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カタシボの原資料 

Original material of Phyllostachys bambusoides var. marliacea f. katasibo Muroi

 原資料という言葉、聞きなれないですね。ここでは植物に学名をつけるときに参照した資料という意味になります。タイプとは少し異なりますが、タイプ標本と同じくらい重要な標本です。カタシボはマダケの変種シボチクの品種。というややこしい立ち位置の植物ですが、その命名にもややこしい経緯がありました。

生物に名前を付ける際には命名規約に従う必要があると以前述べましたが、より正確にいうと新分類群の提案時に有効であった規約に従っている必要があります。命名規約は植物の場合なら6年に一度見直され、時代に合わせて少しずつ変更が加えられています。最近の大きな変更は、2012年メルボルン規約から、これまで新分類群提案の際に必須だったラテン語による記載文・判別文が英語でOKになったこと、電子出版のみの発表が有効と認められるようになったことでしょうか。

話をカタシボに戻します。カタシボは,まず室井先生が1956年に出版した「竹と笹」のなかで、学名Phyllostachys bambusoides var. marliacea f. katasibo Muroiと図を発表されました。しかしラテン語の

Fig13.JPG記載がなかったため、正式発表とはなりませんでした。次に杉本順一氏が著作『日本樹木総検索誌』(1961) の中で,室井先生命名の新学名とラテン語記載文を発表しました (杉本 1961).しかし,1961年に有効だった命名規約では新分類群の発表の要件として学名・ラテン語記載文の他にタイプの指定を要求しているため、タイプの引用がない杉本(1961)も、カタシボの正式発表には至りませんでした.この学名は,次の年に室井先生が『有用竹類図説』(1962) で,学名と初発表文献および『竹と笹』(1956) の図を引用したことによりようやく正式発表されました.意外に思われるかもしれませんが、タイプは標本の他、その植物を精細に描いた図版や写真もその役目を果たすことができます。カタシボのタイプは標本ではなく、「竹と笹」に掲載された図版ということになるのです。



写真の標本 (HYO_C2-133908) は,ラベルに室井先生の手書きで「Phyllostachys bambusoides var. Marliacea forma Katasibo Muroi Tatsuno Hyogo-pref. Feb. 5. 1957」と書かれ,採集者として "H. MUROI" の印が押されています.1956年に梅玉旅館を訪れた室井先生がカタシボを庭で発見し、その後1958年に国の天然記念物に指定されたのだそうです。1957年という採集年から、この標本は天然記念物指定の調査の時に採られたものと考えられます。支倉さんは全国の植物標本庫を訪れてササ類の標本調査をされていますが、カタシボと名のついた標本はこの標本1枚しかないのだそうで、これがカタシボの唯一の実物の原資料なのです。 (自然・環境評価研究部 高野温子)

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