博物館に展示してある標本は、基本的にはさわることができません。
自然史博物館において、さわることのできる標本があるところはそれほど多くはないのです。
今回のセミナーでは、大阪府立千里高等学校のみなさんに、プラスティックの中に標本を閉じ込めて作成する「封入標本の作り方」のセミナーを受講いただきました。
封入標本は、手に取ってさわることができることで、生き物をより身近に、しっかり観察することができます。
まずは、容器に不飽和ポリエステル樹脂の溶液を半分くらい入れます。
固まるのに時間がかかるので、大セミナー室で、封入標本の必要性、使われる樹脂の種類や、その分子構造、用途など基本的なことを学びました。
そして、実際の標本を見て、作成方法を学びました。
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昼休みを挟んで、封入するものを選びます。
公園で花や虫を取ってきた生徒もいましたね。
ただし、封入には完全に乾燥することが必要なため、シリカゲルに埋めてレンチンで乾燥などの手間が必要です。
今回は、中に入れるものを博物館でいくつかサンプルを準備しました。
固まった一層目の上に、標本となる虫や花、魚を置きます。
樹脂をかけて、標本を固定、そして、3層目、全体が樹脂で覆われるように、かけて仕上げます。
乾くまで時間がかかるので、今日はここまでとなりました。
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生徒たちの手元に、まもなく世界に一つだけの「封入標本」が届くでしょう。
◎参加した生徒の感想など
・セミナーが楽しかった。
・このような経験はしたことがなかったので、とてもおもしろかった。
・樹脂や研磨の技術など、あらためて日本の技術力の高さ知ることができました。
・ひとはくの展示がすごかった。
・虫が好きなので、実際にたくさんの標本を見ることができてよかった。
◎三橋主任研究員より

一見すると生物の授業のように思えますが、実は化学、物理、美術、社会などと繋がっています。
日本の産業や工業技術のことは、なかなか高校では習わないので、普段の教科学習が実は社会と
繋がっていることに気づいてもらえて良かったです。
(文責 生涯学習課 ※この記事に関するお問い合わせは、生涯学習課までお願いします。)