(前号からの続き)
4 迫力ある大型展示
AMNHのもう一つの魅力は、大型模型や骨格標本によるスケール感のある展示です。
エントランスホールでは首長竜と肉食恐竜の骨格が来館者を迎え、海洋生物展示室には実物大のシロナガスクジラ模型が天井から吊り下げられています。
これらは単なる"目を引く展示"にとどまらず、スケール感を通じて生物の生態や生きていた環境への理解を促します。
全体としてジオラマ展示がかなり多く、生態や行動、化石生物なら生前の姿など、来館者が観察する余地のある展示が魅力的であった。
**写真8**:エントランスホールの恐竜骨格。
来館者の視線を一瞬で引き込む博物館の顔。
**写真9**:シロナガスクジラの実物大模型。
圧倒的な大きさが、海洋のスケールを体感させる。
これを室内に置けてしまう建物の規模がアメリカン。
**写真10**:異型巻きアンモナイトのジオラマ。
個人的にぐっと来たジオラマの一つ。
5 博物館を「知の構造から楽しむ」
今回の訪問で強く感じたのは、「展示は情報の提供だけでなく、知の構造そのものを体験させることができる」ということです。
AMNHの展示は、標本の背後にある分類体系、収集史、社会的文脈といった多層的な要素を空間に組み込み、来館者がその中を歩くことで"考えながら学ぶ"体験を生み出していました。
ひとはくを含め、博物館には膨大な標本と、それを整理するための分類や保存の体系があります。
次に博物館を訪れるときには、展示の背後にある「なぜこの並びなのか」「どんな物語が隠れているのか」という視点で見てみると、新しい発見や気づきがきっと生まれるはずです。
ぜひ、自分だけの「展示の読み解き方」を探してみてください。
(文責)大崎遥花研究員
※この記事に関するお問い合わせは、生涯学習課までお知らせください。