ご利用案内

交通アクセス

利用案内(観覧料金)

団体でのご利用

ひとはくの展示

セミナー情報


ひとはく活用術

移動博物館車 ゆめはく

自然・環境科学研究所

恐竜化石

ひとはくKids

行政や企業の方へ「シンクタンク事業」

学校関係者の方へ「学校教育支援」


資料保存の最近のブログ記事

植物標本庫の使い方

2012年12月16日

植物標本庫に保管されている植物標本は、いろいろな形で活用されています。今回はその一つとして図鑑作りの例を紹介します。

先日、東京大学総合研究博物館の池田博さんと岡山理科大の山本伸子さんが来館され、小中学生向け植物図鑑をつくるために植物標本庫で作業されました。

池田さんと山本さんは元ひとはく研究員でもあり、わたしたちも図鑑作りを応援しました。その時のようすが、山本さんから届きましたので紹介します。

 

 

こんにちは、山本です。

東京大学総合研究博物館の池田先生とひとはくの標本を見に来ました。

現在、小中学生向けの植物図鑑を出すための植物画の修正をしています。

植物図鑑を絵で作るのはとても大変です。花や葉の形はもちろん、葉のつき方や枝の伸ばし方など間違いがあってはいけません。日頃、植物に慣れ親しんでいるつもりでも、本当にそうかどうか自信が持てない部分もあります。

  

hyohon1.jpg 収蔵庫内で植物標本を調べながら植物画をチェックする

 

 

 

 

 

そこで、標本と見比べて植物学的に間違いがないか確認します。そして間違っている箇所に赤を入れて、画家さんに返却し、修正してもらうのです。

ひとはくでは、北海道から沖縄まで日本全国の植物が広く収集されているため、植物図鑑に載るほとんどの植物標本があります。また標本を広げる場所も確保していただき、このような作業をするのにとても助かりました。

 

hyohon2.jpg hyohon5.jpg 植物標本を調べる黒崎先生(左)と高橋さん(右)

 

 

 

ひとはく館員の高橋さん、高野さん、布施さん、それに県立大学の黒崎さんにも時間の合間を縫って手伝っていただき、なんとか全種の確認を終わらせることができました。

ありがとうございました。(山本伸子)

 

 

どんな図鑑が出来上がるか楽しみですね。

 

                   自然・環境評価研究部 高橋 晃

kinoko2012_1.JPG毎年恒例の県立御影高等学校による「六甲山のきのこ展2012」を、3/13〜5/6まで開催いたします。当館および兵庫きのこ研究会との共同開催となります。

六甲山には、たくさんのキノコが生育していることをご存じでしょうか。今回の展示では、これまで4年間かけて御影高等学校が総合学習や環境科学部の活動の一貫として調査研究で得たキノコ標本を一堂にならべて展示します。この4年間にわたり調査した結果、四季を通じて採取した標本約340種500点余りを得ることが出来ました。これだけの種類のキノコが一堂に展示される機会は、国内でもほとんどありません。また、希少なキノコも一挙公開です。ぜひ、お越しくださればと思います。また、キノコの出現と気温、降水量との関係性を検討した研究結果のパネルや写真なども展示しています。
kinoko2012_3.JPGこのような感じで、とにかく標本をできるだけたくさん陳列して、生物多様性を肌で感じとっていただければと思っています。標本は、凍結乾燥によって処理したのちに、熱処理とウレタン系の樹脂によって含浸させることで組織を硬化させて展示用の標本として製作しています。

kinoko2012_5.JPG 一昨日の日曜日と月曜日に御影高校の生徒たちが頑張って標本を陳列し、きれいに仕上げてくれました。上の写真は日曜のはじめた頃の様子です。ほぼ2日間でのべ14名での対応で、手早く、的確に分担作業できています。博物館実習の単位をあげたいぐらいです。


     kinoko2012_4.jpg    kinoko2012_2.jpg

ごらんのとおり、学会発表風の展示ポスターもずらり。アカデミックな内容に関心のある方にも満足いただけると思います。これまでの活動を新聞記事から振り返って紹介しています。キノコのイラストも即興で部員のみなさんがスケッチしてくれました。


     
kinoko_poster_ol.jpg
展示の案内ポスターは上のとおりです。ちょっとサイケな感じで環境科学部の河野さんがデザインしてくれました。文字をいれるところをきっちりと事前に計算して空けておき、キノコのもつ妖しい雰囲気が描かれています。


      mikage_poster2012_hitohaku.png こちらは、さらに妖しいバージョンです。

キノコに関心のある方だけでなく、生物多様性と気候変動のこと、学校教育のこと、展示や博物館学に関心のある人もぜひお越しいただければと思います。
最後に、いつもこの展示会の開催にあたり、兵庫きのこ研究会のみなさんには、キノコの鑑定や現地調査をはじめ、多大なる協力やアドバイスをいただきありがとうございます。この場をかりてお礼させていただきます。

(みつはしひろむね)


 

aqatic_ins_card0.jpg

昨日、3月10日は「水生昆虫を顕微鏡で観察してみよう」のオープンセミナーを開催しました。
やることは、水生昆虫ブロマイドを自力でつくること。たくさんの封入標本を用意して、参加者に好みのものを選んでもらい、顕微鏡で観察。気に入れば顕微鏡に接続したデジカメで、「ぱしゃり」と撮影する。
撮影したものをそのまま小さなプリンターで出力して、ラミネートしてできあがり。顕微鏡下で撮影するだけでなく、水生昆虫(ベントス)とのシンクロ、一体化をはかり方には、封入標本が透明であることを活かした「封入標本プリクラ」も撮影してプレゼント。標本の後ろ側に顔をおいて撮影するだけ。
これで生き物への親近感が湧きます(きっと!)。

aqatic_card1.jpg


aqatic_card5.jpg aqatic_card3.jpg

こんな感じで子どもたちは大変喜んでくれているようです。以前には、顔いりのカードを持って、野外観察会に来てくれた人もいました(ありがとう〜!)。
来年も博物館のオープンセミナーでは、こうしたイベントを開催しておりますので、ぜひお越し下さい。

(みつはしひろむね)

shirosyakujyou_plaem.jpg

前のブログで紹介しておりました『シロシャクジョウ』の封入標本が完成しました。

上の写真はコンパウンドによる磨き上げが完了した状態です。
残すはケイ素ポリマーによる無機ガラスコーティング処理とフッ素コーティングだけです。ガラスコーティングの前に写真を撮らないと、反射がきつくてきれいに撮影できません。
これは、別の観点から説明すると、表面のかすかな傷をポリマーが穴埋めして、より透明性を確保すると同時に、鏡面効果により紫外線カットの役割を果たします。そのことで、樹脂や標本の劣化を抑えます。そのあと、フッ素樹脂によるコーティングを行います。これは、表面の摩擦係数を低下させて、ハンズオン展示の際の『すり傷』を減らす役割を果たします。

ときどき、各地の博物館でみかけるプラスティック封入標本ですが、このように細かな配慮がなされて展示されています。みなさん、ハンズオン展示といえども、丁重に取り扱ってくださいね。

この標本ですが、シロシャクジョウの発見者であり、採集の案内をしてくださった『丹波自然友の会』の皆さんとの共同で、12月のはじめに披露したいと思います。また、日程と場所が決まりましたら、ご報告いたします。

ここで宣伝です!
11月19日に当館にて『封入標本づくり』の実習講座があります。
http://www.nat-museum.sanda.hyogo.jp/education/11syousai/F08.html

10月30日までが締め切りですので、関心のある方は早めにお申し込みください。
小学校の授業で限られた時間でも完成させる迅速な製作法の紹介から、博物館の常設展に利用するレベルの本気テクニックも交えながらの実習となります。
毎年、まったくはじめての方から、展示会社のプロの方まで参加されていますので、どなたでもお申し込みして頂いて問題ありません。
当日は、製作した標本をお持ち帰りいただけます。

ちなみに、昨年はこんな面白いものをつくった方もおられました。
frognohone1.jpg
*壊れやすいカエルの骨格標本が手にとってじっくり観察できる


 
shell_iroiro.jpg
*ある海岸の貝類を一堂にあつめて一挙に見ることができる

半数ぐらいの方が、標本持参での参加です。気合いが感じられます。
ちゃんと封入用の標本も用意しておりますので、手ぶらでの参加も大丈夫です。
(過去には北斗の拳のラオウのフィギュアを封入してた人もいましたが・・・)

自然史博物館の役割は、素朴に自然とのふれあい体験をお手伝いするだけでなく、一手間をかけて(実は身近にあるのだけれど)非日常的な体験や理解を提供すること、できれば、標本だけでなく、その”技法”をお持ち帰りできるようにダウンサイジングすることにあります。
この『お持ち帰りできる技法』という部分がとても大切です。もっと言うと、『お持ち帰り』して、まわりの方に自慢していただく、自らが生物多様性の『語り部』になって頂くことです。そして、その方が地域での展示会や観察会に活用していただくことが、博物館の到達目標のひとつです。

こうした普及プロセスを促進するためにも、展示技法のイノベーションが重要となります。そのひとつが封入標本づくりの技法であり、現在も、「より手を抜いて作る方法」や、「よりきれいに作る方法」、「これまで封入できなかったものを封入する方法」、「傷が付きにくいコーティング方法」等の研究開発を続けています。これに加えて、効果的な講座の開催方法や、学校教育でのカリキュラム化や環境政策のなかでどのように組み入れるのか、といった活用の機会と場についてもあわせて社会実験や研究を行っています(例えば豊岡市のコウノトリに関する普及教育/ VIDEOHP )。

セミナーでは、こうした側面についても、多様な分野の知を集積し、実践的に再構築する体系としての「博物館学」を解説しますので、博物館活動に関心のある方も、ぜひご参加頂ければと思います。
(来年度から博物館学芸員養成課程のカリキュラムが大幅に変わりますので、博物館展示論を担当される実務経験ゼロの大学教員の方の参加もウエルカムです!)


(みつはしひろむね)

先日、新聞に掲載されました腐生植物の「シロシャクジョウ」ですが、封入標本の製作に挑戦しています。もちろん、花もついた完品状態の標本です。
布施さんからの依頼で製作することになりました。

シロシャクジョウの再発見で、研究員の布施さん、鈴木さんのテンションがとても高い。
それもそのはず、兵庫県RDBのAランクで、70年ぶりの発見ということです。
http://www.hitohaku.jp/blog/2011/08/post_1326/
こちらも標本づくりモードのテンションがちょっとあがります。

シロシャクジョウは、超希少種で、しかも栽培も難しいうえ、さく葉標本にすると変色&変形してしまいます。これを一般の方に、鑑賞に堪えうる状態で見て頂けるようにするためには、もはや封入標本しかありません。
無事に封入標本が完成すれば、おそらく「世界初!」でしょう、多分。
(すでに製作している方がいればお知らせ下さい!)
文字通り「世界で一つだけの花」状態です。

先日から、タイマーとピンセットと有機溶剤を両手に、封入標本の製作を開始。
時間とともに変化する樹脂の粘性を見計らって、液体を注入してゆきます。
これまでに製作してきたどの標本よりも、難易度が高い代物です。
今までに最も難題だったのはコウノトリの羽(羽毛)と、伊丹昆虫館さんからの依頼で作ったセアカゴケグモ。これらは失敗しても拾ってくれば済むのですが、シロシャクジョウは予備なしで失敗が許されません。こういう難易度の高いものは業者さんも引き受けてくれないので自力でやるしかありません。

なんとか無事成功!
本日、組織を透徹させることなく、立体構造を崩すことなく、破損せず、泡が入ることなく、封入することが出来ました。

R0013246.jpg

こんな感じで、今は100円ショップの容器のなかに入っています。これから研磨して仕上げます。
この標本を見ることができるのは、きっと「ひとはく」だけです。
近いうちに、ひとはくで展示したいと思います。乞うご期待。

ちなみに、昨年度に展示していた「キヨスミウツボ」も、きっと世界初でしょう。
こちらは、春に展示をご覧になられた方もおられるかと思います。植物愛好家の方々からも、生きているときと遜色ないとのご意見をいただきました。

R0013265.jpg

できるだけ実物に近いかたちで、【本物】を実感できる標本製作技術を開発することも、博物館の役割の一つです。 その一貫として、海産魚類のプラスティネーション標本も作成し、現在、ジオキャラバンで展示しています(10/23までは鳥取県岩美町の渚交流館で展示)。
トロ箱を展示ケースとして配置して、そこに魚や貝類のプラスティネーション標本とプラスティック製の氷(ニセ氷)をいれています。魚屋さん風の展示スタイルで仕上げてみました。

IMG_torobako_kawahagi.jpg  torobako_kairui.jpg

興味のある方は、移動展示として実施している「ひとはくジオキャラバン」にお越し下さい。

(みつはし ひろむね)

 

トライやる昆虫業務

2011年6月17日

先々週トライやら〜3名で行った博物館周辺での昆虫業務,昆虫採集→標本作成→同定登録の作業が,やっと大物の標本(といってもクビキリギス)も乾いたので,176件をデータベースに登録し,完了しました.

三日目に撮った3Dスナップを貼っときます.<3DSブラウザ長押しで3D>

期間中,テントウムシをよく見かけました.サツキにマルハナバチが来ていましたが,これは採れず.

r_h_0053.jpg

コメツキ(サビキコリ)

r_h_0078.jpg

出たてのクビキリギス

r_m_0013.jpg

ナミテントウ

r_m_0060.jpg

マルハナバチ

s_k_0012.jpg

手のりナミテントウ

s_k_0083.jpg

ヒメクロオトシブミ

昆虫共生 沢田

三田市内の方からの持込み珍虫です.


mnha3225.gif

 (↑これは2D)  

mnh_3216.jpg

 (↑3DS:タッチペン長押しで3D表示)  

mnh_3220.jpg  

 (↑3DS:タッチペン長押しで3D表示)  

ハゴロモ類の若虫らしく,ロウ物質で立派なトゲトゲを形成しています.
成虫になれば同定できるだろうと考え引き取ったのですが,羽化せずに死んでしまいました.
B1-650995

昆虫共生 沢田

 

 2002年に寄贈された『田村コレクション』(2002-0021)はほとんどカミキリで,その主要部分はコブヤハズカミキリの仲間です.各地を巡って自力採集された日本有数のコレクションです.また,標本がきれいに展足してある点も特筆に価します.全個体がビシッと丁寧仕上げの標本なのです.

 

576024.jpg

576024
フジコブヤハズカミキリ
長野県,Tobira Pass

 そのままで,こんな感じのゴツゴツ感満点の標本写真が撮れます.それぞれ数枚撮って深度合成したものです.標本の撮影と合成は匠の技(担当:清水さん,西村さん)で,これも丁寧に進めています.

 次の段階はデータベースの標本データと登録画像データを関連付けです.非常に単純な事ですが,現システムでは一括処理ができないのでストック中です.現状でも一件づつ手入力で関連付けることは可能といえば可能ですが,そんな丁寧仕上げはありえませんし.

 というわけで,セダカコブの勇姿をここにちょっとだけ公開.

 

579862.jpg

579862:セダカコブヤハズカミキリ:奈良県,Mt.Odaigahara

579123.jpg

579123:セダカコブヤハズカミキリ:鳥取県,Mt.Daisen


578965.jpg

578965:セダカコブヤハズカミキリ:徳島県,Mt.Tsurugi


580487.jpg

580487:セダカコブヤハズカミキリ:熊本県,Kikuchi-Suigen

 

580162.jpg

580162:セダカコブヤハズカミキリ:大阪府,Minoo


579366.jpg

579366:セダカコブヤハズカミキリ:島根県,Mt.Makuragisan


579668.jpg

579668:セダカコブヤハズカミキリ:香川県,Mt.Hoshigajo Shodoshima Is.

 やはり地域ごとに違いますねぇ.

 

walk-ys.gif 昆虫共生 沢田


 

ひとはく3階のトピックスコーナーでは現在「新着資料 横山章 葉脈標本コレクション」をご紹介しています。

 みなさんは葉脈標本を作ったことがありますか。葉をアルカリ溶液で10分くらい煮て、色が変わったら葉肉を歯ブラシでていねいに落として葉脈だけを残します。インクで染色するととてもきれいです。ヒイラギのように厚い葉はうまくいきますが、薄い葉は破れやすく難しいです。

 実はこの方法は短時間でできる簡易バージョンです。横山コレクションは本格的な葉脈標本です。そのちがいは「葉肉をとらない」こと。だから顕微鏡で観察すると葉脈だけでなく葉の表面の毛や気孔も観察できます。葉肉をとらなくても観察できるようにするために、アルカリ処理をおだやかに常温で長時間(4872時間くらい)行います。この方法で常緑樹の厚い葉だけでなく落葉樹の薄い葉まで、いろいろな種類の植物の葉脈標本が作られています。

 このていねいに作られた葉脈標本は何に使われるのでしょうか。横山さんは神戸層群の植物化石の調査を行っており、葉の化石の種類を調べていました。この時に役に立つのが葉脈標本です。葉脈の特徴を現在の植物と比較することで、化石の葉の種類を検討するのです。化石として見つかる葉の中にはすでに日本から消滅したものもあるため、横山コレクションにはアメリカやヨーロッパの植物も含まれています。

 今回の展示では、葉脈標本と共に神戸層群産植物化石を展示しますので、葉脈を見くらべてみませんか。それから葉脈標本の画像データをホームページの収蔵資料検索に順次追加する予定です。

明日2/26から検索できます! 

検索キーワードに「葉脈標本」と入力してご覧ください。

 

  半田久美子(自然・環境評価研究部)

 

     (アカガシの葉脈標本)

akagasi1.JPG    拡大すると→    akagasi2.JPG

 

 

  (レッドオークの葉脈標本)

red1.JPG  拡大すると→   red2.JPG

 

 

冬に挑むカマキリ

2011年2月22日

 日本産昆虫の目録(1989年モノ)は本編の厚さが5センチ以上あり,1000頁にわたってびっしり虫の名前が載っています.しかし,その中でカマキリはたった1頁だけです.しかも頁の上半には大きな「カマキリ目」の見出しがあり,下半には大きめの余白があって,実質半頁に2科6属9種が載っているだけです.カマキリは昆虫の中ではごくごく少数派.その割に存在感が大きい不思議な仲間です.

 カマキリは体じたいも大きく,親しみやすい虫ですし,種数も少ないとくれば調べ尽くされている感じがします.でも,まだまだ分かってないことがあります.ヒメカマキリサツマヒメカマキリの関係もその一つだそうです.

 先日,本当はカキリ屋さんの中峰空氏がヒメカキリ類の標本調査に来られました(で,この話題は受け売りです).収蔵品データベースにあたっても,実際に標本をさがしても,博物館所蔵のヒメカマキリ(類)の標本は9匹のみ.ほとんどが県内の昆虫相調査の成果品です.これらの標本をチェックし,ラベルのデータをメモって行かれました.採集月日から判断してサツマらしいのはいないとの話でした.

 九州にはヒメカマとサツマヒメの両方がいて(ということは地域変異とか代替種関係とかではない),交尾器が異なり,そのつもりで見ると他の形態でも区別できるとのこと.なにより両種で周年経過がちがう,特に越冬の仕方がポイントで,ヒメカマは卵で,サツマは幼虫だそうです.なるほどねぇ.だとすると「南のカマキリが北上して”冬”に遭遇」→「二派あり,それぞれに適応」→「別種として同所的に共存」みたいなストーリーが思い描けます.おもしろい話です.たしかにヒメカマの卵鞘はフカフカが少なくて凍えそうです.苦労してるんすねぇ.

 ところが,国内外の記録を探すと従来の同定を100%信頼できる状況ではなく,”冬”がない所にも両種ともいることになっており,分布もちゃんと調べないとはっきりしない状況.さらに昨今はヒトによる分布攪乱が進行している懸念も.げげっ,またしても多様性の破壊?!

 標本を見ていて,以前に撮った写真を思い出しました.この機会に発掘してプルプル化しました.これは沖縄本島で2月に撮ったものです.さぶさぶさぶ.

7228tr.jpg 7260tr.jpg

7240pp3d.gif 7241pp3d.gif 7250pp3d.gif

昆虫共生 沢田

極寒

2011年1月29日

 メンテナンス休館の間は暖房になっている部屋は限られているので,館内は日に日に寒くなっていく感じがします,建物自体が芯から冷えてるというか,熱容量ですねぇ.

 で,中ではこんな事をしています.

展示に出していた昆虫標本の収納作業

 展示特別企画[瀬戸内海vs日本海]で陳列していた標本を収蔵庫に戻しました.収蔵庫に持ち込む際には防黴防虫の処置を施す必要があり,収蔵庫の門前にあるディープフリーザに入れます.なんと-90℃.出した際に霜が降りる(梅雨時など[空気中にこんなに水が!]と驚くほど付きます)ので,フリーザーに入れる前にあらかじめ標本箱を厚いビニール袋にくるみます.で,数時間,普通は念のため一日入れて取り出します.常温に戻るのに1時間ほど.で,やっと袋を脱いで収蔵庫に御帰還です.昆虫標本の場合,標本箱単位で棚に戻せる場合もありますが,一点ごと[召集]された標本はそれぞれのふるさとへ[復員]です.

 

0013-r.jpg 展示すると照明や温度変化による劣化は避けられませんし.慎重に作業しても低い確率で破損は生じます.展示は[見せるだけで減るもんやなし]と思われがちですが,標本管理上,展示はリスクにさらす事であり,ある意味,減るもん,なのです.

これから出す展示物の調整も進行中

 [瀬戸内海vs日本海]で出していた3Dの機材を使いコンテンツを変更したり新作を追加したりして2月からミニ展示します.いちおうタイトルは[3D巨大甲虫出現!]
 モニタが二台に増殖し,しかも一台は縦置きにして虫をさらに大きくしようという計画です.


0014-r.jpg 0015-r.jpg

 横置きのほうは約70コマを12編のアニメに組み,それを6頁のHTMLを順繰りに表示して一周4分,縦置きのほうは22コマを3編,3頁で一周3分 … とチマチマ計算したり.朝夕のオンオフや継続中の節電モードの入り具合を試運転中です.
 ぎっしり甲虫だらけなのでせっかく作った縦横のロゴはボツです.なのでここに貼って宣伝用にします.乞御期待.

184il176.gif 184zx176.gif

ソレ用のモニタで見ないと意味のないロゴ

昆虫共生 沢田

 博物館の標本も参加(?)しているクワガタ図鑑がいよいよ出るようで,出版宣伝のポスター

とカレンダーが送られてきました.カレンダーは収蔵庫内の標本ダンスでカールとり中です.

0047vga.jpg

磁石のシートで貼り付けて伸ばしてます

 よく見ると[新種]の赤印がついた種が多数あり,人の名前が付いています.有名な”モーレン

カンプオウゴンオニクワガタ”とか”ダールマンツヤクワガタ”みたいな感じで,日本人の名前が付

いたクワガタが新登場しています.

 

0049mos.jpg

0048mos.jpg

クワガタの[新種]が続々登場

 いわゆる献名で,その種の発見などに貢献のあった方の名前が付いているわけです.活躍中

の方も多いですが,何十年も前に亡くなって,コレクション標本が各地の収蔵庫に保存されてい

る,という場合も少なくありません.

 

クワガタに自分の名前が付くなんてステキ♪

 

そう思う方は標本を集めて博物館に寄贈してください.何十年か後にマイ・クワガタとして名前

が付くかもしれません.ただし自分自身がクワガタの研究家になってしまうと,自分には献名し

にくいです.ご注意ください.

 あと,クワガタはかなり研究も採集もされているので,これから新種は出にくいかもしれませ

ん.図鑑じたいが出てないような(出ている図鑑には詳しく載ってないような)マイナーな虫がお

勧めです.名前が分からない虫,小さくて地味な虫こそチャンス大です. なに? そんな虫に

自分の名前つけてほしない,てか.

昆虫共生 沢田佳久

懐かし標本

2010年11月12日

 明日から大阪で甲虫学会の年次大会があります.それに合わせて青森のゾウムシ研究者,

佐藤さんが標本調査に寄られました.

 調査対象は[青森産のゾウムシ上科].ウチの収蔵庫に青森の標本があるかって? ある

んです.寄贈標本の[中村コレクション]には弘前大学に在学中の採集品がかなり含まれて

います.

1275_am.gif

収蔵庫内で調査中の佐藤氏

 その標本を半日がかりでチェック,青森のものを見つけて手持ちの情報に追加していく作業

です.

 中に以前佐藤さんが採集して中村さんに進呈された標本が含まれていました.ひさびさの

ご対面です.

 ラベルを見ただけで,採集時の情景,会話もよみがえるのでしょう.5種のうち4種がペアで,

個体数の多い1種は岩手県産 … 余談になるので早々に青森チェックに戻られましたが.

0251-am.gif

寄贈予定の標本もご持参くださいました

昆虫共生 沢田

標本みてナンボ

2010年10月21日
 9月14日に「標本帰着」として書いたオサムシの件,近々印刷物になりますとも書いて
いましたが,その雑誌が届きました;

井村有希,2010.日本産とされるミヤマカタビロオサムシの標本について,
月刊むし(477):26-29.

です.詳細はこれ ↑ をお読みください.

0012t.gif

 日本からも採集記録があるのにその後,採れていない謎のオサムシ.記録の元になった
標本も所在も不明でした.西宮市自然保護協会の方々が別の調査で来館された際,所蔵の
江田コレクションを見てもらったところ,その中の一つがまさにその個体だと指摘いただ
きました.で,井村氏に精査と公表ををお願いしていたのです.
 この『幻の日本産種』.たぶん,オサムシ研究者の間では「何かの間違いではないか」
「たぶん何かにまぎれて来たのでは」と考えられていたと思われます.でも,たとえば日
本産のオサムシのリストから除外する,という処置さえ困難です.しかし,今回公表され
たような,現物の標本はコレコレこうである,という事実が分かれば,自分はこう考える,
と判断できるのです.

 否定するにも肯定するにも標本みてナンボなのです.

昆虫共生 沢田

標本帰還

2010年9月14日
 専門家に精査をお願いしていたオサムシの標本が帰ってきました.そのスジ
では長年の問題だった事(の大部分)がこれで解決するようです.

 ご苦労様 > 標本

昆虫共生 沢田

 と,写真も出さず(写真なしのブログ記事て珍しいと思う)に思わせぶりに
書いていたら「どういうこと?」とのご質問.近々,印刷物なりますので,そ
の時にあらためて紹介します.

インパクトのある虫

2010年7月13日

 ヒラズゲンセイがその生息域を北へ広げているらしく,この十年ほどは近畿中部はその最前線です(こちらの頁参照).写真は当館に持ち込まれた今年某市で見つかった♂です(データは専門家に通報済).発見者から預かって展足して乾燥したのですが,翅が丸まってしまいました.それに色もちょっと悪くなってます.すみません.

gensei-m.jpg

 生きている時は真っ赤な姿に黒い強大なアゴを具え,存在感満点です(こちらのブログに生前の姿).時々見かける虫なら,そうでもないのでしょうが,初めて見たら[なんじゃこりゃ?]となります.相当なインパクトです.[クワガタに似ている]と思う人と[ぜんぜんちがう]と思う人とがいるようですが,これはクワガタ自体のイメージの違いなのでしょう.
 また,生態も変わっています.クマバチに寄生するようです.あと,有毒です.カンタリジン(通称[はんみょうの毒]と呼ばれるのはこれらしい)を持っています.これはアオカミキリモドキなどと同じ物質です.

 分布上は要注意で,顕著(他種との区別が容易)な種なので,絶滅危惧とは別の観点からレッドデータにリストされていたりします(兵庫県では[Cランク]). 見つけたら最寄の博物館,昆虫館などにお知らせください.

昆虫共生 沢田佳久

 26日,島根大の端山さんと神戸大の藤原さんが浜辺にいる陸生ガムシの標本
調査に来られました.
 ガムシというと,ゲンゴロウ並に存在感のある淡水性のガムシを思い浮かべ
ますが,小型で陸生のものも多く,一分には海浜性のものもいるそうです.

1030-am.gif 1030-il.gif
(プルプル3D版と偏光板方式PC版)

 当館収蔵ガムシの標本箱は三箱.見ていただいたところ,対象種(三種いる
らしい)が何個体か含まれているようです.多くは故高橋寿郎先生の収集品で,
ラベルに書かれた採集地名が山陽電車の古い駅名だったりします.その場で同
定しつつ,採集データをPCに入力して居られました.

昆虫共生 沢田佳久

トライやる収集虫

2010年6月18日
先週のトライやるウィークで採集した昆虫標本を,収蔵資料データベースへ
の登録が完了しました.

虫を採集して台紙に貼りつけたり針をさしたり,データラベルを付けたり,
こうった作業は八尾さんのレポート↓にもあるとおりです.あのあと,図鑑
を見ながらわかる範囲で同定し(分からないものは「目」までなどラフな同
定),表計算ソフトに打ち込むところまではトライやる中に皆で済ませてい
ました.
で,昨日,乾燥待ちだった標本の処理をし,データベースへの一括登録を行
って作業完了となりました.

トライやるの作業として毎年,深田公園で採集しています.記録上特筆すべ
き標本や,展示に適した美麗種が採れるわけではありません.いわば初心者
のトライやらーが採る標本として,むしろ普通種を標本にして保存するとこ
ろに意義があります.標本作りも技術的に上手くはありませんし,成果品も
万全の同定がなされているわけではありません.たぶん誤同定も含まれてい
るでしょう.しかし標本は残ります.何十年か後に,今年と同じ種が,同じ
ように居るかどうか? それを検証するための証拠品として未来に贈ること
に意義があるのです.今,レッドデータの危ないランクに位置づけられてい
る種も,何十年か前には普通に居たのです.「今の普通種をちゃんと残す」
が大切です(おぉ久々に熱弁!).

toroku.jpg

今回はトライやるの成果品として185件のほかに,出勤?途中の電車で拾っ
たチビクワガタ(誰かに踏まれてたけど)というのがあり,これは「館員収
集(雑)」分の一件として単品で登録しました(物々しい登録画面↑(Java)).

昆虫共生 沢田佳久

先日,むし社のクワガタ図鑑編集者の方々が来館されました.証拠標本の調査です.


0914_anm.gif
博物館の収蔵庫には過去の研究の拠り所となった標本(タイプ標本やその他の証拠標本)が多数保存されています.私たちが普段使っている図鑑などの記述も,元をたどれば誰かの研究や,その研究の根拠となる標本に基づいています.
収蔵庫に保管されている標本は,展示などの形では活躍していませんが,多くの出版物や二次的な情報の基礎を支えている点で,役に立っているのです.図鑑で名前を調べたとき,その種類は誰が,いつごろ名前を付け,そのとき見た標本がどこに保存されているか想像してみてください.学名あとに書いてある命名者(書いてない図鑑もあります)の名前がヒントになります.

日本のミヤマクワガタだと;
Lucanus maculifemoratus Motschulsky
と出ています.さいごの"Motschulsky"さんという人が名前をつけたらしいぞ,と分かります.どこの国の人で,いつ頃? その標本は今どこに?

クワガタ図鑑調査の成果については図鑑の出版をお楽しみに.

昆虫共生 沢田佳久



Copyright © 1995-2014, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, All Right Reserved.