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まだまだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
ひとはくは今月から無事開館!みなさんにお会いできてうれしい限りです(^^)

本日は2月のイベントのご案内ですよ~!

13(土)14(日)クマのぼうしをつくろう!

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こちらは去年も行った人気イベント!
かわいいクマの帽子を被ってツキノワグマになりきっちゃいましょう☆


20(土)27(土)恐竜のおひなさまカード
お雛様カード.png
恐竜に色を塗って、おひな様を作ります!
ひとはくオリジナルおひな様をぜひ作ってみませんか?


21(日)28(日)酒瓶のラベルづくり

酒瓶.png
ハンコやペンでオリジナルのラベルづくり!
世界でひとつのオリジナルラベルができますよ♪

受付方法などは各イベントページをご確認ください!

イベントはもちろん、広い博物館でゆったりとした時間を過ごしませんか?
みなさんのご来館をお待ちしております(^^)


フロアスタッフ きただに さやの


2/11(木・祝)のワークショップは「ひとはくストラップづくり」でした。


恐竜やちょうちょなど好きな生き物の絵をえらんで色をぬり、オリジナルストラップをつくります。

s-sutorappu.jpg

s-DSC04007.jpgs-DSC04003.jpg

とてもステキなストラップができましたね♪

ご参加ありがとうございました。

フロアスタッフまつだ

ヒメタツナミソウ標本画像.pngキカイタツナミソウ(ヒメタツナミソウ)Scutellaria kikai-insularis Hatus. ex T.Yamaz. アイソタイプ

キカイタツナミソウは初島住彦先生(1906‐2008)により、1971年に出版された琉球植物誌の中で新種として発表されましたが、タイプ標本の引用がなかったため、残念ながら初島先生がつけられたS.kikai-insularisという名は、有効に発表された学名になっていませんでした。1993年に山崎敬先生がFlora of Japanの中で東大総合博物館収蔵の清水孝浩氏採集の標本をホロタイプとして引用してキカイタツナミソウの記載を行い、初めて有効な学名として認められました。学名は正式には属名+種小名+著者名(=その分類群の名前を正式に発表した人の名前)+学名が発表された雑誌や本名、の順に並べます。そうすることで、その学名が何時、誰によって、何処に発表されたかがわかります。キカイタツナミソウの場合は、Scutellaria kikai-insularisの後に名前を考案した初島先生の名前、exの後ろに学名を正式に発表した山崎先生の名前がついています。清水孝浩氏は兵庫県在住の在野の植物研究家で、日ごろ頌栄短大に標本を送られていました。そのなかにキカイタツナミソウの標本が2枚あったため、1枚は重複標本ということで頌栄短大から東大に送られ、ホロタイプに指定されたわけです。当館の当該標本はアイソタイプということになります。

画像をクリックすると拡大されます (自然・環境評価研究部 高野温子)


  サンインヒエスゲC arex jubozanensis J.Oda & A. Tanaka(パラタイプ)
Carex jubozanensis J. Oda etA. Tanaka.jpg

今回ご紹介するのは、2004年に発表されたサンインヒエスゲというカヤツリグサ科スゲ属ヒエスゲ節に属する植物のパラタイプ標本です。学名の種小名jubozanensisはホロタイプの産地である鳥取県の鷲峰山(じゅぼうざん)にちなみます。

サンインヒエスゲ記載論文で引用されパラタイプとなった細見末男氏の標本は、当初ホソバカンスゲと認識されて収蔵庫に納められていました。20031月、ひとはくに新種発表のための植物標本調査に来られた織田二郎氏が、ホソバカンスゲ標本の束に入っていたこの標本を発表準備中のサンインヒエスゲと認識し、アノテーションスリップ(the annotation slip)を添付されました。アノテーションスリップとは、標本ラベルの学名が誤っていると認識した場合に、正しい学名と記入者の名前と日付を書いて貼り付ける小さなラベルのことです。左の写真の標本では標本ラベルのすぐ上に貼られています。
 織田氏が貼られたスリップは、厳密なことを言えば貼った時点においては論文発表前なので正式な学名ではなく裸名ですが(論文が審査されている途中で学名を変更することは時々あります)、本ケースにおいてはこの学名で論文として受理され正式な学名になったので、結果オーライといったところでしょうか。新しい分類群を発表する際には、出来るだけ多くの収蔵庫で標本を見て新種の標本が埋もれていないかを探し、分布域の推定を行います。織田氏らは新種発表の準備のため京大(KYO)、金沢大(KANA)、それにひとはくに足を運んで標本調査を行い、サンインヒエスゲの分布が若狭湾を挟んだ日本海沿岸地域であることを確認し、それら標本庫で発見したサンインヒエスゲ標本をパラタイプとして引用した。ということになります。


zyuboza.jpg    サンインヒエスゲの記載論文(
Oda et al. 2003 Acta Phytotax.Geobot. 54:127-135)の一部。 赤丸で囲った部分が、パラタイプにあたる標本の引用部分。赤下線部がひとはく収蔵の細見末男氏の標本。

 植物の名前は、採集した時にはきちんと分からないことがままあります。ひょっとして間違っているかも、、と思いつつも、とりあえず「この植物名にしておいて、そんなに大間違いじゃないだろう」という名前でラベルを作成してしまうことも(大きな声では言えませんが)あります。そうしないといつまでたっても標本整理が終わりませんし、標本庫に配架されなければ他の人の目に触れる機会も失うからです。標本庫にある標本の名前が合っている(=正しく同定されている)確率は実際は50パーセント程という報告や、生物の新種の半分以上は野外からではなく標本庫から見つかっている。という報告もあるくらいです。標本全部が名無しの権兵衛では博物館としても困るのですが、近いと思しき分類群の名前をつけておけば、将来その分類群の専門家がやってきて調査をしたときに、今回のように新種として認識されタイプ標本になる可能性もなくはないのです。 
(自然・環境評価研究部 高野温子)



M.mullerensis.jpgひとはくのタイプ標本紹介 その①


タイプ標本という用語を聞かれたことはあるでしょうか。学術標本の中でも特に重要なもので、ひとはくには昆虫や植物のタイプ標本が千点以上収蔵されています。

現生の生き物であれ恐竜に代表されるような化石種であれ、新種に学名をつけるときには、国際的なルールである命名規約に法った形で発表する必要があります。現生植物の場合は国際藻類・菌類・植物命名規約に従います。新種を発表するまでの大筋はどの生物群でも同じで、新種の形態的・生態的な特徴を詳細に記述し、近縁種との類似性や相違点について議論した論文を、査読のある学術雑誌等に発表するという手続きを踏みます。その際、論文には新種の存在の証拠となる標本を引用しなければなりません。それがタイプ標本です。いわばその種の「メートル原器」というわけです。これがなくなると、種を規定する「物差し」がなくなるわけで大問題です。ですので、タイプ標本は個人で所蔵するのではなく、公共性と永続性が担保された公立博物館に納めることが推奨されています。逆に言えば公立博物館は、それら標本を未来に継承する義務を負っているのです。

植物標本は他の生物群と異なり、虫害、カビ害や火災による消失のリスクがある一方、一か所で複数個体を採集することが比較的容易で同じ種の標本を多数つくりやすいため、リスク分散のために重複標本(同じ日、同じ場所で、同じ人が採集した同種の標本)を作って各地の植物標本庫に配布することが推奨されています。ですので、植物特有の命名規約上のルールとタイプ標本があります。タイプ標本の種類を説明すると、最も重要なのは記載論文で命名者が定めるタイプで、ホロタイプ(Holotype: 正基準標本)と呼ばれます。2021年現在、藻類・菌類・植物命名規約に従えば新種記載のホロタイプ標本の引用の際には、どこの植物標本庫にある標本かまで指定しなければなりません。往々にしてホロタイプにも重複標本が存在するからです。ホロタイプの重複標本で、指定された植物標本庫以外の標本庫に収蔵されているものはアイソタイプ(Isotype: 副基準標本)と呼ばれます。アイソタイプは植物命名規約にのみ出てくる用語です。ただタイプ標本がメートル原器とはいえ、生物には多少とも個体間変異があるのが普通ですから、変異の幅を示すためにも記載論文に標本が複数点引用されることが望ましいです。ですので、タイプ標本以外にも可能な限り多くの新種の標本を引用します。記載論文中に引用されたホロタイプ、アイソタイプ以外の新種標本のことをパラタイプ(Paratype: 従基準標本)と呼びます。

 ここでご紹介するのは、ボルネオ島のほぼ真ん中にあるミュラー山脈(Müller Range)の植物調査を行った時に発見された、ショウガ科の新属新種Myxochlamys mullerensisのアイソタイプ標本です。外国人がインドネシア政府から許可を得て調査研究を実施する際には色々と条件がつきますが、その中に「新種を見つけた場合は、ホロタイプをボゴール植物園に納めること。」というものがあります。ですのでホロタイプはボゴールに納めた標本を指定しました。その重複標本を京都大学総合博物館とひとはくに収蔵したので、ひとはくのMyxochlamys標本はアイソタイプというわけです。

ところで、「属」というのは似た種を集めて作る分類学上のカテゴリですが、この種を記載したとき、既存のどの属のカテゴリにも合わないので新属記載も一緒に行うことにしました。本種を記載した際には11種でしたが、その後別の種がみつかり、現在Myxochlamys12種となっています。

mullensis description.jpg      Myxochlamys の新属新種記載論文の一部(Takano & Nagamasu 2007)。

赤線で囲った部分がタイプ標本の指定箇所。標本の詳細情報(採取された産地、採集日、採集者番号)のあとに(Holo-BO; iso- HYO, KYO)とあるが、ここがタイプ標本が収められた植物標本庫を略称で指定している部分となる。BOはボゴール植物園(インドネシア)、HYOはひとはく、KYOは京都大学総合博物館の植物標本庫の略記号。Myxochlamysのホロタイプはボゴール植物園、アイソタイプはひとはくと京大総合博物館収蔵の標本である。という意味になる。

                                 (自然・環境評価研究部 高野温子)

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