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2009年4月アーカイブ

4月29日に多紀アルプスでセミナーがありました。
昨年は雨で中止になってしまいましたが、今年は雲ひとつない快晴で、山歩きにもってこいの天気でした。

JR篠山口駅に集合し、簡単な挨拶と説明のあと、栗柄に向かいました。まず、栗柄で「谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)」の説明や河川争奪の話を聞きました。

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そして、三嶽へ向かいました。植物の話やチャートの話を聞きながら、三嶽を目指しました。登りはかなりしんどく、鎖場などもありましたが、参加された皆さんは足取りも軽くさくさくと登っていくのに驚かされました。

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鎖場を抜けるとホンシャクナゲやヒカゲツツジなどが、丁度盛りを迎えていました。前回の下見をしたときには、花が終わっているかもしれないと心配していましたが、ここ数日の気温の低下で花が長持ちしたようです。

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途中から西ヶ嶽に直接向かう組みと、三嶽に登ってから西ヶ嶽に向かう組みとに分かれて進みました。
西ヶ嶽山頂で、我々がツツジに夢中になっている間、皆さんは小林さんから地質や地形の説明を受けていました。

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お1人、途中で帰られた方がいらっしゃいましたが、その他の皆さんは無事に西ヶ嶽をまわってこられました。結局16時30分までの予定が17時過ぎの解散になってしまいましたが、皆さんには楽しんでいただけたようでした。

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山本伸子(自然・環境評価研究部

春の日に川の土手を歩いているとピュルと鳴きながら地面から飛び上がる鳥がいます。見ていると、複雑な歌い回しで(とても文字にはできない)さえずり続けながらちょっとずつ上空へと舞い上がっていきます。どこまでのぼっていくのだろうか?首の後ろが痛くなってきました。青い空の高い所に小さなしみのような影になって、ヒバリはいつまでもさえずり続けています。

 

 

photo_1.JPG(写真1)飛んでいるヒバリ

 

ヒバリは、河原や田畑、草原など開けた草地にすんでいます。地上にいるときは、うすい茶色に黒の細かい模様があるため、なかなか見つけけることができません。この鳥は冒頭のような特徴的な行動をします。これは、ほかのヒバリに自分のなわばりがあることを伝えるための行動だといわれています。ヒバリが、さえずりながら再び地上に降りてくるまで数分、時には10分間、彼らはさえずり続けるのです。

 

 

photo_2.JPG(写真2)地上にいると見つけられない

 

ヒバリは、昭和生まれの人間には非常に馴染みの深い鳥です。昭和の大スター美空ひばりさんのおかげでもあります。でもそれだけではありません。かつて家のそばまでずっと広がっていた田畑は、丈の低い草地を好むヒバリにとって、とてもすみやすい環境でした。また、肥えた土にはエサとなる虫も多かったのでしょう。しかし、都市化にともなって田畑は少なくなりました。特に大都市である東京では、ヒバリがずいぶん減少したといわれています。この傾向は、日本だけでなくヨーロッパでも見られています。

 

 

photo_3.JPG(写真3)ヒバリのいる環境

 

ひとはくの近くでは、『恐竜ラボ』裏手の空き地にすんでいます。もしかしたらニュータウンとして造成された空き地は、田畑の代わりにヒバリのすみかとなっているのかもしれません。エサとなる動植物が多ければなおのことよいのですが。

さて、平成の子供たちはどれくらいヒバリを知っているのでしょうか?散歩中に「ピュルリリピュルリリ・・・」と何やら切羽つまったような鳴き声が聞こえてきたら、子供たちとともに空を見上げてヒバリを探してみてください。春先を過ぎると地上でさえずることが多くなるので、春の風物詩といえるでしょう。

 

遠藤菜緒子(自然・環境マネジメント研究部)

みなさま、こんにちは。春たけなわのころになりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

44日・5日のイベントでは、春を代表する桜の花をおりがみでおる“うきうきおりがみ〜さくらを折ろう”を行いました。参加してくださったみなさまは、それぞれきれいな桜を折り紙で咲かせてらっしゃいましたね。

 

 

FS1.JPG          (うきうきおりがみ〜さくらを折ろうの様子)

 

 

さて、ひとはくでは4月下旬より5月末にかけて「ひとはく恐竜・化石大作戦!」が始まります。

それにあわせて5月から恐竜づくしのスペシャルイベントもご用意しております。

 

 

フロアスタッフと遊ぼうでは、“恐竜おりがみ”、丹波の恐竜の骨格標本の巨大パズルをつくる“恐竜骨パズル”をはじめとするイベントを行います。(対象:幼児〜大人まで・参加無料)

 

 

FS2.jpg         (おりがみで恐竜をおりませんか?“恐竜おりがみ”)

 

また、きょうりゅう博士の先生&フロントスタッフと一緒につくる“化石レプリカづくり”も行います。

自分だけの恐竜の歯のレプリカをつくってみませんか? 

※なお、“化石レプリカづくり”のイベントは観覧料とは別に参加費が必要となりますのでご注意ください。

 

イベントの詳しい内容は「うきうきカレンダー5月号」にのっています。ぜひチェックを!

みなさまが楽しんでいただけるイベントをほかにもご用意しています。

この春、ぜひ丹波の恐竜化石にあいに“ひとはく”へお越しください!

                                        (フロントスタッフ)

 

リンゴコフキ!

2009年4月28日
 某先生が大好きなことで一部で有名な「養老虫」,ヒゲボソゾウムシ(Phyllobius属)を見かける季節になりました.細長い胴体に長い脚と長い触角,緑色の輝きの美しい虫です.
 街中の公園にはいない虫ですが,郊外ならちょっとした山でも見かけます.針葉樹と広葉樹が混じったような環境,植林と雑木林の境目あたりにいます.ゾウムシにはめずらしく樹種特異性は低く,いろんな広葉樹を食べるものが多いようです.特定の木で育つよいうより森からわき出す感じの虫です.人に気づくと走って逃げます.脚は速いです.

 くわしい甲虫図鑑には10種ほどが掲載されていますが,さいきん研究が進み,2006年に出たモノグラフには23種も載っています.いちばん良く見かける大型の立派な種(P. armatus)を,以前は「リンゴコフキゾウムシ」と呼んでいました.ところが最近は「ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ」.ぜんぜん違います.
 ヒゲボソゾウ好きの人々(何人いる?)の間ではヒゲボソゾウムシの代表種としてリンゴコフキの呼び名は長く親しまれてきました.もともと「リンゴコフキゾウムシ」という和名じたいは,マメ科に多い「コフキゾウムシ」と似た肌合いの,リンゴの葉を食べる事がある,いわば本来は害虫としての位置づけでした.

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 でも今や「ヒゲボソゾウムシ」はちょっと注目の虫なので和名の不統一はイカガナモノカ.大改訂を機会に和名が改称されたわけです.この仲間(Phyllobius属)全体を「ヒゲボソゾウムシ」といい,その中で大型で♂の前脚の脛にトゲがあるもの(Odontophyllobius亜属)を「トゲアシヒゲボソゾウムシ」といい,その中で毛深い種類は「ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ」という論理です.美しい階層構造!

 ただ,今年も見つけたときは「リンゴコフキ発見!」とつぶやいてしまうのであった.

昆虫共生・沢田佳久

 「生物多様性」という言葉を、新聞やTVなどで見聞きされた方も多いことかと思います。「生物多様性」とは、簡単にいうと「地球上で生命が誕生してから現在までに育まれてきたすべての生き物と生き物同士の関係によって成り立っている、生物や生態系の間に違いがある状態」のこと指します.私たち人間は、この生物多様性から様々な恵みを受けて今日の文明を築き、保ってきました。


しかし、近年、人間と生物多様性との関わりが大きく変化し、世界各地でこの「生物多様性」が失われつつあります。そこで、世界中の国々が生物多様性を守りながら賢く利用してゆくための約束事として、1992年に生物多様性条約を結び、各国が生物多様性を大切にするための取り組みを進めています。その方針は「生物多様性国家戦略」といわれる文書にまとめられていて、日本でも1995年に第1次、2002年に第2次、2007年に第3次の国家戦略をつくり、国内における生物多様性の持続的な利用と保全のための活動をすすめてきました。


日本は他国に比べ四季や自然環境の地理的変化が大きいため、地域によって生物多様性の様子は大きく異なっています。そのため、国内の広い範囲を対象とした国家戦略をすすめるだけでは、各地の地域性を活かした生物多様性の利用と保全をすすめることはできません。そこで、2008年に制定された生物多様性基本法では、都道府県や市町村などの地方単位でも生物多様性戦略をまとめることを推奨しています。


兵庫県は、これまでに生物多様性に関連した様々な事業をすすめており、国や他の都道府県に対するお手本となるものも多くあります。しかし、県全体として生物多様性にどう向き合うかを定めた「戦略」をもっていませんでした。そこで、兵庫県では2008年度の1年間かけて「生物多様性ひょうご戦略」20093月策定)をつくり、兵庫県における生物多様性に関する様々な事業の方針をまとめました(※ この戦略の策定にあたっては、ひとはくの多くの研究員が関わっています。)。


詳しい内容は文末に示したHPにある戦略本文に譲りますが、ひょうご戦略の特徴としては(1)県内の生物多様性の現状や、g行政やNPOなどがこれまで行ってきた生物多様性への取り組みについてわかりやすくまとめていること、(2)戦略の実施状況を評価する数値目標が示されていること、(3)市町版の戦略の策定や企業・市民グループの生物多様性への取り組みを支援する制度や社会環境整備を目指していること、などが挙げられます。


兵庫県の生物多様性の守り、賢く利用し、その恵みを受けるためには、行政の取り組みに加え、兵庫県で暮らす様々な人々の協力が不可欠です。ひとはくでは、これからも生物多様性に関する普及・啓発や市民・企業活動の支援を進め、戦略の推進に協力してゆきます。ひょうご戦略が、みなさんが生物多様性について考え、行動するきっかけとなるテキストとして活用されることを期待しています。

 橋本佳延

(自然・環境再生研究部 研究員/生物多様性タスクフォース メンバー)

 

<ひょうご戦略の公開場所>

兵庫の環境HP

http://www.kankyo.pref.hyogo.jp/JPN/apr/index.html

の画面右下のバナー群から「生物多様性ひょうご戦略」をクリック。

 

直接本文pdfへのアクセスは

http://www.kankyo.pref.hyogo.jp/JPN/apr/keikaku/strategy_of_biodiversity.pdf

明日からの展示に備え、準備も万端。

今日は、新聞記者の方々が取材に来てくれました。

今回は展示を見るだけではなく、体験できるコーナーが充実。恐竜化石を持ち上げるコーナー、恐竜化石発掘現場にいる気分を味わうことができ、さらに写真まで撮れてしまうコーナーなどがあります。

 

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    (発掘現場でマジック写真?!)

 

 

 

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    (広くなった展示室)

 

 

 

 

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    (恐竜化石を持ち上げてみよう〜どれぐらいの重さかな。)

 

 

 

 

 

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     (恐竜ほねパズル)

 

この展示に合わせて、ひとはく恐竜・化石大作戦!スタンプラリーを実施。毎土日祝には、スタンプラリーを完成した先着100名様に素敵なオリジナルグッズをプレゼントします!

期間中はセミナーやイベントがさらにもりだくさん!

この春も、丹波の恐竜化石から目が離せませんよ。

 

小林美樹(生涯学習課)

岩槻邦男のコラム2

2009年4月24日

 4月24日に秋篠宮文仁親王殿下がひとはくを訪問されました。自然史研究機構の研究会を兵庫県で開催され、私的に参加された機会に、研究会の皆さんと一緒に、ひとはくへもお出でいただいたということです。自然史研究機構では、兵庫県立大学自然・環境科学研究所の構成や活動に関心をもたれ、その実情をヒヤリングされるとともに、同研究所の活動舞台でもある森林動物研究センターと人と自然の博物館という2つのユニークな機関を実地調査されました。ひとはくが開館したとき、妃殿下とご一緒にお出でいただいておりますが、今回は、話題の恐竜は当然として、植物、鳥類や昆虫の標本をはじめ、生物多様性情報の管理状況などについても丁寧に調査をされました。

 日本の博物館等施設は、(国立科学博物館を除いて、)普及活動をするのが本務の機関であり、その基盤として研究活動を行うと規定されているようです。しかし、ひとはくには兵庫県立大学の附置研究所が置かれていることから、研究所としての活動と、博物館としての活動が両立することが期待されています。具体的にも、研究スタッフの多くは、研究所所属の教員であって、博物館の研究員を兼ねているというのが実体です。しかし、博物館はイベント会社ではありませんので、生涯学習支援にあたるスタッフが第一線の研究者でないのなら、博物館という看板をかけるのはおこがましいというのが実際でしょう。博物館は生涯学習支援にあたり、シンクタンク機能を果たすために、充実した資料標本と、それを基盤に活発な研究活動を行っている研究者を擁している機関であるはずです。

 だからといって、博物館は研究所そのものではありません。普及活動という言葉の解釈は難しいですが、充実した資料標本を用い、優れた研究者集団を中心に、シンクタンク機能を果たし、生涯学習支援を行わないのだったら、博物館である意味がありません。

 兵庫県立大学の自然・環境科学研究所は、ひとはくが設立された時にひとはくのために創設された機構でした。その後、淡路景観園芸学校、コウノトリの郷公園、西はりま天文台公園、森林動物研究センターがつくられると、これらの機関にも併設されることになりました。ですから、これらの機関の研究者は兵庫県立大学の教員でもあります。今では、ひとはくの自然環境系、淡路の景観園芸系、コウノトリの田園生態系、天文台の宇宙天文系、そして動物センターの森林動物系の研究部門がきれいに並立しています。また、2007年には大学院環境人間学研究科に、共生博物部門が設けられました。今年3月には、ひとはくでまなんだ修士の学生がはじめて巣立ちました。さらに、この4月から、淡路景観園芸学校は県立大学の緑環境景観マネジメント研究科(専門職)となり、ひとはくの中瀬副館長が研究科長を兼任しています。

 これだけいえば、ひとはくは博物館とずいぶん違ったイメージを与えるかもしれません。ただし、ひとはくには教育委員会傘下の研究者もいます。ですから、構成はたいへん複雑です。もちろん、だからといって身分の違いが活動の違いになって現れることが無いように配慮はされています。相互に緊密な協力関係のもとに、生涯学習支援、シンクタンク機能の発揮などにいそしんでいます。

 かつては国立大学の教官も、教官といいながら、研究を第一の課題と考える傾向がありました。しかし、現実には、職種は教官で、学生を教育するのが本務です。ただし、高等教育は第一線の研究者でないと勤まりません。第一線で研究活動を行っていることが大学の教官にとっての必要条件です。ところが、研究に没頭してしまうと、教育を雑用というようになります。残念ながら、平気でそういう教官が散見されました。博物館等施設も同じだったかもしれません。今、ひとはくでは、博物館らしい活動に力が注がれます。私も、日本で博物館らしい活動に参加する歓びを味わっています。

 

岩槻邦男(人と自然の博物館 館長)

 

 

4月25日から2009年度恐竜展示特別企画 丹波の恐竜を知ろう−3年間の発掘報告−が開催されますが、その準備が着々と進められています。

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「恐竜になって歩こう」では、実際の恐竜の歩幅が展示されています。実際に足跡の上を歩いて、恐竜の歩幅の違いが体験できます。実際の恐竜たちはどのような姿勢で走っていたのでしょうか。

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骨を組み合わせて恐竜を完成させる「恐竜ほねパズル」。発掘された骨の説明も書かれています。フロアスタッフのお姉さんが真剣にパズルに取り組んでいます。

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発掘現場の雰囲気を味わいながら、記念写真を撮ることができます。期間中はヘルメットやハンマーなどの発掘道具を用意する予定です。

もしかしたら、写真に恐竜の影が映るかもしれません。

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また、新しく発掘・クリーニングされた化石も展示ケースへ飾られつつあります。 

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今回の特別企画では、第3次発掘の報告に加えて、篠山層群や丹波地域の成り立ちについて、恐竜発見から第3次発掘までに得られた成果やその間の活動を報告します。

お楽しみに。

山本伸子(自然・環境評価研究部)

ほうれん草って花が咲くの?

もちろん咲きます.

ちょうど今頃が花の時期.株の真ん中から伸びた茎にたくさんの花をつけています.

雄株に咲いた花   雄株に咲いた花

雌株に咲いた花   雌株に咲いた花

 

ほうれん草には雄株と雌株があって,それぞれ写真のような花をつけます(注1).雄株は茎の先にかたまって花をつけていますが,雌株は葉のつけねに数個づつつけています.

もう少しアップにしてみましょう.

 

 

雄花

これは雄花.白く見えるのが花粉です.

雌花

 

これは雌花.白いヒモのような物は,花びらではなく長く伸びた雌しべです.

ほうれん草は風媒花(風に花粉を運んでもらう花).色鮮やかな花びらも目立つ大きな花も持ちませんが,風媒花らしい独特の花が面白いですね.

 

 

(注1)雄花と雌花を両方つける両性株も報告されていますが,一般的には雌雄異株です.

 

(自然・環境評価研究部 布施静香)

3階トピックスコーナーの展示のお知らせです。

 

5月31日まで「希少種ベニバナヤマシャクヤクを篠山で発見!」を開催しています。

 

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篠山のベニバナヤマシャクヤク

撮影:太治庄三

 

 

ベニバナヤマシャクヤクという植物を知っていますか?

よく園芸で栽培されるシャクヤクやボタンの仲間です。

花が薄いピンク色をしていて、日本とその周辺に分布している多年草です。

日本では森林の伐採や、鑑賞目的の採取にあい、絶滅危惧植物に指定されています。

 

篠山で最近発見され、丹波地方では初記録となります。

石灰岩地などの土壌が貧弱なところに生育します。

篠山では丹波層群のレキ土壌の上に生育しています。

また、この仲間はペオニフロリンという毒を持っているため、シカが食べません。

シカが他の植物を食べるため、この植物が残されてきたものと考えられます。

 

篠山の集団では葉の裏に毛の生えているベニバナヤマシャクヤクと毛の生えていないケナシベニバナヤマシャクヤクが混生している、珍しい集団です。

兵庫県ではケナシベニバナヤマシャクヤクの記録しかありませんでしたから、ベニバナヤマシャクヤクの生育の確認は初めてとなります。

 

個体の大きさと開花の関係を調べると、葉が3枚以上つくと花が咲き始めることがわかりました。

 

めったに見ることのできない花の写真と、標本、日本での現状などを展示解説しています。

(自然環境再生研究部 藤井俊夫)

遅咲きの桜もそろそろ終わりを迎えつつありますが、雑木林に目を向けると濃いピンク色をした花が山に彩りを添えています。

この花は、コバノミツバツツジです。ツツジ科の植物で、「小葉の三つ葉躑躅」という意味です。枝先に小ぶりの葉を3枚つけることからこの名前がつきました。

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この花を手にとってよくよく見てみてください。

雄しべの先についている葯(やく)はバラやツバキのものとは少し違った形をしています。葯は壺のようになっていて、先端に小さな穴が空いています(写真左)。このような葯を孔開葯といいます。

この葯の中には花粉が沢山入っていますが、花粉を出してみると、沢山の花粉が蜘蛛の巣にかかったようにくっついて出てきます(写真中)。これは、花粉に粘着糸と呼ばれる糸があるからです。

最後に花びらをはずしてみると、めしべの基部に白い長い毛が沢山生えています(写真右)。これがコバノミツバツツジの特徴です。

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皆さん、外に出るときにはぜひ虫眼鏡を持って、このような植物をじっくり観察してみてください。

山本伸子(自然・環境評価研究部)

明日おこなわれるセミナーの下見のため、白髪岳(しらがだけ)ふもとの文保寺に行ってきました。
今回の白髪岳のセミナーは、ただ植物を観察するだけでなく、参加される方と一緒に植物調査をおこないます。皆さんで手分けして植物を採集し、文保寺周辺にどのような植物が生えているのか調べ、リストにしたいと思っています。

今日は天気も良く、春に見られる植物が沢山花をつけていました(写真)。明日も晴れる予報ですから、楽しく調査できるのではないでしょうか。

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興味を持たれた方は、5月30日におこなわれるセミナー「白髪岳の植物を調べる(2)初夏の植物」にお申し込み下さい。この回は白髪岳を登ります。締め切りは5月12日です。

山本伸子(自然・環境評価研究部)

連携イベントその2です。3月20日〜22日に明石市立天文科学館の依頼で、「天文春分祭」に天文ひとはく科学セミナーと題して出演しました。

明石天文科学館に3日間だけ「ひとはく」が現れるという趣向のイベントです。

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初日の20日は、河南堂珍元斎の「講談お絵かき『ファーブルふん虫記』です。

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まずは、ふんを食べるために悪戦苦闘するふん虫「スカラ兵衛」のお話を聞いて、想像して絵をかいてもらいました。

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見たことのないふん虫を自由な発想で描いたあとは、実際のふん虫の模型を観察してのお絵かき・・・。耳できいて頭で想像した絵とじっくり眼で観察したの絵、比較すると、まったく違ってたり、似ていたり、みんなそれぞれおもしろい作品が出来上がりました。

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国内現役最古カールツァイスのプラネタリウム

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軌道戦隊シゴセンジャー、声優の土屋亜有子さんと共演?

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さて、21日は鈴木武研究員の兵庫のタンポポやデンデンムシの紹介、解説と身近な自然の不思議をテーマにしたセミナー「身近なタンポポとデンデンムシ」です。

 

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「うわー、かわいい・・・」「きもちわるー」子供たちは興味深々です。はじめは引き気味だった子も、だんだん触れるようになり、実際にカタツムリをさわってみての観察体験に歓声をあげていました。

 

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そして、22日最終日は大谷剛研究員です。

テーマは「虫の音楽家『コオロギとキリギリス』」。キリギリスやコオロギなどの鳴く虫の聞き分け方を学習。

 

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 さあ、何種類聞き分けれるようになったかな?鳴く虫の声の聞き分けができると夏の夜の散歩の風景がかわります。

 

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この夏(6月6日〜8月31日)、ひとはくでは、初夏の鳴く虫展「ぎっちょん君参上!」を開催します。みなさんも鳴く虫の聞き分けにチャレンジしてみてください!乞うご期待!

川東丈純

 

2月〜3月に実施した福崎町の柳田國男松岡家顕彰会記念館との連携企画展 「ウシさん大集合 〜牛・ウミウシ・カタツムリ〜」にあわせ,3月15日(日)に県立美術館と合同で柳田記念館にいってきました。
 なんと今回は、最近、見つかったカーネルサンダース人形で話題 の『探偵!ナイトスクープ』チーフプロデューサーの松本修さんとの共演!

まずは、柳田國男の著書『蝸牛考』を講談にした河南堂珍元斎の「柳田國男でんでんむしのめでたい話』。

 

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でんでんむしの田助が、柳田さんの影響で各地を旅し、自分の名前さがしをするお話。ぶんがく茶釜による寸劇ありで、このネタはもう3回目の公演なので、洗練?されて、大変盛り上がりました。

 

 

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かたつむり男熱演中!

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 でんでんむし神楽が大道芸も披露しました。

 

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続いては、珍元斎との迷コンビ鈴木武研究員のカタツムリ解説。

カタツムリキャップ姿も板についてきました。午前中は記念館周辺のカタツムリ調査をやったので、その結果とカタツムリの種類のお話。みなさんハリママイマイとウスカワマイマイの違い、わかったでしょうか?

ハリママイマイは播磨地方を中心に暮らし殻の成長線がくっきりしてます。ウスカワマイマイは丸くて殻がうすいです。みなさんも家の周辺を探して見てくださいね。

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そしていよいよ真打登場です。

視聴者からの依頼にもとづいて、「この世のあらゆる謎や疑問を徹底的に究明する」ことをモットーとする朝日放送の『探偵!ナイトスクープ』。そのプロデューサーの松本修さんによる講演「アホ・バカ方言が描く美しい円」です。

 

 

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「東京では『バカ』、大阪では『アホ』といいますが、その間にある境界線を調べてください」という視聴者からの依頼に答えるべく,番組で調査を進め分布地図にしてみると、なんと柳田さんがカタツムリで考えた方言周圏論と同じく京都を中心にした美しい円があらわれた!というもので,今回のカーネルおじさん発見の話もまじえた楽しいお話に大盛況のイベントでした。

 

兵庫が生んだ偉人柳田國男とカタツムリ、そして「アホ」と「バカ」・・・まさに人と自然。文学、民俗学、自然科学そしてマスメディアなどなどが融合した文化のかおりいっぱいの1日となりました。

 

川東丈純

 

観葉植物で観虫

2009年4月14日
 先日,館内に置いてある観葉植物(カポック?)に虫がわいている事を教えてもらった.虫といってもカイガラムシのたぐいなので飛んで人を驚かせたりするわけではない.葉の表面が所々黒っぽくなってネトネトしているだけだ.
 よく見ると葉の表面に2ミリほどのカサブタ状のものが着いていてこれがボスキャラ(?).周りに小さなゴミか脱皮殻みたいなザコキャラ(?)の残骸を確認.たしかに「湧いている」.
 顕微鏡で見るとボスキャラはほとんどロウ物質を出しておらず,体がむき出しで虫らしい姿をしている.めくって裏側を見ようとすると,0.3mmほどの小さな虫が数匹出てきて,チョコマカ動き出した.ボスキャラの下にザコキャラがひそんでいたようだ表示
 ボスキャラにも脚があり,多少は動けそうだが,やはり固着して吸汁,繁殖するのがお役目の,これは成虫ようだ.ザコキャラには立派な複眼と強健な脚があり,歩くのは得意そうだ.つぶらな瞳がかわいい.姿は異なるがたぶん幼虫(不完全変態なので若虫)だろう.幼虫のうちは移動性があって,良い場所に到達し次第に定着して成長していくのだろう.要するに母虫の下でその子供たちが分散の時期をうかがっていたらしい.平和な家庭を,けなげな命の営みを破壊してしまったぞ(哀)表示
 「観葉植物」は葉を見せてナンボなので,葉の表面がネトネトはまずいかもしれない.でもちょっとくらいなら何かが湧いているのも鑑賞の幅ではないかと思う.観葉植物の虫を肉眼で見るのは難しいが,食痕や汚れから虫の存在を感じるのは可能だろう.「観虫植物」は無理でも「感虫植物」はありではないかと思った.

急に気温が上がったので,たくさんの花が咲いてきましたね.
ピンクや黄色の鮮やかな花の傍らで,渋い黒紫の花を見つけました.
これは「ゴヨウアケビ」の花.
大きい花が雌花で,葡萄の房のように見える小さい花が雄花です.
ゴヨウアケビは「五葉アケビ」の意ですが,3つに分かれる葉や5つに分かれる葉などさまざま.
それは葉が3枚に分かれる「ミツバアケビ」と5枚に分かれる「アケビ」の雑種だからです.
良く見ると葉の縁がぎざぎざだったりつるんとしていたりと,これも「ミツバアケビ」と「アケビ」の特徴が混ざっています.
博物館のある深田公園にはアケビやミツバアケビが(もしかしたらゴヨウアケビも!?)生えています.探してみてくださいね.

【探すヒント】
・つる植物なので,他の植物にからまっています.
・ミツバアケビの花はゴヨウアケビに良く似た色ですが,アケビの花はもっと白っぽい色です.

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(自然・環境評価研究部 布施静香)

春を代表する花を紹介します。
今回は、特に目立たないけれど身近に生えている可憐な花を紹介します。

ひとつめはキュウリグサです。この花はムラサキ科の植物で、葉を揉んで匂いをかぐとキュウリの匂いがするというので、この名前がつきました。花が好きな方はご存じかと思いますが、ワスレナグサの仲間です。花序はサソリの尾のように巻いているのが特徴です。

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ふたつめはノヂシャです。この植物はヨーロッパからやって来たオミナエシ科の帰化植物です。花をよく見ると、秋に咲く黄色いオミナエシによく似ています。葉をサラダにするそうですが、残念ながら食べたことはありません。

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キュウリグサ、ノヂシャともに3枚目の写真の白線は1mmを示しています。どちらも花は小さく目立ちませんが、よく見るとかわいらしい姿をしています。

そろそろお花見の時期も終わりに近づいています。この週末に最後の花見を楽しみながら、これらの小さな花たちに目を向けてみてはいかがでしょうか。

山本伸子(自然・環境評価研究部)

岩槻邦男のコラム

2009年4月10日

 2009年度は月に2回くらいのペースでコラムを担当したいと思います。館を代表する考えを述べる場ではなくて、日頃抱えている個人としての思いを、その時々に思いつくままに発信しようというものです。

 4月は新しい年度の始まりです。形式的なことは好きではありませんが、そうはいいながら、句読点を気にするように、節目節目には、自分の行動を振り返ってみ、やってくるべき日々に向けて、どのように取り組んだらいいのかを考えます。

 4月1日には、人事異動にともなって新しく赴任してくる人たちがありますし、ひとはく固有のやり方で執行している事業部の組織も一部修正して再編します。辞令の伝達や交付は、組織として年度はじめを具体的に意識する行事です。

 事務部の新人(ずいぶん年配の人も含めてですが)には、ここはお役所ではないと思ってください、といい、研究部の新人には、ここは研究所ではないと思ってください、といいました。さらに、自分のイメージに描いている博物館活動に参加するという意識も一度払拭してくださいといいました。多分、ひとはくに居着いている人たちは、平均的日本人が考える博物館人とはずいぶん違った行動様式を身につけていることでしょう。ここで活動を続けているうちに、ひとはく固有の活動をする人になってしまっているのです。とは言っても、ひとはくの人たちが変人、奇人になってしまったというわけではありません。私の理解では、もっとも望ましい博物館活動とは何かを、真剣に求める人たちの集団がここにあるということです。それが世間の常識を超えてしまっているのです。

 2001年にひとはくが新展開を始めた時、「自然界との共生関係を明らかにし、人と自然のあり方を探り、人と自然の共生系の構築を目指す学問」としての共生博物学に立脚し、「新世紀の環境優先社会の構築を支える人と自然の博物館」に向けた行動を求めると宣言されました。その目的の達成のために、生涯学習の支援と自然・環境シンクタンク機能の充実を2本柱とした活動の展開が謳われています。8年前に、時代を先取りした理解で行動に取り組んだということです。

 2000年度中に構想が立てられた新展開は、2001年度を準備期間とし、2年間の第1ステージから、開館10周年に当たる2002年度からの5年間を第2ステージと定めて具体的な行動に入りました。さらに、新展開の5年を終えてから、それを継続発展させる2年も過ごしました。もちろん、その間、出る人、入ってくる人が相当の数に達したことはいうまでもありません。私自身も2003年から、途中参加をした者の1人です。

 兵庫県は今未曾有の財政危機に陥っています。他の地方公共団体と違って、最大の原因は14年前の大震災の負荷によると聞いています。聖域なしに、人員削減や経費減が求められており、ひとはくももちろんその例外ではありません。しかし、もともと構成人員だけではできないほどの大きな夢を描いている組織です。目前の課題として兵庫県民のための生涯学習支援とシンクタンク機能の高度化を図り、それらを通じて日本の博物館活動の充実に貢献しようという強い意欲が、厳しい環境のうちにあってなお確実な成果を挙げつつありますし、そのことを内外の人々から認めていただいていると自負しています。環境優先社会の構築が不可欠とされる21世紀もすでに9年目にさしかかっています。ひとはくの歩みがそれにふさわしい展開となっているのか、新年度のはじめにあたって、あらためて考えるところです。自己評価のための全館員対象の月例報告会も、定例の30分から、4月だけは1時間の特番になりました。08年の業績を振り返り、09年度にさらなる飛躍を期します。

 

                                岩槻邦男(人と自然の博物館 館長)

4月29日におこなわれるセミナーの下見に行ってきました。今年初めての野外調査でした。

まず小林さんに栗柄で、くりから谷中分水界の説明をしていただいたあと、西ヶ岳にむかって出発しました。

初めは緩やかな坂道でしたが、途中から急に岩がごろごろした道になり、鎖場などもありました(写真左)。私はこの登りでへとへとになってしまいました。

尾根に出ると、その後は緩やかな上り下りがあり、西ヶ岳山頂(標高727 m)に着きました。ここで地質の話をしていただきました(写真右)。

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西ヶ岳を過ぎると下りが続き、出発地点まで戻ってきました。

 

今回は、スミレの仲間、ムラサキケマン、チャルメルソウ、ミヤマカタバミ(写真左)、バイカオウレン(写真中)、クロモジ、ヤブツバキ、キブシ(写真右)などが見られました。シャクナゲは花芽がずいぶん膨らんでいました。miyama.JPG   baika.JPG   kibushi.JPG

セミナー当日はどんな植物が観察できるでしょうか。

 

かなり急な登りがあります。参加される皆さんはしっかり「足慣らし」をしておいてください。

申し込み締め切りは4月10日(金)です。

 

山本伸子(自然・環境評価研究部)

六甲山のキノコ展 〜ミニ展示ガイド 【vol.6】〜
 〜スッポンタケ編〜
 

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写真:土屋規麻太さん撮影

連載6回目となる今回は、前回のサンコタケに引き続き、くさいキノコの代表選手「スッポンタケ」を紹介したいと思います。
卵の殻のようなものを突き破り、にょきっと直立するキノコを見つけた男子生徒たちは、六甲山中にて下ネタ祭りになってしまいました。高校生の男子なんで、まあ仕方ないかな、と思っていたところ、きのこ研究会の山上さんから、このキノコの発見者も同レベルとのご指摘がありました(ちなみにかの南方熊楠もしかりです)。学名の意味が・・・です。
このスッポンタケの学名、Phallus impudicusなんですが、Phallusは「・・・」で、 impudicusは「恥しらずな」ということだそうです。博物館の公式ブログでは、これ以上は書けないので、詳しくはご自身でどうぞお調べください。
それはさておき、奇妙な姿なんで、森のなかで出会うと、なかなかのインパクトです。

では、兵庫きのこ研究会の奥田さんに、スッポンタケについて聞いてみました。

スッポンの首のような格好をしたキノコ。頂上の部分はグレバと呼ばれる胞子を作る器官で、独特の匂いを放つことでハエなどの昆虫をおびき寄せて胞子を運ばせていると言われています。グレバ以外の部分は輪切りにして中華風のスープなどに入れて楽しむことが出来ます。淡白な味わいですが食感がシャクシャクしていて珍味です。幼菌は卵型で、切ると未成熟のスッポンタケがゼリー状の物質に包まれているのが見えます。珍菌ですが、普通に観察され、見つけたときは、その奇妙な姿に嬉しくなります。 (兵庫キノコ研究会 奥田さんより)

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写真:山上公人さん撮影 (右:幼菌が割れて本体が出てくるところ、左:幼菌の断面)

このキノコ、実は食べられるとのことです。標本を作成していても、サンコタケほどではありませんが、臭いが生ゴミ風でキツイので、とても食べれるとは思えないのですが・・・。幼菌を半分にしてみると、中にはゼリー状の物質が詰まっていて、はっきり言って気色悪いですが、とてつもなく薬効がありそうな雰囲気です。きっと、昔の貴族な皆さんは、精力剤とか言って食べまくってたんでしょうね。
このスッポンタケの幼菌なんですが、標本作成したところ、なかのゼリー状の物質は全然変化しません。凍結乾燥・真空引きしても、80度に加熱しても、ブニョブニョしたままで、全然カラっと乾燥してくれません(カゴタケ以外はちゃんと乾燥します)。きっと強力な保水成分が混じっているに違いありません。この成分を抽出して研究すれば、優れた保湿成分をもった化粧品ができるかも知れません。ですが、あの匂いを想像すると、スッポンタケ抽出液を顔に塗るなんて、・・・微妙ですね。なぜか得体の知れない薬効があるのではないか、と期待させてくれるキノコです(一同納得)。

DSC_0071.jpg   suppon_spec.JPG

さて、標本の作製ですが、こちらも難易度★★★★★です。とっても作るのがやっかいです。リアルに再現できません。
幼菌を野外の状態のように、張りをもったまま標本にすることは、未だにできておりません。どうしても表面に皺ができてしまいます。卵型の幼菌となるキノコのリアルな標本作成は、今年の課題です。どういう技法で責めるか、思案中です。穴をあけて凍結&減圧してもダメだったので、きっと常圧で含浸処理か、冷凍庫シリカゲル貯蔵(3か月放置)、とっとと中身を抜いて紙粘土詰めしかないかな、という感じです。
右側の写真がスッポンタケの成菌です。こちらは上手くできているのですが、以前にも紹介したとおり、腹菌類はいくらプラスティネーション処理しても、外気に触れていると、白い本体部分がどんどん黄変化してしまいます。ですから、ちょっと大きいのですが、樹脂封入標本にするのがお勧めです。せっかく作ったので、グレバ(先の黒いとこ)の部分にポッド用シリコンを使って、ぬめぬめ感を出したいと思っています(ある日突然展示物されると思いますよ〜)。

次回は、シイタケを紹介したいと思います。ちょっと連載速度が年度はじめで遅延しているとの読者の声がありますので、頑張ってたくさんの種類を紹介したいと思います。

もっと兵庫のキノコを知りたいひとは、「兵庫キノコ研究会」の美しいホームページをご覧ください!
http://www.hyogo-kinoko.jp/

御影高校の活動をご覧になりたい方は、以下のページから、SPP支援講座のページをご覧ください。
http://www.hyogo-c.ed.jp/~mikage-hs/
「御影高校のSPP支援講座」
http://www.hyogo-c.ed.jp/~mikage-hs/spp/index.htm 

■ぜひ博物館へお越しください!
「六甲山のキノコ展〜リアルな森の妖精たち〜」は、2009年5月31日まで開催
場所: 兵庫県立人と自然の博物館 4階ひとはくサロン

【注意】
キノコの鑑定には十分な注意が必要です。初心者が、ホームページや図鑑を見て、食用できるかどうかを判断することは、大変危険です。食用と判断できない時は確実に鑑定できる専門家に尋ねてください。素人判断で食用することで、毎年のように死亡事故が発生していますので、不用意に食べることはお控ください。

(みつはし ひろむね)


まだしばらく寒そうですけれど、もう春ですよ〜^^ 幼児、低学年のみなさん、お願いです!! キリギリスの赤ちゃんを育ててください。 「キリギリスの赤ちゃんを育てよう」というセミナーを募集していますが、現在の申込者4名です ^_^ ; じつは、6月6日から8月31日まで、企画展「初夏の鳴く虫と巡回展ーぎっちょん君、参上!」が開催されます。(「ぎっちょん君」は、企画展のキャラクターで、キリギリスのなかまです。「ひとはく手帖」では、まだ卵ですが、これから大きくなります。) このセミナーは、みなさんに、キリギリスやコオロギの赤ちゃんを育てていただき、かんさつ日記を展示していただこう!という試みです。ぜひぜひおいでください。 「キリギリスの赤ちゃんを育てよう」は、こちらのページからお申し込みいただけます。第1回は4月19日(日)です。決して損はさせません。ぜひおこしください。 この日の午前中には深田公園で「かわいい春をみつけよう」が開催されます。こちらにも参加すると、ひとはくで一日遊べますよ〜 (↓)キリギリスの赤ちゃんです。かわいいですよ〜 飼うのも簡単です! ghitchon_nymph_5845.jpg 八木@自然環境評価研
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