9月7日に,奈良県自然環境課が,県下の市町村職員を集めて開催したヒアリ講習会を実施してきました.
現時点では,奈良県でヒアリの侵入発見は起っていません.しかし,昨年,京都府などの内陸部でもヒアリ侵入が発生しており,経済のグローバル化や物流のスピード化がますます進む中,今後,ヒアリ侵入が奈良県でも発生する可能性は否定できません.また,ヒアリの被害として,毒針による健康被害がよく認識されていますが,既にヒアリが定着拡散している米国や中国,オーストラリア,台湾では,ヒアリは様々な農作物を食害したり,家畜を傷つけたりと,農業や畜産業,林業に膨大な経済的損失をもたらす害虫になっています.さらに,ヒアリだけでなく,最近,問題になっているクビアカツヤカミキリなど,外来生物には農業生産を脅かすものが多く知られています.恵まれた気象条件や高い生産能力を活かして、古くから農業が発達してきた奈良県で,外来生物早期発見体制の構築に取り組むことは急務です.

 ヒアリ講習・同定実習の会場には,樫原市立昆虫館の研修室を使わせていただき,昆虫館の中谷さんにも講師補助を務めていただきました.外来生物問題に取り組むためには,どうしても自然や生物学の知見を持った専門家や機関との協働が必要になります.兵庫県には人博があり,アリ類をはじめ様々な動植物の研究者がいますが,自然史博物館を有しない県では,みなさん,色々と苦労されているようでした.外来生物大襲来時代を迎える中,自然史博物館や昆虫館など,生物多様性研究に従事する研究機関の設立や充実が,今,強く求められいることは間違いなさそうです(系統・昆虫 橋本佳明)


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