なんと!!スノードームに、3階展示室「森に生きる」の標本のどうぶつたちが登場しました!
ひとはく ならでは!です。
兵庫県とその周辺に生息するどうぶつ(ニホンジカ・ホンドキツネ・タヌキ・ニホンザル・ツキノワグマ・ニホンノウサギ)をクリスマスツリーを囲むように取り付けます。
水のりにラメを入れて水をいっぱい注ぎ、ぎゅっとフタをしたら出来上がり!


まわりにお絵かきして・・・・世界に一つのオリジナルのスノードームです。



お家にかざって楽しんでくださいね。
たくさんのご参加ありがとうございました!

県立篠山東雲高等学校では、「農業教育の特質を活かし、地域に貢献できる心豊かな人材の育成」をミッションとした幅広い教育活動を展開しています。
「関わるすべての人や自然・動植物を愛する心を育てる教育の推進」を実践している学校で、ひとはくでも「共生のひろば(毎年2月開催)」などで出展、発表活動を行っています。
12月13日も生徒のみなさんは手慣れた手つきで ひとはくの花壇の装飾実習に励まれていましたね!
さて・・今回は「関わるすべての人や自然・動植物を愛する心を育てる教育の推進」を実践している学校として
ひとはくに 門松を持ってきていただきました!
この門松やはり・・・ただものではありません!
竹は放置竹林や丹波市山南町の若松、同校や県立播磨農業高校が育てた葉ボタンや小菊などを使用され
同校の1,2年生計10人が、11日から製作に入り、約600個を作られているとのことです!
他のホームセンターのものとはセンスが一味違いますね~と思ったら・・・
なんと!生徒さんたちが一つひとつ手作り!
指導されている先生は技能五輪全国大会フラワー装飾 銀メダリストの先生だとか!
やっぱり・・ほんまもんは違うはずですね(笑)
また、かわいいリースもいただいたので!ひとはくサロンに飾る予定です!
生涯学習課 中前 純一
12月23日(土)、24日(日)は、今年最後の週末の開館となります。多くの方々のご来館をお待ちしております。(→4階ひとはくサロンを彩るクリスマスツリー) |
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生涯学習課 竹中敏浩
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4階ひとはくサロンで展示中のヘラジカの剥製 ヘラジカはシカ科の中では最大のもので、平らなへらのような形の角は幅2mに達する個体がいるそうです。この剥製の角も大変立派です。 よくトナカイと間違われますが、トナカイとは角の形も異なります。「赤鼻のトナカイ」の歌のなかでもトナカイはReindeer。ヘラジカはelkやmooseと呼ばれるもので別種の動物です。 お子さんに「シカとトナカイはどう違うの」と聞かれて困ったお父さんは、是非この剥製をお子さんと一緒に見に来てください。 |
ユニバーサル・ミュージアムをめざして97
「ガラスの天井」とマイノリティの主張-1
三谷 雅純(みたに まさずみ)
時間を振り返る余裕が(一時的にですが)出ました.このブログを見直してみると,8月以降,2回しか「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」が書けませんでした.夏は長期の休みというところが多いので,落ち着いて,普段はできそうもない仕事にじっくりと取り掛かれそうです.反対に言うと,我われ研究者にとっては学会の全国大会が集中する時期です――今年,わたしはコミュニケーション障害学会,霊長類学会,福祉のまちづくり学会と三つの学会に出席しました.自分で書いた論文の原稿も投稿しなければなりませんし,わたしは査読のある研究紀要「人と自然 Humans and Nature」の編集委員長を拝命しています.その上,今年は,自然・環境科学研究所の社会人大学院生相手の講義がありました.秋も似たようなものでした.そんなこんなで ドタバタ,ウロウロ,オロオロ,ジタバタしてしまい ついに「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」の続きが書けませんでした.
閑話休題(話題を変えて)
国谷裕子さんが『キャスターという仕事』(1) という本をお出しになっています.国谷さんはNHKの〈クローズアップ現代〉という番組のキャスターを長く務められ,さまざまな立場の人にインタビューをしてきた方です.当人はできればそっとしておきたいこと,我われには聞きたくても聞けないことを,私たちに代わって聞いてくれました.
その国谷さんが,アメリカの大きな ICT(情報通信技術)企業の CEO(最高経営責任者)になったカーリー・フィオリーナさんという女性にインタビューをした話題が載っています (2).
フィオリーナさんは,女性であることと経営能力は関係ないのだから,ことさらに女性 CEO を話題にして欲しくなかったそうです.しかし,国谷さんは「逡巡(しょんじゅん)はしたが,フィオリーナさんの意向を受け入れないという選択をし,多くの女性たちが感じている見えないガラスの天井や女性だからこその苦労についてもインタビューをした」(139ページ)のだそうです.
企業や大きな組織で働く人にとって「ガラスの天井」はよく聞く言葉ですし,リアルな現実です.実感があります.マイノリティや「人種・民族」,そして第一に女性を差別して,その人の業績や貢献は無視して,一定以上の役には就かせないという「暗黙の了解」のことです.「暗黙の了解」ですから,皆,「ガラスの天井」のことはよく知っているのですが,仲間内では「決して口に出してはいけない」ことなのです.仮に話題にしようとすると,どの人も逃げるように去って行きます.
フィオリーナさんは企業の中で「セクシャル・ハラスメントなどに耐えながら(昇進という)階段を昇り詰めていった」(140ページ)のですが, CEO になったときには「ガラスの天井については話さない」(140ページ)というルールを,ご自身に対して課したそうです.結果的に国谷さんはその決意を破らせてしまいました.お仕事柄しかたのないことでした.
「セクシャル・ハラスメントなどに耐えながら階段を昇り詰めて」いき,CEO になったときには「ガラスの天井については話さない」というルールを,ご自身に対して課す.残念ながらフィオリーナさんは,その後,その ICT 企業の CEO を追われるのですが,お仕事には並大抵ではないエネルギーを注がれたのだということが,よく伝わる逸話(いつわ)です.
フィオリーナさんと同じように努力をしている人びと――多くの女性や社会的マイノリティ,さまざまな「人種・民族」――を,わたしはよく知っています.子どものときに仲の良かった○○さんや□□君がそうです.フィオリーナさんは大企業の中でもエリートですから,「多くの女性や社会的マイノリティ,そしてさまざまな『人種・民族』」と一括(ひとくく)りにされることには抵抗があるかもしれません.しかし,「利益を拡大して競争に勝つ」というような,(決して社会全体にではなく)一企業への貢献を果たすだけの人を企業エリートと呼ぶならば,「多くの女性や社会的マイノリティ,さまざまな『人種・民族』」は,そのようなエリートには縁もゆかりもない人たちでしょう.自分たちの存在が多様であるだけでなく,何を大切に思うのかという感じ方,考え方も多様であろうと感じます.
現代という時代は,建前上,「多くの女性や社会的マイノリティ,さまざまな『人種・民族』」,そして多種多様な「障がい者」は,「いることが当然である」としながらも,「ガラスの天井」という「暗黙の了解」もまた当然のこととしています.日本の社会はヌエのようです.何やら得体のしれない怪物に見えてきます.
実は,わたし自身が国谷裕子さんの『キャスターという仕事』という本を読んでいて,ハッと思い当たるところがあったのです.ひょっとすると「ガラスの天井」に邪魔されてきたのは女性だけではなく,マイノリティである自分自身も同じだと,今さらながらに気が付きました.そう言えば学生時代に出会ったあの人や,社会人になって出会ったこの人は,なぜ黙ったまま,表情も変えずにわたしの座るイスを蹴り上げたのだろうと、今さらながらに思うのです.
*
ここまで考えてみて,もう一つ気が付いた事があります.それは,今まで「障がい者の成功モデル」は なかったのかも しれない ということです.
女性が仕事をする時,「同じ能力」があれば,「これまで優遇されていた男性よりも,かえって女性の方が優遇されるので,逆差別だ」と言われていると書いたネットの文章もありましたが,わたしの周りを見回してよく考えてみても,この主張はとても信用できません.それは競争の基準を「健康な」(=自分ではまだ障がい者の意識のない)男性の視点に置いたらそうなるのかもしれませんが,「ガラスの天井」は厳然として存在しています.その何よりの証拠に,世の中の主軸になる女性は、圧倒的に数が少ないのです.
同じように「成功した障がい者」は,ほとんどいません.障がい者団体や福祉施設で活躍している障がい者は多くいらっしゃいます.しかし,一般の事業体で活躍する障がい者は、ほとんどいない.それはなぜだろうと考えていて,よく言われるように世の中の仕組みが「健常な男性」を基準に作られていることは事実ですが,障がい者団体や福祉施設で活躍する以外の活躍の仕方が,当事者自身,どのようなものかを示していないのだと気が付いたのです.つまり,人は多様な存在だと感じている方は,たくさん いるのだが,いざ自分で接する時,どう接してよいのか分からないのだろうと気が付いたのです.
でも「障がい者の成功モデル」って どんな ものでしょう?
次に続きます.
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(1) 『キャスターという仕事』(国谷裕子,岩波新書 c0236)
https://www.iwanami.co.jp/book/b279043.html
(2) 日本記者クラブ賞受賞記念講演会 国谷裕子 NHK「クローズアップ現代」キャスター
https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/22640/report