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環境省のヒアリ有識者会議のメンバーとして,環境省,国立環境研究所の五箇さんと一緒に,中国広東省広州市に,日中両国ヒアリ対策会議に行ってきました.

 広東省にある華南農業大学(中国重点大学)の中国ヒアリ研究センターで,その先生方や中国中央政府の生態系・環境保護部,地元広東省環境保護庁の方々と,中国でのヒアリの現状や,その対策についての情報・意見交換を行い,そのあと,実際にヒアリが高密度で生息している造成地に出向いて,その駆除作業の視察もしました.


中国でヒアリは農業害虫・・・

 今回の視察で,中国では,ヒアリは主に農業害虫として捉えられていることがわかりました.例えば,ヒアリは色々な作物の花を,花蜜を集めるために食害し,その結果,結実が妨げられ,農業に大きな損益が出ているとのことです.さらに,ヒアリが増えるにつれて,その被害は林業,そして住居地域での健康被害にまで拡大しています.これを受けて,華南農業大学の昆虫学の先生方は,14年をかけてヒアリ対策に関する基礎的な研究成果を積み上げ,現在,30以上の特許からなるヒアリ駆除のための新薬開発に成功されていました.さらに,その散布方法についても,ヒアリの生息状況の違いに合わせた精緻なマニュアルを作成・公表,そのレベルの高さに,驚かされました.


科学的な駆除方法を開始・・・

 現在,この科学的な駆除方法に基づいて,本格的なヒアリ駆除が開始されたところのようです.広東省では年間20億円近い対策費を計上して,農業,林業,環境の各部署による合同チームがヒアリ対策に取り組んでいました.まだ,限定された地域ではありますが,ヒアリの根絶に成功した面積は広がっていました.国内では,中国での,このような情報は全く入ってきません.やはり,現場に飛び,顔と顔を突き合わせて,話し合うことの重要性を痛感しました.特に,外来種問題は,まさに国際協働の課題でもあるわけですから,積極的な交流が求められるのは当然のことといえるでしょう..


日本へのヒアリ侵入を防ぐには・・・

 日本へのヒアリ侵入を防ぐためには,今後も,日中でヒアリ対策に関する協議を進め,中国との協働体制を構築していく必要があります.兵庫県は,中国との貿易量が国内でも最大規模を誇る港の一つである神戸港を抱える,外来種問題の最前線にある地域です.そして,広東省は,兵庫県の姉妹県の一つで,この省には多くの日本企業が進出しており,日本への輸出量最大規模を有する港の一つである南沙港を抱えています.国と国,そしてアリや害虫駆除の研究者同士,さらに,地域と地域との積極な交流が,ヒアリを始め,今後,増大するであろう外来種の対策に大きな力となることを,実地で学ぶことができた視察となりました.近いうちに,華南農業大学の先生や広東省の方々を兵庫や人博,県立大学にお呼びできる機会を作り,県下のヒアリ対策に少しでも貢献できるよう努力してまいります.

(系統分類研究部,昆虫 橋本佳明)


(写真 上段:華南農業大学の熱烈歓迎電光掲示,写真 二段目左:大学のホームページに掲載された日本ヒアリ視察団の記事.写真 二段目右:大学入り口で記念写真ー五箇先生にポーズを合わせて)

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(写真三段目左:ヒアリ研究センターで情報と意見交換会,写真三段目中:広東省環境庁,写真三段目右:広東省環境庁での意見交換会,写真下段:広東省広州市郊外のヒアリ生息地で,ヒアリ駆除作業の視察)

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