが見付かります。車イスを使う当事者や幼児でもなければ、おとなには、なかなか不便に気がつきません。そんなところは、ぜひ直して行かなければなりません。今すぐ手直しができなくても、こんなところに、こんな不便があるのだと知っておかないと、将来、直すことはできないのです。その男の子の責任は重大です。

 

 わたしたちは作戦を立てました。まず二日がかりで館内を回って、不便を探します。次に博物館の周りを見て回ります。博物館の外は深田公園という市民公園になっています。また起伏の大きな三田市では起伏をカバーするために、博物館の屋上が一般の歩道になっているのです。ただし、男の子に歩道のことは秘密です。行ってみて、どのように驚くかが楽しみです。公園や屋上に車イスで行くためには工夫が必要です。階段は使えません。そのためのルートを考えました。山登りの要領です。

 

 その子にとって、山登りの計画を立てるのは、初めてでした。しかし、その辺はわたしが得意なのです。心配いりません。わたしは以前から野外に出ることが得意でした。登頂の計画なら「まかしておきなさい」なのです。

 

☆   ☆

 

 館内を回って、彼が教えてくれた不便なところです。

 

1.うかつな人が段差と感じない段差も、彼の腕の力やモーターの力では、乗り越えられなかった。

2.机の高さの設定は低いものがあり、研究室の机は低すぎて利用できなかった。お弁当を食べるための机や情報端末は、車イスのままでも座りやすかった。

3.コンピュータが出すクイズの問題は、中学生でもわからない言葉が出ている。問題はひとはくの研究員が作ったのだが、何を聞いているのか、よくわからない問題があった。

4.ビデオ・コーナーはクッションの効いた棒状のイスになっていて、3,4人で見るのに便利だった。だが、車イスだと造り付けのイスがじゃまになって、ビデオの途中で押すスイッチには指が届かない。指が届かないので観る事を諦めてしまった(残念!)。

5.地球の仕組みを調べるコーナーは、おとなの背丈があって、やっと、磁石が回転することで何をしているのかがわかる。子どもや車イスの人では、スイッチは押せても、それでどうなったのかがさっぱりわからなかった。

6.背の届かない子のために、あちこちの展示に幼児用の踏み台が置いてあるが、車イスだとかえって邪魔になる。

7.スロープの勾配がきついので、恐い。恐竜ラボや駐車場の段差のスロープ、2階フロアーから1階フロアーを結ぶスロープは、ひとりだと恐かった(ボランティアの人が助けてくれたので、何とかなった)。

 

 車イスの利用者がスロープを恐いと感じるのは当然です。わたしには、どれほど恐いかがよくわかります。わたしも脳塞栓症(のう・そくせん・しょう)で右半身がマヒしているのですが、病気になるまでは平気で下りていた階段が、マヒをしてからは恐くてたまらなくなったのです。今でも、我が家の2階から1階に下りる階段は、手すりがあるのに恐い。

 

 しかし、段差が乗り越えられないとは、思いもしませんでした。男の子の腕にマヒがあるせいかとも思いましたが、それだけではないようです。電動車イスのモーターの力を借りても乗り越えられなかったのです。館内を自由に動き回るのは、ひとりでは無理だということです。

 

 幼児用の台と車イスでは、要求がバッティングしています。幼児用の台を置いたら車イスは入れない。車イスを優先したら、小さな子が見られない。う~ん......。

 

 外に出た時のようすは次に書きます。

 

 

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館
この夏、第15回ボルネオジャングル体験スクールを実施します。
 ボルネオ島では現地のサイエンススクールの生徒とも一緒にジャングル体験をします。サイエンススクールは、日本でいうところの理系の中高一貫校のような存在です。同年代の友達と交流の機会ができます。

 英語がしゃべれなくても、思いがあればコミュニケーションは成り立ちます。結構楽しいものです。
 特に女子の中学生、高校生の追加の応募を待ってます!!

 一生に一度の夏  ここでしか体験できない夏を過ごしませんか? きっと人生のターニングポイントになるはず!!

 是非、追加でのご応募をお待ちしております!!

http://www.hitohaku.jp/relation/inter-contributions/2014bjs.html



(ひとはく 生涯学習課 ボルネオジャングル体験スクール担当)

6月6日(金)トライやる・ウィーク最終日
博物館ではトライやるウィークとして2週間に渡って中学生を受け入れてきました。本日はトライやる2週目の最終日を迎えました。最終日の様子をご報告いたします。


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地学系収蔵庫で植物化石の標本整理をしました。数多くある化石を採取した地点ごとに並び変えています。

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わらから紙を作る体験しました。はがきやしおりにすると風情のある作品となります。

 

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タンポポの生育調査を手伝っています。兵庫県各地から送られた摘み取った花や、発見場所が記入された用紙を整理しています。


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日誌を記入した後、それぞれ感想を述べながらお世話になった方々に挨拶しました。学校から離れた1週間はどうでしたか?来週から再び学校生活を頑張ってくださいね!

情報管理課 阪上勝彦




6月5日(木)トライやる・ウィーク3日目
博物館でのトライやるウィーク3日目の様子をお伝えします。午前中には中学校の先生方も活動の様子を見学に来られました。


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箱の石から化石を探します。そのあと、化石のクリーニングを行いました。貝の化石がはっきりと見えていました。 明日はクリーニングされた標本を整理してもらう予定です。

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生物系収蔵庫棟内で種子標本の点検を行っています。カビや虫がいないか入念に点検してくれています。もしあった場合は、ピンセットで取り除くことになります。中学校の先生方に見守られ少し緊張気味・・・?


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昨日に引き続き、ダンゴムシの標本作製の実験中です。

明日はいよいよ最終日、残り1日最後までしっかり取り組んでくださいね !

 情報管理課 阪上勝彦


6月4日(水) トライやる・ウィーク2日目
博物館でのトライやるウィーク2日目の様子をお伝えします。

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ダンゴムシ・ムカデの標本を試作しています。 画像はアセトンで脱水しています。次に乾燥させます。
しかしながら、ダンゴムシの色が褪せるなど問題も多く、そのための改良実験を奮闘中です。

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琵琶湖の北側の盆地2か所から採取したボーリングコアを整理しています。
  画像は地下45~48mから採取したボーリングコアで断片上になっているため袋詰めして整理しています。
2か所から採取したボーリングコアを比べ断層のずれを調べます。

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車いす利用者の視点に立って、博物館の不便なところや項目を挙げてまとめてくれています。気付かなかったことも沢山ありました。 参考にさせていただきます。

 

明日から後半戦、慣れてきたところで積極的に行動していってくださいね!

情報管理課 阪上勝彦


6月3日(火)
春のトライやるウィークが2週目を迎えました。今週は三田市立上野台中学校、狭間中学校、けやき台中学校、藍中学校、丹波市立山南中学校からそれぞれ2名、計10名の中学生を受け入れています。博物館初日の様子をお伝えします!
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朝一番、初めに職員の前で自己紹介をしました。
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深田公園で「メリケントキンソウ」の分布調査を行いました。 果実の先端に鋭いトゲがあり、駆除対策が必要となっている外来種です。 深田公園では2011年に初めて確認されましたが、3年後の分布調査をし、拡大の実態を調べるお手伝いをしてもらいました。

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深田公園の脇にある池のガマ掃除を手伝いました。 泥にまみれながらも、頑張ってくれました。
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化石のレプリカづくりで使うための材料を、シリコンで固め作っています。今週末には早速使用するとのことです。失敗は許されません!慎重に取り組んでくれました。

 

今週も博物館のいろいろな仕事が待っています。お楽しみに!

 

情報管理課 阪上勝彦

6月にはいりました。雨季の季節がやってきましたね。ジメっとしていますので、体調にはお気を付けください。 

さて、7月のうきうきワークショップで、「ハナカマキリを作ろう」をおこないます!!

博物館1階、共生の森に、ハナカマキリの模型がおいてあるのはご存知ですか?

恐竜の骨やアメリカマストドンなどの大きな展示物がある中で、少し目立たないかもしれませんが、擬態をする昆虫の中でとてもきれいな昆虫なんですよ♪

私は、ハナカマキリという美しい昆虫についてみんなに知ってもらおうと思い、このイベントを考えました。

私たちのまだまだ知らないハナカマキリの姿かたち、生活、習性を多くの方に知ってもらいたいです。


ハナカマキリハナカマキリ横現在制作中のハナカマキリ!!

1つの紙を、はさみで切るだけの簡単なイベントですが、とてもリアルなハナカマキリになるように、もっと改善していきます。

楽しみに待っていてくださいね♪

                                                    フロアスタッフ 田中 博士

暑い日が続いていますね。皆さんお変わりないですか?
6月のKidsサンデーで出会ったキッズたちは すっかり夏服にチェンジ!
ますます軽快にひとはくで楽しく過ごした様子を
ちょこっと、ご紹介します↓

『しゃぼんだま とばそ!』 どうしたら 大きいシャボン玉ができるかな?
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『にじいろ☆らぼ』 しゃぼん玉をよ~く見たら...「いろんな色が見えるよ!」
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『スーパーストローとんぼづくり』 「こうやってまわすと飛ぶんだよ!」
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『にじいろ☆ショールーム』  貝がら、昆虫・・・化石にも 「にじいろ発見!!」
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ほかにもフロアスタッフのイベントや、ひとはく研究員のオープンセミナーなど
もりだくさんの一日でした。

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次回のKidsサンデーは7月6日(日)です。

いよいよ梅雨入りですね。
雨上がりに、太陽に背中を向けて空をながめたら、
"にじ"が見つけられるかも!

(キッズひとはく推進プロジェクト たかせ ゆうこ)

 日本には、約45種のマダニ類が分布しています。
兵庫県内のマダニ類に関する情報は少ないため、現在調査を実施しています。

多くのマダニ種は、植物上や地表で、吸血源となる動物が訪れるのを待ちかまえています。

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葉裏で待機中のタカサゴキララマダニ雄成虫



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白いネル布で下草や地表をなでながら歩くと、そんなマダニ類を採集することができます。
以下に、今の季節に兵庫県で採れるマダニ類の一部を紹介します。



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フタトゲチマダニ雌成虫
畜産害虫として有名ですが、ニホンジカにもよく寄生しています。
そのため、ニホンジカが多い地域では普通にみられます。
また、山林のみならず、市街地にも分布します。



P5210021s.jpgフタトゲチマダニ雄成虫
雄成虫の背面は、硬い背板でおおわれます(雌成虫は前半部のみ)。



P5220109s.jpgヒゲナガチマダニ雄成虫
ニホンジカに好んで寄生します。
ニホンジカのいない地域ではみられません。



P5220107s.jpgタイワンカクマダニ雌成虫
南方系の大型種です。
成虫はイノシシやツキノワグマに好んで寄生します。
一方、幼虫はネズミに寄生します。



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調査後、ズボンにフタトゲチマダニ若虫が付着していました。
マダニ類は、吸血する際に感染症を媒介することもあります。
今はマダニ類の個体数が多い季節ですので、みなさんもご注意ください。


                      (山内 健生(やまうち たけお)/昆虫共生系研究グループ)

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5月29日(木)に、芦屋市立打出浜小学校の3年生たちとともに、学校のすぐそばにある干潟で野外体験授業を行いました。汚れてもよい靴や服装で干潟に入り、泥だらけになりながら、カニやヤドカリ、貝類などをつかまえてじっくりと観察しました。みんなでがんばって生きものをつかまえたので、特にカニについてはたくさん集まり、立派な調査となりました(正確な数やオスとメスの割合も数えたので、次の授業のときにお知らせします)。野外体験授業を通して、すぐ近くの海辺にもたくさんの生きものがくらしていることを実感でき、身近な海や環境にも興味を持ってもらえたかと思います。またみんなと会えるのを楽しみにしています。

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(和田 年史(わだ としふみ)/流域生態研究グループ)

5月30日(木) トライやる・ウィーク最終日

トライやるウィーク最終日を迎えました。最終日の活動の様子をご紹介します。


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セアカゴケグモの巣をそのまま回収し、クモ、クモに食べられた死骸や葉など仕分ています。クモがどういったものを食べているのか分析調査中です。
 
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まとめとして深田公園のコケマップを仕上げています。採集したコケの名称と採取地点を地図に示しました。
完成した手作りの「深田公園コケマップ」は、ひとはくサロンで掲示を検討中です。お楽しみに!

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震災関連の記事が掲載されている新聞を、日付を確認しながらファイリングするなど環境系の収蔵庫整理を手伝ってくれました。
 
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各班ごとの作業も終了し、最後にまとめを日誌に記入しています。その後、お世話になった博物館職員に挨拶を済ませ解散しました。
また、セミナー等を機会に博物館に足を運んでくださいね!

 

情報管理課 阪上勝彦

5月29日(木) トライやる・ウィーク3日目

博物館でのトライやるウィーク3日目の様子をお伝えします。途中、中学校の先生方も活動の様子を見学に来られました。本日3日目の活動の様子をお伝えします。

 

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50cm×50cmの区画で土の中の生き物の調査を手伝いました。プログラムのための事前調査を手伝ってもらっています。 大きいものではヤスデ・ミミズ・ダンゴムシがいました。この後、土を持って部屋に戻り、土壌の中の小さな生物を観察します。(写真右)

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深田公園でコケの採取し、採集した地点を白地図に印を入れています。この後、コケの名称を確認します。
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環境系の収蔵庫では図書の配架を手伝いました。そのあと、パソコンに向かって図書登録が待っています。

明日は最終日、最後まで気を抜かぬよう頑張ってください!

情報管理課 阪上勝彦



5月28日(水)
 トライやる・ウィーク2日目

博物館でのトライやるウィーク2日目の様子をお伝えします。昨日に引き続き3班に分かれて活動しました。

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標本棚の各部品を確認しながら組み立てました。その後再び分解して棚ごとに部品に印を入れ倉庫へ移動しました。 同じ部品でも、歪み等で一致せず悪戦苦闘・・・
 
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依頼のあった植物の封入標本を紙やすりで磨きました。仕上がりはご覧の通り。展示物の標本も、こんなに磨くのかと驚かされました。
 
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セミナー(箱庭づくり)の材料を準備しています。午前中は石洗い、午後は粘土や樹木の部分を準備しました。 完成品はこのようになるそうです。(写真右)


残り2日、明日はどのような活動が待っているのでしょうか。お楽しみに!

情報管理課 阪上勝彦


5月27日(火)
本年度のトライやる・ウィークがスタートしました。
博物館では三田市立長坂中学校、八景中学校、富士中学校、ゆりのき台中学校、西宮市立塩瀬中学校、宝塚市立

西谷中学校からそれぞれ2名、計12名の中学生を受け入れています。

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初めに職員の前で自己紹介をしました。
 
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本日お世話になる研究員を紹介、その後3班に分かれて活動しました。各班の様子は下記のとおりです。

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セミナー「カメラ作り」で使うための材料を準備しています。 カメラの原理を確認しながら、効率の良い材料を求めながら改良を重ねました。
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秋のイベントに向けて「羽根ペン」を開発中です。 最初にストローで先端の形状をいろいろと試しました。その結果をもとに羽根ペンとして試作品を作りました。
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深田公園でコケを採集し、博物館に戻って種類ごとに特徴を観察しています。 この後、種類ごとに採集地を地図に示すことになります。

残り3日間、この機会に博物館の裏側の仕事を経験し、理解してくださいね!

 情報管理課 阪上勝彦

6月の楽しいイベントをご紹介します♪

◆土・日・祝の13:30~から行っているイベント「フロアスタッフとあそぼう」

6/1(日)かたつむりクイリング ◎4階ひとはくサロン

7(土)画はくの日 ◎場所・テーマは来てのお楽しみ♪

14(土)・15(日)くちばしペーパークラフト ◎3階展示室

21(土)・22(日)けんちくかの日 ◎4階ひとはくサロン

28(土)・29(日)きょうりゅう骨パズル ◎3階展示室

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         ▲かたつむりクイリング                                                           ▲画はくの日

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                      ▲けんちくかの日                                         ▲きょうりゅう骨パズル


◆ひとはくの研究員が隊長となって、公園や博物館を探検するイベント

6/8(日)13:00~ ひとはく探検隊「初夏の鳥をさがそう!」4階ひとはくサロン集合

▼6月のひとはく探検隊・詳しくはこちら http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key11094_subkeyFILE1

▼ひとはく探検隊の年間予定はこちら http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key9185_subkeyFILE2

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いずれも...
受付 10:30~ /4階カウンターにて(定員になり次第終了)
定員 先着20名
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第15回ボルネオジャングル体験スクールの締切間近です。
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▼詳しくはこちらをご覧ください
http://www.hitohaku.jp/relation/inter-contributions/2014bjs.html

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▲博物館のオランウータンにもあいにきてね。

(フロアスタッフ まつだ)

今日の『フロアスタッフとあそぼう』は
たんぽぽモチーフのコースターを作りました。 
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色とりどりの たんぽぽが咲きました。
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このイベントは明日25日も13:00~行います。

みなさまのご参加をお待ちしております。

フロアスタッフ せら ゆうこ

ミュージアムショップに新商品が登場しました。

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▲LaQ(ラキュー)のティラノサウルス・トリケラトプス

こちらはLaQ(ラキュー)といって球体ができるブロックのおもちゃです。
ティラノサウルスやトリケラトプスなど恐竜を作ることができるキットが販売中♪
ミニサイズと大きめのサイズがあります。

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▲大人気の恐竜フィギュア                                         ▲「丹波の恐竜フィギュア」販売中!

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ほかにも昆虫グッズなどが豊富にありますよ。
ぜひ、お土産にどうぞ♪


7/19(土)からは「ゾルンホーフェンの化石コレクション展」(~11/3まで開催)が始まります。
博物館の恐竜・化石もじっくりご覧くださいね。
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▼ゾルンホーフェンの化石コレクション展(予告)および関連セミナーはこちらhttp://www.hitohaku.jp/exhibition/planning/solnhofen.html

                                                                                                             (フロアスタッフ まつだ)

今日はさわやかな青空のもと、
藤本研究員の企画中のセミナーの試行のため、
深田公園でピクニックランチをしました。
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木陰に広げたピクニックラグに座り、
あたりを見回すと・・・
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満開のシロツメグサの花畑では ミツバチが蜜を集めたり
テントウムシがアブラムシを探したりと
生きものたちがいそがしく動きまわっています。

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ヨトウムシ
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シャクトリムシ

ガの幼虫も何種類か遊びに(?)来てくれ楽しいひとときになりました。
みなさん、ひとはくにお越しの際は、
深田公園で生きものとの出会いあふれるピクニック、おすすめですよ^^


生きものの気配は公園の水辺にも満ち満ちています。
池に近づくと、私の気配に気づいた生きものが「キョエッ!」という声とともに水に飛び込む音が。

水の中には小さな魚もスイスイ・・・ん?あれは何?
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大きな石?にしては模様がふしぎ...
もしかして・・・?
長い枝でツンツンしても動きません。

「藤本先生、水の中に大きなカメがいる~!」
「なになに~?! わ、でかい!」


池に元からいる住人ではなさそうなので、
博物館に戻って専門の研究員に相談してみることに...!

<第二幕につづく・・・>
           (キッズひとはく推進プロジェクト/たかせゆうこ)

5月18日(日)ドリームスタジオの見学を終えて、企画調整室でPCに向かってると、
「「自然の流れ」に、でっかいカメがおんねん!」と、藤本研究員と科学コミュニケーターの高瀬さんが、興奮気味に、やってきた。


「でっかいクサガメが歩いてんのん、見たことあるけど・・・ でかいって、どれくらいなん?」

藤本さん、両手を肩幅くらいに広げ、「これくらい!」と、6、70cmくらいを示す。

「そら、ないやろ〜〜」(冷静)

「高瀬が写真撮ってるで!」というので、見せてもらうと、水面が光ってよくわからない写真だったが、甲羅の模様は、クサガメやアカミミガメとは違うことがわかった。

正体がわからないのも困るので、とりあえず、現地を見に行ってみることに。


実験セミナー室に置いてある、柄の長さ1.8mほどの丈夫な魚網を取り出し、肩に担いで、深田公園へ。

「そんな網に、入れへんで。めっちゃ、でっかいねんから!」と、藤本さん。

「頭から半分くらい突っ込んで、持ってきたらええがな」と、私。

 

ちょっとワクワクしながら、「自然の流れ」に着いた。

季節は進み、ガマの葉は伸び、ずいぶんアオミドロが繁茂している。
水際から1mほどのところに、白っぽい、ハンドボールみたいな物体が沈んでいるのが見えた。
逃げられないよう、さっと網を入れてみるが、動きがない。

あっけなく、網にすっぽりと入った。

「あれ。入ったね・・・」


それほど巨大なカメでは、なかったのだった。
ときどき、いてはります。「うちの田舎には、こんなにでっかいヤンマがいる」って、両手の人差し指を立てて30cmくらいの大きさを示す人とか。
気持ちは、よくわかる。


引き上げてみると、カメは死んでいた。
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生きたカミツキガメじゃなくてよかった。
ペットで飼われてるリクガメっぽい。見たことある。


さて、どうしよう・・・?

「水に戻しとこか?」(藤本)
「なんでやねん。来月、トライやるウィークでここの管理すんのに、腐ったカメが沈んでたら、イヤやろが。」
「カメが出てきたら、トライやるの中学生も喜ぶやんか!」
「喜ぶかいな。臭いがな」

でも、とりあえず、だれか研究員にきいてみるか?
いらん、って言われたら、土に埋めるか、燃えるゴミだな。

高瀬さんが用意してくれた袋に入れて、持って帰ることに。
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ううっ、臭い!

5月のさわやかな風は、腐敗臭も容赦なく運んでくれるのだった。

男の子の私が、担いでいく係・・・
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ズッシリと、けっこう重い。しかも、臭い。

グォーン、グォーン。
背後から聞こえるウシガエルのうなり声は、ご苦労さん!と言ってるようだ。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

博物館に帰ってググってみると、ヒョウモンガメっぽい。

展示などで使えるかどうかわからないが、生態研究部に電話すると、和田さんがおられた。
「えーっと、和田さんは、カメに興味ありますか・・・?」

事情を説明すると、ウミガメを研究している客員研究員の岡本さんと、いっしょに見に来てくれた。
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お二人は、寸法を測ったり、写真を撮ったり。

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岡本さんいわく。
立派な個体ですね。
売ってるのは数センチですから、ここまで大きくするには、だいぶかかりますよ。10年とか・・・
甲羅の状態からして、丁寧に育てられたんだと思いますよ・・・

専門家には、いろんなことがわかるんだ。感心。

そばで素人たちは、
死んだから捨てられたのかな? でも、あそこまで運ぶのも、重たいで。
それとも、逃げ出して歩いてきたのか?、はたまた何かに絶望して・・・
名前付けなあかんな。ふかちゃんとか・・・
などと、たわいのない話を繰り広げるのだった。

「ところで、これって、うれしかったですか?」(藤本さん)

「まあ、そうですね」(岡本さん)

がんばって担いできた甲斐があったというものだ。


最後には、段ボール箱に収まったカメさん。
博物館の冷凍庫へ向かったのだった。
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(八木 剛 記)

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ひとはく探検隊とは、ひとはくの研究員が隊長となって、公園や博物館を探検するイベントです。

5/11(日)の探検テーマは「公園の小さな生き物をみに行こう!」

当日はよく晴れて気持ちいいお天気でした。
池田先生のトカゲ・カエルのレクチャーを受けてから、博物館のとなりにある深田公園に出発!

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公園のあちこちの茂みをみてまわりましたが、なかなかみつかりません。
やっとトカゲがみつかった!と思ったら...すばやく逃げてしまいました。

トカゲやカエルは捕まえることができませんでしたが、カエルの赤ちゃんのオタマジャクシは、
深田公園の池で泳いでいるのをみることができました。
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ふたたび博物館へもどって、池田先生が飼っているヤモリや貴重なコモドドラゴンの頭骨標本をみせていただきました。

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トカゲは鳥など天敵におそわれるとしっぽを自分で切り、切れたしっぽに鳥が気をとられているうちに逃げます。
切れたしっぽはまた生えてくるそうですよ。はじめて知ってびっくりというお客様も!

来月のひとはく探検隊は...
6/8(日)13:00~ ひとはく探検隊「初夏の鳥をさがそう!」
深田公園へ出て、双眼鏡を使って初夏の鳥を観察しよう! 

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▼6月のひとはく探検隊・詳しくはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/datafiles/?id=syskey1_key11094_subkeyFILE1

▼ひとはく探検隊の年間予定はこちら
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みなさまのご参加おまちしております。

(フロアスタッフ まつだ)

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平成26年度「ENEOSわくわく生き物学校」をラムサール条約登録湿地の豊岡市田結地区にて開催します。今年は、6/21-22に実施いたします。この時期はちょうどホタルやモリアオガエルの季節です。運がよければ、3種類のホタルが同時にみれるかも知れません。この取組みは、豊岡市さんの主催、JX日鉱日石エネルギー株式会社の協賛で行っています。コウノトリの野生復帰に関する取り組みを知っていただくだけでなく、現地にて簡単な自然再生にみんなでトライします。ひとはくでは、毎年この取り組みを、お手伝いしています。
さて、参加資格ですが、こちらは豊岡市外の小学校4~6年生の児童と保護者各1人のペアが対象です。湿地での活動に興味のある方、体験してみたい方、ぜひ、申し込みください。

詳しい内容や申し込み方法は、豊岡市のHPをご覧ください。
http://www.city.toyooka.lg.jp/www/contents/1398224450142/index.html

<活動の概要>
1 主催:兵庫県豊岡市
2 協賛:JX日鉱日石エネルギー株式会社
3 協力:兵庫県立人と自然の博物館、兵庫県立コウノトリの郷公園、コウノトリ湿地ネット、豊岡市田結区
4 後援:環境省近畿地方環境事務所(予定)
5 活動内容
(1) 開催日時:平成26年6月21日(土)~22日(日)
      ●集合 21日(土)午後1時  ●解散 22日(日) 正午
      ※集合解散場所:豊岡市城崎支所(城崎町桃島1057-1  TEL:0796-32-0001)
(2) 開催場所:兵庫県豊岡市内(兵庫県立コウノトリの郷公園および豊岡市田結地区)
   ※時間に関しては、およその目安です。
   ※当日の状況により内容を変更する場合があります。

6 申込方法
  参加申込書に記入の上、郵送またはファックスで申し込みください。
  【申込期限:平成26年5月23日(金)】

ご参加をお待ちしております!


(みつはし ひろむね)

           宝塚市立西山小学校の 生徒さんたちです。ここはどこかな~?

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  1階展示室の絞め殺し植物の穴から でてくるでてくる~  なんと20人も入っていました~

s-20140509140704.jpg        西山小学校3

    

                           新記録達成!?    やった~ピース! 
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                     みなさんとっても仲良しですね~(*^_^*)
                                           フロアスタッフ小野
  

                                            

この秋,広島大学で9月13日から開催される日本昆虫学会74回大会で,小中高生ポスター発表を企画しています.
大会から優秀な発表には賞も授与されます.

学校やクラスで,昆虫の研究に取り組んでいるなら,是非,腕試しに発表してみるのは,どうでしょうか.
申し込み方法など,詳細は昆虫学会大会のホームページで確認ください.
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/insect-eco/admission.html

橋本佳明(自然環境評価研究部)

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藤の花房をやさしくゆらす
さわやかな風が吹きわたる5月4日、Kidsサンデーが開催されました!
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「これやってみたい!」

お天気に恵まれて、ひとはくの建物の中や外(公園)でキッズが楽しむ姿が見られました。

◆丹波の恐竜化石発掘セミナー
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 みんな真剣に化石をさがして、
 いつも「ひとはく恐竜ラボ」で化石をクリーニングしている 
 スタッフの方に確認してもらいます。「どれどれ...」

 
◆デジタル紙芝居『丹波の恐竜タンタンものがたり』
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フロアスタッフ手作りの「動く」紙芝居です。

◆展示室ツアー『ひょうごの自然じまんツアー』
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 「コウノトリとボク、どっちが大きい?」

◇ひと休み&お昼ごはん

 深田公園では 鳥の声や風の音を聴きながら ほっとひと休みできます。
  ※チケット(半券)があれば再入館できます。
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◆フロアスタッフとあそぼう『ティラノ☆ハット』
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 「がお~っ!」かわいいティラノサウルスがたくさん誕生しました!

◆パネルシアター
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 野ネズミさんやクマさんなどが主人公の楽しいおはなし。

◆サイエンスショー『風車(かざぐるま)で風とあそぼう』
140504KS風車.JPG よく回る風車を作ったら、外で風と遊ぼうね! 

◆run♪run♪Sunday『アメンボ』
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 昨年も大好評だったアメンボとり!
 家族みんなで協力&競争しながら ワイワイ♪アメンボを追いかけました。「とれたかな?」

◆『わくわくネイチャー・テクノロジ~水にうく生きもの~』
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 水にうくアメンボなどのしくみを実験をして探ってみました。

次回のKidsサンデーは6月1日(日)!

Kidsサンデーにお越しの際には
毎月変わるプログラムと一緒に
ひとはくの周りの日々変わる自然も楽しんでみませんか?


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タンポポの周りではどんな風が吹いてるのか、風車で調べてみてもいいかも!

             (キッズひとはく推進プロジェクト/たかせゆうこ)

5月のゴールデンウィークは、みなさんどうお過ごしでしたでしょうか?
人と自然の博物館では、キッズサンデーなどたくさんのイベントもあり、大盛況!
5月4日は、大人気のイベント「丹波の恐竜発掘セミナー」や、私たちフロアスタッフのイベント「ティラノ☆ハット」もおこない、恐竜づくしの日となりました。

「ティラノ☆ハット」のイベントでは、まずは恐竜のお話「丹波の恐竜タンタンのナイトミュージアム(ダイジェスト編)」を上映し、恐竜の世界にみなさんをご案内。
次にクイズでは、恐竜に一番近い生き物が「鳥(トリ)」であることに、子どもたちはビックリ!!
ティラノ☆ハットを作り始めると、みなさんがもくもくと手を動かし、真剣につくられていました。
ティラノ☆ハットつくろう!


















出来上がったら、全員で...
「はい!  ガォ~ w w w !!」
小さなティラノサウルスたち!













小さな肉食恐竜ティラノサウルスの子どもたちはみんな元気いっぱい。
また楽しいイベントをたくさん予定しております。
ぜひ、ご参加くださいね♪♪

                                                                                        フロアスタッフ 田中



seminar1a.jpg5月3日(土)に、京都府立峰山高等学校の1年生が来館してくださり、特注セミナーを開催しました(4月に着任したばかりの私にとっては初めてのセミナーでした)。お話しした内容は「沿岸生態系とそこにくらす海洋生物」。日本海側の海の特徴とそこでくらす多様な海洋生物を紹介しました。セミナー後は、イカ・タコ類(頭足類)の標本をいくつか見ていただきました。身近な海洋生物の魅力が少しでも伝わっていたらよいのですが。。。また、お会いできるのを楽しみにしています。

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(和田 年史(わだ としふみ)/流域生態研究グループ)
IMG_6168.jpg昨日、5月2日に加西市立西在田小学校の横を流れる若井川で水生生物の観察を行いました。昨年度、加西市では生物多様性戦略を策定。これを機会に、市からの依頼を受け、加西市内のいくつかの場所で観察会やキャラバン事業(移動展)を行いました。地域にある自然環境を再発見して、観察会や自然体験の機会をつくることが大きな目的の1つです。加西市さんの生物多様性に関する事業は、昨年だけで完了しましたが、キャラバン事業を実施した市立西在田小学校では、引き続き関心を持ってくださっています。学校のすぐ横で、色んな生き物が採集できて、100名近くで川に入れることも、大きな魅力。今後も持続して観察会ができそうです。観察会には、いつも博物館でもお世話になっている加西ナチュラリストクラブの3名の方にも応援いただきました。

観察会の様子はこんな感じです。1年生から6年生まで全員参加で、高学年の子が1年生などの世話をみてくれています。
川の水温もほどよく冷たく、水位も下がっていてとても良い条件で採集できました。
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nishiarita_3.jpg nishiarita2014_4.jpg 
ちょうど膝までの水深で、所々に深いところがあって、全身びしょ濡れの子どもいましたが、まったく動じることなく採集に夢中です。

採集した生物は水槽にいれて台の上に集めて、いくつかの種類をとりあげて解説します。そのあと、しっかり観察できるように種類ごとにタッパーにいれておきます。アカハライモリやドンコ、カワムツ、オニヤンマ、アメリカザリガニ、トノサマガエルなどの大きなもののほか、ニンギョウトビケラやトビイロトビケラの仲間、コオニヤンマ、ハグロトンボ、コシマゲンゴウロ、ミズカマキリ、コオイムシ、コバントビケラ、ヤマモトセンカイトビケラの仲間、ナミウズムシ、カワニナなど、たくさんの種類がとれました。ちなみに昨年度の観察会では、約53種類が採れています。
さて、今年は何種類だったでしょうか。黒板にざっと書き出してリストをつくったところ、およそ51種類が記録されました。おおむね、昨年とおなじぐらいの種類となりました。昨年に比べて、カワニナの個体数がぐっと増えていましたが、カゲロウの仲間やサワガニ、ドジョウなどが見つかりませんでした。外来種のアメリカウズムシが増えていることも気になるところです。

nishiarita2014_6.jpg学校には、採集した水生生物の液浸標本とアップで撮った写真が保管されていて、このあとの学習でしっかりと観察できると思います。小さな昆虫にも関心をもってくれたり、カワニナがひっつく仕組み、大雨のときにどこに逃げるのか、など色々な疑問が生まれています。年度の最初にこうした体験を伴うことで、このあとの色んな授業での関心が高まることを期待したいです。


これと並行して、若井川では小さな実験をしています。ここからが真骨頂!
小規模な対策による自然の修復は、「小さな自然再生」と呼ばれています。ここでも挑戦しています。

川のなかに大きな石を集めて上向きの堤防を昨年7月の授業でつくりました。たった1時間の作業で、しかも仕組みはとっても単純ですが、効果はそれなりにあります。下の左側の写真は昨年に工事をして2週間経ったところです。右側は昨日の写真(2014年5月)です。昨年は、大きな洪水が何度かあって、小さな石は流されましたが、大きめのものは、そのまま維持されています。周りに散らばった石は、小学校のみなさんが集めて修復してくださりました。簡単に治るのもこうした取り組みの気軽さです。

まず、上流側と写真の右側に土砂が溜まって浅瀬ができました。写真左側の突き出したところは、流れが速くなって瀬になったほか、深みができて魚がついています。さらに、写真右側の下をご覧ください。洪水のときに、流れが右側に寄るので、この部分が掘れてワンドが自動的に出来ています。今年の観察会では、この部分で、たくさんのカワニナ、魚やアカハライモリが採れました。
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右側のところを反対からみると下の写真のようになっています。ばっちりワンドと水みちが出来上がっています。この水路部分は、増水したときだけ流れて、泥は定期的に流されます。普段は水たまりに近いもので、泳ぐのが苦手な生き物の住処になります。
下の右側の写真をご覧ください。予想よりも変化が大きかったのが上流側です。おそらく洪水のときに突堤がじゃまして水位があがり、上流側はかなり水深が深くなりました。おかげで魚はたくさんいついているのですが、子どもが入るには危ないぐらいの水深に。こんな小さな仕掛けでも、ちょっとだけ変化のある川になりました。

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普通なら、素通りしてしまいそうなところですが、キャラバン事業がきっかけとなっていくつかの発見もあって有意義なものとなりました。
(ヤマモトセンカイトビケラの仲間、モリクサツミトビケラの仲間がたくさん採れてよかったです)
加西市のみなさん、西在田小学校のみなさん、加西ナチュラリスト倶楽部のみなさん、大変お世話になりました。
引き続き川での活動を続けていただければと思います。

美麗でモノ珍しいものを陳列するタイプの移動博物館とはまた違った形で、地域資源を生かしたユニークで持続可能な活動プログラムをつくってゆくことができればと思いますので、みなさん引き続きご協力のほどよろしくお願いします。

(みつはしひろむね)

こちらは博物館の3階入口です。
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ハナミズキが、色鮮やかでキレイですね。

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ひとはくは、ゴールデンウィークもイベントもりだくさんですよ♪


5/2(金)
は、うきうきワークショップ~簡単!化石のレプリカづくりを行います。

好きな色を選んで、オリジナルのアンモナイト化石を作ってみましょう。
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時間:10:30~16:00(時間内でしたら、いつでも参加できます)

場所:4階ひとはくサロン(材料費100円)

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◆フロアスタッフとあそぼう「ひとはくこどもの日スペシャル
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5/3(土)・4(日)は、「ティラノ☆ハット

5/5(月・祝)・6(火・休)は、「さかな万華鏡」がありますよ。くわしくは、下記の案内をご覧ください。

 

▼「ひとはくこどもの日スペシャル」

http://www.hitohaku.jp/news/files/kodomo_special.pdf

▼5月イベントカレンダーはこちら
http://www.hitohaku.jp/MusePub/EventCalendar/#cal_top


みなさまのご参加お待ちしております。

(フロアスタッフ まつだ)

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして51

憂うつな数学者-2

三谷 雅純(みたに まさずみ)


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 大学の理学部で習う数学は、授業を2、3回さぼると、もう何をやっているのかわからなくなります。と言うより、数学はとことん抽象性の高い学問なので、「他人の解き方を学ぶ」のではなく、「自分にあった思考法のイメージを見付ける」学問だと理解しています。わたしの場合、数学(の「お勉強」)は高校までは、それなりに得意だったのですが、大学ではあっさりと挫折しました。以後、研究に必要な最低限の数学しかしていません。ですから、3回生や4回生の専門課程で数学を専攻した友人は、どこかまぶしく、光り輝いているように見えたものです。

 当然、数学者になるものだと思っていた、そんな友人のひとりは、大学院に進学するかどうかで迷っていました。結局、その友人は「自分には、とても数学者になる才能があるとは思えない。だから数学者になることは諦める。大学院には進まず、数学の教師になろうと思う」と言ったのです。なぜその人が数学者ではなく教師になろうと思ったのか、真意はわかりませんでした。きっと数学者になるには、人並み外れて「個性的」である必要があったのでしょう。友人は常識人であり過ぎたのかもしれません。

☆   ☆

 シルビア・ナサーの『ビューティフル・マインド』(新潮文庫) (1) は、数学者ジョン・ナッシュ (John Nash) の伝記です。ナッシュの数学者としての思考力は、群(ぐん)を抜いていました。大学院時代に研究したゲーム理論では、後にノーベル経済学賞を受けています。しかし、その振る舞いは自己中心的でした。ナッシュは発達障がいのせいで、自分以外の第三者にも<こころ>があるのだと、なかなか認識できなかったのです。

 ナッシュは傲慢(ごうまん)でした。マサチューセッツ工科大学 (MIT) に教員として勤めていた頃、あんまり他の数学者をバカにするので、「Gナッシュ」(この本では「歯ぎしり野郎」と訳してありました:英語の "gnasy" は歯ぎしりのことです)とあだ名が付きました。すると反対に、こう言い返したそうです。

「Gはもちろん天才 (Genius) のGさ。実際、このごろのMITには天才がほとんどいないからな。そりゃ、まず、ぼくさ」(p. 352)。

 またナッシュは、得意そうに社会的俗物性をひけらかしていたそうです。この本には「自分は旧家の出であるとほのめかし、パーティではワインの香りを嗅(か)いで、『うん、これはなかなかいけるキャンティだ』などと言った。とりわけその俗物性が際立ったのは『ほとんどユダヤ人ばかりの社交場で、自分はユダヤ人ではない』と強調したことだろう」(p. 352)と書いています。ナッシュが人種差別論者であったのかどうかはわかりませんが、少なくとも「人種差別論者」として振る舞ったのは確かです。これは発達障がい者によく見られる、幼児性の表れだと思います。

 このような自己中心的な振る舞いは、家族にも向けられました。ナッシュには奥さんの違う息子がふたりいたのですが、最初の奥さんとは、通常の夫婦関係が築けませんでした。と言うより、ナッシュには、その奥さんや、ふたりの間に生まれた赤ん坊が、自分と同じように<こころ>のある存在だとは理解できなかったのです。奥さんの言葉によれば、ナッシュは「(息子のためにではなく、自分の満足のために)息子のそばに、いつもいたいようでした」(p. 414)と言っています。しかし、充分な給料をもらっているにも関わらず、当然負担するべき赤ん坊の養育費や奥さんのための生活費は負担しなかったそうです。

 2番目の奥さんは、ふたりの間の子どもの事よりも、まずナッシュのことを考えて過ごしたようです。この奥さんはエルサルバドルの裕福な家庭の出身でした。お金には困っていなかったという出自も、ナッシュのことだけを考えて生活できた事に関係があったのかもしれません。

 

 そのような人と友人として付き合うのは、わたしには、ためらわれます。できれば付き合いたくない。しかし、ナッシュのような人は、どこにでもいるものです。あなたの周りにも、きっといるでしょう。付き合わずに済ますというわけにはいきません。第一、気付いていないだけで、私たちの中にも「ナッシュ」が潜んでいるのかもしれないのです。

 

 数学者としての高い能力やノーベル賞の受賞という世間的な成功とは裏腹に、ナッシュのたどった人生は、決して成功したものではありませんでした。ナッシュの発達障がいには統合失調症の遺伝的素因がありました。統合失調症には遺伝的な要素が深く関わります。ナッシュの統合失調症は、ふたり目の息子が生まれた時期から現れます。30歳頃のことでした。この時期から10年以上に渡って、ナッシュは入退院を繰り返しました。

☆   ☆ 

 わたしは、この本を読む時、注目したことがふたつあります。それは:

1 統合失調症がよくなった後、ナッシュは第三者にも「その人独自のこころがある」と悟るようになるのだろうか? そして、

2 統合失調者であるナッシュの子どもは、どのような人生を送るのだろうか?

 というふたつです。



 治療の後、ナッシュは、「人には誰でも、その人なりのこころがある」と悟った態度を取りました。例えば、ノーベル賞を受賞した後のエピソードでは、

「実のところ、現在のナッシュの生活にとって、研究は主要な事柄ではなくなっている。重要なのは、家族や友人や共同体と再度結びつきを深めることで、これはすぐにも実行しなければならない緊急事態だった。彼のなかでは自分が他人に頼り、他人も自分に依存する関係について、むかし抱いていた恐れはもう消え失せ、自分を必要とする人々と和解し、その世話をしたい気持ちが一番大切になっていた。いまでは、およそ二五年も仲たがいしていた妹マーサと週に一度は電話で話をし、息子のジョニーが、もっとも大事な、絶え間のない関心の対象となっているのだ。」(p. 911~p. 912)

とあります。統合失調者であったナッシュの人生は、すっかり変わりました。そのうちにナッシュは、

 

「頑(かたく)なで、よそよそしく、自己中心的で、時間に(金銭にも)うるさかったナッシュが、いまでは皿洗いも、預金の出し入れも、毎月曜の晩に連れ立って家族療法に出かけることも、まずアリシアに相談せずには何ひとつ勝手にことを運ばず、彼女の言うことを聞き、彼女を助けようとして」(p. 918)

いたということです。アリシアというのは2番目の奥さんのことです。このようなエピソードについて、この伝記を書いたナサーは:

「ナッシュは、おそらく知的には後退し、若いころに匹敵する業績はもう達成できないかもしれない。だが、かつての人間以上の人間になったのはまちがいない」(p. 925)

と述べています。穏やかな生活ができるようになったのなら、それが一番です。数学者としてキラキラ輝いていた(ギラギラしていた?)としても、友人はおろか、家族のこころも認識できないよりは、ずっと幸せなのではないでしょうか。

☆   ☆

 ふたりの息子の内、弟は父に似て大学で数学を教えました。そして統合失調症も出てしまいました。弟の名前はジョニーです。

「(ジョニーの症状は)しばらくのあいだは落ち着いていたが、そのうちに紙で作った王冠をかぶり出した。ある日の午後、彼は金がほしくなり、自分は国王(ソブリン:独立国家の統治者)だと信じていたためにソブリン銀行から金が引き出せると考えた。ところが、銀行前のATMから現金は出てこないどころか、差しこんだ銀行カードも戻ってこない。みじめな思いで動揺したジョニーは、ソブリン銀行に口座を持っている母に、ATMのところへきてカードを取り出してほしい、と電話をする。(中略)そのうちに(自分の思い通りにならないので)ジョニーが怒りだし、太い棒きれを拾い上げて、はじめに(息子の窮状を聞いて駆けつけていた)母を、それから父を突きはじめた。通りの向こうの歩行者が、若い男が年老いた男女を脅している光景を見て足をとめた。ナッシュはそのひとりに向かって、警察を呼ぶように大声で頼んだ」(p. 912~p. 913)

☆   ☆

 父と音信がなかった長男ジョン・デヴィッドは看護師になりました。長男は他人の力になることに喜びを見いだしたのです。しかし、ジョン・デヴィッドに再会した時、長男のためにと思ってしたことのようなのですが、ナッシュは真意に反して「冷淡でよそよそしい、と言われかねない言い方しかできなかった」そうです。「仕事の選択にも文句を言い、看護師などは、自分の息子にはそぐわない職業だとほのめかし、看護学の修士号を取るぐらいなら医科大学に入るべきだ、と強要した」ということです。この長男へのふるまい方を見ると、ナッシュの本質は何も変わらず、「ナッシュはナッシュのままだ」と言いたくなってしまいます。

☆   ☆

 統合失調症のような遺伝的な病気では、「治癒」とは呼ばず「寛解(かんかい)」と言います。統合失調症は「治る」のではなく、「落ち着く」ものなのです。それは一生付き合うべき、性格のようなものです。ですから、その人を遠ざけたり、閉じ込めたりするよりも、症状が落ち着いたら、できるだけ社会の中で生活するように仕向けるべきです。

 かつて統合失調症は不治の病だと思われていました。しかし、ナッシュのように寛解(かんかい)して、ふたたび社会生活を送れる人が現れました。今では、かなりの統合失調症が寛解(かんかい)の後、社会に復帰しているはずです。それを実現するためには、クッションのような柔軟な共同体が必要でしょう。そして統合失調症者は、時として「悪夢に捕らわれる」のですから、統合失調症者の良いところとともに悪いところも、周りの人はよく理解しておく必要があります。ノーベル賞の受賞記念講演によれば、ナッシュの精神の安定には大学の図書館が効果的だったそうです。図書館であれば静かな上に、必要であれば情報がすぐに利用できる環境だからです。また、当事、新たに起こったコンピュータのプログラミングに没頭できたことも、効果があったと言うことです。何が良いかは、きっと、その人によって違うのだと思います。


 長男への態度を見ると、自己中心的で傲慢(ごうまん)なままのナッシュでした。このような人を見ると、無念な気持ちになります。落ちつている時もあるのですが、問題によっては、簡単に以前の自分に戻ってしまうのでしょう。

 ナッシュの苦しみは、どのようなものなのでしょうか? わたしには、この本を読んでもまだ、十分には実感できません。しかし、その苦しみが積み重なって、時には穏やかに、時には傲慢(ごうまん)になる。このことを考えていると、わたしたちの人生も同じなのだと気づきます。こうと決めたからといって、その通りにできる人などはいません。その上、人は誰しも自分の人生を逃れることはできないのです。それを、自分を縛る「鎖」と考えるか、「自由への跳躍台」と考えるかは、その人自身によるのでしょう。努力は実を結ぶこともあるし、結ばないこともある。しかし、結ばなくても、努力することで新たな生き甲斐が生まれるのだと思います。今のわたしは、それを信じています。

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(1) 『ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』(シルビア・ナサー 著、塩川 優 訳、新潮文庫 シ-38-6)

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

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この夏開催予定の収蔵品展「ゾルンホーフェンの化石コレクション展」(7月19日ー11月3日開催)に先立って、関連講座がいよいよ5月からはじまります。
ゾルンホーフェンは、中生代ジュラ紀の良質な化石が出土することで有名です。中生代といえば、恐竜が
いた時代と思われる方が多いと思いますが、現在見られる生物群が出揃った時代でもあります。
昆虫、植物、爬虫類など様々な生物群を例に、中生代をどう生きて今につながるのかを解説するセミナー
を開催します。第1弾は池田研究員による、「恐竜時代のトカゲたち」5月31日(土)です。
お申し込みはこちらから。
http://www.hitohaku.jp/musepub/seminar/?id=2014A02

高野 温子 (展示マネージャー/ 自然・環境評価研究部)

新緑が美しい深田公園で、本日来館された小学生、中学生のみなさんが、ランチをとられていました(^^)/
あまりにも気持ちよさそうなので、博物館4階から、写真を撮りました。

ランチ中~    













                                                                                                                        
                                                                                                     
                                                                                                          
                                                                                  


                                                                            



館内で学習したあとは、深田公園で木々や生き物の観察ができますよ♪
ぜひ、ひとはくへお越しくださいね。

笹山由利子(フロアスタッフ)






                                                                                                

久しぶりの流星群 出撃してきました !(^^)!

1時間ほどボッーと見てて、肉眼では数個目視できたのですが、写真には残らず....


 興味のある方は是非夜空を見上げてみてください
外部リンクですけど →  http://www.nao.ac.jp/astro/sky/meteor-stream/major.html
1年かけて、植物や昆虫のすてきな標本をつくって、展示しようという、新しいセミナーです。
担当は、高橋 晃(植物)と、八木 剛(昆虫)です。

2014年4月19日。
午前中は、展示とは何か、なぜこのセミナーを企画したか、の講義をしました。
博物館の展示をつくるには、専門的な知識や、技術も必要です。
ということになっていて、研究員が展示をつくっています。
でも、展示を見る人は、研究員ではありません。
われわれ研究員は、展示を見る人の視点に立っているのでしょうか、立つことができるのでしょうか・・・
原点に返って、身近な発見、経験を、素直に表現するにはどうすればよいのでしょうか。
それには、分野の異なる研究員や、一般の方々といっしょに考え、創造する方がいいのかもしれません。
そんな疑問や自省や、挑戦の意識を込めて、このセミナーを企画しました。
われわれ研究員にとっても、チャレンジです。

午後は、これからのフィールドとなる、深田公園を散策しました。

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ツクシとスギナは、同体。私は、はじめて見ました。

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八重桜が満開です。

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カラスノエンドウが、七部咲きくらい。

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スミレ(左)、アリアケスミレ(右)
きれいですね。標本として色や形を残すのは、難しいです。
この美しさを表現するには、どうすればいいのでしょう。

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ノヂシャ。小さなかわいい花です。植物って、立体的なのですね。

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シロコブゾウムシがいました。この日は低温で虫は少なかったです。

昆虫は、乾燥標本として、色や形を残すことが、比較的容易です。
植物は、難しいですね。
展示室に持ち込むこと自体に、無理があるのかもしれません。

さて、どういう展開になりますことやら。
われわれの作品は、来年3月に展示することにしています。
どうぞご期待ください。

(八木 剛 記)

こんにちは、フロアスタッフです。
博物館のとなりにある深田公園は、春のあたたかな陽気につつまれています。
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お弁当を持って、公園で食べるのもいいですね!

さて、フロアスタッフとあそぼうひとはくこどもの日スペシャルのご案内です。


♪やねより たかい こいのぼり~

4/26(土)・27(日)・29(火・祝)は、「こいのぼりをとばそう」を行います。

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カラフルな花紙で、よく飛ぶこいのぼりをつくってみませんか?(参加無料)

時間13:00~(受付10:30から4階カウンターにて開始)
場所:2階展示室

ほかにも、楽しいもよおしが色々あります♪下記の案内をご覧ください。

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▲クリックで拡大します

化石のレプリカや、恐竜の帽子、万華鏡もつくれるよ

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ひとはく博士がかぶっているのは「ティラノ★ハット」
こちらは5/3(土)・4(日)のイベントで作ることができますよ♪

みなさまのご参加お待ちしております。

(フロアスタッフ まつだ)

2階展示室、ひとはく生物多様性フロア〜魅せる収蔵庫トライアル〜の「収蔵庫体験ラボ」に展示している昆虫標本を入れ替えました。

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作業中です。

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入れ替え完了。
(入れ替える前は、色とりどりのチョウでした)

テーマは、引き続き、「ひとつずつ、ちがう」です。
私たち一人一人の顔が違うように、昆虫も、二つとして同じ個体はありません。
個性、多様性、ですね。みんなちがって・・・♩

「収蔵庫体験ラボ」には、キャラバン等で活用できる昆虫などの貸し出し標本セットを、収蔵庫のように収納しています。
今回、新たに、タマムシやコガネムシなどの甲虫類の貸し出しセットが、135箱加わりました。標本数として、2,900点あまりです。
昆虫はちょっと苦手・・・という方にも、おやっ?と関心を持ってもらうことを願い、標本の並べ方に、工夫しています。
ぜひごらんになってください。

(八木 剛)

4/13(日)の13:00~より、1階共生の森におきまして
フロアスタッフとあそぼう「画はくの日~ボルネオジャングル~」を行いました。

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画はくの日とは、博物館の展示をじっくり観察して絵をかくイベント。毎月いろんなテーマで描いています。

ラフレシア、オランウータン、コノハムシ...などジャングルには不思議ないきものがいっぱい♪

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▲カニクイザル(左) やクロサイチョウ(右)もいますよ。

みんな、特徴をとらえて丁寧に描いてくださいました。

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できあがった絵は4階ひとはくサロンの休憩コーナーに展示しております。
サロンがよりいっそう、にぎやかになりました。

ご参加ありがとうございます!
ぜひ、みにきてくださいね。

ちなみに1階共生の森には、
ドリアンとジャックフルーツの重さ体験ができるコーナーがあります。

ひとはく博士がチャレンジしてみました。

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結果は...?
ドリアンがどれくらい重いのか?
ぜひ、みなさんもチャレンジしてみてくださいね!
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▲オランウータンとひとはく博士

(フロアスタッフ まつだ)

教職員・指導者の方に耳よりセミナー情報♪


 昆虫好きの子どもたちがたくさんいます。これから夏に向けいろいろな昆虫との出会いがあることでしょう。


 そこで、特に学校の先生や環境学習などの指導者の方にオススメのセミナーがあります!!

      【昆虫で学ぶ授業計画を考える】 セミナー番号G01
         http://www.hitohaku.jp/musepub/seminar/?id=2014G01
 上記のURLのページをご覧いただくか、「セミナーガイド2014」の17ページをご覧ください。

 虫好きの先生も、虫がちょっと苦手な先生も、学校の授業や特別活動などで、子どもとともに昆虫にふれあってみませんか?


 お申し込み、お問い合わせは ひとはく 生涯学習課セミナー担当 079-559-2003 まで!!

生涯学習課

いいお天気☆^^☆"

さっそく、10時30分に4階カウンターへ受付申し込みのお客様が*(^^)*

今年度より受付方法、時間も新たになりました。☆"   (フロアスタッフのもよおしあんないを見てね)

13時から古谷先生に石のお話を聞いて


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さぁ!外へ出発です☆"

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       石に水をかけて見やすくなったかな                                ハンマーで石を砕いて!!

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           ルーペで見て何の石発見かな?                                                 先生これ何の石ですか 

凝灰岩だぁ~!!!

つるつるした硬いチャート発見など・・・みんな石博士になれたかな

5月のひとはく探検隊は・・・
5月11日(日)13時から♪
 池田隊長

「公園の小さな生きものを見に行こう」です。

カエルやトカゲなど見つかるかな?

みなさまのご参加お待ちしています。

                                      フロアスタッフ  にしぐちひろこ



中学生限定のセミナー「ユース昆虫研究室」、2013年度の成果展示です。
9名の調査員が、春から秋にかけて、六甲山自然保護センター周辺で昆虫を調べました。
採集した223種、276個体の昆虫標本のほか、生態写真や活動のようすをパネルでご紹介しています。
ぜひごらんください。

会期 2014年4月1日(火)〜8月31日(日)
会場 兵庫県立 六甲山自然保護センター(記念碑台すぐ)
   〒657-0101 神戸市灘区六甲山町北六甲123 TEL 078-891-0616
開館 土日祝 9:30〜16:00/平日 9:30~15:00
休館日 毎週月曜日(ただし、休館日が祝日または振替休日のときはその翌日)
入館料 無料

調査員(受講者) 井上 元、河野岳生、坂本貴海、篠谷遼太、高尾海星、徳田 椋、半井陽大、福井 翔、室谷泰智


2014年度のユース昆虫研究室も、同所で開講します。今年は、夜間調査を増強しております。
虫好きをやめられない中学生は、ここに集合せよ。
自由、仲間、明るい未来が待っています。
→ お申し込みは、こちらのページから。
(! お申し込みの前に、まずはこれまでのようすをごらんください。)

IMG_0600_20140321.jpg

(八木 剛 記)

 3/30(日)は、小雨が朝からシトシトと降っていました。
探検は無理かなぁ~とあきらめていました。


s-P1010006.jpgところが、なんと!ふかたんの時間だけ雨が止んだのです。

 朝の下見の時点では、雨で花が閉じていて花さがしが難しいかも。
と心配していたのですが...

たくさんの花がみつかりました。



ペンペン草みつけた♡         ヒメオドリコソウとホトケノザはどこがちがうかな?    

   s-P1010024.jpg         s-P1010019.jpg         
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ふかたん地図も完成しました。    
 s-aaa.jpg 深田公園は、春真っ盛り。お散歩がとっても気持ちいいです。

   みなさんも「花さがし大作戦」してみてはいかがでしょうか。
   


   ふかたんは、4月より
   名称を「ひとはく探検隊」時間は13時~に変更して
   パワーアップいたします。
   皆様のご参加をお待ちしております。


      フロアスタッフ せら ゆうこ

三田は今、桜が満開✿とっても気持ちのよい季節になりました。
さて、今週末の土曜日!今年度はじめての「ひとはく探険隊~ひとはくの石たんけん~」を行います。
隊長の古谷先生、隊員の西口さんと私の3人で、今日は下見に出かけました。
チャートさがし~神戸層群~


↑チャートはあるかな??化石は?いろいろな石をルーペを使って、調査中~

「ひとはく探険隊」は、「深田公園うきうき探険隊(ふかたん)」から名前が変わりました。
深田公園だけではなく、時には、はくぶつかんの中を研究員と探険します。
4月のテーマは「石」。石博士の古谷研究員と一緒に、探険に出かけましょう。

4月12日(土)

「ひとはく探険隊~ひとはく石たんけん~」
時間:13:00~14:00
定員:20名
集合場所:4階ひとはくサロン
受付場所:10:30から4階カウンターにて受付。定員になり次第終了します雨天時も行います。)

みなさん、ぜひ、ご参加くださいね。

笹山由利子(フロアスタッフ)


4月5日(土)、6日(日)、フロアスタッフとあそぼう『風にのってとぶタネ』が行われました!

 

みなさんは「風にのって飛ぶ種」と聞くと、どんな植物を思い浮かべますか?

s-P1010154.jpg真っ先に思いつくのは「たんぽぽ」だと思います。

黄色い花が咲いたあとに綿毛のついた種子をつくり、風にのって種をとおくへ飛ばします。

(ちなみにこのたんぽぽは「恐竜ラボ」前に咲いていました!さがしてみてね♪)



実はたんぽぽ以外にも、風を利用して種をとおくに飛ばす植物はたくさんあります。

今回は、その中から3種類の種の模型をつくってみんなで飛ばしてみました!

s-P1010213.jpg左から 「フタバガキ」 「マツ」 「ニワウルシ」の模型と本物の種です。

 

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模型ができたら、いよいよ種を飛ばしてみましょう!

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おおきな木になった気分で!

せ~のっ!

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くるくるくる~~~~っ

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風にのってとぶタネ、大成功!

家でもぜひ飛ばしてあそんでみてくださいね♪

 


・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚ おまけ ゚・。★゚・:,。゚・:,。☆゚


博物館のエントランス前には、たくさんのツクシ達が顔を出しています♪

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ツクシも風を利用して「胞子」を遠くまで飛ばします。

ぜひ探して観察してみてくださいね!

 

フロアスタッフ たにぐちはるな

ユニバーサル・ミュージアムをめざして50

憂うつな数学者-1

                              三谷 雅純(みたに まさずみ)

751px-John_f_nash_20061102_2.jpgのサムネイル画像                              数学者 ジョン・ナッシュ(2006年、ドイツでの数学のシンポジウムで。Wikipedia より)


 ネイチャー (Nature) という雑誌があります。最新の論文やニュースを載せた科学誌で、たまたま流行の最先端にいる科学者は、この雑誌に何とか論文が載らないものかと四苦八苦するそうです。

 そのネイチャーです。Eメール・アドレスを知らせておけば、毎週、自動的に新しい情報を送ってくれるサービスがあって(無料です)、同じような科学誌サイエンス (Science) といっしょに、わたしはネイチャーに情報を送ってくれるように頼んでいるのです。そのネイチャーに面白い記事がありました。2014年1月16日号の「今週の注目記事」に、「自閉症と統合失調症に見られる遺伝的変異」という論文があったのです。その論文の解説によると、自閉症と統合失調症には共通した遺伝的な変異、つまり多くの人との違いが見つかるのだそうです。

 自閉症は発達障がいの一種です。一方の統合失調症とは、遺伝と環境が深くかかわった精神疾患です。およそ100人にひとりの割合で罹(かか)るそうです。この2種類の症状には、遺伝子のレベルで共通性があるというのです。

 「やっぱり」と言うか、何と言うか。この2種類の精神疾患当事者には症状に共通するものが結構あるし、ご本人が発達障がいだった人の親族には、統合失調症の人がよくいると耳にします。発達障がいでは必ず引き合いに出されるアルバート・アインシュタインにも、統合失調症の息子さんがいたということです。

 ヒトに限らず生物の遺伝の大半は、ある遺伝子があるかないかと言った単純なものではありません。自閉症や統合失調症も例外ではありません。複数の遺伝子が関わっています(医学の世界では、それを「多因子遺伝(たいんし・いでん)」と呼んでいます)。ネイチャーの記事は、「関わりのあるたくさんの遺伝子の一つに共通の変異があり、たまたま症状が出ていない人でも、脳の構造には、症状が出ている人と同じような変化が見られる」というものでした。ところが、これに輪をかけて、さらに驚くような発見が報告されていました。インターネットで調べてみると、2013年のランセット (The Lancet) という雑誌には、自閉症と統合失調症だけでなく、ADHDや双極性障害(そううつ症)、大うつ症の五大精神疾患と呼ばれるもの全てに、共通の遺伝子が影響しているというのです。

 誤解のないように、もう一度繰り返しておきますが、このような「精神疾患」と言われる症状が出るのは、いくつもの遺伝子から同時に影響を受けた時だけです。その遺伝子は、元来、全ての人が持っているものです。その程度が大きく、しかもある環境がそろったから症状が出た。何も「特別な人」だけが持っている遺伝子ではありません。「ある環境」とは、「強い精神的なストレスがかかった時」とでも言えばいいのでしょうか。どんな時に「強い精神的なストレス」がかかるのかと言うと、具体的には「愛する人の死」とか、戦場で「殺されかけた」、あるいは戦場で「人を殺した」体験などのことです。

 自閉症と同じく統合失調症にも、症状には軽い/重いがあるそうです。つまり、多数者と変わらない人――ストレスがなく、症状の出ていない人は、そう言えるのかもしれません――から、重い統合失調症の人まで、症状は人によって連続的に変化するそうです。自閉症スペクトラム同様、統合失調症にもスペクトラムが存在するのです。

 重い統合失調症の人はその疾患に苦しみますが、軽い統合失調症の人――「統合失調型人格障がい者」と呼んでいます――は、見るからに変わった人です。変わった人ですが、しかし、しきたりに捕らわれずに、飛んでもないことがひらめいたり、高い創造性を示したりすることがあるそうです。つまり、<天才>なのです。

 トーマス・アームストロングさんの『脳の個性を才能にかえる』によれば、この<天才>は、アウトサイダー・アートの美的感覚に共通するものだそうです。アウトサイダー・アートというのは、通常の芸術文化ではなく、「外にいる人びと」が創る芸術です。そしてその作品には、独自の芸術的価値があるそうです。そのよい例がヘンリー・ダーガーです。ダーガーはアメリカのシカゴで清掃員の仕事をしていました。そして、ダーガーが死んだ後、アパートには、誰に見せるでもなく創作した絵画と文章の山が発見されました。自分のためだけに描き、また書き上げたのです。その大部(たいぶ)の原稿は、『非現実の王国と呼ばれている国で、子ども奴隷の反乱によって発生したグランデコ・アンジェリニア戦争のヴィヴィアンの少女たちの物語』というシュールな題が付けられていました。世界の善と悪の戦いを描いた戦争ファンタジーで、多数の挿絵(さしえ)もあったそうです(『脳の個性を才能にかえる』の「第8章 べつのキーで考える――統合失調症」,214ページ)。

 人間の歴史では、統合失調症の人を「神懸(かみが-)かりの人」とか「聖なる愚者(ぐしゃ)」と呼んで、かつては、通常の人とは異なる特別な存在として尊重したようです。シャーマンには統合失調症の人がよくいたのでしょう。カメルーンのカラマルエというサハラ砂漠に近い街で出会った男性のことです。わたしが見かけたその男性は、素っ裸で市場の太陽の下に寝そべり、陰を求めるわけでもなく、一日を寝たり起きたり、フラフラと歩き回ったりして過ごしていました。何も着ていないにもかかわらず理知的で、目の奥底には静かな精神性や分別といったものの存在が感じ取れました。市場に買い物に来た男女や市場の商人は決してその男性を追わず、その男性もまた、人びとの邪魔にならないように振る舞っているようでした。わたしはその男性の言葉を、直接、聞いたわけではありません。しかし、今から思えば、その男性は統合失調症だったような気がします。フランスの哲学者ミッシェル・フーコーの『狂気の歴史』によれば、(十八世紀より前には狂気が深刻には受け止められず)「当事、狂人は容易に放浪しうる生活を営んでいた。都市は狂人を市域の外に放逐しがちだったし、ある種の商人や巡礼に預けられなかった場合、彼らは人里離れた野を自由にさまようことができた」そうです(『脳の個性を才能にかえる』,217ページ)。

 人は<天才>をうらやみます。自分にはできないことを、苦もなくやってしまうからです。しかし、<天才>には<天才>なりの苦悩があります。アメリカ人の数学者、ジョン・ナッシュ (John Nash) は、ゲーム理論で有名です。1994年にはノーベル賞を受けました。そしてナッシュは、たとえ恋人であったとしても、自分以外の人に自分とは異なる精神が存在し、それを尊重するべきだと認識できない精神発達の遅れがありました。

 次に書くのは、シルヴィア・ナサーという人が書いたジョン・ナッシュの伝記『ビューティフル・マインド:天才数学者の絶望と奇跡』の読後感です。(次につづく)

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

4月になりました!

2014年4月 6日
4月に入り初めての土日を迎えました。肌寒い日々でしたが、ひとはく周辺もサクラが満開です。深田公園の木々はまだ葉をつけていませんが、芝生は日々緑色に色付いてきています。
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ひとはくでは、昼からのイベントがたくさんあり多くのお客様をお迎えしました。その様子をご紹介します。

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フロアスタッフとあそぼう「風にのってとぶタネ」
大勢の子どもたちが積極的に参加してくれていました。


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人と自然の会によるサイエンスショー「さいころであそぼ」
こちらも大盛況!


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オープンセミナー「絵図を使って立体カードを作ろう」
浮世絵のデザインは姫路城です。背景は書写山が描かれています。
準備していた材料も一瞬にしてなくなりました。申し訳ございません。

他にも、オープンセミナー「解説!丹波の恐竜化石」や展示室ツアー「3階展示ダイジェスト」が行われていました。
午前中には、デジタル紙芝居、展示室ツアー「ボルネオジャングル体験」が行われています。

★ホームページのリニューアルに伴い、イベントを紹介していた「今週のひとはく」のページがなくなりました。
ひとはくのイベントについては、TOPページにある【イベントカレンダー】からご確認ください。
情報管理課 阪上勝彦
hitohaku_HPnew.jpg当館のホームページを5年ぶりにリニューアルしました。

あまりレイアウトは変わっていないという声もありますが、中身や配置の仕方を大きく改訂しているほか、館で実施している事業の説明を追記しています。リニューアルは5年ぶりと書きましたが、実際はほぼ8年ぶりです。5年前にレイアウトを改訂したときは、業者さんにまるごと移行してもらって中身はそのままでした。つくった年代ごとにバラバラのレイアウトで構成されていました。

そんなわけで、昨年度から情報システム更新の担当になったので、ページ構成を一新し、足りない項目を足したり、大学のページをつくったり、セミナーのページ等の仕組みを刷新し、イベントカレンダーなどを導入して、現在のページとなっています。新しく追加された機能は以下のとおりとなります。
  • セミナーページの改訂とマイページの導入(セミナー倶楽部)
  • トピックスと新着情報の設置
  • ひとはく活用術のナビゲーション
  • イベントカレンダーの設置
  • 学校教育支援のページ充実
  • 兵庫県立大学自然・環境科学研究所のページ刷新(VTRを追加
  • その他、ページの統合と整理
以前よりは、見やすくなったかと思いますので、ぜひ改めてひとはくのホームページをご覧いただき、ご活用いただければと思います。

(★ここから関連業界向けのお話し)
ホームページの構築にあたっては、今回はMovableType5をCMSとして利用しています。このことで、メインコンテンツ、自然・環境科学研究所のページ、新着情報管理、ひとはくブログ、館報の編纂、メルマガのバックナンバー管理、館内向けFAQなどの各種コンテンツをCMS上で一元的に管理することができるようになりました。そのおかげで、今回の膨大なページを移行するにあたって様々な館員が同時に情報を共有しながら製作することができました。修正についても、同様に作業が簡便になっています。博物館&大学&ETCが混在化して多様な業務群のマネジメントツールとして、CMSの導入はとても有意義なものとなりました。
(みつはしひろむね)

4月に入り、春休みもあと1週間☆^^☆"

 

3月29日(土)30日(日)のフロアスタッフと遊ぼうでは

s-danngomusi.jpg 行いました。0^_-☆

 

だんごむしと昆虫のちがいについてのしつもんです。*(^^)*

 s-P1180552.jpg

 

だんごむしは何の種類の仲間かわかったかな☆??☆

 

みんな だんごむし にへんしんです☆"

 s-s-P1180527.jpgs-s-P1180565.jpg

 

かわいいだんごむしさんがいっぱい!☆^^☆!"

 

次のフロアスタッフとあそぼうは*(^^)* 

4月5日(土)6日(日)

 13:00~『風にのってとぶタネ』です。☆^^☆"

 

みなさまのご参加 おまちしています。☆"

 

        フロアスタッフ  にしぐちひろこ

桜が咲きはじめてポカポカと暖かくてのんぴり。やっと春がやってきました。

しかし、春は別れの季節でもあります。卒業したり、転勤したり...

そして私たちフロアスタッフにも別れがありました。

3月末をもちまして仲間2名が「ひとはく」を卒業していきました。

 s-P1170176.jpg

一人目は、うえやま たかこ さんです。

熱心に試行錯誤を繰り返しながら工作を
作り上げていく姿がとても素敵でした。

 






s-P1170273.jpg

二人目は、みの あんな さんです。

なんといっても、みのさんの笑顔はかわいくて、
みのさん目当てのお客様も多かったと思います。
彼女の笑顔は博物館の職員内でも癒しでした。

 





今まで、ふたりへの温かいご支援ありがとうございました。

また4月より新しくメンバーを迎えます。乞うご期待!(^^♪

今後ともひとはくをよろしくお願いいたします。

                        フロアスタッフ せら ゆうこ

 

 322、うきうきワークショップ『からくり!隠れびょうぶ』が行われました♪

 

隠れびょうぶは江戸時代から伝わるからくり玩具で、地方によっては「板返し」「パタパタ」などと呼ばれています。

 

屏風を開くごとに絵が消えたり現れたりするとっても不思議なおもちゃを、今回はひとはく風にアレンジして作ってみました☆

 

  byoubu2.jpg表は『丹波竜ものがたり』、裏は『アンモナイト化石ができるまで』

それぞれ物語風になっています♪

  s-fukei.jpg

さぁ、完成した隠れ屏風を使ってマジックを披露!

屏風のイラストが、あれれ?消えちゃった!!

 

 

s-byoubukansei.jpg 

 

「なんで消えちゃったの??」

大人の方も興味津々です! 

 

 みなさんの驚きのリアクションに、フロアスタッフも大満足でした(笑)

 

 

 

隠れ屏風の作り方はいたってシンプルです。

お家でもぜびオリジナルの隠れ屏風を作って、みんなを驚かせてみましょう♪

 

 

 

今週、330日(日)のうきうきワークショップは...

 

・。・゜★・。・。『スライムをつくろう!』・。・゜★・。・。

 

光るスライムをつくってみよう!参加費は50円です。

 

詳しくはこちらのブログををご覧ください。

http://hitohaku.jp/blog/2014/03/3_14/

 

 

 

 

 

 みなさまのお越しをスタッフ一同お待ちしております。

 

 

フロアスタッフ たにぐちはるな

 

kinoko.jpg

 

パンパカ パーン!

3月のフロアスタッフとあそぼう

       「画はくの日〜きのこをかこう〜」

優秀作品「ひとはく博士賞」に選ばれた作品

                   をご紹介します。

 

選ばれなかった作品もなかなかの力作ぞろいですよ。

作品は4月11日まで4階ひとはくサロンにて掲示しております。

 

 

                フロアスタッフ せら ゆうこ

 






「この石は、化石に見えるが本当に化石なの?」

「写真の虫は、見たことがないけれど何という虫ですか?」

「この植物は、葉っぱがこの植物に似ているけれど名前はなんというのですか?」

と、いう具合に博物館にはいろいろな質問がきます。


そんな時、博物館では、いろいろな分野の研究員がお答えしています。

 

先日にもこんな質問がありました。


「寒い冬に雪の中バッタのようなものがいたのですが、バッタですか?」


えっ!バッタって卵で冬越しするような...そんなことあるのかな...?


と思いながら、昆虫博士の八木研究員に聞いてみました。


「バッタにみえるもので、成虫で越冬するものはクビキリギス、ツチイナゴがいます。

ですので、その2種類の可能性が高いです。ツチイナゴは頭が丸く触角が短い。

それに比べてクビキリギスは頭が三角で触角がかなり長いので、頭を見ればすぐに同定できます。」

とのことでした。


質問されたお客様は、あまりの答えの早さに驚かれ、大いに納得され帰られました。


みなさんも、辞典や図鑑を調べてもわからないことがありましたら、

人と自然の博物館に是非おこしください。


                           フロアスタッフ せら ゆうこ

みなさん、3連休の予定は決まりましたか?

ひとはくは一日中たっぷり遊んで、勉強できるイベントをたくさんご用意しております!

 

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「レプリカ」という言葉を聞いたことがありますか? 

レプリカとは本物から型をとって、もとの化石とまったく同じ形・大きさにつくったものです。

 

3/21(金・祝)22()23()1500始まるフロアスタッフとあそぼうは、

アンモナイト化石のレプリカをつくります。

 

アンモナイトは大昔、恐竜がいた時代に海の中にたくさんいました

 

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 イベントではアンモナイトがどうやって化石になったのか?がわかる楽しい紙芝居もありますよ♪

reporika.JPG

カラフルなおゆまるから好きな色を2つ選んで

自分だけのオリジナル、アンモナイトをつくってみましょう。

参加費はおひとり100円で、4階実習室で行います。

 

 また、10:301600の時間内、いつでも参加できるイベント

 『うきうきワークショップ』3/21(金・祝)22()23()にございます。

 

 

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▲クリックで拡大します

 みなさまのご参加お待ちしております。

☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...☆...

 

博物館2階には、本物のアンモナイト化石にさわれる展示があります。

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この大きなアンモナイト化石は「ペリスフィンクテスの仲間 」。

 

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ひとはく博士も、アンモナイト化石の感触を味わっていますね。

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 愛用の虫メガネをとりだして、観察中・・・

 

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 どんな感触かな?

ぜひ、さわってみてくださいね。

 

(フロアスタッフ まつだ)

本日のフロアスタッフとあそぼうは、「画はく日〜キノコを描こう〜」を行いました。

2階展示室 『六甲山のキノコ展2014〜野生のキノコの不思議な魅力〜』は、兵庫県立御影高等学

校環境科学部生物班のみなさんの力作の数々です。                                             

期間は平成26年2月11日(火・祝)〜6月1日(日) 。   

    解説中〜                       最初に展示の解説です

熱心にお絵かき中〜              小学校2年生の男の子3人は、最後まで熱心に描かれていました

 

4月から、毎月第2土曜、日曜(ひとはく探検隊が開催されるときはお休みです)は、画はくの日です。みなさんのご参加をお待ちしております。

笹山由利子(フロアスタッフ)

 

 

2006年8月に、丹波市山南町上滝を流れる篠山川のほとりで発見された丹波の恐竜。

 

ただいま、ミュージアムショップにおきまして、発掘調査に基づいて制作した
「丹波竜フィギュア」を販売しております。

 

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▲原画は小田隆氏、製作は徳川広和氏、当館の三枝春生主任研究員の監修のもと復元。価格:1,500(税込)

 

 

丹波の恐竜の体長は1215mと推定されており、こちらのフィギュアは実物の約1/40のスケールです。

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ひとはく博士も、フィギュアをためつ...すがめつ...

いまにも歩きだしそうですね。

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丹波竜フィギュアのほか、ぬいぐるみ、ストラップなど恐竜グッズが豊富にありますよ。

お土産にいかがですか?

 

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▼ミュージアムショップは円形の建物、エントランスホール内にあります。ぜひ、お立ち寄りください。

 

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◆ミュージアムショップ

 

■休み 月曜日(祝祭日の場合は翌平日)

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エントランスホールの隣にある「ひとはく恐竜ラボ」

発掘現場で発見された化石のクリーニング作業を行う施設です。

※クリーニングとは...化石の表面にある岩石をとりのぞく作業のこと。

 

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▲顕微鏡をのぞきながら「エアチゼル」という道具を使って薄い岩石をはじき飛ばす作業をしています。

 

研究員などによる作業風景をガラス越しに間近で見ることができますよ。

博物館3階の「丹波の恐竜化石展示室」と一緒に、ぜひご覧ください。

 

(フロアスタッフ まつだ)

ユニバーサル・ミュージアムをめざして49

わたし達は、皆、当事者の一人ひとり

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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キャンプ生活の活動。フジのツルを使って何かを作ります。

 
 「平均的な」という言い方をします。「平均的な成績」とか、「平均的な体格」とか言う時の「平均的な」です。「平均的な」に「人」を付けた「平均的な人」は、「多数を代表する人物像」という意味が含まれます。「平均値」をはずれるような人は稀(まれ)だと、多くの人が信じているからです。

 ですから、何かを新しく決める時、「平均的な数値」になるように決めておけば安心です。そんな気がします。一番人数が多いのですから、それだけ満足する人が多いはずです。このやり方は選挙や世論調査でも同じです。選挙をして、「一番、得票の多い人を代表にする」とか、世論調査では、「これこれの意見が一番多い」という時と同じ理屈です。

 

 多数決で決めるのは民主主義的な気がします。しかし、少し考えてみると、多数決では決められないものが よくあることに 気付きます。好きか嫌いかといった好みの問題がそうです。甘いミルク・セーキが好きな人に、苦いお茶は強制できません。たとえ苦い味を好む人が多くいたとしても、苦い味を「全体の味」にすることはできないのです。

 性や年齢でも同じことが言えます。今いる集団に男性が多いとか、女性が多いという理由で、その集団のシンボル・カラーを決めようとするのはナンセンスです。シンボル・カラーを決めるのであれば、その集団の特徴をよくあらわす色を選ぶのが普通です。例えば水泳が好きな人の集まりなら水がイメージできる水色にするとか、フラダンスの同好会なら風と花がイメージできるツートーン・カラーにするとかです。人生をどう生きるべきかと言った信条(しんじょう)でも同じでしょう。隣に住む人がどんな信条(しんじょう)を抱いているかは、あなたの信条(しんじょう)とは関係がありません。信条(しんじょう)は人によって違います。今まで生きてきた経験で決まるものだからです(もちろん、「正しい生き方」はあると思いますよ)。

 よく考えてみると、全ての人は必ず、「平均的な特徴」とは違う、はずれた性質を持っています。他の教科に比べて数学なら何時間でも夢中になれる人がいますし、運動は得意ではないけれど、スキーなら任せてほしいという人もいるはずです。「平均的な特徴」は集団全体の傾向を知るには役立ちます。しかし、個人個人がどうであるかはわかりません。個人と集団は分けて考えなければいけません。

☆   ☆

 我われは一人ひとりが個人として生活しているのですから、社会は、その人の生活にあった場所や時間、制度や道具を揃えておけば住みやすくなります。そうでないと、「平均」からはずれた特徴を持つ人――くり返しますが、皆、どこかに「平均」からはずれた特徴を持つはずです――は、何かを我慢しなければなりません。

 ところで、「平均」からはずれた特徴を持つ人が何かを我慢するというのは、それほどいけないことでしょうか? 我慢は生活に付きものです。我慢しないのは我が儘(わがまま)です。そうではないでしょうか?

 これは大切な問題ですから、はっきりと書いておきます。わたしは、決して我が儘(わがまま)だと決めつけることはできないと思います。

 

 次に書くのは、ただの、わたしの空想です。キャンプをする場面を想像してみて下さい。山でテントを建てたり、火をおこしたりする活動です。自分でやってみれば、すぐにわかることですが、キャンプ生活には、すぐ馴染む人もいれば、なかなか馴染めない人もいます。○○さんは見かけによらず簡単に火がおこせたが、横柄な口を利く□□くんは、言葉のわりに、ひとりでテントも建てられないとかです。それでも大体の人は、何日かすれば自分ひとりでキャンプ生活ができるようになるものです。キャンプの世話をやく年長者のキャンプ・リーダーは、あるグループに合格点をあげたくなりました。しかし、ひとつ困ったことがあります。キャンプの経験をしに来ていた△△ちゃんは脳性マヒで、うまく歩けなかったのです。指や手も器用には使えません。ひとりでキャンプ生活をすることができないのです。こんな時は、どうしたら良いのでしょうか。

 わたしは、△△ちゃんがひとりでキャンプ生活ができないからといって、決して我が儘(わがまま)だとは思いません。

 では、どうすれば良かったのでしょう? キャンプに参加している皆が、助けてあげればよかったのでしょうか? それもあります。しかし、もっと大事なことは、脳性マヒの△△ちゃんに、反対に「助けを借りる」ことなのです。「助けを借りる」? 普通の人が脳性マヒの人に助けを借りる? 一体、何のことでしょう。

 それは、人と人が助け合う工夫の仕方を学ぶということです。キャンプ生活の本質は、自分ひとりで何でもできることよりも、助け合う工夫の仕方を学ぶことにあるのです。

 △△ちゃんのことで困っていたキャンプ・リーダーは、健常者、つまり非障がい者だったのでしょう。非障がい者であるリーダーが自分のわかる範囲で考えてみた。キャンプ生活で大切なことは、自分ひとりで何でもできるようになることだと考えた。そう考え、実践したリーダーは立派でした。しかし、脳性マヒの△△ちゃんは、自立よりも、互いに助け合うことが大切だったのです。そのことに思いが及ばなかった。これはリーダーの(健常者=非障がい者としての)至らなさです。

 キャンプに参加した△△ちゃんにとって、キャンプでは人の助けを借りるばかりではなく、自分でも、どうすれば人の助けになれるかを、懸命に試行錯誤したはずです。健常者のように動けないことは、自分自身が一番よく知っていたのですから。その意味で、このキャンプの体験は貴重でした。我が儘(わがまま)にならないように自分をコントロールし、仲間に助けてもらいながら、自分もまた、どうすれば仲間の力になれるかを工夫する。このことを実際の経験を通して学んだのですから。

 教科書ではなく、経験を通して何かを学ぶ。人は、経験から学ぶことの方が、教科書で学ぶことよりも何倍も多いと思います。

 わたしの空想は続きます。わたしは、△△ちゃんが、将来、経験を積んだキャンプ・リーダーになれたら、そんなすばらしい事はないと思っています。脳性マヒで身体は思うように動きません。ひとりでリーダーはできないかもしれない。しかし、健常者(=非障がい者)との共同リーダーになら、なれます。障がい者同様、健常者にも、非障がい者ゆえに気が付かないことは多くあります。人と人が、互いに気が付かないことを補い合う。すばらしいチームができるでしょう。

 人を平均値でだけ見る感性は愚(おろ)かです。多様な人のあり方を考慮して、新しい枠組みで見るべきだと思います。人を集団ではなく個人個人で見る。そのためには、パラダイムの転換が必要です。

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

六甲山のキノコ展2014はもうご覧になられましたでしょうか?

 

こちらに夜になると光るキノコが展示されています。

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光るキノコの正体は「シイノトモシビタケ

 

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昼間は茶褐色ですが、暗がりになると発光するめずらしいキノコです。幻想的ですね。

 

ほかに光る生き物といえば・・・ホタルやオワンクラゲ、チョウチンアンコウなどたくさんの生き物が思い浮かびます。

 

38()9()1500〜からはじまるイベント、フロアスタッフとあそぼうでは、

 

この「ひかるいきもの」をつくります!

どんな生き物をつくるかは、来てのおたのしみ♪

ぜひご参加くださいませ。

 

六甲山のキノコ展は、6月1日(日)まで2階生物多様性フロアにて開催しております。

 

(フロアスタッフ まつだ)

 

ひなまつり前日の3月2日、
ひとはくではKidsサンデーが開催されました。

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ぐずついたお天気でしたが、
館内はキッズのおひさまの様な笑顔でいっぱいでした。

◆自然ってすごい!~ちいさな化石の拡大レプリカづくり~

 恐竜がいた時代に生きていた

 海のプランクトン「放散虫」化石のなんと300倍!のレプリカを作りました。
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            このレプリカ、指人形にもなるね(^^)!

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◆サイエンスショー「牛乳パックでパクパク人形を作ってあそぼう」

 いつもの人気コーナーは今回も大にぎわい!

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◆パネルシアター「はるよこい」「ねずみ の よめいり」

展示室に劇場が出現! 

季節にぴったりのお話をみんな集中して聞いていました。

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◆ルーペを使ってみよう!

 研究員も使っている道具、「ルーペ」に挑戦!

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◆研究員のオープンセミナー「小さな化石を楽しもう」

顕微鏡をのぞくと・・・小さな化石のふしぎですてきな世界が広がります。

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◆フロアスタッフとあそぼう「くるくるとぶたね」

ジャングルに生えている大きな木のタネの模型を

作って実際に飛ばしました。

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※フロアスタッフとあそぼう「くるくるとぶたね」の詳細はコチラ

次回のKidsサンデーは5月4日(日)です!

4月はKidsサンデーはお休みですが、
ひとはくは皆さまをお待ちしています(*^^*)

もよおしの詳細はホームページでチェックしてくださいね!

   生涯学習推進室/キッズひとはく推進タスクフォース たかせ ゆうこ

こんにちは、フロアスタッフです。

 

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 このお顔、だれだかわかりますか?

 

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よ~く考えてみてね。博物館の1階展示室にいる・・・

 

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正解は・・・マンモスではなく「アメリカマストドン」です。

 

マストドンは、今から約350万年前~約1万年前に北アメリカで生息していたゾウの仲間です。

いま皆さんが動物園やTVでよく見るゾウとは違う種類で、最終氷期の終わりの時期に絶滅したといわれています。

 

博物館のイベント・うきうきワークショップで、このアメリカマストドンの帽子がつくれますよ。

 

10:301600の時間内、いつでも参加できるイベント

 

+.+.うきうきワークショップ+.+.

 

折りたたむと絵が消えるふしぎな「からくり!隠れびょうぶ」や

 

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好きな絵をかいて、くるくるまわしてあそべるおもちゃ「くるくる変わる絵!六角パズル」や

 

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液体でも固体でもないふしぎな感触・・・「スライムをつくろう!」などのイベントがあります♪

 

※「スライムをつくろう!」は、各回10分前から整理券を配布。定員先着20(5)です。

 

 

suraimu hitohaku.gif

場所は、いずれも4Fひとはくサロンです。

 

くわしくは下記の案内をご覧ください。

 

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展示室ツアーやデジタル紙芝居など、たくさんのもよおしをご用意してお待ちしております。

うきうきカレンダー3月号もあわせてご覧ください。

 

(フロアスタッフ まつだ)

 

3月1日(土)、2日(日)にフロアスタッフとあそぼう「くるくる飛ぶたね」をおこないました。

 

今回は普段作っているサイズに加え、小さめのサイズも作ることにしました。

  くるくる飛ぶたね解説のサムネール画像

 たくさんのお友達が遊びに来てくれ、1階展示室はとてもにぎやかでした。

くるくる飛ぶたね制作

 大きさの違う4種類の見本を2階から、~くるくる~、と飛ばすと、

 大きなたねはゆっくりと回転しながらゆっくりと落ちていきました。小さなたねになるほど、回転が速くなり、落ちるスピードも速くなりました。

 みんな楽しそうに2階からたねを飛ばしていました♪

実物標本のサムネール画像

※ちなみにこちらが本物のたね。はねつきのような形をしています。

 

ご参加いただきありがとうございました。

                                      フロアスタッフ  田中・笹山

 

 

2月22日(土)、23日(日)のフロアスタッフとあそぼうは...

「おひなさまづくり」でした♪

 

 

 

秋に収穫したドングリをつかって、ゆらゆら揺れるおひなさまをつくりました。

 

P1170993.JPG

 

 

みんな真剣に、選んでました♪ 

 

    P1170992.JPGのサムネール画像         P1170999.JPG

 

個性豊かないろいろなお雛様ができました(^^)

 

 

P1180038.JPG

 

 

ご参加いただきありがとうございました。

フロアスタッフ植山

本館1階に、「板根(ばんこん)とフタバガキ」の展示があります。

板根(ばんこん)

 板根(ばんこん)は、巨大高木(きょだいこうぼく)によく見られ、

幹の基部(きぶ)から根に連続する板状に張り出した部分をいいます。

 

熱帯雨林(ねったいうりん)に多く分布(ぶんぷ)している フタバガキ科の樹木は、巨大な板根が発達しています。この仲間の果実は、風にのって遠くまで散布されるよう、翼(よく)が発達しています。

 

  実物標本

フロアスタッフとあそぼう「くるくるとぶたね」のイベントでは、実物のたねを観察しながら、たねの工作を行います。

模型

 3月1日(土)2日(日)

15時(1450分より整理券配布)から約30分。参加費無料。

1階「板根とフタバガキ」の展示前集合です。

 

ぜひ、ご参加くださいね。

みなさんのお越しを、スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。

 

笹山由利子(フロアスタッフ)

ただいま2階ひとはく多様性フロアにおきまして、

六甲山のキノコ展2014 ~野生のキノコの不思議な魅力~

の企画展を開催しております。≪期間:平成26年2月11日(火・祝)~6月1日(日)≫

 

こちらで2月15日(土)、16日(日)にフロアスタッフとあそぼう

「画はくの日~キノコを描こう~」のイベントを行いました。

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ひとはく博士もさっそく見学にやってきました。

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キノコの標本がズラリと並んでいて圧巻です。

展示室内にはキノコのにおいがわかる体験コーナーもありますよ。

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 ひとはく博士がキノコのにおいを体験しているあいだ、

イベントに参加してくださったみなさんは、スタッフのキノコの説明を真剣に聞いています。

タマゴタケ、ハナビラタケ...などいろいろな種類のキノコに興味しんしん。

昨年末にNHKにて放映された「嵐の明日に架ける旅」の番組内で紹介された「嵐キノコ」の展示もこちらにあります。

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みなさんが描いてくださったキノコの絵は、4階休憩コーナーの壁にかざりました!

キノコの特徴をとてもよくつかんで描いてあるものばかりで素晴らしいですね。

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 イベントにご参加くださいまして、ありがとうございました。

☆≡。゚.☆≡。゚.☆≡。゚.☆≡。゚.☆≡。゚.☆≡。゚.☆≡。゚

 

ちなみに4階休憩コーナー前には、巨大な昆虫模型が置いてあります。

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ぜひ大きな昆虫たちを間近でみてください。 

博物館へのお越しをお待ちしております。

                           (フロアスタッフまつだ)

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして48

人びとを迎えるために-2

三谷 雅純(みたに まさずみ)

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八木 剛さん撮影

 平成26(2014)年2月4日に、人と自然の博物館で「障がい者を迎えるための接遇研修」を行いました。神奈川県立 生命の星・地球博物館の田口公則(たぐち きみのり)さんが「視覚障がい者への接遇」を、わたしが「コミュニケーション障がい者への接遇」を説明しました。今回書くのは、「コミュニケーション障がい者への接遇」のようすです。この話題はわたしの総説を基に構成しています (1)

☆   ☆

 コミュニケーション障がい者とは誰のことでしょう? このことを理解するには、人の一生を思い出してみるのが近道です。人間の一生は胎児とか赤ん坊から始まります。胎児にせよ赤ん坊にせよ、<ことば>は喋れません。言ってみれば、胎児や赤ん坊は「コミュニケーション障がい者(のような存在)」です。

 普通に<ことば>と聞いて思い浮かべるのは音声言語(=発話言語:はつわ・げんご)でしょう。音声言語をうまく使いこなすには喉(のど)の器用さが必要です。自由に音を作り、音を発する。音がなければ発話(はつわ)は産まれません。しかし、喉(のど)の器用さよりも もっと大切なのは象徴性(しょうちょう・せい)です。象徴性(しょうちょう・せい)は、人だけの特徴です。

 「象徴性」とは何でしょうか? 例をあげて説明しましょう。子どもが「車だよ」と言って積み木を手に遊んでいたら、それは積み木を象徴的に「車」と見なしているのです。なぜなら、積み木は木材の切れ端であって車ではないのだし、しかも遊んでいる子どもは積み木と車とは別物だと知っているはずだからです。別物だと知っていて、あえて積み木を「車」に見立てて遊んでいるのです。

 同じように、子どもが座布団を赤ん坊のように負ぶって「あやす」時もそうです。座布団をくるくる巻いて、ちょうど赤ん坊ぐらいの大きさにして背負います。「赤ん坊」を象徴的に表すものとして、座布団を丸めて遊ぶのです。ママゴト(飯事)遊びも、まったく同じです。子どもが集まって雑草の葉を千切(ちぎ)り、ドングリを並べて「食事」を作ります。それをまるで本物みたいに「食べる」(まねをする)のです。

 このような象徴性は<ことば>にも必要です。例えば<バ><ナ><ナ>という三つの音を聞いて、どんなイメージを浮かべたでしょうか? 「バナナ」という単語を知った人なら、あの甘くて黄色の、細長い果物(くだもの)をイメージしたことでしょう。しかし、本来<バ><ナ><ナ>という音の連なりに理由があるわけではありません。<ピ><サ><ン>でも、<ム><サ>でもよかったのです。ところが<バ><ナ><ナ>でなければいけなかった。それは、日本語(や英語やフランス語)には<バ><ナ><ナ>という音の連なりに象徴的な意味が込められているからです。だから、その意味につられて、思わず甘いバナナをイメージしてしまったというわけです。

 元来は連なりにすぎなかった音から物事がイメージできる。これが<ことば>の本質です。ヒト以外の、例えばチンパンジーやゴリラが、音の連なりから何かをイメージすることはありません。人の赤ん坊は<ことば>の象徴性を「理解」し、「音の連なり」を意味のあるものとして捉(とら)えます。そして(健聴なら)聞こえた音をまねし、自分で発音してみて、周りの人の発音と比べるのです。これをくり返すことで、いつしか正しい発音の<ことば>を話すようになる。これが母語の獲得です。

☆   ☆

 コミュニケーション障がい者には、この象徴性の獲得が遅かったり、元もと備わっていた象徴性を導く脳の神経回路が、事故や病気の後遺症で壊れてしまった人たちがいます。知的障がい者や発達障がい者は獲得の遅い人たちですし、失語症者の一部は、その能力が二次的に失われてしまったのです。

 忘れっぽくなったり、自分のいる場所や時代が混乱する失敗は高齢者に多いのですが、若くても出てしまう人がいます。このような人は認知症者と呼ばれていて、コミュニケーション行動や<ことば>に問題が出ることがあります。中には<ことば>を話さなくなる人までいるのです。

 もっと別の理由で、音声言語を話す人とコミュニケーションの取りにくい人がいます。最初から伝達するモードの異なる人たちです。ろう者は生まれつき聴覚を使いません。ですから耳に頼る人のように、赤ん坊の時、「周りの人の発音と較べてみる」ことはありません。その代わり視覚言語が発達します。これはサイン言語とも呼ばれています。つまり手話のことです。

 ろう者は音を聞くことがありません。ですから聴覚に頼る人とは話ができません。話ができない状況を避ける方法はふたつあります。ひとつは健聴者も手話で話すこと。もうひとつは書き文字で対応することです。最近は講演会などに手話の同時通訳を付けることが多くなりました。「手話も自然な言語(=日本では日本語)の一種だ」という認識が広がったためです。また講演内容を同時通訳のように文字で書き、OHPやコンピュータで画面上に表す「要約筆記(ようやく・ひっき)」という技術も普及しつつあります――人と自然の博物館の講演会やセミナーでは、未だにどちらも、全く、ありません(わたしが少し試みています)。

 盲人や弱視者のような視覚障がい者は音声言語での会話が可能です。しかし、絵や風景の説明をしてもらっても、盲人の側がそうした説明に慣れていなかったり、説明をする側が盲人に説明をする訓練をしていないと難しいでしょう。また生まれつき盲(もう)だと、感覚のするどい指先が目のような役目を果たすのですが、例えば「色」や「遠くの風景」、「星座」などは指先で触(さわ)れません。この場合、正確に認識することは難しいのかもしれません。もちろん、盲人や弱視者は、講演会でも会議でも、音声言語が十分に伝わります。それでも視覚情報に頼らねばならない印刷した文字(墨字:すみじ)やコンピュータ画面上の絵とかグラフ、ガラスで囲まれた展示品などは指先で触ることができません。タッチスクリーンで入力をする携帯情報端末や携帯電話は、今、大流行(おお・はやり)ですが、全盲の人には何をしているのかがわかりません。視覚だけに頼る情報は、全盲の人にとって「ない」のと同じです。

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八木 剛さん撮影

 このように、一口にコミュニケーション障がいといっても、多種多様な人がいます。多種多様な人なのですから、対処法もさまざまだと、ついつい思ってしまいます。ところが対処法は、意外なほど単純なのです。

 例えば文章は、全盲の人を除けば:

大きくルビを振る。
(ルビには限りませんが)「おおきく るび を ふる」のような分かち書きを活用する。
活字はできるだけ大きく、文章は少なくする。
絵や写真の多用は有効な事が多い。
絵記号やパラパラ・マンガ、折り紙、バード・カービングやデコイ(=木で作った鳥の飾り物)も利用できる。

以上のことに気を付ければ、多くの人とコミュニケーションできます。

 また発話言語で話をする場合には:

話しことばとともに、話しことば以外のジェスチャーや絵、書き文字などの視覚的な手がかりを与えるように工夫する。
ゆっくり、はっきり、くり返して話す。

といったことが大切だとされています。

 コミュニケーション障がい者に何かを伝えたい時、便利なのがマルチメディアDAISY (2) です。マルチメディアDAISYなら絵や写真が使えますし、文字に書いただけでも、機械が声に出して読んでくれます。ですから、全盲の人も使えます――多くの図書館には、テープレコーダー代わりの、絵の出ないDAISYが普及しています。わたしの書いた『ヒトは人のはじまり』もDAISYにして いただき ました (3) 。しかし、テープレコーダー代わりのシンプルなDAISYは、絵や写真が使えないので、ユニバーサルな利用はできないのです。マルチメディアDAISYになって初めて、全盲者も含めた全員が文章を読めるようになります。マルチメディアDAISYの課題はまだまだ多く、現在、研究開発中です。しかし、順次公開されていて、すでに利用可能です。

☆   ☆

 これからの課題について、ふたつ挙げます。

 ひとつは多様な来館者への対応法です。人と自然の博物館ではフロアスタッフと呼んでいますが、来館者に直接対応する博物館員は、「活字はできるだけ大きく、文章は少なく」とか、「ゆっくり、はっきり、くり返して話す」こととかは、十分、訓練を積んでいます。わたしは、子ども向けのオープン・セミナーでチンパンジーが絵を描いたり、釣り棒をシロアリ塚に突っ込むようすをコンピュータ画面で見てもらうのですが、それだけだと、小さな子は飽きてしまいます。それで、フロアスタッフにお願いして、「おんぶザル」や「だっこザル」の折り紙をしていただくのです。その時は、わたしなど真似ができないほど巧みにコミュニケーションを取ります。小さな子は、わたしの話なんかより、フロアスタッフと折り紙目当てで集まって来ているに違いありません。

 しかし、まだ言葉が喋れない赤ん坊や思春期の青年、高齢者ではどうでしょうか? 「孫にせがまれて参加したお祖母さんが、孫といっしょに折り紙をする」といった例はありますが、赤ん坊(があまりに非現実的なら、赤ん坊を連れたお母さんとかお父さん)や青年、高齢者の楽しめるプログラムや教材は、あまり ありません。このような性や年齢、障がいの有無など多様な人びとが楽しめるプログラムや教材は、これから工夫して創り出さなければ、世の中に多くはないのです。

 思春期の青年向けに作られた絵本として、LLブック(=読みやすい図書)の『赤いハイヒール』 (4) を挙げておきます。

ll_book_red_highhiil.JPG 恋愛やキスをする場面など、普通の絵本にはありえませんが、この絵本は幼児向けに作られたのではなく、文字の読みにくい青年のために作られたので、このような場面が入れてあります。このスライドは、マルチメディアDAISYの『赤いハイヒール』を一部改変して作りました。

 

 ふたつ目は、マルチメディアDAISYの録音素材の問題です。DAISYにせよ、マルチメディアDAISYにせよ、今、商品として売られているものは人の肉声を吹き込んで作られたものです。本をDAISYに作り替えるような場合は、訓練を受けたボランティア・アナウンサーの存在が重要です。ボランティアがいなければ、せっかくの本を楽しめない人が、たくさん、いるからです。しかし、図や写真の入った書類や展示解説など、何でもかんでも人間のボランティア・アナウンサーに録音していただくというのは非現実的です。

 そこで、「ぜひ人工音声で」ということになるのですが、人工音声で作った録音をコミュニケーション障がいのある皆さんに聞いていただくと、結構多くの人が「何を言っているのか、わからない」とおっしゃいます。わたしが説明する声はわかるのに、「人工音声はわからない」とおっしゃるのです (5), (6), (7), (8) 。なぜでしょうか? 単にコンピュータで作る音に慣れていないだけかもしれません。人工音声では<ことば>にとって大事な象徴性を導く脳の回路が働かないのかもしれません。あるいは、人工言語には音響学的な問題があるのかも知れません。事実、人工音声というのは、健聴者にそれらしく聞こえる事が優先され、音響構造は肉声とは異なる点が多いのです。コミュニケーション障がい者にも聞こえやすい人工音声が安価にできれば、DAISYだけでなく、介護ロボットや駅とか空港の自動アナウンスの声も、コミュニケーション障がい者にとって格段に聞きやすくなるでしょう。

 生涯学習施設では既存の学問を学ぶだけでなく、性や年齢、障がいの有無に関わらず、皆で協力して創り上げる楽しみがあります。それは、まさにユニバーサルな空間の創造です。

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(1) 「人と自然 Humans and Nature」24: 33-44 (2013). 「生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか: 総説」
http://www.hitohaku.jp/blog/2014/02/04.pdf

(2) マルチメディアDAISYの説明がしてある web ページは:
http://www.iccb.jp/mmd/
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/about/index.html

(3) DAISY版『ヒトは人のはじまり』は、新宿区立図書館に作っていただきました。
http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000125745.pdf
 読みたい人がいれば、地元の図書館や各地の点字図書館に頼めば取り寄せてくれるはずです。

(4) 読みやすい図書『赤いハイヒール』
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/book/multimedia/redhi.html

 

ll_book_red_highhiil_FrontPage.JPG

 

 

 

 

 

『赤いハイヒール』は、知的障害のある若い女性の恋のお話で、シンプルに理解しやすい文章で構成されています。また「障害」のある人たちとその親の思いや、自立への強い願いが「赤いハイヒール」によって象徴的に描かれている本です。この本は1994年、スウェーデンの「読みやすい図書基金」から出版されました。「読みやすい図書基金」は、国の補助を受け、普通の本では理解がむずかしい方々を対象に、「わかりやすい・読みやすい」ということを念頭におき、イラストや写真の構成、レイアウト、文字の大きさ、ストーリー構成、語彙など様々な工夫をした本や新聞を出版しています。『赤いハイヒール』は「世界のバリアフリー絵本展(2002年)」で、国際児童図書評議会から、障害のある青少年向けの推薦図書に選ばれました。((財)日本障害者リハビリテーション協会の web ページに載っていた翻訳者からの推薦)

(5) 失語症者に助けてもらうー1
http://hitohaku.jp/blog/2012/06/post_1556/

(6) 失語症者に助けてもらうー2
http://hitohaku.jp/blog/2012/06/post_1563/

(7) 失語症者に助けてもらうー3
http://hitohaku.jp/blog/2012/07/post_1564/

(8) 「人と自然 Humans and Nature」23: 61-67 (2012). 「DAISYを使ったコミュニケーション障がい者にもわかりやすい展示解説の試み」
http://hitohaku.jp/blog/2014/02/NH23_05_61_67.pdf


 この研修は一般財団法人 全国科学博物館振興財団による平成25年度 科学系博物館活動等助成事業13112「コミュニケーション障がい者にも理解しやすい展示解説技術の研修」(人と自然の博物館,対応者 三谷雅純)として採択されたものです。最後の「これからの課題」にあげた点は、まさに平成25年~27年度 科学研究費助成事業(基盤研究(C))25350404(研究代表者 三谷雅純)で取り組んでいる課題です。関西テレビCSRでは、CSR推進部の森田誠二さんとアナウンサー部の山本悠美子さん、新見彰平さん、製作技術部の水川賢一さんをはじめとする皆さんにお世話になりました。お礼申し上げます。

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

ユニバーサル・ミュージアムをめざして47

人びとを迎えるために-1

三谷 雅純(みたに まさずみ)


IMG_6759_02.jpgのサムネール画像                             貝を使って視覚障がい者の観察法を説明する田口公則さん

                            (神奈川県立 生命の星・地球博物館)(八木 剛さん撮影)

 

 平成26(2014)年2月4日に、人と自然の博物館で「障がい者を迎えるための接遇研修」を行いました。講師はわたしと共に、神奈川県立 生命の星・地球博物館の田口公則さんにもお願いしました。田口さんが視覚障がい者への接遇 (1) を説明し、わたしはコミュニケーション障がい者への接遇を説明しました。自分の経験を基にした話です。普段、障がい者への接遇などあまり考えていなくても、理解していただけるようにと工夫した話でした。聞いていたのは人と自然の博物館で働いている人や一般市民の皆さんです。誠実に講義を聞き、議論にも熱心に参加して下さいました。

 この文章は、コミュニケーション障がい者が読みやすいように工夫してみた ところが あります。そのために、普通はしない表記法やルビの振り方があります。○○さん、こんな事で、わかりやすく なりましたか?

☆   ☆

 田口さんは視覚障がい者が多く通う特別支援学校――田口さんが訪問した時には筑波大学付属盲学校と呼ばれていました――と交流があります。学校に出かけて出張授業をすることもあるそうです。出張授業の内容は、その学校の先生と相談して、一つひとつ、いっしょに創り上げていくのだそうです。

 視覚障がい者が多く通う学校では、どんなことを学ぶのでしょう? そのことを知るために、田口さんはまず、当事の筑波大学付属盲学校の理科の授業を参観させてもらいました。田口さんにとって、このことが、とても大きな影響を与えたそうです。当事、この学校の生物の授業では「肉食獣と草食獣の頭骨を観察する」という課題に取り組んでいました。この学校には、他の学校にはない独特のやり方として、生徒たちが自分でポイントを探り、観察することが挙げられるそうです。授業は何日もかけてじっくりと進みました。田口さんはそこに、普通の学校では忘れられている「理科の本質」があると気付きます。

 もちろん視覚障がい者に「目で見て観察する」という習慣はありません。「指先で触って観察する」のです。時間はかかります。ですが時間がかかる分、より詳しい観察ができます。その上、筋肉の付き方によって表面のざらざら感とか、つるつる感は変わります。「目で見て観察する」ことでは得られない、「指先で触って観察する」事で初めて解る事があるのです。

 例えば猫――肉食獣――の頭骨です。両目は正面にふたつ並ぶように付いているが、山羊や牛――草食獣です――の目は、どちらかと言えば頭の横に付いています。また猫はキバ(犬歯)が他の歯より大きく、奥歯は肉を切り裂くような形だが、山羊や牛は草をちぎって、すり潰すのに便利な歯をしているといった事も解ります。「指先で触って観察する」生徒たちは、そんな事を、何日もかけて自分たちで見つけていきます。場合によっては、指先で軽く弾(はじ)いた骨の音も、発見した事実に含まれていたかもしれません。このような観察が一学期の間に何回も続きます。そうして生徒は「ほ乳類の頭骨」を理解し、「目で観察する」生徒がけっして見る事のない、視覚障がい者が生活をする上で本当に役に立つ事実を積み重ねていくのです。現在の実践でも同じです。この、じっくり観察をして、自分で何かを見つけ出すという「理科の本質」を、何とか博物館でも生かせないものでしょうか? これが、その時の田口さんの思いでした。

 田口さんの授業参観は続きます。学校では頭骨授業のまとめを上野動物園でやらせて もらうことに しました。上野動物園に行けば、普段は触(さわ)れない動物の骨があります。例えばライオンとかカバといった動物のことです。生徒たちは、もう何か月も「触る観察」を続けてきました。その上で新しく経験するライオンやカバなのです。どんな動物かは、あえて教えませんでした。それでも、学校で触った頭骨の知識をフルに生かして、今、触っている動物はライオン、横にいるのはカバと、生徒たちは苦もなく言い当てたそうです。多分、アフリカのほ乳類というヒントはもらっていたのでしょう――でないと、ライオンとトラでは形ばかりではなく、大きさも似ています。区別がつき難(にく)かったはずです。

 盲学校(特別支援学校)で触る観察――触察(しょくさつ)と呼びます――を参観させてもらって、田口さんは生徒たちの観察の仕方が地質調査にそっくりだと思ったそうです。地質調査では、まず沢(さわ)沿いに地層を調べ、大きく把握して、その後で何本もの沢(さわ)に分け入って詳(くわ)しく調べます。これが地層の広がりを把握する方法です。つまり、線状に把握した知識を空間的に広げていくわけです。全体を把握するまでは、とても時間と労力がかかる作業です。このプロセスは、まさに触察(しょくさつ)と同じなのです。

 研修のお話を聞いて、霊長類学者のわたしが感じたことも、率直に書いておきます。視覚障がい者には、確実に、指先から産み出されるイメージが頭の中に組み立てられています。それがどのようなものなのか、視覚に頼るわたし(=三谷)が言葉で表現する事はできない。それでも、「触って産み出されるイメージ」には興味がそそられます。わたしにとって「イメージ」という言葉には、多くの視覚情報が含まれているからです。視覚を使わないで「触って産み出されるイメージ」がどのようなものなのか。想像してみるだけでなく、ヒトの多様さを調べている霊長類学者のわたしは、可能なら、そのイメージを実感してみたい。現代の科学レベルでは可能でしょうか?

☆   ☆

 盲学校で得た経験を博物館にフィード・バックした事例も紹介していただきました。晴眼者のご家族や子どもに「触る」という観察方法を体験してもらうのです。目の前の対象物をじっくりと観察し、自分の言葉で理解する体験です。

 神奈川県立 生命の星・地球博物館には「アンモナイトの壁」 (2) という展示があります。壁一面に、アンモナイトの化石が降り積もっているイメージです。アンモナイトというのは巻貝(まき・がい)のようですが、巻貝の仲間というよりも、どちらかといえばイカやタコに近い動物です。今でも生きている仲間にはオウムガイ(オウム貝)がいます。

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                       ヒオウギガイの貝殻を触って観察してみる。(八木 剛さん撮影)

 見えないように袋に貝殻(かいがら)を隠し、指先で観察をします。よく見かける二枚貝(にまい・がい)は、少し触ればどんな形なのか、だいたい想像が付きます。貝の外側がギザギザしているとか、貝柱(かいばしら)が付いていた跡(あと)には、くぼみがあるとかいった事です。巻貝(まき・がい)も、指先で触ればどんな形かは、簡単に想像できます。ところが、ある小学生がオウムガイ(オウム貝)の殻に指を突っ込んだ時、びっくりしてしまいました。普通の貝のように奥まで指が入ると思って突っ込んでみると、指が壁に触れたのです。小学生は驚いて、「奥がある!」と叫んでしまったそうです。(3) (4)

 アンモナイトやオウムガイ(オウム貝)の殻は巻貝(まき・がい)の殻と同じように見えますが、触れてみると、殻の中が壁で仕切られているのだと解ります。アンモナイトやオウムガイ(オウム貝)は、この壁で仕切られた空間にガスを溜め、ちょうど浮き袋のようにして、海の中を浮いたり沈んだりして生活していた(生活する)のです。しかし、その事は殻を外から見ただけでは解りません。触ってみて初めて解る事なのです。

 この体験は、晴眼者である子どもには貴重なものだったはずです。アンモナイトやオウムガイ(オウム貝)の殻の中には「浮き袋」が備え付けられている。まず学校では教えてくれません。しかも「奥がある!」と叫んだ小学生は、その秘密を自分ひとりで見つけたのです。人生の真実は教科書に書いてあるのではありません。自分で探し出すものです。そして、その秘密は、多くの「触って観察をする人」には、以前から、当然の事であったのかも知れません。この体験は、資料を持つ博物館という生涯学習施設でこそ学ぶ事ができる醍醐味(だいご・み)です。

☆   ☆

 田口さんは学芸員の仕事を、「来館者が自ら驚きや矛盾を見つけるお手伝いをすることだ」と言います。来館者の気が付いたことを、(科学的には少々間違っていたとしても)安易に否定するべきではない。なぜなら、来館者の気づきは、科学的な事実の確認よりも、もっと大切な、興味を引き出すことそのものに繋(つな)がるからだとおっしゃいます。そこには、一方的な解説ではなく、対話を通じた観察の積み重ねがあります。じっくりと時間をかけることができるか? 相手のペースを待つことができるか、です。

 じっくり時間をかけ、相手のペースを待って、対話を通じた観察を積み重ねる。ここに、我われの学ぶべき点があるようです。

 田口さんは化石を含んだ土砂の処理を小学校にまかせて、化石が出たら届けてもらうようにしたことがあったそうです。そして見つけた化石はちゃんと登録番号を付け、その番号を、ひとつずつ小学校に送っていったという事です。何年か後に大学生がやってきて、小学生時代に化石を発掘して博物館に届けたのだが、その化石標本を見せてほしいと申し出ました。博物館に届けたのは、もう何年も前の事です。田口さんはその元小学生に、化石の登録番号を記録した紙は持っていますかと聞いたのですが、もちろん持っていません。それで、うすうすダメかもしれないとは思ったのですが、元小学生の名前で検索をしてみました。すると見事にヒットしたのです。収蔵庫に案内し、その検索結果から棚を探すと、確かにその青年が小学生の時に見つけた化石があったという事です。その元小学生は大喜びをしました。この時ほど、博物館の学芸員でよかったと思った時はないそうです。

 博物館という生涯学習施設は、本質的に50年、100年と続きます。長い年月の間には、力を入れるべき学問分野や、やるべき仕事の内容は替わって当然でしょう。しかし、博物館の仕事は「流行りのファッションを売る仕事」とは違います――「流行りのファッションを売る仕事」を貶(おとし)めて言っているのではありませんよ。社会的責任の取りようが異なると言いたいのです。我われの担うべき社会的責任は、博物館という公共財を維持し、発展させていくことであるべきです。

 わたしの「コミュニケーション障がい者への接遇」のようすは、次に書きます。

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(1) 「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」
http://nh.kanagawa-museum.jp/faq/3ronshu/31.html
3周年記念実行委員会 1998 「自然科学のとびら」第4巻第1号3頁より転載

(2) 「アンモナイトの壁をじっくり見よう」
http://nh.kanagawa-museum.jp/research/tobira/archives/8-3/taguchi.html

(3) 生命の星・地球博物館の講座「アンモナイトの壁をしらべよう」のようすは
http://nh.kanagawa-museum.jp/event/report/rp33.html
にあります。

(4) 生命の星・地球博物館の講座「貝がらのふしぎを調べよう~ホタテの巻~」のようすは
http://nh.kanagawa-museum.jp/event/report/rp43.html
にあります。

 この研修は一般財団法人 全国科学博物館振興財団による平成25年度 科学系博物館活動等助成事業「コミュニケーション障がい者にも理解しやすい展示解説技術の研修」(人と自然の博物館,対応者 三谷雅純)として採択されたものです。

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

HPでもお伝えしていたように第9回共生のひろば 発表会がホロンピアホールで行われました。
地域の活動団体や高等学校を含め13団体が、地域の自然・環境・文化に関する市民活動の輪を広げる目的として発表してくれました。

はじめに基調講演として河合名誉館長より「争うのが嫌いな平和主義のサル」と題して講演がありました。

 

       河合雅雄名誉館長の基調講演

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共生のひろば 発表の様子

 

 会場の様子

発表会は、本日で終わりですが展示会(ポスター・作品発表)が4月6日まで開催されています。
発表会に参加できなかった団体を含め、39団体の研究や活動の成果がまとめられています。


 

 

 ポスター発表 作品展示の会場 「ひとはく 3階展示フロアー」


地域で活動されている各団体のこの素晴らしい研究や成果は一見の価値あり!
是非一度ご覧下さい。

情報管理課 阪上勝彦

岸本眞五氏(姫路市在住)により洲本市にて発見されたハドロサウルス科の恐竜化石が、2013年12月にひとはくに寄贈されました。
第9回共生のひろば発表会の中で、当館の中瀬勲館長より岸本眞五氏に感謝状が贈呈されました。

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    ホロンピアホールでの贈呈式の様子     中瀬館長より岸本眞五氏へ感謝状の贈呈

寄贈された標本は、本日よりひとはく3階 丹波の恐竜化石展示コーナーで「洲本産恐竜化石の臨時展示」として展示しています。

洲本市産恐竜化石の臨時展示

また共生のひろば展では岸本眞五氏による「淡路島の和泉層群から産出する脊椎動物の化石」としてポスター発表および実物化石も展示しています。

共生のひろば展でのポスター発表および化石の展示


是非一度ひとはくにお出かけください。詳しくは、下記項目をご覧下さい。

 ■兵庫県洲本市の和泉層群(後期白亜紀)から産出したウミガメ類化石について

 ■兵庫県洲本市産ハドロサウルス科恐竜化石を寄贈された岸本眞五氏に感謝状贈呈

情報管理課 阪上勝彦

ユニバーサル・ミュージアムをめざして46

 

「気が付くと『ユニバーサル社会』が出現していた」のご感想など

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)


 「ユニバーサル・ミュージアムをめざして42:気が付くと『ユニバーサル社会』が出現していた」 (1) には、思いの外、多くの方からご感想をいただきました。ありがとうございます。このひとはくブログで、いくつかを紹介いたします。文意を変えないように気を付けて、わたしの責任で、一部、書き直しています。

 わたしが提起した話題は、ある大学で本当に起こっている事です。だからだと思いますが、大学の現教員や元教員の方からの感想が多く寄せられました。どの方も「学生の現状には、ほとほと困り果てている」という事だと思います。ただし、わたしの意図としては「学生の受講態度を非難する」のではなく、「将来が想像できない(学生を含めた)人びとの姿に気が付いた」という事でした。ある方はその事を、

 ひとはくブログを読ませていただきました。気付かないうちに出現していた「ユニバーサル社会」は確かに居心地が悪く納得できませんね。市民も受け身で自ら動き真理を探究してはいないという印象です。「大学」とは名ばかりの場所の住人の,こうした振る舞いは,しばしば耳にします。これでは三谷さんの目指す「ユニバーサル」な社会は遠いと思います。同時に三谷さんの「ガッカリ」さも想像します。残念ですね。理想の状況ではないのに,気がつけばそうだったなどということがないよう私達もいつも目を覚ましていないといけないな,と思いました。

と書いて下さいました。別の方は、もっと直接的に、

 底辺私立大学の現状は、ほんとうにひどいです。

と書かれましたし、

 今回のひとはくブログに考えさせられました。今の社会、夢や希望はどこへ行ってしまったのでしょうか……。

と書いて下さった方もおられます。

 よくわたしに感想を下さる ある男性は、具体的な事例や意見を交えて、次のように書いておられます。

 『ユニバーサル・ミュージアムをめざして42』を読んで驚きました。大学がおかしくなって来ている事は、新聞で読んだり、ラジオで聞いたりはしていました。三谷さんが実際に変になっている大学へ教えに行っておられたとは、というところです。

 まだ会社で働いていた頃、新しく入社して来た若い人々の中に、「そんな事は、教えてもらっていません。」などと言う人が混じるようになって、「へえっ」と違和感を持ったものです。殆(ほとん)どの人は大卒で会社員になっているのに、仕事の事で、そんな事は教えられていませんと言うのは、どういう事かと思いました。私らが入社した頃は、先輩が色々と教えてくれるという事などありませんでした。自分で、本や雑誌などを読んで、仕事の事を調べたり、先輩がやっているのを見て覚えたりするのが一般的でした。私の場合、入社したのは小さな会社で、私の担当になった部署に先輩は居ませんでした。研修先で教えていただいた仕事上の参考文献を購入し、仕事をして行ったものです。それと、時々は工業研究所の先生に相談しに行ったりしました。

 ○○市で中学に入学した時、校長先生が祝辞で、「君達は、今日から子供ではありません。大人の仲間入りをしたのです。今日からは、責任を持って、紳士として行動しなさい。」と言われました。“紳士”とは何の事かと思ったのですが、要するに大人らしくしろと言う事だと理解しました。急に大人としての自覚が持てるものでもないのですが、先生方が子供扱いしてくれないので、その内 何とはなく それなりの自覚を持つようになるものです。

 今は、高校生でも子供扱いしていませんか。高校生だけではなく、大学生すら子供扱いしているのかも知れません。それで、三谷さんが教えに行っておられた様な幼稚な大学生が居る大学ができてしまったのかも知れません。

(中略)

 人によるのかも知れませんが、早くに子供扱いを止めてしまうと、それなりに大人として振る舞えるようになるのではと思うのですが、如何(いかが)でしょうか。(○○市の中学校のように)中学生には、大人の自覚を持つように教育方法を変えて行くのも、一つの方法かも知れません。

 (私より)ずっと年上の方の中には、昔のように兵役を取り入れるべきだなどと言われる人もあるようです。子供っぽい高校生らには、何か社会訓練を義務付けると、大人の自覚が持てるようになるかもと言う方も居ます。

 日本が豊かになった結果の現状なのかも知れません。いよいよとなれば、生活保護も受けられますし。昔は、生活保護を受けるのは恥しい事だという意識があり、苦しくとも一家全員で頑張っていたようだと妻が言っていた事があります。他人からの援助、行政からの援助も潔(いさぎよ)しとしない意識も、子供を早く大人らしくする事になっていたと思います。

☆   ☆

 中学校で教えておられた元教師で、兵庫県域の水生昆虫にも詳しい西村 登さんは、

 ブログに「大学生と呼ぶのをためらうほど幼く……授業は成立しませんでした」とあります。他の方の著書を読んでも、現代の大学生の授業態度の悪さ、話を聞かない態度を嘆いておられました。小・中・高でも同様のことがあると聞いています。私は幸い体験していません。(三谷さんが話題にしておられる場所は)「大学」という名前の付いた営利企業ですから、昔の大学の理想の形とは程遠いということでしょうか。

と書いた上で、

 「幼稚な学生を定年退職した高齢者が教える」とありました。私も、数年間、小学校の環境体験学習の支援講師として十校余に出かけました。幸い児童(小3)たちは 私の授業(野外活動と内業)に集中して参加してくれ、担任から「子供らがこんなに集中したのははじめてです」と言って頂きました。

「今日はカゲロウさん、トビケラさんが先生です。仲よしになってほしいな」と 小3の子供たちの感性に訴えたこと、子供の目線で全力で子供たちに相対したこと、担任に事前にあって話し合い、合意の上、側面から支援したこと、私自身楽しかったことなどが成功した要因であったと思います。

 以上、私の小さな体験をくどくど述べましたのは、指導者は学習者の目線に立って支援することの大事さを子供たちから教えられた……ということをお伝えしたかったのです。

 そして昔の大学教育は子弟間のつながりが深く、師や先輩に感化されるという点が多く、かつ少数精鋭のエリート教育だったということでしょう。

と書いて下さいました。元大学の教員をしておられた方は、次のような感想を寄せて下さいました。

 大学生の教室風景がユニバーサル社会だというのには、笑ってしまいました。なるほどそういう見方もあるのか……という感じです。世の中、病気もしない、どこも悪くなくても、そういう(ユニバーサルな)状態ってあるんですねぇ。

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(1) 「ユニバーサル・ミュージアムをめざして42:気が付くと『ユニバーサル社会』が出現していた」

http://hitohaku.jp/blog/2013/12/post_1820/

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

ひとはく は 長い間メンテナンス休館をいただいていましたが、いよいよ本日より開館です!

開館を待ちわびていたのか?

最初に訪れたのは・・・大雪のお客様でした!

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朝からの雪で5センチ以上積もっています。

ここは空気がとってもきれいだから

積もった雪はさらさらで真っ白です。

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でも寒さを忘れて子ども達は元気に遊んでいます。

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真白くなった深田公園を笑顔で走りまわって、

疲れたら雪のふかふかのお布団でひとやすみ。

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寒くなったら、ぜひ博物館に暖まりに来てね♪♪

              情報管理課 船越

ひとはくの避難訓練

2014年2月 7日

メンテナンスによる冬期休館も本日で終了。明日からの開館に備え、三田消防署の指導でひとはくでは防災訓練を実施しました。

館内各フロアからの避難誘導、非常持ち出し、救護活動など各職員で再確認しました。

 

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         避難を終えたひとはく職員                  「火災発生!」

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         消火器を使った消火訓練                  「消火成功!」


ひとはくは、1月6日から2月7日(金)までメンテナンスのため休館していましたが、2月8日(土)から通常通り開館します。皆様のご来館をお待ちしています。 

 情報管理課 阪上勝彦

みなさ~ん、お久しぶりです!

 

○○くんに○○ちゃん、○○ちゃんのお母さん、○○くんのおじいさま。みなさんお元気でしたか?

 

元気なお友達は、しばらく会わないうちに背が伸びたのではないですか?

 

長~いお休みを頂き、博物館もスタッフもリフレッシュ充電完了です(*^_^*

 

メンテナンス休館も2月7日(金)で終わり。
/8(土)から開館します♪

 

image001.gif早くみなさんに会いたいな~~~

みなさんのお越しを心よりお待ちしております。

           フロアスタッフ一同

ユニバーサル・ミュージアムをめざして45

 

多文化であることの苦しみと寂しさ

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 


 わたしは大阪で育ちました。大阪市でも南の方です。大阪の南には、昔は南蛮貿易や港町として名高い自由都市(つまりアジール)だった堺があります。そんな環境で育ったので、近所には いろんな人がいるのが当たり前でした。その人たちがいろいろな価値観を持って地域で暮らし、地域に根付いている。そのことを当たり前だと思って暮らしてきました。

ですから、例えばクラスの□□君や○○さんは韓国系の民族学校に進学すると聞いたり、奄美大島に親族がいるのだと知りましたが、何ということはなく、それよりもその生き方が羨(うらや)ましくなって、仲良かったり、けんかをしたりして過ごしていました――今でも友人として付き合いのある人もいれば、その後、縁遠くなった人もいます。

☆   ☆

 そのわたしが「日本人は繊細な感覚を大切にする」とか、「日本人は清潔好きだ」と聞かされても、何だか腑(ふ)に落ちません。なぜ、そんなことを言うのだろうと不思議な感覚を覚えてしまいます。「日本人は繊細な感覚を大切にする」というのも、「日本人は清潔好きだ」というのも、それはそれで大事なことなのですが、皆が皆、一律に「日本人は繊細な感覚を大切にする」とか「日本人は清潔好きだ」というのは間違っているのではないか。あの人やこの人や、そうでもない人を、わたしは知っていると思ってしまうのです(大阪人は「繊細な感覚がない」とか、「不潔だ」と言っているのではないですよ。大阪の商店街や路地はゴチャゴチャしているが、そのゴチャゴチャが、わたしは好きだと言いたいのです)。

 このわたしの感覚は、もともとの多文化の環境から生まれたものかもしれません。しかし、わたしのように大阪で育ったのではない人、つまり日本の多数者にとって、この感覚とは、どうも違っているらしいと、その事にようやく気が付きました。(見かけ上の)多数者は、多数者にとってだけ都合よく街作りを行い、社会作りを行っています。そのために「街」とか「社会」に居場所のなくなった人は、さまざまな事件を起こしている。しかし、(見かけ上の)多数者はそのことを見ないようにしている。そんなことに気が付いたのです。

 平田オリザさんの『新しい広場をつくる』 (1) という本を読んでみました。平田さんは図書館――生涯学習施設のひとつです――を例にあげて、社会的弱者にも居場所を提供するはずのコミュニティ・スペース、つまり「必要とする人は誰でもいられる場所」として、日本の図書館は十分に機能していないと述べています。

 ある時、中学生とホームレスが図書館に居合わせました。寒い時期だったために、中学生もホームレスも暖(だん)を求めて図書館に集まってきたのです。中学生は本を読む人の側(そば)ではしゃぎ回り、そのことをホームレスがたしなめます。ところが中学生はそのことを逆恨みし、「復讐」と称してホームレスを襲ったのです。二度、三度と襲撃は重なり、最後には仲間の高校生も加わって、ついにホームレスを殺してしまいます。この事件は新聞やテレビでも大きく取り上げられたので、憶えている方が多いでしょう。

 これは教育の問題なのでしょうか? 平田さんは、加害者となった中学生(と高校生)や被害者のホームレスが、安心できるコミュニティ・スペースを作ってこなかった街作りの問題だと言います。この場合、中学生(と高校生)やホームレスは、共に社会的弱者です。

 この本で平田さんが言っていることを引用しましょう。「これまでの日本社会は、『誰もが誰もを知っている共同体』を作ってきた。これは、農耕社会の宿痾(しゅくあ)と言っていいだろう。(中略)麦は家族経営でも収穫できるが、稲は村落共同体全体で取り組まないと収量が上がらないという宿命を背負っている。(そのため、地域は『小さくて強固な共同体』である必要がある。:三谷)/しかし、都市化が進み、この小さくて強固な共同体に限界が来ているとすれば、私たちは、この『誰もが誰もを知っている強固な共同体』を、少し広域に緩(ゆる)めつつ、『誰かが誰かを知っている穏やかな共同体』に編み変えていかなければならない。」(『新しい広場をつくる』の53ページ)

 平田さんは日本社会の特徴を「村落共同体のしきたり」に求めます。そこでは多文化が共生していく論理ではなく、異質なものを排除する論理が力を持っています。形だけは肥大して都市のようになったが、その実体は、地域が「小さくて強固な共同体」のままなのです。そこでは「暴力をふるう中学生は排除する」とか、「ホームレスは排除する」といった「排除の論理」だけの空間が出現しました。「暴力をふるう中学生は排除する」とか「ホームレスは排除する」というのは当たり前のことだと思うかもしれませんが、わたしは、そのこと自体を暴力的に感じます。「排除の論理」は社会の格差を無視した、きわめて乱暴な解決法だと思います。

 「排除の論理」は、何も彼ら/彼女らだけを排除するのではありません。社会的弱者になったが最後、わたしやあなたも、簡単に「排除」の対象になるのです。「排除の論理」は表向き、正義です。しかし、当然のことながら「排除」の対象になる人にとっては、正義でなどあるわけはありません。「誰もが誰もを知っている強固な共同体」であった水稲農耕社会に生きる人びとは、都市化によって息ができなくなる。「繊細な感覚の」「清潔な」だけの、殺伐とした世界が広がっていたのです。

 その解決策を、平田さんは「社会包摂(-ほうせつ)=social inclusion」に求めています。「ユニバーサル・ミュージアムをめざして21」に書いた「サラマンカ宣言があった!」 (2) の回の「インクルージブ教育」と同じ考え方です。

 「地域社会の崩壊や核家族化、そして長引く経済の停滞の結果、人間はあっけなく孤立化してしまう環境に生きざるを得なくなった。現代社会において孤立しがちな人間を、どうにかして社会につなぎ止めておこうというのが、「社会包摂(-ほうせつ)」的な政策だ。これは、排除(exclusion)の論理ではなく、人々を社会に包摂(inclusion)することによって、結果的に共同体全体のリスクとコストを低減していこうという考え方だ」(61ページ)というのです。この方策が、うまい解決策になるのではないかと言うことです。

☆   ☆

 平田オリザさんは、演劇という芸術の社会的な意味を探る中で、このような考え方に至りました。演劇は「地縁や血縁のように(身動きが取れないほど)熱いもの」でもないし、社会が営利(≒お金儲け)だけで動くというのでは、あまりにも冷たい。かといって、市場経済ともどうにか折り合いをつけないと、何事であれ現代社会で実現することは難しい。市場経済と折り合いをつけられる「新しい広場」として演劇があり、劇場がある。そして「街のそこかしこに」は「出会いの場=コミュニティスペース」(52ページ)が必要だと論じます。

 「演劇」と同じことは「科学」にも言えます。「科学」は直接的に社会の役に立つ(≒市場経済の商品になる)場合もありますが、ひとはくで話題になる「科学」では、直接、商品化はできない場合が多いのです――恐竜や照葉樹林からでも、何とか工夫すれば商品は作れますが、恐竜化石そのもの、照葉樹林という植生そのものが、コンビニで売っているような商品になるわけではありません。それでも博物館は必要です。なぜかと言えば、「博物館」という生涯学習施設では、何でも自分で興味を持った事を探れる場所だし、そこに集まる人びとに重要な「出会いの場」(=コミュニティ・スペース)を提供するからです。つまりユニバーサルな空間になるわけです。

 平田さんの議論にせよ、ユニバーサル・ミュージアムの議論にせよ、自由に集える場所は、基本的にお金になりません。そもそもコミュニティ・スペースは、地縁・血縁とは別物であり、市場経済にも馴染みにくいものです。しかし、「人間の孤立化」や「地域社会の崩壊」といった現代社会の弱点を防ぐためには、図書館や美術館、博物館といった生涯学習施設にユニバーサルな考え方、インクルージョンの考え方は、ぜひとも必要です。

 長く地縁と血縁のしがらみに縛り付けられていた日本列島に生きる人びとが、簡単に見知らぬよそ者を受け入れる余裕などはないと怒る人もいるでしょう。それでも社会的弱者がいる限りは、どうあってもユニバーサルな考え方、インクルージョンの考え方を受け入れなければなりません。そこには新しく受け入れる多文化であることの苦しみと寂しさがありそうです。その苦しみや寂しさは、新しいものを受け入れらきれないという感情から起こるのかもしれません。

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(1) 平田オリザさんの『新しい広場をつくる』(岩波書店、1,900円)
https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/9/0220790.html

(2) 「ユニバーサル・ミュージアムをめざして21」に書いた「サラマンカ宣言があった!」
http://www.hitohaku.jp/blog/2013/01/post_1680/

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

岡山県吉備中央町の宇甘渓にアオキの調査に行ってきました。アオキには「アオキ」と「ナンゴクアオキ」と呼ばれるものがあります。アオキは染色体数が2n=32の4倍体で、北海道から中国・四国地方まで広く分布しています。一方、ナンゴクアオキは2n=16の2倍体で中国・四国地方以西に分布しています。岡山県ではアオキとナンゴクアオキの両方が生育していてとても調査しやすい場所なのです。

さて、これまでアオキとナンゴクアオキは染色体数が違うものの外見で区別するのは難しいとされてきました。
しかし、この2種類のアオキは葉の鋸歯の形で区別できるのです。

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これがアオキ(右)とナンゴクアオキ(左)の葉です。

 

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 この2枚の葉を比べて見ると、アオキの葉は鋸歯の先は外を向いています(赤線)。しかしナンゴクアオキの葉は鋸歯の先が内側を向いているのです(黄線)。

個別に見てみると、
こちらがアオキ。鋸歯の先は外側を向いて鋭い感じです。

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こちらはナンゴクアオキ。鋸歯の先は内側を向いていて丸みがあります。

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この違いは伊豆諸島や屋久島など島嶼部に生育するものには当てはまりませんが、本土のアオキとナンゴクアオキであればほぼ区別できます。

山本伸子(自然・環境評価研究部)

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 人と自然の博物館では、伊丹市教育委員会と平成25年2月22日に協力協定を締結し、理数教育推進と連携のモデルづくりに取り組んでおります。その一環として、中学校の理科自由研究に協力しております。
 去る平成25年6月9日には、当館研究員の橋本佳明主任研究員、赤澤宏樹主任研究員が伊丹市の中学校に招かれ、「アリの飼育」「グリーンカーテン」について講義・実習を行いましたが、これらの内容を含む9点の研究発表会が平成26年1月18日伊丹市総合教育センターでありました。


●発表された研究テーマ等は以下のとおりです
 「ピン球のはね方調べ」 荒巻中学校1年
 「フックの法則についての研究」 笹原中学校2年
 「グリーンカーテンの効果について」 東中学校1年
 「鳥の羽の構造・種類と飛ぶ仕組み・揚力」 南中学校1年
 「アリにまつわる3つのこと」 西中学校科学研究部2年
 「燃料電池をつくる」 北中学校1年
 「麺はどれくらい伸びるのか」 松崎中学校1年
 「地震の揺れから建物を守るにはどうしたらいいか」 天王寺川中学校2年
 「ブーメランの謎」 天王寺川中学校2年

 当館からは高橋晃次長兼推進部長が審査員として出席され審査にあたりました。天王寺川中学校2年生の研究「ブーメランの謎」が「ひとはく賞」に選ばれ、高橋次長より表彰状が授与されました。

 これらの発表は、2月11日当館で開催される「共生のひろば」でポスター発表されます。

西岡敬三(生涯学習課)

ユニバーサル・ミュージアムをめざして44

お隣の山地民
『ゾミア――脱国家の世界史』書評-2

三谷 雅純(みたに まさずみ)


 霊長類学や古人類学では、ヒトの進化を百万年単位で考えます。有名なアルディピテクスは、だいたい五百万年前とか四百万年前とかに生まれましたし、教科書でよく見るアウストラロピテクスは、およそ三百万年前に生きていたと言います。わたしたち現生人類(ホモ・サピエンス)にしても、すでに二十万年という歴史を経てきているのです。ですから、スコットさんが『ゾミア:脱国家の世界史』の中で問題にしている千年、二千年という時間感覚は、霊長類学者や古人類学者にとっては「瞬間」にすぎません。山地民の識字率はゼロに近くても、読み書きをする潜在能力があることはもちろんですし、いったん水稲農耕をしていたといっても、もう一度狩猟をする能力は、あるのが当たり前なのです。低地に住んでいた農耕民が、狩猟採集をする山地民になったとしても、何も不思議なことはありません。

 わたしたちの思い込みとは、ヒトの社会の歴史は決まった方向に進むと信じていることです。長い長い狩猟採集の時代があって、後に牧畜や焼き畑のような「雑な」農耕の時代を経て、「合理的な産業としての農業」の時代――アジアの例では「灌漑設備の整った水田耕作」――になるのだと思いがちでした。社会ダーウィニズムはそうした考え方をします。ヒトや人の自然への働きかけは、ゆっくりとだが、しかし、確実に効率的になり、まるで単線を走る列車のように決まった終着地に着く。それまで走り続けるというのです。この考え方では、社会が後戻りをすると脱線してしまいます。つまり滅びるのです。カール・マルクスの『資本論』 (1) も、こんな考え方をしていたはずです。

 ところが、このわたしたちのこの思い込みは、「国家」という統治機構が創造したのだと言えそうなのです――現代の国家観では、元来、「国家」を統治するのは「国民」ですが、ここでは、あたかも「人格のある人間のように振る舞う国家」が、人びとにある事を信じ込ませたということです。スコットさんはそのことを、「理想と現実の矛盾に気づいた地域の人々や帝国の役人たちは文明論が単なるぺてんにすぎないと見抜いていた」(p 341)と表現します。

 ごく大雑把には、霊長類学でも同じような段階は想定しているのですが、それは十万年とか百万年を単位として考えた時の話です。人間が歴史時代になってからの話ではありません。『ゾミア:脱国家の世界史』の中で展開される横暴な政治の支配と支配される人びとの逃避の物語では、まったく時間感覚が違うのです。

☆   ☆

 『ゾミア:脱国家の世界史』はディアスポラ(diaspora:国外離散者=風に舞うキク科のタネのようにバラバラになった人びと)やエグザイル(exile:故郷喪失者)の物語です。そして山地民とは、新しい文化を創り出した人びとでした。同じような立場には、ユダヤ人やロマの人びと(昔はジプシーと呼んでいました)、サハラの「ベルベル人」と呼ばれる多くの出自を持った人びとがいます。最近の研究では、南アメリカのヤノマミやトゥピ・グアラニーといった狩猟採集生活で生きる人びとも、インカ帝国や植民地時代のスペインの支配を避けて避難したエグザイルだということです――クロード・レヴィ=ストロースが明らかにしたかった「原始時代から続く人間の『親族構造』や『神話構造』」というものは、どう考えるべきなのでしょう?

 ディアスポラやエグザイルと言えば、サハラ以南の熱帯林に住むバンツー諸語を話す人びともそうです。バンツーは森の民ではなく、もともとサバンナに暮らす農民だったのです。それが、今から三千年とか四千年いう時代に地球全体が乾燥化して、サハラに住む人が南下したために、押し出されるようにして森に逃げ込んだ故郷喪失者だと言います。

 確かにバンツーの村は、熱帯林のただ中にも関わらず丁寧に草を引き、家の前にゴミなどは落ちていません。これはサバンナに似た雰囲気を作ろうと努力しているのだと聞いたことがあります。

 森の奥の村までは、中央政府も統治(支配?)できません。そのため、バンツーの村では、今でも人びとの自治が生きています。この自治のためでしょうか、時には村と村の「戦争」(とバンツーの青年がそう呼んでいました)が起こることがありました。カメルーンのファング(Fang)という集団は、さかんに小さな「戦争」をしたことで有名です。これも大きな「国家」の支配を避ける意味では有効だったのかもしれません。

 バンツーとピグミーの交渉には、ゾミアの低地に住む水稲農耕民と山地の狩猟採集民や焼き畑農耕民と似たところがあります。バンツーが畑で取れたキャッサバ芋を提供し、ピグミーはダイカーというウシの仲間の肉や森で集める野菜=グネツムの葉といった物を交換するのです。ただ、ミトコンドリアDNAの分析から、バンツーとピグミーは数万年前には別れていたことが分かっています。その点、ゾミアの歴史とは根本的に異なるのだと思います。それでも、森という見通しの悪い場所は、バンツーに絶好の逃避地を提供しました。バンツーが何か横暴な権力から逃げたというのなら、バンツーはゾミアの山地民と同じ境遇にいたことになります。

☆   ☆

 中尾佐助さんの「照葉樹林文化論」は、ゾミアの山地民と同じ地域の文化を基に展開しています。焼き畑農耕、粘り気のある芋やアワ・ヒエといった穀物、陸稲(おかぼ)とかソバとかいった、いういろいろな作物を植え、発酵食品を好む文化は日本にもたらされたといいます。それが西日本の文化の基層になったという仮説です。発酵食品でいえば、例えば琵琶湖のフナ鮨に似たナレズシは中国の貴州省に住んでいるミャオ(Miao)も作りますし、日本の糸引き納豆も、似たものがゾミアを超えてインドネシアにまであります。日本列島とは、言うなら「海に隔てられたゾミア」でした。

 日本列島の基層文化とゾミアの山地民の成り立ちとは異なるところがあります。それは水田稲作文化を持ってきたことです。これは佐々木高明さんが書いた『照葉樹林文化とは何か――東アジアの森が生み出した文明』 (2) の195ページに載っていたことです。縄文時代の終わり、弥生時代の始まりの頃でしょう。この時代、水稲農耕の起点とされるようになった長江の下流域では何があったのでしょう? 今の上海あたりの出来事です。

 想像するしかありません。思うに「横暴な支配者」に耐えきれなくなった低地の水稲農耕民が領地を逃げ出し、海を越えて、本来のゾミアである山地に代わって九州に渡ってきたということではないでしょうか? 海に漕(こ)ぎ出すことは、山や森に隠れるのと同じ意味があります。「国家」の支配から逃れるためにです。しかも、渡った先にあったのは「未開の島」(=日本列島)です。中国の「帝国の役人たち」も、ここまでは追いかけて来ません。

 これが弥生時代の始まりと共に起こったとしたら、「日本」はエグザイル、つまり故郷喪失者が、直接、参加して作られた国だということになります。ただし、そのエグザイルも、水稲農耕という最先端の技術を持っていたために、この日本列島という「ゾミア」に(意に反して?)「国家」を作り出してしまいます。彼らエグザイルは、そのことを望んだのか望まなかったのか、今となっては分かりません。

☆   ☆

 ゾミアは日本でも研究が進んだ中世の「アジール」と似ています。「アジール」と呼ばれる場所はゾミアほど広くはありませんが、権力の支配が及ばないところとされています。例えば神社やお寺だそうです。歴史家の網野善彦さんのお書きになった『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』 (3) によれば、犯罪者や離婚をしたい女性ばかりでなく、盲人やハンセン病者もアジールに逃げ込んだと言います。そのような多くの人が逃げ込んだのなら、権力の力が及ぶ一般の市井(しせい)に残った人とは、誰と誰だったのでしょうか?

 ヒトの地理分布は、二十万年前までの出アフリカの時代からディアスポラやエグザイルによって広げられました。彼らは地球の寒冷化や飢餓(きが)、病気といった止むに止まれぬ事情があって「ゾミア」に逃げ込んだのでしょう。しかし、それはまた、新天地を開拓する可能性も秘めていました。新天地とは住んで不便なことが多いものですし、思わぬ事件や事故で死んでしまうことも、よくあります。しかし、行かずにただ死を待つより、死んでしまうかもしれないが、それでも行く方がいいと覚悟を決めた出立(しゅったつ)だったのでしょう。わたしやあなたは、そのディアスポラやエグザイルの子どもなのです。

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(1) 『資本論 1』(岩波文庫 白 125-1, 882円)マルクス (著), エンゲルス (編さん), 向坂 逸郎 (翻訳)

(2) 『照葉樹林文化とは何か――東アジアの森が生み出した文明』(佐々木高明、中公新書、1,029円)

(3) 『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』(網野善彦、平凡社ライブラリー150、1,223円)

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

ユニバーサル・ミュージアムをめざして43

お隣の山地民
『ゾミア――脱国家の世界史』書評-1

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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ゾミア(Wikipedia の "Zomia (geography)" より)

  わたしにとって年末年始は、普段読みたくても なかなか読めない分厚い本を読む時間です。時間に余裕がある時なので、骨の折れそうな本を読むことにしているのです。昨年までは、例えばスティーブン・ミズンの『心の先史時代』や『歌うネアンデルタール』、スティーブン・J・グールドの『人間の測りまちがい:差別の科学史』といった本を読んできました。今年は何を読もうかと考えましたが、原書が2009年に出て、2013年10月に翻訳が出た『ゾミア――脱国家の世界史』 (1) を読んでみることにしました。イェール大学の人類学者で、政治学者でもあるジェームズ・C・スコットという人が書いた本です――2段組で約400ページもあります。

 読んでみると、「ゾミア」と名付けた東南アジアの一地域の政治と、そこに住む山地民の起源が描(えが)かれていました。東南アジアに限らず、アマゾン地域やヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸、そして、この本で直接扱っているのではありませんが、わたしにとってはサハラ以南のアフリカに住むバンツーやピグミーの生き方までも考えてしまう、とてつもなく大きな刺激を感じた本でした。さっそく新しい考え方に出会えて、何だか今年は特をした感じです。

☆   ☆

 「ゾミア」とは東南アジア大陸部の広大な丘陵地帯を指す言葉です。「ゾミア」にはベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ビルマ(=ミャンマー)と中国の4省(雲南、貴州、広州、四川)が含まれます。ここでは「丘陵地帯」と簡単に説明しましたが、行った経験のある方によると、あたりは起伏の激しい山国だということです。その山国には、いろいろな「少数民族」が住んでいます。「カレン(Karen)」や「シャン(Shan)」という呼び名なら聞いたことがあるでしょう。山の斜面に小さな村を点てんと作って住む人びとです。その人たちは、中国の漢族やタイ、ビルマといった水稲耕作が基本の大きな国家とは異なった規範を保(も)っています。異なった倫理観や宗教を保(も)つ、言うならば、大きな国家からは独立した「自由な民族」なのです。

 このような「少数民族」は、中国やタイやビルマの体制には従わない「反体制グループ」としても有名かもしれません。また、マレー語で〈オラン・アスリ(Orang Asli)〉と呼ばれる先住民とされる人びとは、今でも「洞窟(どうくつ)に住んでいる」と誤解されることがあります。

 狩猟採集生活や焼き畑農耕を基本とします。また粘り気のある里芋やヤマノイモの仲間、アワ・ヒエといった穀物、水稲ではなくて陸稲(おかぼ)とか、ソバや外来作物のトウモロコシなどを植えています。この栽培作物品目や発酵食品を好む食文化は、中尾佐助さんの仮説として有名な「照葉樹林文化」の議論につながります。これは後ほどお話します。ここでは説明を省略して、先を急ぎます。

 その「少数民族」です。たいていの皆さんは、「彼らは有史以来変わらず、昔から今と同じ生活をしていた」と思っているでしょう。言ってみれば「文明から隔絶され、大昔の生活をそのまま保った人びと」だと思われていたのです。ところが、それは事実ではない。今、「少数民族」とされている山地民は、昔は低地の灌漑(かんがい)農耕を身に付けた水稲農家であり、識字能力も身につけた、立派な臣民(しんみん:王様のいる国の人民)だったとスコットさんは主張します。つまり、現在、「少数民族」として焼き畑や狩猟に頼って生活している人も、大昔は大きな国家の構成員だったというのです。

 焼き畑や狩猟に頼っての生活は不安定です。山の恵みが乏しい時季には飢餓が起こるかもしれません。一方、「灌漑(かんがい)農耕を身に付けた水稲農家」であれば、作物の出来高は安定しています。餓死などしそうにありません。それに、村といっても山村の小さな村とは訳が違います。大きな村での豊かな生活が想像できます。ところが彼らは、その生活を棄てたと言うのです。どうして安定した生活を棄ててまで、焼き畑や狩猟に頼る必要があったのでしょうか?

 スコットさんによれば、その原因は「国家の収奪と支配からの逃避」だったと言います。国家は効率よく税金が集まることを望みます。そして、必要な時には何時(いつ)でも徴兵ができるというのが「よい国家」です。その国家の方針に従うのが、「よい臣民(しんみん)」なのです。しかし税金ばかり高くて、人びとに見返りはなく、おまけに農民には関係のない侵略のための兵役まで負わされたのでは(王様や大臣たちは贅沢三昧[ぜいたく・ざんまい]であればなおさら)、そんな国からは逃げ出したいと思うのが普通の感覚です。こうして逃げ出し、標高の高い、お役人は追い掛けて来ない山地に新しく村を作ったのが、「少数民族」とされる山地民だというのです。

 わたしは驚きました。山地民はもともと「低地の農耕民」で、おまけに「よき臣民」だったとは。この人びとは、支配から逃げて山に隠れ、息をひそめていたというのです。本当でしょうか?

 兵役に限らず、国家は人がいなければ回りません。土手の工事をするにも人手が必要です。兵役と同じように、(いやいやでも)呼べば集まるなら、労力は必要な時に集めればよいのです。しかし、そもそも人がいないのでは、集めたくても集まりません。そんな時は、山地民を捕まえて奴隷(どれい)にします。無理やり働かせたのです。そうすると、奴隷(どれい)になって働くのなど、人は誰でも嫌ですから、山地民は、ますます山奥へと逃げていくようになります。

 今でも、山の尾根といった人の寄りつかない、人が住むのに適していない場所には、一番、社会的勢力が弱い「少数民族」が住んでいるのだそうです。

 村人に限らず息をひそめていた人も多くいたと思います。現実には、賄賂(わいろ)をもらったことがばれて、逃げ出したり、タブーを犯して身を隠したりといった人が多くいたのでしょう。その時、山地は低地民の逃げ場所になるのです。

 そうすると、人類学者が最新の装備をこらして血液サンプルを集め、DNAを分析してみても無駄だということになります。「少数民族」と言われている人たちは、もともとは低地の農耕民です。中国の漢族やビルマやタイの主要民族だった人たちです。普通の人が政治のつごうで「少数民族」になったのです。DNAには何の違いもないのでしょう。

 確かに山地民と低地民の間には、生物学的には何の違いもないのですが、このような支配と逃亡の歴史が、千年、二千年と続きました。その間に、山地民は山の環境に、低地民は里の環境に慣れていったのです。そこには山地民と低地民の間で物ぶつ交換の経済活動が生まれました。自分に不足しがちな物を互いに交換したのです。日本でも、昔は山の猟師と里の商人の間で、クマやカモシカの毛皮と、なべやかま、包丁や鉄砲といった物を交換していたという話が伝わっています。ゾミアでは「山の猟師」が、もともとは「里の農民」だったということです。

 それにしても人間とは、何とタフな存在でしょう。支配から逃げて山奥で生き延び、今も「少数民族」として生きている。もちろん蔑(さげす)みは日常のことだったでしょうし、奴隷(どれい)になったら人権などありません。臣民(しんみん)として暮らすことでさえ、人権はなかったのかもしれない。それでも人は、生きていくのです。

 特別な人ではありません。お隣のご一家といったごくごく普通の人びとが、その厳しい環境で生きているのです。山地民は「どこかの誰か」のことではなく、「あなた」や「わたし」であったかもしれないということです。

 つぎに続きます。

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(1) 『ゾミア――脱国家の世界史』(ジェームズ・C・スコット著、みすず書房、6, 400円)

http://www.msz.co.jp/book/detail/07783.html

 

zomia FP.JPGのサムネール画像 

三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

いよいよ2014年、午年が明けました!
皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。

新春らしく、清々しく晴れた1月5日、
1月のKidsサンデーが開催されました。

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入口では門松…ではなく黄色いのぼりが皆さんをお出迎えしました。

◆わくわくネイチャー・テクノロジー~松のすごい~

松ぼっくりのひだ(りん片)の並び方と数を大研究!
キッズもおとなもみんな真剣に取り組んでいました。

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↑最後は松の木になって、松ぼっくりからタネを落としました

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↑松のすごいところを、もっと知りたい!キッズたちは、はかせに質問タイム!↑

 

◆サイエンスショー~ぶんぶんゴマを作ってあそぼう~

好きな色を塗って、ひもをひっぱるとぶんぶん♪回るぶんぶんゴマを作りました。

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↑助っ人のお姉さんスタッフも大活躍。↑

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              ↑ぶんぶん♪ぶんぶん♪↑

 

◆パネルシアター「かさじぞう」「てぶくろ」

寒い季節にピッタリの楽しいお話にキッズたちはくぎづけでした。

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↑「わたしも あの てぶくろの中に入りたい!」

◆オープンセミナー「いろいろな化石を見よう触ろう」

大きなルーペを持ったら、キッズ化石研究員に変身!

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130105kaseki.JPG        ↑キッズ:「あ!ここにも三葉虫の化石があるよ!」
           研究員:「すごい!みんな、なかなかやりますね~」

◆フロアスタッフとあそぼう「どうぶつビンゴ」

兵庫県に住む動物たちのことをクイズをしながら楽しく学びました。
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↑「みんな~ボクのことをもっとよく知ってね」(byニホンジカ)↑

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↑「そうそう、私たちは冬は冬眠するのよ」(byツキノワグマ)↑ 

という動物たちの声が聞こえてきそう。

最後はビンゴでドキドキ!!

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           ↑「あとひとつ!次はニホンザルがいいな…」↑

寒いなか、ひとはくに来てくれたキッズのみなさん、

そしてキッズたちと ひとはくで楽しんでくださった 保護者の皆さま、

本当にありがとうございました!

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2月のKidsサンデーは臨時休館中のためお休みです。

次回のKidsサンデーは3月2日(日)です。

ひとはく は 2月8日(土)よりオープンします。

元気なキッズのみなさんに会えるのを楽しみにしています。

                                               (キッズひとはく推進タスクフォース たかせ ゆうこ)

ブログをご覧のみなさま、
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞひとはくをよろしくお願いします。

さて、今日1月5日は「最後の開館日」です。

iriguti.JPG明日より2月7日まで館内整備等のため休館させていただきます。
ほぼ一月間館内をご見学いただけません。
ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
1ヶ月も待てないという方は、
どうぞ本日ご来館ください。

今日は第一日曜日、キッズサンデーです。

 

kanbankizzu.JPG干支展「午さんようこそ」も本日限り。
イベント盛りだくさんのひとはくへどうぞお越しください。

 

tobira.JPGひとはくファンのみなさま

2月8日までごきげんよう

http://hitohaku.jp/blog/2013/12/post_1812/

西岡敬三(生涯学習課)

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