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2012年9月アーカイブ

2010年の末に大きな世界のクワガタ図鑑が出ました.なんと1,414種も載っています.その前の図鑑は1994年に出た,約800種載ってるもので,これらは全て日本で編纂されています.クワガタは熱帯〜亜熱帯に多い虫ですが,ヨーロッパの研究者によって調べられて来ました.現在,もっとも活発にクワガタの,特に分類学的研究が行われているのは日本なのです.

 分類の研究の基礎は標本です.すべて以前の研究成果を踏まえ,その再検討からはじまります.標本についても,百年以上前に調べられた標本を見直す必要が出てきます.研究の基礎になった証拠標本は,各地の博物館などの収蔵庫に保存されています.特に新種として記載命名された際の証拠物である標本は「タイプ標本」(単一の「ホロタイプ」や「レクトタイプ」と,その他の「パラタイプ」などがある)と呼ばれ,明示的に指定するルールになっています,

 クワガタの場合,多くの証拠標本,タイプ標本はヨーロッパ各地の博物館に収蔵されていることが多いようですが,創設20年の当館にもホロタイプが3個体だけあります.これら既記載種のホロタイプ3個体も図鑑の編纂にあたって貸し出されました,
 その際に要検討の一般標本28個体も貸し出され、研究および図示掲載に供されました.特に一般標本として貸し出されたもののうち1ペアは、新種と判断され,この図鑑の中で記載命名されました.二個体はその種のホロタイプとパラタイプに指定されました.その結果,当館のクワガタのホロタイプは4個体になりました.\(^O^)/
 でも,この図鑑には1400種ほど載ってますので,クワガタだけでもホロタイプは1400個体以上(未掲載群や同物異名もあるのでもっと多いはず)あり,それらは世界のどこかの収蔵庫に保存されているのです.そのうちの4点を当館が所蔵.
 これらタイプ標本などの証拠標本は、通常、直接検視の必要がある場合以外は厳重な保存に徹するのですが,親しまれているクワガタムシ科の新種ですので,期間限定で現物を展示しています.モノが小さいので展示ではじっくり観察とはいきませんが,未知の部分を多く残した生物的多様性の存在や標本保存の意義を感じて頂ければ幸いです.
 さて,その新種のクワガタとはどんな虫か?
Aegus inaharai Fujita, 2010 イナハラハネナシネブトクワガタ

 漢字で書くと「稲原無翅ネブトクワガタ」でしょう,日本のネブトクワガタと同じ属(Aegus属,ネブトクワガタ属)に含まれると考えられています.「稲原」はこの標本をコレクションの中に位置づけ,保存しておられた,世界的なクワガタコレクター,研究者,故稲原延夫氏に由来します.ご本人は別の属の未記載種と判断されていたようです.「無翅」は,後翅が退化していることをさします.前翅つまり翅鞘は肩が丸くなっています.要するに,飛ばないクワガタです,

t-06.jpg                 ホロタイプ(♂) 

 

この属にでは無翅の種は珍しく(約150種中に2種),体はヒョウタン形にくびれていて一見して同属の他種とは異なる印象を受けます.近似属との系統的関係や生態的類似性が興味深い種だと言えそうです.

 タイプ標本などの証拠標本のみどころ,それは虫体だけではありません.ラベルです.この二匹ははマレーシア(半島本土) Genting Highlands 産です.1975年に H.Yokoyama さんによって採集され,N. Inahara さんのコレクションに加えられ,日本生命コレクションの一部として博物館に収蔵されました.そして Fujita さんによって新種として記載されたのが 2010 年です.


                            3878.jpg      3880.jpg

               ホロタイプのラベル(右は裏面)

 

これで終わりではありません.このあとクワガタ研究の進展に伴い,この標本が参照,検討される機会が何度もおとずれ,ラベルが付け加わっていくことになると思われます.

 

                                 期間:2012年9月8日〜11月4日

                                                                        

                                                                                 沢田佳久(自然・環境評価研究部)

                                             

「フロアスタッフとあそぼう」のイベントをみなさんはご存知でしょうか?

毎週土曜日、日曜日、祝日の午後3時からは、工作やお絵かきなどの楽しいイベントを行っています。

今回は、15日(土)16日(日)17日(月・祝)に行われました「画はくの日」をご紹介しましょう。

画はくの日は、博物館の展示物を見ながらのお絵かきです。

9月のテーマは、4階ひとはくサロンで行われている「昆虫少年のじゆうけんきゅう」

昆虫を愛する少年・少女の創意と愛情あふれる作品の数々を展示しています。

 

まずは、みなさんに質問です!

「知ってるセミの名前をおしえてね」

セミのなまえはおしえてね?

兵庫県のセミ13種、ヤママユガ9種の標本も展示しています。

展示を見ながら、さぁ〜おえかき、はじめましょう♪

かわいい♪ チッチゼミのはねの色は何色かな?

  のんびり〜のサムネール画像 けんきゅう作品を見ながら、おえかき^^

 「昆虫少年のじゆうけんきゅう」の展示は、10月14日(日)までです。

ぜひ、少年たちの研究成果をご覧ください。

スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。

笹山由利子(フロアスタッフ)

   深田公園うきうき探検隊(略して「ふかたん」)とは、ひとはくの研究員が隊長となって、深田公園を探検するイベントです。

 

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    みんなで、10種類、122匹のバッタが採れました〜。


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フロアスタッフ うえやま

 

 

セミ達の声がフェードアウトし、
秋の鳴く虫の大合唱がにぎやかな季節を迎えています。

今春任命された145名の『Kidsひとはく大使』は、
ひとはくの20周年をみなさんにPRするため、
ひとはくの内で、外でまだまだ大活躍中です!

活躍その1☆大原美術館モニターツアー

8月25日(土)、2名の大使が岡山県倉敷市にある
大原美術館に表敬訪問しました。

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両大使とも練習の成果をいかして、しっかりご挨拶でき、立派に大役を果たしました。

120925oharakidstour (2).JPG ←高階秀爾館長とKids大使


この日美術館では「チルドレンズ・アート・ミュージアム2012」
が開催されていて、
子どもたちがアートを楽しめるプログラムがいっぱいでした。
アーティストの上田暁子さんとお話をして、アート鑑賞。

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上田さん:「絵の真ん中にあるのは何に見える?」

大使:「うーん・・リンゴ?」

上田さん:「逆さになってみたらわかるかも!」

 

 

 

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大使:「あ〜!お花だぁ!」

 

 

 

 

 

↓絵を見て詠まれた川柳を当てるクイズで100点ゲット!やったね!

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                        ↑自分でも絵を見て一句詠んでみたよ!

 

大原美術館の皆様、お忙しいところ本当にありがとうございました!

 

活躍その2☆9月のKids館長

9月2日のKidsサンデーでは、10名のキッズ館長がお仕事をしました。
120904kidskancho (1).JPG  120904kidskancho (2).JPG

120904kidskancho (3).JPG  120904kidskancho (6).JPG  

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120904kidskancho (13).JPG   120904kidskancho (11).JPG  

今回のKids館長もとっても研究熱心でした。 ↑「もっとゆっくり読みたかったなぁ・・・><」

↓「こんにちは!ウミガメさん!」    ↓「これは鳥の『仮剥製』です。」「ほぉ〜」

120904kidskancho (14).JPG   120904kidskancho (12).JPG  

        Kids館長:「こんにちは!いらっしゃいませ!」 お客さん:「ありがとう!」

        Kids館長:(心の声)「やったー☆」

120904kidskancho (15).JPG 残暑厳しいなか、Kids館長の皆さまお疲れ様でした!

活躍その3☆20周年記念フォーラム@兵庫県公館

ギラギラ太陽がまぶしかった9月15日(土)、
5名のKids大使が神戸元町にある兵庫県公館での20周年記念フォーラムに出動!

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歴史を感じさせる、重厚な建物での
お仕事にちょっぴり緊張気味でしたが、
参加者の方から「元気だね〜」とお褒めの言葉をいただき、
ますます張り切ってご挨拶することができました。

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「こんにちは!暑いなかお越しくださって

ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

お仕事の後は公館のお庭で開催されたプログラムに
も参加して、楽しい学びの秋を満喫しました!

↓いろんなタネでかおを作ってみたよ!  ↓イノシシ形の的をめがけて投げるは・・ひっつきムシ! 120915kidskoukan (3).JPG  120915kidskoukan (4).JPG

ひとはくの20周年はこれからが本番!
Kidsひとはく大使の活躍にもご期待ください!

(次回の大使の登場は10月7日(日)Kidsサンデーです☆)

                              <キッズひとはく推進室;たかせゆうこ>

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして15

 

『エピジェネティクス 操られる遺伝子』

PTSD、自閉症、iPS細胞、タスマニアデビル−2

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

 

 

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 前回、「ひとはくブログ」に「『エピジェネティクス 操られる遺伝子』 PTSD、自閉症、iPS細胞、タスマニアデビル−1」を載せてしばらくして、あるお母さんからお手紙をいただきました――わたしは、失語が出ることがありますので、今でも電話は避けています。その事を知っておられたので、わざわざお手紙を書いて下さったのです。どうもありがとうございます。

 

 そのお母さんは、「日本でも病院の産科に行くと、葉酸は積極的に勧められる」と教えて下さいました。葉酸は胎児の成長には欠かせませんから、お医者さんは勧めるのです。

 

 そのお母さんの息子さんはアスペルガー傾向があるそうです。アスペルガーの人は少し変わり者が多いのですが、でも本質は、邪心のない、心根の優しい人です。その心根の優しさを大切にしてあげれば、今のままの、心根の優しい、すてきな青年に育つと思いますよ。

 

 さて、

 

 PTSD(精神的外傷)やストレスは、エピジェネティックなメカニズムを通じて、普通の遺伝とは違いますが、まるで遺伝しているような影響を子どもに与えます。葉酸――お手紙を下さったお母さんにも申し上げましたが、もともとは誰にでも必要な物質です――その葉酸が多すぎるために、自閉症は起こるのではないかと疑っている研究者がいました。エピジェネティックスは、研究されるようになってから、まだ10年ぐらいにしかなりません。よく探せば、似た現象があちこちで起こっていそうです。この文章は、『エピジェネティクス 操られる遺伝子』の書評のつづきです。

 

☆   ☆

 

 オーストラリアは有袋類(ゆうたい・るい)というほ乳類が住む大陸として有名です。有袋類はオーストラリアの北にあるニューギニアや南アメリカにもいますが、いろんな種類の有袋類がたくさん住んでいるのは、オーストラリアだけの特徴です。

 

 そのオーストラリア大陸の南東にタスマニア島という島があります。大きな島で、つい最近までタスマニア人が住んでいました――残念ながら白人が入植して、現在は絶滅してしまったそうです。タスマニア島は6万4400キロメートルだそうですから、九州より大きいが、北海道ほどではないということになります。それでも十分に大きな島です。

 

 このタスマニア島には、ここにしかいない珍しい有袋類がいます。それはタスマニアデビルとフクロオオカミです。フクロオオカミはヒツジを襲う有害獣(ゆうがい・じゅう)として嫌われ、絶滅(ぜつめつ)させられてしまいました。タスマニアデビルもフクロオオカミと同じように他の動物をおそいますが、わたしの持っている本では、おそうのは、ヒツジよりももっと小さな動物だということです。そのタスマニアデビルが、フクロオオカミとは別の理由で、今、絶滅しそうなのです。

 

 なぜ絶滅しそうなのかというと、タスマニアデビルの間には、「噛(か)んで移るガン(癌)」がはやっているからです。タスマニアデビルは、死んだ動物の肉を前にすると、争いのために競争相手のタスマニアデビルの顔に噛みつくのです。その時、ガン細胞が移るのだそうです。

 

 ガンが「噛(か)んで移る」? 人間のガンは、噛(か)まれても移りません。わたしは『エピジェネティクス 操られる遺伝子』を読んでいて、最初はガン細胞が移ったのではなく、ガンを起こすウイルスが移ったのだと思いました。実際に、そういうウイルスはいます。しかし、移っていたのは本物のガン細胞だそうです。それも、皮膚(ひふ)だとか骨(ほね)だとかといった組織の細胞ではなく、何にでもなれる「幹(かん)細胞のガン」だというのです。

 

 ここまで読んで、わたしは、ふたつの事に気が付きました。

 

 ひとつ目の、本当にガン細胞が移っているのなら、タスマニアデビルの免疫(めんえき)が普通ではないのではないか? たとえば他人の体から臓器移植(ぞうき・いしょく)や皮膚移植(ひふ・いしょく)を受けると、体は「自分とは違うものが入ってきた」と思って拒絶反応(きょぜつ・はんのう)を起こすものです。しかし、皆が似た遺伝子を持っていると、この反応はおきません。「免疫(めんえき)が普通ではない」とは、そういう事なのです。

 

 たとえばチーターは皮膚(ひふ)を移植(いしょく)しても拒絶反応(きょぜつ・はんのう)は起きません。なぜ拒絶反応が起きないのかというと、昔、チーターの数がものすごく減ったことがあって、その時、ある遺伝子を持っていた個体だけが生き残った。そうだとすると、元のようにチーターが多くなった今でも拒絶反応(きょぜつ・はんのう)は起こらない事があるのです。難しいことばを使うと、「遺伝的な多様性」がきょくたんに低くなったのです。野生動物でも、よくある事だそうです。そんな訳で、タスマニアデビルもチーターと同じく、拒絶反応(きょぜつ・はんのう)が起きないので、ガン細胞は、あるタスマニアデビルから別のタスマニアデビルに移れたのではないか? そう思ったのです。

 

 ふたつ目の「幹(かん)細胞のガン」というのは、ひとつ目に比べてやっかいな気がします。どこがやっかいなのかと言うと、皮膚(ひふ)とか肺(はい)とかいった「○○の細胞」ではなく、これから何にでもなれる、言うなら「卵(たまご)のようなガン細胞」だからです。移った「卵(たまご)のようなガン細胞」は、顔のできものだけでなく、肺やリンパ節(せつ)といった顔以外の場所もガンにしていきます。このガンにかかったタスマニアデビルの治療(ちりょう)法は、まだ、ないままだそうです。

 

☆   ☆

 

 「幹(かん)細胞のガン」と聞くと、iPS細胞のことを思い出します。iPS細胞というのは、京都大学の山中伸弥(なかやま しんや)さんたちが作った、これから何にでもなれる人工的な細胞のことです。もちろん「人工的な細胞」といっても、細胞そのものを人間が作れるのではなく、マウスならマウス、ヒトならヒトの、皮膚(ひふ)の細胞に、ある遺伝子を入れて作りだしたのです。そして皮膚(ひふ)の細胞に入れた「ある遺伝子」には、発ガン作用があります。

 

 「卵(たまご)のような幹(かん)細胞」とガン、そしてエピジェネティクスの間には、実は深い関係があります。細胞には全部、DNAがあります。DNAが「生き物の設計図」と言われていた時代には、体の中のある細胞は肝臓(かんぞう)になり、別の細胞は脳になるというのが、考えてみれば不思議でした。実はどうも、そこにはエピジェネティクスが関係しているらしい。しかし、実態はまだよくわかりません。

 

 エピジェネティクスというのは、細胞によって、DNAにそれぞれ別べつの「ふた」をかぶせて、そのDNAが働かなくなるようすです。そして、その場所にぴったりのDNAだけが働くようにしているのです。それが体の中でうまくいっているから、ヒトはヒト、タンポポはタンポポになるのです。

 

 ガン遺伝子というものがあります。体が生まれつき持っているガンを作る遺伝子です。ガンは恐ろしい病気ですから、「ガンを作る遺伝子」なんて、わけが分かりません。なぜガン遺伝子などというものが、あるのでしょう。しかし、事実としてガン遺伝子はかなりの数あることがわかっています。そのガン遺伝子を持っているのに、多くの人はガンになりません。それは、ひとつには、ガンの抑制遺伝子というのがちゃんとあって,ガン遺伝子の働きを押さえてしまうのと、もうひとつは、エピジェネティクにガン遺伝子に「ふた」をして、ガン遺伝子が働かないようにしているからです。

 

 iPS細胞は、エピジェネティクな「ふた」をむりやり取ってしまった、人工的に作りだした幹(かん)細胞です。しっかり分裂させるために発ガン作用がある遺伝子を入れるのですが、それとともに、エピジェネティクな「ふた」をむりやり取ってしまった幹(かん)細胞では、ガン遺伝子も働き始めるということです。

 

☆   ☆

 

 それにしても、<ガン遺伝子>とは、いったい何物なのでしょう? 体の中に危険な病原体を持っているようなものです。ガン遺伝子は、何食わぬ顔で遺伝子にもぐり込んだエイズのようなウイルスなのでしょうか? それとも、老化して役目を終えた細胞に死ぬタイミングを教える遺伝子なのでしょうか? わたしにはわかりません。でも、ある事を思いつきました。それは、ヒトが使う事のなくなった、ちょうどトカゲのしっぽのように、「体の再生をうながす働きを持つ遺伝子が、変化したもの」という思い付きです。

 

 わたしは霊長類学者で、エピジェネティクスの専門家ではありません。ですから、今から書くのは、ただの<しろうと談義>です。ふざけているのではありませんが、責任は持てません。

 

 もともとガン遺伝子は、ガンという病気の遺伝子などではなく、体の再生をつかさどる遺伝子でした。体の再生のためには、肝臓(かんぞう)とか脳(のう)とかの専門化した、言い換えればエピジェネティクな「ふた」のかぶせられた遺伝子ではなくて、エピジェネティクな「ふた」を取り去った遺伝子が必要です。なぜかと言えば、再生のためには、しっぽの骨やうろこといったふうに、まだ専門的には別れていないからです。魚類や両生類、は虫類までは、似たような再生ができるはずです。しかし、ほ乳類になると再生できるところは限られます。ヒトの体でいえば肝臓(かんぞう)の再生力は強いそうですが、手や足が再生できるとは、聞いたことがありません。この再生をする能力を持った遺伝子は、進化の途中で働かなくなりましたが、消えてしまったわけではなかったのです。再生をうながしていた遺伝子は、エピジェネティクスによって、息をひそめるようにしてDNAに引き継がれ続けました。

 

 その遺伝子は、ある時、再生のために細胞を増殖させる働きは保ったまま、しかし、体の骨や皮膚(ひふ)を組み立てる力は失って、ついにガン遺伝子になりました。そのために、ガン細胞をむやみやたらと増やすようになったのです。

 

 以上は<しろうと談義>でした。しかし、ガン遺伝子も、もともとは何かの役に立っていたと考えなければいけないような気がします。

 

 この『エピジェネティクス 操られる遺伝子』の著者、リチャード・フランシスさんは、遺伝子を「生き物の設計図」ではなく、「細胞」と「遺伝子」は、互いが互いに影響を与え合う共同作業者のようなものだと言います。その意味では、今まで遺伝するのだと信じられてきた事にも、エピジェネティクスであれば元に戻すような治療法が出てくるのかもしれません。訳者の野中香方子さんが訳者あとがきに書いておられましたが、エピジェネティクスは2008年度から、アメリカ国立衛生研究所の重要研究項目になっているそうです。日本でも、同じように研究が進んでいくのでしょう。

 

 また、遺伝子と細胞が影響し合ってヒトが生み出されるようすを受けて、フランシスさんは「人間性というものは程度の問題であって、絶対的なものではない。胚が人間になるまでの各課程をどう扱うか決定するのは、社会全体の責任である」と述べておられます。出産前診断に対するこの筆者の意見には、耳を傾ける価値があります。わたしは、そう思いました。

 

 

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三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

  オイラはハナマルタニシだニシ・・・


 時は9月2日、再び多可町だニシ。登紀子の田んぼはいよいよ実りの季節を迎えるんだニシ。 山田錦!! 実は10月1日は日本酒の日で、今日はその日本酒の日に開かれる第20回加藤登紀子日本酒の日コンサートのプレイベントだニシ。オイラは6月と8月に子どもたちが生みだした「田んぼのタヨウ星人」たちの中から、登紀子さんに「一番登紀子の田んぼにふさわしいタヨウ星人」を選んでもらうために、河南堂珍元斎と行ったニシ。


 登紀子さんは珍元斎のタヨウ星人講釈を聞きながら、じっくり選んだニシ。   004tokiko.JPG  005tokiko.JPG
 〜さまざまなたくさんの生き物がいて、みんなつがっている。そんな生物多様性の大切さを、講談やお絵かきで子どもたちに楽しくわかりやすく伝えようと…タヨウ星人それぞれにその生きざまの、いのちの物語があります〜と珍元斎。 006tokiko.jpg  007tokiko.JPG〜へえ、おもしろいわね。絵本が作れそうねえ。〜と登紀子さん。 008tokiko.JPG
中でも鳴く虫ブラーザーズは特に気にいられたようだニシ。 010tokiko.JPG
〜私のところもたくさん虫は鳴いてるわよ。カエルもたくさん鳴くのよ。そういえばアカガエルのいい写真撮れたのよ。春、卵がずごいのよ〜と生きもの談議に花が咲いたニシ。 009tokiko.JPG

 登紀子さんは千葉で鴨川自然王国をやっていて、ひとはくの岩槻邦男館長と同じくWWF(世界自然保護基金)にも関わっている自然大好きな人だニシ。そうして、2人は8才の女の子の作品「子どもママととろ」をついに選んだニシ。 かわいらしい!!受賞作品  さて、いよいよ今日のメインイベント酒談議だニシ!
 第1回の島唄から、わんから、されど我が心…命結と並んだ19本。そして20回はうた語り。杉玉カットや川柳などの披露があり、 杉!!いよいよ登紀子の田んぼ賞の発表だニシ。まずタヨウ星人講談のサワリとタヨウ星クイズ!そして受賞作へのコメント!〜この子はハートから描き始め、それは、お母さんにすごく愛されていて、まずハートなんでしょうね。それがほっぺになり、お腹は豊かな多可町の風景。虹色は多様な季節や風景をあらわしています。特技のせんたく昼寝好きというのは、お母さんもそうなんでしょうね。角と魚のひれがついたウサギって感じはトトロのような妖怪のイメージですね。ま、お母さんは妖怪だ!ともいっているんでしょうね〜と珍元斎。 013tokiko.jpg  014tokiko.JPG
 登紀子さんも〜女は魔物よ。ほんと四季を感じる素敵な絵〜と答え、会場は盛り上がったニシ。 015tokiko.jpg  016tokiko.JPG  017tokiko.JPG

 そして、いよいよ男声バックコーラス隊と共演で歌を披露。
 「貝がらにも光にも雲にも牛にも駅にも町にも船にも私にも〜この地球よりも重いいのちがある・・・いのちよ。この星よりも重たいいのちよ〜」これは貝がらの唄という、福島の子ども達へのメッセージソングで、生物多様性のそして命の重さを歌った登紀子さん。会場は大きな拍手でつつまれたニシ。 シャバダバシャバダバァ♪

 10月1日はついにお登紀さんのほろ酔いコンサートだニシ。 019tokiko.JPG オイラたちのタヨウ星人原画展も1日までだニシ。

原画展   

いざゆかん多可町タヨウ星の世界へ・・・多可町ベルディーホールに

みんな行くんだニシ。行ってくれたら”はなまる”だニシ。

タンボ系タヨウ星人 タヨウ小学校1年花組 ハナマルタニシ

ハナマルタニシだニシ!!


 

 

多可町文化会館ベルディーホールはここだニシ https://www.facebook.com/verdehall

9月15日(土)兵庫県公館において、ひとはく20周年記念フォーラムが行われます。
また「ひとはくが公館にやってきた」と題して、公館東側の庭で、子どもたちを対象に体験プログラムが実施されます。ぜひ、ご参加ください。

           11:00〜15:00 雨天の場合は中止となります。
                                        くわしくはこちらをクリック

20周年記念フォーラムが行われる兵庫県公館の大会議室では、会場設営、標本やパネルの搬入を行い、フォーラムの準備も完了しました。(フォーラムの申し込みは締め切らせていただきました。)

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 DSC02671_4.jpgのサムネール画像のサムネール画像      会場の準備風景です
                                           
                                          情報管理課 阪上勝彦


  いま、ひとはくでは、 

ひとはく収蔵品から発見された新種のクワガタ
 〜イナハラハネナシネブトクワガタのタイプ標本〜  を開催しています。内容はここから

新種の標本展示!!

 『新種』?  んん?最近発見されたクワガタなの?と思いきや、な、なんと・・・・・1975年4月にマレーシアで採集された標本なんだ。37年前だ!!

 

 クワガタ図鑑を編纂するために博物館に収蔵されていた標本を貸与したことをきっかけに、今回の新種の発見につながったんだ。博物館には100万点以上の標本資料が収蔵されていますが、まだまだ新種が見つかる可能性があるということですよね。

 

 ぜひ、クワガタの新種標本をご覧にお越しください。そして、調査や研究の面白さを感じてみてください。

驚きの小ささ!!なんだよっ!!

いよいよ秋、鳴く虫の季節です。

このセミナーでは、鳴く虫の種類が少ない6月、7月に「耳のトレーニング」をし、この季節に備えてきました。

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とはいうものの、実際に野外に出てみると、とてもたくさんの虫の声。
虫は1匹ずつ鳴いてくれませんし、遠くと近くでも音がちがいます。

当日のムービーもごらんください。

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この夜、聞こえた虫の声は、つぎの19種でした。
アオマツムシ、カンタン、ヒロバネカンタン、カネタタキ、エンマコオロギ、ハラオカメコオロギ、モリオカメコオロギ、ミツカドコオロギ、ツヅレサセコオロギ、シバスズ、マダラスズ、スズムシ、マツムシ、ササキリ、オナガササキリ、クサキリ、ヤブキリ、キリギリス、ヒメギス

前回(7月)前々回(6月)とは、別世界です。

季節の変化、すばらしいですね。
みなさんも、虫の声に耳をすませてみては。

いろいろな虫の声は、ひとはくのサイトで聞くことができます。


(八木 剛)

 

ユニバーサル・ミュージアムをめざして14

 

『エピジェネティクス 操られる遺伝子』

PTSD、自閉症、iPS細胞、タスマニアデビル−1

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

 

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  『エピジェネティクス 操られる遺伝子』は遺伝学の本です。DNAやタンパク質合成、ヒトゲノムといった、ややこしそうな話が出てきます。なぜ遺伝学の本が、この「ユニバーサル・ミュージアム」のコラムに入っているのかと、不信に思われた方もいるでしょう。ひょっとすると、「不信に思われた方もいる」どころではなく、「不信に思われた方が多い」と言い換えた方がいいのかもしれません。<ひとはく>は、いろんな方が集まってくる生涯学習のための施設です。そこのコラムに、こんな「ややこしそうな」題名の本を取り上げて、三谷(わたしです)はいったい何を考えているのか? 自分が読んだ(と称する)本を、自慢したいだけじゃないのか? いろんな言葉が聞こえて来ます。ご不信、ごもっともです。この書評を書く前に、そのあたりを説明しておきます。

 

 わたしが「エピジェネティクス」という言葉をはじめて知ったのは、昨年の秋頃でした。発達障がいの中でもアスペルガー症候群について特集した子どもの精神医学の雑誌「そだちの科学」【注1】http://www.nippyo.co.jp/magazine/5622.htmlを読んでいて、目にはいったのです。新しい言葉だろうとは思いましたが、書いてあった意味は、もうひとつわかりませんでした。こんな時はインターネットのコンピュータ検索が便利です。引いてみました。すると、どうも「DNAは変化していないのに、(まるで遺伝しているかのように)親から子へと伝わる現象」らしいのです。でも、何が伝わるのでしょう? 「エピジェネティクス」は普通の遺伝ではないということですが、何が違うのでしょうか?

 

 わたしが高校生だった40年前は――10年でひと昔と数えますから、本当に昔のことです――教科書にメンデル遺伝の手ほどきが載っていました。それはエンドウ豆の皮の色や模様がどう伝わるのかといったことです。ヒトのABO式の血液型も、同じしくみで親から子に伝わります。でも現実にわたしたちが経験する、たとえば身長や癖毛(くせげ)といった見た目や、「おとなしい」とか「活発」だといった性格は、豆の皮や血液型のように単純ではありません。メンデル遺伝を否定するわけではありませんが、現実にわたしたちの周りで起こっていることは、もっともっと複雑でした。

 

 今では、ひとつの遺伝子がひとつの見た目や性質をコントロールするというメンデル遺伝は、あるにはあるが、たいへん珍しく、普通は、いくつもの遺伝子が組み合わさって、見た目や性格を決めているのだということがわかるようになりました。その組み合わせがどれだけ重なり合っているかとか、遺伝子の細かな性質の違いはあるのかといったことによって、見た目や性格が微妙に変わる。わたしは、そう思っていました。それでも「エピジェネティクス」というのは、このことに当てはまらない、まったく新しい考え方のようです。何か基本的な原理が違うのかもしれません。違うとしたら、どこがどう違うのでしょう? と、せっかくここまで考えたのに、この疑問は、疑問のままで残してしまいました。ひたいに大きなクエスチョン・マークを貼り付けたまま、日常のあれやこれやにかまけてしまったのです。

 

 わたしがよく存じ上げている方で、昔からお世話になっている、ある生化学の先生がいらっしゃいます。上品な女性で、関西のご出身なのですが、お仕事の関係で長く愛知県に住んでいらっしゃいました。その方が、今度、神戸に引っ越しをなさるとうかがい、わたしは、お住まいが近くになったと喜んでいました。そして、ふと思いついて、「<エピジェネティクス>の簡単な解説書を教えて下さい」とお願いしてみました。長く学生の相手をしてこられた先生であれば、そんな本もご存じかもしれない。でも生化学といっても、エピジェネティクスはできたての科学のはずです。ムリを承知で紹介していただきました。その方が紹介してくれたのが、『エピジェネティクス 操られる遺伝子』(リチャード・C・フランシス著、野中香方子訳、ダイヤモンド社)でした。読んでみて、実にわかりやすい説明に、思わず引きつけられました。

 

☆   ☆

 

 DNAは、ヒトを始めとするあらゆる生物の設計図である」というのは、言い古された「常識」です。DNAがなければ生き物は始まりません。それなら、DNAという高分子は、ある生き物の運命を握る<神>にも等しい存在なのでしょうか? これも、どうも違うようです。ヒトの発達を考えてみても、最初、子宮の中で感じたうすぼんやりした光や、お母さんの心臓が刻んだドクンドクンというリズムは、生まれた後も、人の日常に影響しているのです。顕微鏡が発明される前に研究者が想像していたのは、「人の卵(らん)の中には、目に見えないほど小さな人が隠れていて、その人が大きくなって赤ん坊になる」ということだったのですが、ふたを開けてみると「小さな人」はいませんでした。最初から、どのような赤ん坊が生まれ、どのようなおとなになるかは、決まっていなかったのです。そうではなくて、胎児を取り巻く環境が大切だったのです。

 

 わたしたちは昔から、「赤ちゃんを身ごもったら、災(わざわ)いのありそうなことは避け、(赤ちゃんができて)身ひとつではなくなった分、人一倍、滋養(じよう)を摂(と)らなくてはいけない」と伝えてきました。日常からタブーが消えてしまい、栄養条件がよくなったわたしたちの生活では、「妊娠したから災いを避ける」とか、「ことさら栄養のあるものを食べる」という習慣はなくなりましたが、その代わり今度は、きびしくなった社会的なストレスがお母さんに重くのしかかり、子どもにも影響するようになってしまいました。どんなストレスかと言うと、地震や津波、場合によっては戦乱の恐怖といった厄災がもたらす精神的外傷(PTSD)です。ストレスがPTSDを引き起こし、それが子どもにも、生涯にわたって影響を与えるというのです。

 

 ここまでは、よくわかります。今までわかっていたことと、本質的には何も変わりません。変わったのは子どもに影響を与えるメカニズムでした。ストレスが、ある特定遺伝子の働きを押さえ込んでしまい、脳内に、特定の大切な物質が作れなくなりました。この物質は恐怖や不安を静める働きがあります。子ども、つまり胎児や赤ん坊の脳でその物質が作られなかったために、その子は不安やうつ、PTSDに陥りやすくなっていたのです【注2】。この特定遺伝子の働きを押さえ込んでしまう働きは、愛情を持って接すれば取り除くことができます。しかし、普通は長期間――たぶん、子どもの一生の間――つづくと考えられているのです。言い換えれば、子どもにもたらされた影響は、まるで親から子に伝わる遺伝子のように、ただし通常の遺伝子以外のメカニズムで、伝わるというのです。これがエピジェネティックスの仕組みです。

 

 この本の著者、フランシスさんは、肥満や糖尿病も、PTSDと同じようにして起きるといいます。妊娠したラットの母親にタンパク質を摂らせないようにすると、コドモは肥満や糖尿病になりやすい体質になるそうです。その結果、すぐにメタボリック症候群を発症してしまう一生を送ることになります。親のこうむった栄養不足や社会的ストレスは、ここでもコドモの一生を左右するわけです【注3】

 

☆   ☆

 

 わたしが知りたかったエピジェネティックスと自閉症の関係は、葉酸(ようさん)という物質に関係があるようです。

 

 普通、葉酸はくだものや野菜から摂(と)っていますが、妊娠した初期には、健康な赤ちゃんを産むために葉酸を服用することが勧められているそうです(筆者はアメリカ人ですが、日本でもそうでしょうか? 妻は「聞いたことがない」と言っていましたが)。なぜかというと、葉酸は胎児の神経系の発育をエピジェネティックに助けるため、神経管閉鎖障害といった重大な障がいを防ぐからです。メタボリック症候群の改善も期待できるのだそうです。このことを知った食品製造業者は、シリアルから小麦粉まで、穀物製品には何にでも葉酸を添加して、栄養強化をうたっていると言います。

 

 いくら健康によいものでも摂り過ぎれば害になることがあります。適量であれば健康によいものでも、過剰な葉酸の摂取は障がいを引き起こす。エピジェネティックなメカニズムで自閉症を引き起こすことはないのだろうか? このような疑いを持っている研究者がいるそうです【注4】

 

 もう一度言いますが、これはアメリカの話です。日本ではシリアルは子どものおやつのようなものですから、子どもにとっては同じとしても、日本ではアメリカほど小麦は摂(と)りません。まあ、感覚的にたとえれば、主食のお米に人工的な葉酸が添加されているようなものだと思います。日本のシリアルや小麦にも人工的に葉酸が添加されているのかどうかはわかりません。ちなみに家にあった子ども用のシリアルには、人工的なものかどうかはわかりませんが、「栄養成分表示」として鉄分や何種類かのビタミンとともに葉酸の値が載っていました。

 

 自閉症は親から子に伝わる性質です。そうだと思っていました。自閉症の人は興味の持ち方や学ぶ方法が違います。それにしても、自閉症の人は、全体として数が多くなったと思いませんか? アメリカでは多くなったとありましたが、日本でも増えているようなのです。このことは、何か変だと思いませんか? なぜ変かと言うと、「自閉症は遺伝する性質」なのですから、そんなに簡単に減ったり増えたりはしないはずなのです。

 

 ひとつには、社会的に<自閉症>というものが認知され、お医者さんも自閉症だという診断を下しやすくなったことがあります。

 

 もうひとつは――今でも偏見は残ってはいるものの――自閉症者をまるで犯罪者のように扱い、色眼鏡で見下すことが減ってきました。そのため、自閉症者の側も「自分は自閉症だ」と言える土壌ができてきました。この社会的な変化が、あげられると思います。

 

 ですから、全部が全部、葉酸のせいにしてしまうのは、とんでもないことです。ですがアメリカでは、食品会社が葉酸を広く添付するようになった時期と自閉症が増加したと思われる時期は、だいたい重なっているのだそうです。

 

 つづきは、次に書きます。

 

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【注1】 鷲見 聡(2011  アスペルガー症候群の最新理解. 自閉症スペクトラム――遺伝環境相互作用の視点から.そだちの科学 17: 21-26. http://www.nippyo.co.jp/magazine/5622.html  この雑誌の記事の中で、小児精神医学者で臨床遺伝学の研究者でもある鷲見 聡さんは、10年前には常識であった「自閉症スペクトラムは遺伝によるものだから変えられない」という状況は変わり、自閉症スペクトラムの原因も、エピジェネティックスによって遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合っているのだろうとおっしゃいます。自閉症スペクトラムの遺伝学は、2011年現在でも多くの事はなぞのままですが、「(自閉症スペクトラムの当事者が)変えることのできない部分に対しては、いくら努力しても報われない。そういう場合は、周りの大人たちが、それを『個性』として認める必要がある。一方、変わる可能性がある部分でも、そのために必要な体験がなければ、変化は起こらない。子どもたちひとりひとりの個性を理解して、それぞれに応じて適切な生育環境を与えることは、大人としての重要な使命である」と考えられておられます。

 

【注2】 脳にある海馬の糖質コルチコイド受容体があまり生産されなくなると、ストレス過敏な子が生まれるそうです。これは、メチル化というエピジェネティックな遺伝子制御のためだそうです。ここでは、Weaver, Cervoni, et al. (2004)  "Epigenetic programming by maternal behavior," Nat Neurosci 7 (8): 847-854. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15220929を参照のためにあげています。

 

【注3】 糖質コルチコイド受容体とメタボリック症候群の関係については、Witchel and DeFranco (2006) http://www.nature.com/nrendo/journal/v2/n11/abs/ncpendmet0323.htmlを参考にあげています。

 

【注4】 高濃度の葉酸と自閉症の関連については、Rogers (2008) http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306987708001631Leeming and Lucock (2009) http://www.springerlink.com/content/e58vh80120316q42/を参照するように勧めています。

 

 

三谷 雅純(みたに まさずみ)

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所

/人と自然の博物館

■設定
  1. ArcGISのインストール
     本機能を利用するには別途ArcGISをインストールすることが必要です。
  2. ネットワークドライブの割り当て
     エクスプローラなどから \\musegis\arcview をネットワークドライブに割り当ててください。
    注)ネットワークドライブを割り当てる際には HITOHAKU ドメインmapuserユーザでWindowsにログインしている必要があります。
  3. 設定ファイル(HHGS.config)の配置
     割り当てたネットワークドライブの配下に HHGS.config というファイルがあります。
    お使いの端末の C:\temp にコピーしてください。
  4. HHGS.config ファイルの編集
    メモ帳などでコピーした HHGS.config を開き、1 で割り当てたネットワークドライブ名に合わせて修正します。
    MxdPath=M:\mxd\
    XmlPath=M:\xml\
    ImagePath=M:\image\
    ・・・
    (\\gis\arcview$ を M ドライブに割り当てた例です。)
  5. ActiveXのインストール
     2回目以降の利用は以下の手順が不要ですが、ActiveX がバージョンアップした際には再度実施する必要があります。
     「編集モードへ」に入ると自動的にダウンロードが始まりますので、すべて「はい」を選択してください。
    cameroon_fruit2.jpg 写真のまとめすぎ!!
  6. なおインストールの際にはブラウザのセキュリティ設定を一時的に弱める必要があります。
    ブラウザメニューの「ツール」→「インターネットオプション」→「セキュリティ」でイントラネットを選択し「レベルのカスタマイズ」ボタンを押します。
      「未証明のActiveXコントロールのダウンロード」のレベルを「無効」から「ダイアログを表示する」に変更してOKしてください。
      またインストールが完了したら必ずセキュリティレベルを元に戻してください。
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    注)ネットワークドライブを割り当てる際には HITOHAKU ドメインmapuserユーザでWindowsにログインしている必要があります。
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    メモ帳などでコピーした HHGS.config を開き、1 で割り当てたネットワークドライブ名に合わせて修正します。
    MxdPath=M:\mxd\
    XmlPath=M:\xml\
    ImagePath=M:\image\
    ・・・
    (\\gis\arcview$ を M ドライブに割り当てた例です。)
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      またインストールが完了したら必ずセキュリティレベルを元に戻してください。



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