9月18日に,京都府特定外来生物バスターズ事業の第2回目の研修会で講習を行ってきました.今回は,物流業者さんを対象とした研修会です.物流に関わる皆さんは,ヒアリ侵入の第一発見者になることが多いだけでなく,ヒアリが定着すると,大きな被害を受けることになる方々なので,真剣に研修を受けられていました.講義をする私の方も,それを受けて,思わず熱弁をふるってしまいました.
 ヒアリをはじめアリ類は巣が成長すると,羽のある新女王アリとオスアリの生産をはじめ,結婚飛行で母巣から飛び出した羽アリが,新しい場所に新しい巣を作ることで,分布を広げていきます.しかし,アメリカ合衆国や台湾など,ヒアリの定着を許した国々では,ヒアリの分布拡大が羽アリによる自然分散だけでなく,物資などに紛れ込んだヒアリのコロニーが,国内物流によって移送され,その分布拡大に拍車をかけたことが分かっています.このため,これらの国々では,ヒアリに汚染された地域から物資を移送するときには,国内であっても検疫を受けねばならい法律が定められました.もし,日本でヒアリの定着を許してしまえば,海外からの輸入だけでなく,国内の物流においても,大きな経済的損失を被るケースも起こってきます.今回の研修では,ヒアリがなぜ恐ろしくて,厄介なのかを,物流に視点をおいて講習してきました.
 ヒアリの定着を未然に防げるかは,行政だけでなく,社会のあらゆる方々に,ヒアリのことを正しく理解いただき,協働して早期発見,早期l駆除に取り組める社会を構築できるかにかかっています.これまで,環境省や各地の地方自治体などで,ヒアリ対策について研修会を数多く実施してきましたが,毎回,参加される対象に合わせて,講習の内容を変えるようにしています.労力や時間がかかり,なかなか大変ですが,そうした対応ができるのも,博物館や大学で,長年アリの研究を続けてきたからで,少しでも研究の成果を社会に還元できるよう,今後も,その努力を続けていきたいと思っています(系統・昆虫 橋本佳明)


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