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2010年2月アーカイブ

今回まで、6回にわたってインドネシア、スマトラ島のパダンのようすやジャワ島のパンガンダランのようすを聞いていただきました。調査のおおよその内容は、3年前のものですが:

http://www.jstage.jst.go.jp/article/primate/23/0/23_51/_article/-char/ja/

に載っています。この連載でお伝えした日本語論文は、昨年、日本霊長類学会の論文誌『霊長類研究 Primate Research』に書かせていただきましたが、まだインターネットにはなっていないようです。

 また、昔、1997-98年のエル・ニーニョの年にパンガンダラン自然保護区で採集してあった植物は、人と自然の博物館の研究紀要『人と自然 Humans and Nature』に載せていただきました。インドネシアでも役に立つリストですので、インドネシア人の学生にも読んでもらうために、日本語ではなく英語で書いたのです:

http://www.hitohaku.jp/research_collections/no20pdf/No20_11.pdf


 インドネシアの調査はこれからも続けていきますが、この連載(れんさい)は、今回でいったん終わりにさせていただきます。また研究がまとまったり、言いたいことが出てきましたら、このブログで報告しようと思います。連載(れんさい)の最後になる今回は、自分の研究のことではなく、パンガンダランでお会いした漁師(りょうし)のことをお話します。自分が調査をした土地に住む人びとには愛着が生まれますし、日常の生活から森をはぐくんできた人びとでもあるからです。

 今では砂州(さす)でジャワ島本土とつながったパンガンダランですが、砂州ができたのは、百年ほど昔のことでした。それまでは小さな島だったのです。小さな漁村があるだけのところだったと思います。ところが、パンガンダランに砂州(さす)ができて、島にラフレシア・パトマ(Rafflesia patma)という珍しい植物(ラフレシアの一種)がはえていると確認されると、自然公園になり、観光地として発展していきました。砂州(さす)があると砂がたまるので、海水浴場ができるのです。


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(写真:メスのシルバールトン。姉妹だと思います。このサルが何を食べるのかを、おもに観察していました。)   

 

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(写真:林床(りんしょう)で座っている若いカニクイザル。オスだと思います。)

 
  シルバールトンやカニクイザル、それにサルではありませんが、ヒヨケザルと呼ばれる動物など、調査をしたい研究者がうわさを聞いて集まるようになりました。京都大学の渡邊邦夫(わたなべ・くにお)さんは、もう30年以上前から、インドネシアの研究者と協力してパンガンダランのデータを集めています。その数多くの調査の中から、わたしは、パンガンダランで押し合いへし合い混み合って暮(く)らすシルバールトン――ここのように多くのシルバールトンが、ひとところで暮(く)らす例は、ほかにありません――が何を食べるのかを観察しているのです。ルトンは木の若葉が大好きですから、パンガンダランには、どんな木がはえているのだろうということが気になって、それでインドネシアの研究者といっしょに植物リストをまとめてみました。それが、上でご紹介した英文のリストです。

 もともと漁師の村があったのですから、パンガンダランに自然公園ができてからも、漁師には、いろいろな例外が認められています。自然公園の中を自由に行き来できることもそのひとつです。自然公園というものは保護地域ですから、ふつうは自由に行き来することが禁じられているのです。森の中には、人びとの伝承を伝える<王家のお墓>もありました。

 昔からくふうしたらしく、さかなを捕(と)る技法にはいろいろなものがあります。大物をねらう磯の竿づり、沖のやぐらで灯(あか)りをともして太刀魚(タチウオ)をねらう夜釣り、いろいろな底魚をとる地引き網(じびき・あみ)やアミという小型のエビを、舟で網を引いてとる方法などがあります。人気のある車エビの仲間は網でとるのだと思います。高価なイセエビの仲間は、道具を使うというよりも、もぐって手でつかむのではないでしょうか。


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(写真:岸近くに泊めてあるボート。舟の左右に見えているのがアウトリガー。船外機を取り付けられるように、舟のおしりは平たくなっています。右手の遠くに見えるのが、太刀魚(タチウオ)つりのやぐらです。)

 パンガンダランには、小さな魚市場(うお・いちば)があります。パンガンダランではいつもせわになっている民宿ラウト・ビル(=海・青い)のすぐそばです。魚市場(うお・いちば)には、朝早くから、その日にとれたさかなが並びます。その前の晩(ばん)に漁師(りょうし)がとってきたさかなです。イセエビの仲間も魚市場(うお・いちば)で売られていますが、車エビは市場ではなく、パンガンダランにずらっと並んだ魚介レストランに、直接おろされます。漁師(りょうし)が魚介類(ぎょかい・るい)の仲買人(なかがい・にん)や魚介レストランもかねているのでしょう。そうして並んだ車エビやさかなを、観光客がめずらしがって買っていき、またその場で食べるのです。

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(写真:魚市場に並んださかな。) 


 アミは、インドネシアの「えびせん」、<クルプッ・ウダン>(=揚げせんべい・エビ)になります。ですから、獲物(えもの)がわたしたちの目に触れる事はなく、アミはすぐに、近くの加工場に運ばれてしまいます。

 いちばん高く売れるのが、磯で竿づりをしたクエでしょう。2メートルもあるものが運ばれていくのを見たことがあります。しかし、磯の竿づりは体力がないととてもできませんし、つれるかどうかが運しだいです。それに較べて網漁(あみりょう)では、あまり運は関係ないようです。見ていると、アミの網漁(あみりょう)には、毎日決まって出漁しているようでした。


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(写真:舟をタテに並べて、アミ用の網を引きます。)


 女性は、男性に混じって網も引きますが、それよりも、手間のかかる、後のさかなの処理(しょり)が大変そうです。小魚や小エビはすだれに並べて干します。干し上がったさかなで、かたちのよいものはおみやげにして売っています。かたちが悪くても、味に差はないのですから、きっと家(うち)で食べるのでしょう。

 


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(写真:漁師さんやその奥さんが、網をあげてくつろいでいます。)

                                                 

   mitani2-6.jpgのサムネール画像

 (写真:熱帯魚のようなかたちをしたさかなを干していました。アジの仲間でしょうか?)


 海岸一面に打ち上げられた貝ガラも、かたちのよいものは観光客に売れます。男が寝ている間に――夜中は海に出ているのですから、眠っておかないといけません――奥さんたちが貝拾いをしているところには、よく出会いました。


 

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(写真:おみやげにする貝をひろっているところです。)


 漁師は、何となく、無口(むくち)な印象があります。でも、それはわたしの思い込みにすぎませんでした。話をしてみると、何とも気持ちのよい人たちでした。パンガンダランにはこのように漁師がいます。漁師とは別に、近くの農民がパンガンダランに出てきて、人力自転車(じんりき・じてんしゃ)の<ベチャ>を漕(こ)いでいることがあります。安く人を乗せたり、荷物を運んだりしてくれます。あといるのは役人とホテルを経営している華僑(=中国系のインドネシア人)です。華僑は、もちろんインドネシア語もしゃべりますが、自分たちどおしでは中国語をしゃべっています。お金持ちが多い華僑は、パンガンダランではなく、大都会のジャカルタに住んでいることが多いのです。ですから、本当に土地の人ということになると、漁師と農民、それにお役人ということになります。

 パンガンダランは行政区でいえば西ジャワ州になりますが、中部ジャワ州とは目と鼻の先です。このあたりはスンダ民族が多く住む、スンダ語が通じる社会です。スンダ語は、いわゆるジャワ語とは異なります。社会もスンダ民族に固有のものなのでしょう。その中にあるパンガンダランですが、観光地であるだけに、スンダ社会とは少し違うようです。

 最後です。パンガンダランで見た「カニクイザルのカニ探し」のことを書いて、終わりにします。

 パンガンダランの砂浜には、何種類かのカニが住んでいます。よく見かけるのは小さな、米粒(こめつぶ)のようなシオマネキです。でもシオマネキは小さすぎて、食べてもおいしくなさそうです。やや大きな種類のカニは、砂浜に横穴(よこあな)を掘って住んでいます。この大きな方のカニを、カニクイザルが食べていました。

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(写真:若いカニクイザルが腕(うで)を地面(じめん)に突っこんで、 何かを探しています。)


 ある日、群れから離れて、若いオスザルが何かを探しているところに出くわしました。オスザルは熱心に砂浜を掘っているようすです。何をしているのかわかりませんでしたが、写真を撮(と)っておきました。オスザルは何かを食べているようです。オスザルの去った後、そのあたりに行ってみると、カニの穴(あな)が掘り返され、カニの甲羅(こうら)が食べ残されていました。


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(写真 サルが去ってから近くに寄ってみると、カニの甲羅(こうら)や 足が散っていました。)


 パンガンダランでは、人もカニクイザルも、同じようなエモノをとらえて、毎日のかてにしているようです。(おわり)


三谷 雅純(みたに まさずみ)
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所/ 兵庫県立人と自然の博物館


※このブログで掲載されている文章・写真の無断転用・転載はご遠慮ください。

今回は、樹木の冬越しについてみてみましょう。樹木は環境が悪くなる(気温が低くなったり、雨が少なく乾燥したり)と葉を落として休眠します。このときにつける芽を冬芽と呼びます。冬芽には葉だけが出てくる葉芽(はめ)、花が咲く花芽(はなめ)、両方が混じっている混芽(こんが:アオキなど)の3種類があります。また、芽が小さな鱗片(りんぺん)におおわれている鱗芽(りんが)、鱗片がなく裸になっている裸芽(らが)などがあり、この組み合わせで芽のグループ分けができます。裸芽を持つ樹木は熱帯など、暖かいところが起源のものが多く、サンショウ、アジサイ、クサギ、センダン、ムラサキシキブなどが代表的です。鱗芽を持つ樹木が圧倒的に多く、深田公園では9割以上がこのタイプです。

 

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(写真:いろいろな冬芽。

左上からトチノキ(鱗芽)、アジサイ(裸芽)、2列目上からキンモクセイの縦生副芽、ニセアカシアの葉痕からのぞいている鱗芽、3列目上からカンツバキの花芽、カンツバキの葉芽、4列目上からアオキの葉芽、花芽。)

 

少し変わった冬芽では、葉の中に隠れているタイプです。葉がソケット状に新芽のまわりについていて、葉が落ちると冬芽が現れるもので、ニセアカシアやスズカケノキがあります。また芽が縦に並んでつく縦生副芽(じゅうせいふくが)というものがあります。キンモクセイの腋芽(わきめ)は、たてに2−3個並んでついているものがあります。これが縦生複芽で、一つの芽が何らかの原因で大きくなれなかった時の保険をかけているようなものです。

 

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(写真:ロウバイの花の分解図。

    芽鱗から花弁へと、連続的に変化している。)

 

さて、この冬芽を保護している芽鱗(がりん:冬芽を包んでいる、鱗状のもの)は何からできているのでしょうか。少し大きい冬芽をつけるツバキの花芽やタラノキの葉芽を外側からていねいにはがしていくと、いつのまにか花弁や葉へと変化していきます。そうです、芽鱗は葉が変化してできたものなのです。

 

 

 

 

藤井俊夫(自然・環境再生研究部)

バッサバッサと大きな羽音を立てて飛んでいくサイチョウは、アジア・アフリカの熱帯林やサバンナに暮らす鳥です。わたしが調査を行ってきたタイの熱帯林には、大きな黄色いくちばしのオオサイチョウ(写真1、2)、立派な突起があるツノサイチョウ(写真3)、オレンジ色が美しいナナミゾサイチョウ(写真4)、ちょっと地味なキタカササギサイチョウ(写真5)など、13種のサイチョウが暮らしています。

 

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(写真1:カミキリムシの仲間を捕まえた若いオオサイチョウのオス。)

 

 

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(写真2:捕獲したオオサイチョウのくちばしを固定している筆者。)

 

 

 

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(写真3:子育て中の営巣木を訪れたツノサイチョウのオス。) 

 

 

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(写真4:調査用に捕獲されたナナミゾサイチョウのオス。) 

 

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(写真5:キタカササギサイチョウのオス。)

 

 

サイチョウは木の実や昆虫などの小動物を食べます。大きなくちばしを使って、木の実を一つずつ上手につまみ上げて、丸飲みします。1グラム程度の小さな果実なら、一度に200個以上を食べることもあります。主食は木の実ですが、時には小鳥の巣を襲い卵やヒナを食べたり、1メートルを超えるヘビを食べたりもします。

サイチョウは大木のうろを利用して子育てを行います。サイチョウのメスは産卵前に餌の受け渡しができるくらいの隙間を残して、うろの入口をふさぐ形で巣ごもり、ヒナを育てます(写真6)。これはサイチョウ以外の鳥類には見られないユニークな行動です。メスは自由に大空を舞う生活から、狭いうろの中で子育てに専念します。一方、つがいのオスはうろの中にいるメスと大食漢のヒナのために毎日せっせと餌を運びます。ずっとうろの中で過ごすメスと餌を運び続けるオス。サイチョウの子育てはなかなか大変です。

 

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(写真6:子育て中のキタカササギサイチョウの営巣木。入口の隙間から、うろ内にいるメスのくちばしの先端がのぞいている。)

 

メスが営巣を開始してから数ヶ月後、オオサイチョウやツノサイチョウなどの大型のサイチョウでは1羽、ビルマサイチョウやキタカササギサイチョウなどの小型のサイチョウでは2〜4羽のヒナが巣立ち、森へと飛び立っていきます。サイチョウたちが暮らしている熱帯林やサバンナを訪れるのは、なかなか簡単なことではありませんが、兵庫県では神戸花鳥園でオオサイチョウとツノサイチョウを見ることができます。

 

北村俊平(自然・環境マネジメント研究部)

 

 

 

 

 

 

 

みなさま、こんにちは。

 

ただいま4階ひとはくサロンにて開催中の企画展『六甲山のきのこ展2010』はもうご覧になられましたでしょうか? 4/18(日)まで)

 

赤、黄、白、茶…の色とりどりの珍しいキノコやホタルのように光るキノコの標本、

ほかにキノコの香り体験コーナーもあります。

キノコ好きには垂涎ものの、そうでない方も楽しんでいただける展示となっております。

「兵庫県にはこんな面白いキノコがあったのか」と驚くことうけあいです!

 

さて、3月のフロアスタッフとあそぼうでは、このキノコに関するイベントを行います。

(イベントはすべて参加費無料・時間15:00〜)

 

●森の妖精・キノコのかわいいマスコットを作るイベントは…

3/6(土)・7(日)森の妖精たちとあそぼう』場所:4階ひとはくサロン(定員:10名)

※小学生3年生以下は保護者同伴でお願いいたします。

 

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                     森の妖精たちとあそぼう

 

 

●企画展『六甲山のきのこ展2010』の展示をみてお絵かきするイベントは…

3/13(土)14(日)『画はくの日〜きのこ展〜』 場所:4階ひとはくサロン 

                (定員:特になし)

 

 

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              画はくの日〜キノコをかこう〜

ほか、20(土)21(日)22(月・祝)には『恐竜万華鏡』、

27(土)28(日)は『けんちくかの日』のイベントを行います。

 

ご紹介した以外にも、毎日行っている『デジタル紙芝居』、『展示室ツアー』などのイベントもあります。

イベントの詳しい内容は「うきうきカレンダー3月号」にのっていますのでチェックしてください。

http://hitohaku.jp/top/09ukiukicalen/ukiuki1003.pdf

 

みなさまに楽しんでいただけるイベントをたくさんご用意おりますので、ぜひ“ひとはく”へお越しください!

 

 

松田沙耶香(フロントスタッフ)

 

 

あれこれ準備

2010年2月26日

人と自然の会ではさまざまなイベントを行っていますが、今回はその裏側を少し紹介します。

 

221日(日)ドリームスタジオは「ブーメラン作りにチャレンジ!」

スタッフは本番を控えて試作の真っ最中。

ブーメランは羽根の調整が飛行を左右します。

参加者にブーメランの楽しさを体験してもらう工夫を重ねています。

 

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そして新会員募集についての会議。

人と自然の会のパワーアップ?をするために会員募集を企画中です。

チラシや、カリキュラムなど検討しています。来年度5月開催予定です。

近日中に募集を開始しますので関心のある方はお問い合わせください。

 

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この日は続けてもう一つ会議です。

環境体験学習に取り組むための準備会です。

これまで人と自然の会が実施してきたプログラムを参考に検討しています。

会議ではいつも自由に意見交換しながら進めています。

余談と思える中から素晴らしい結論に至ることもあります。

メンバーの豊富な人生体験が生きてきます。

 

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一方、こちらは「押し花アート」の準備です。

37日(日)須磨水族園で「スマスイボランティアフェスティバル」があります。

花工房が出展する予定で、その準備をしています。

 

色とりどりの台紙に押し花を貼り、自分だけの作品を作ってもらいます。

本番に備え試作品を作ってみますが、実際は当日の参加者のアート感覚は想像以上で

いつも素晴らしい作品が出来上がります。

毎回、感動をもらうのは私たちスタッフです。

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当日はもう一つ「ダチョウの卵のペンダント」も予定しています。

 

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こちらの材料の主役はもちろん「ダチョウの卵の殻」です。

そして重要な役を担うのが「マニュキア」です。マジック等も使用しますが

マニュキアは量感が出せ、速乾性に優れているのでとっても便利です。

こちらも素敵なペンダントが出来上がるのを期待しています。

 

三田からは少し遠くなりますが、須磨水族園でスタッフ一同お待ちしています。

 

                                   佐竹千代子(人と自然の会)

 

 

 

 

他館で開催するオトシブミの企画展の準備をはじめました.

 … すこし変わった姿で,葉を巻く習性のあるムシ,オトシブミ …

確かにそうなのですが,説明や解説するときにいつも困る事があります.

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括れ型のヒメクロと象鼻虫型のアシナガ

一つは「くびれた首」の事です.オトシブミというと,複眼の後ろの方
で細くなった独特の形の首を思い浮かべますが,オトシブミ類のすべて
が「括れ型」というわけではないのです.日本産のものでもアシナガオ
トシブミなどはゾウムシ的な口吻が伸びた形をしています.さらにルリ
オトシブミの仲間は首が短く,口吻も短く平たく,下向きです.

ここらへんから,説明が「ベン図」の世界へ突入.オトシブミのややこ
しさは集合の問題なのです.

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こんな図を頭に描きつつ

つぎに「オトシブミ」と「非オトシブミ」のさかいめです.どこまでオ
トシブミと呼ぶか?という問題.具体的にはハマキチョッキリの仲間を
オトシブミに含めるかどうかです,ハマキチョッキリの仲間は立派な揺
籃(ゆりかご,ヨウラン)を作るし,なにより体がピカピカして美しい
ので,オトシブミを語る上で無視できない存在です.

系統発生上,オトシブミ類とチョッキリ類は古く分かれた系統と考えら
れており,類学的には研究者によって別の科としたり,同科の別亜科に
したりといった扱いの違いがある程度です.「ハマキチョッキリはオト
シブミではない!」と言ってしまえばそれまでなのですが,そうすると
「オトシブミとチョッキリはどう違うの?」,「形態による分類と葉を
巻く行動との対応は?」と,話がどんどん逸れていってしまいます.

オトシブミを扱うたいていの書物や展示において,本来提示したいテー
マは「それぞれの巧妙な適応」なので,「葉を巻くチョッキリ亜科をオ
トシブミとします!」と宣言することこそ,著者も編集者も,なにより
読者も,あるいは観覧者も展示担当者もハッピーな選択なのです.

ただ,チョッキリもオトシブミだと認めてしまうと,葉を巻かないチョ
ッキリが視野に入ってきます.チョッキリのなかには,花芽に穴をあけ
るだけ,とか,葉っぱを半分切るだけとか,実を切り落とすとか,いろ
んなのがいます.

次の難関は「葉を巻くとは?」です,これが定義できません.

実際の虫の動きを見ると,6本の脚で締め付けたり,逆に引き寄せたり,
口吻で押し込んだり,種によって異なる動きをしており,その結果,葉
が巻いたような状態になります.きわどいのは葉を切ると重力で垂れ下
がって,巻いた感じになるやつ(オイオイ).
で,虫の活動によって結果的に葉が巻いた状態になったら,それは虫が
巻いた事にしよう,というのが皆がハッピーな選択です.

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実を切り落とすモモチョッキリ

というわけで,オトシブミの本なり展示なりには,自動的にチョッキリ
も参加することになります.整然としたオトシブミの揺籃作りに対し,
チョッキリの産卵加工は多様です.
樽型の揺籃に代表されるオトシブミの揺籃作りは,それを主峰として,
幾つもの峰々を従え,さらに広大な裾野を持っています.そういう全体
像も見える,というのが理想なんですけどねぇ.


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おまけプルプル
ヒゲナガオトシブミの♀と♂

昆虫共生・沢田佳久

DSC_2344.JPG 平成22年2月19日(金)地球の反対側、南アメリカ大陸にあるチリ共和国から9人の方が研修で来館されました。この9人の方々は、チェピカ(CHEPICA)市で環境教育に関する政策の作成や実施に携わっている自治体の行政官等の方々で、当館では、自然史系の博物館や市民参加型の環境教育への取り組みについて研修されました。この研修は、2月8日から2月26日の日程で実施されている平成21年度JICAカウンターパート研修「チリ国における環境教育推進のための市域内協力連携ネットワークの構築および支援のための研修」の一環で、JICA職員の方々も一緒に見学しました。

 最初に高橋晃研究部長より、博物館の概要や取り組みについて説明があり、その後館内を見学されました。高橋部長の解説により、最初に3階の「兵庫の自然」「人と自然」「新しい文化」を見学されました。みなさん環境に関する関心が高く、数多くの質問が出ました。炭やコウノトリ、地震など、遠くの国ですが「チリの炭は松の木からつくる。」「チリでも鳥がこどもを運んでくる。」など不思議と共通の話題がたくさんあり盛り上がりました。また、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)のVTRには、皆さん足を止めて見入っていました。

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▲コウノトリは何を食べていますか?   ▲”サトヤマ”について説明を聞いています。

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▲阪神淡路大震災の映像には足が止まります。 ▲活発な質問に説明にも熱が入ります。

 次に2階に降りて、企画展示室の「共生のひろば展」(http://hitohaku.jp/blog/2010/02/5_1/)を見学されました。今回の研修の大きなテーマが「市民との連携ネットワーク構築について」でもあり、大きな驚きと関心を持って展示を見学されていました。高橋部長の解説もついつい熱が入りました。

 2時間の予定時間があっという間に過ぎ、1階の展示は遠くから眺めるだけになってしまい皆さん残念そうでした。

 最後に研修の謝辞をいただきましたが、スペイン語だけに大変情熱的に感じたのは気のせいでしょうか。ひとはくの取り組みを参考に、皆さんの情熱で環境問題や環境教育に、遠い地球の反対側で取り組んでいただければとても素晴らしいと感じました。同時に、環境問題や環境教育は実にグローバルなテーマであることを実感しました。

 最初の写真はチェピカ(CHEPICA)市でつくっているエコバックを記念にいただきました。チリ共和国チェピカ市(http://www.municipalidadchepica.cl/

西岡 敬三(生涯学習課)

スギの花粉のかたち

2010年2月18日

先日から鼻がむずむず,目がしょぼしょぼ.
スギ花粉症の私にとって辛い季節の到来です.
さて,このスギ花粉.どんな形をしているのでしょう?

sugi.jpg実はこんなかたち.
まん丸にちょっとでっぱりがあります.ちょっと面白い形でしょう?


花粉は,雌しべに着くと発芽して花粉管を伸ばし,雄の遺伝子を雌に届けます.
ちなみにスギは風によって花粉が運ばれる風媒花.
花粉のサイズは30〜40マイクロメートルです.
これは,日本人の髪の直径の約半分.また,米粉パンをつくる微粉砕米粉と同じサイズです.
さすがに小さいですね.


撮影:ひとはく地域研究員 福岡忠彦氏
写真は花粉を赤い色素で染色したものです.
福岡氏はいろいろな花の花粉写真を撮っておられます.氏が撮影された花粉写真は,当館「共生のひろば展」で4月4日(日)まで展示しています.

(自然・環境評価研究部 研究員 布施静香)

さて、時は2月14日、パレンタインデーでございます。

バレンタインデーで告白する方もされる方も、まったく関係ない方もたくさん来館ありがとうございました。

さすが、バレンタインといえばひとはく!でございます。恐竜ラボで壮大な恐竜時代にタイムスリップしつつ愛を語り合うアベック・・・蝶の標本をながめつつ、二人手をつなぎ羽をひろげ、天空を蝶のように舞うカップル・・・ああ、ロマンチックミュージアム・・・

なんていうようなことはなく、わいわいとたくさんの家族連れの方々に参加いただき、子どもの日なのかと思うような、子どもたちいっぱいの「恐竜講談で粘土恐竜を作ろう!」と題したちんげんさいのスペシャルワークショップは大盛況!なんと78人ものお客様。

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本日の登場するのは、草食のティタノサウルス類のポップサウルス、肉食のティラノサウルス類のダンゴザウルス、の血のつながらない兄弟とお母さん恐竜、ボウソウザウルス3兄弟、サンダの国の双子の雷さま、牛とトラのアイの子ウシトラさんでございます。IMG_1436.JPG

 

 

 

 

 

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ポップとダンゴには、お馴染みの売斎くんと美術館から四十一斎。IMG_1452.JPG

 

 

 

 

 

 

 

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そして、お母さん竜は一七斎、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ボウソウ3兄弟は写楽斎・痩菜斎・食菜斎の中一トリオ。 P1010812.JPG

雷さまは小斎、野斎の小5の女の子、雷ヘアはT・ケンジの作品。

P1010827.JPGウシトラは、本日デビューのかぶりものをかぶると人間が変わる河南堂被名斎(かぶりなさい)こと山崎研究員。

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そして、めくりは河南堂キャサリン。

今回は小学生3人、中1トリオに18歳になった十七斎と、一座史上一番の超若手の布陣と相成りました。

というわけで、横手にカメラをかかえたクマを従えての講談「ポップダンゴブラザース」のはじまり、はじまり・・・

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 さあ、ここは銀河系の片隅にあります地球そっくりの双子の星、空にはまんまるお月さま、青い海、青い空、陸には緑ゆたかな山や森、川がひろがり・・・しかし、1つだけ地球と違うのは、巨大隕石の直撃がこの星ではおこらず、恐竜たちは絶滅せず、そのまま進化を遂げ、本来なら人間が手に入れたはずの言葉を手に入れ、わが世の春とノッシノッシとうようよいるチタマという星のおはなし。 IMG_1456.JPG 

 

ガブッ・・・・。あーやっと卵から出れたな。うわー、おてんとさま、まぶしいなあ。クラクラすんなあ。あーそれにしてもわいの鋭いキバ、後ろ足のツメ立派やなあ。」 

と、四十一斎の己を捨てた寸劇が始まると子どもたちは大喜び。

珍元斎のクイズも元気よく答えていただき、特製センスも大人気でございました。

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IMG_1455.JPGティラノザウルス類とティタノザウルス類の違いなどは難しかったようですが、丹波竜と同じ名前で1970年に登場した芸能人の職業は?というクイズも「歌手!」とこたえられ、大正解!

本当に「丹波竜さん」という岡山出身の演歌歌手がいて、「ひとり酒」という歌を歌ってはったようです。レコードもありますが、残念ながら、竜さんの消息は不明です・・・。誰か教えてください!

 

 というのは、おいといて、さて、2回目の今回は、新たにカエルの化石が丹波の恐竜化石の現場から発見されたこともあり、カエルさんも登場。雷さまにやられるダンゴザウルスを守る重要な役目を果たします。

 

ちょっと内容を紹介しますと、

 そこのタンバの国で生まれたポップザウルスとダンゴザウルスは違う種類の恐竜ですが、ケンカをしながらも、仲良く育ちます。 IMG_1459.JPGでも、だんだんダンゴザウルスはおかあさん竜のつくる草ダンゴではあきたらず、肉が食べたくなってきます。 

 

 

 

 

そこに、同じ肉食のボウソウ族のボウソウザウルス3兄弟があらわれて・・・・ IMG_1472.JPGダンゴザウルスは大あばれです。あはれ、ボウゾウ3兄弟はIMG_1488.JPG

ボコボコにされて逃げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

  

助けてくれたお礼にとポップザウルスは、南のサンダの国にはサンダステーキというおいしい牛肉が食べられるとダンゴザウルスを誘います。心配したカエルくんはあとをつけます。 P1010808.JPG

 

 

 

おかあさん竜にないしょでサンダの国にきた二匹はトラと牛のアイの子「ウシトラ」に出会い、 P1010810.JPG思わず団子がしっぽにガブリ!ウシトラの守護神、双子の雷さまが現れ、ピカー、ガラガラガラガラー!ダンゴザウルスはしびれて動けなくなり、ダンゴ危うし!果たしてダンゴはサンダステーキを食べることができたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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内容が知りたい方は、カメラをもったクマさんが取材してくれたので、2月19日(金)放送のサンテレビ「ニュースシグナル」(17時半〜18時)シグナル街道にて・・・。

 

さて、こんなお話を聞いたあと、こんなんもいたらいいなあと五感を駆使して粘土恐竜をみんなでつくりました。ボディ、目ん玉といっせいに作ります。 

P1010843.JPGP1010842.JPG

P1010830.JPG P1010856.JPGみんな違ってみんないい。生物多様性いや空想恐竜多様性ということで、いろんな作品が出来ました。

 

 

 

 

 

 

最後は、ジオラマに置いて、記念写真をとってハイポーズ!カラフルで素敵な恐竜王国ができました。

P1010869.JPG 恐竜化石の4次発掘はまだ続きます。珍元斎の空想世界の恐竜ポップとダンゴの旅もまだ続きます。今回結局、お母さんにおごってもらったサンダステーキは実は大豆ステーキで、牛肉はおあずけとなったダンゴは牛肉をいつか食べられるのか?発掘とあわせ乞うご期待。

みなさま、ひとはくで、生物多様性のみならず、人物多様性も体感しに、ぜひおこしくださーい!待っております!

 

                           謎の好男子 イヤ!講談師 河南堂珍元斎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、バレンタインデーです。
みなさんは、どんな1日を過ごされましたか?チョコレートを贈った人、贈られた人、バレンタインとは全く関係なく過ごした人もいるでしょうね。
今日のひとはく、バレンタインデーの1日をを紹介しちゃいます。

河南堂一座のイベント「恐竜講談で粘土恐竜を作ろう!」のテレビ取材がありました。
(この様子は、2月19日(金)17時30分〜サンテレビの「ニュースシグナル」という番組のシグナル街道というコーナーで紹介される予定です!)

           1P1020601.JPGのサムネール画像      2P1020724.JPG  

        (本番前に入念な打ち合わせ)     (インタビューを受ける珍元斎)

詳しくは、珍元斎がブログで紹介してくれるでしょう。

 

イベント「恐竜講談で粘土恐竜を作ろう!」の横では、沢田研究員による「ゾウムシ学序論」のセミナーが。

ゾウムシを捕まえて持って来て、沢田先生に名前を教えてもらっている、お客さんもいました。
ゾウムシファンだとか!熱心にメモをされていました。
(実は、私、遠藤研究員にいただいたゾウムシを飼ってました。みなさん、昆虫を飼う時は、最期まで飼って逃がさないでね!)

3P1020710.JPG   4P1020715.JPG

 

休憩コーナーでは

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(連携活動グループrun♪run♪plazaの方たちとランチする八木主任研究員)

とっても賑やかな、ひとはくサロンでした。

私にゾウムシをプレゼントしてくれた、遠藤研究員による 常設展示トーク「兵庫の自然誌 森にいきる」です。
「この白い鹿の子斑は、バンビだけでなく、大人の鹿にもあるんですよ。」
え〜そうなんや。

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このセミナー、8月と9月にも実施しているのですが、内容が全然違うんですよ!
だから、何度参加しても、「へぇ〜」って言っちゃいます。


フロントスタッフによるイベントも、毎日実施。
今日は

大きなスクリーンで見る、ひとはくオリジナル「デジタル紙芝居」
(スミスネズミと100年の森)

7P1020609.JPG

クイズもあり!楽しく展示室を案内する「展示室ツアー」
(ボルネオジャングル探検ツアー)

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FSとあそぼう「トラのかべかけ」
段ボールと折り紙を使って、世界にひとつしかないかべかけを作りました。

9P1010896.JPG   10P1010889.JPG 

 

せっかく取材に来てくれてので、今やっている「キノコ展」を取材してもらいました。
サンテレビ速形さん、いつもありがとうございます。

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実際にキノコを匂うコーナーもあっちゃったりします。
(この匂いをお伝えできないのが残〜念〜。)

P1020614.JPG 

そう、ひとはくはセミナー・イベントだけでなく、展示も充実しています。
今は、企画展「共生のひろば」展。
2/11(木・祝)に開催した「第5回共生のひろば。発表者・共同発表者、聴講者をあわせて330名が集まり、16件の口頭発表に耳を傾けるとともに、42件のポスターと作品の前で楽しい情報交流が行われました。共生のひろば発表会は1日で終了しましたが、当日発表されたポスター・作品の一部を4/4まで当館2階の企画展示室で展示しています。


12P1020328.JPG 

共生のひろばについては→
http://hitohaku.jp/blog/2010/02/5_1/

ミニ企画展「日本一のダリアを守りたい〜ふるさと西谷を感じよう〜」
この西谷地区は、実はダリアの球根出荷数で日本一を誇るほど、園芸が盛んな地域。展示は、模造紙に手書きで書かれたポスターだけでなく、透明のプラスティックのなかにダリアの花を封じ込めてつくる『封入標本』やダリア染めなどが並んでます。

         13P1020607.JPG    14P1020608.JPG

 食べたくなるような、封入標本でしょ?       ダリアアイス???

展示については、こちらから→
http://hitohaku.jp/blog/2010/02/post_620/


今日はバレンタインデーでしたが、ひとはくは、ご来館くださった皆様に、楽しい時間をプレゼントできるように、スタッフ一同、毎日がんばってます!
あなたも、ひとはくへ来て、贈り物〜楽しい時間〜を受取ってみませんか。


                                                                                   小林美樹(生涯学習課) 

 

 少し前のことですが、平成22年1月24日(日)神戸国際展示場で開催されました、「第2回サイエンスフェアin兵庫」ポスター発表に参加してきました。

poster-sf2.jpg 「サイエンスフェアin兵庫」は、県立神戸高等学校を中止として県内のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校6校(神戸高、尼崎小田高、加古川東高、豊岡高、武庫川女子大学付属中・高、三田祥雲館高)からなるサイエンスフェア実行員会が主催のイベントで、兵庫県下の高校生の理数分野における交流促進や将来の理数分野を担う高校生の進路選択における具体的指針の形成に関する研究が目的で実施されています。今年で2回目となりますが、各SSH指定校や理数教育に取り組んでいる高等学校のポスターセッション発表51タイトルや、企業・大学・研究機関・高専による発表147タイトル、記念講演がありました。当日は約600人の参加があり、会場は研究に取り組んでいる高校生や企業・大学等スタッフの熱気が溢れていました。

 SSHとは、文部科学省が将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目指し、理数教育に重点を置いた研究開発を行う学校で、平成21年度全

国で106校が指定されています。

 実は 兵庫県の6校指定は、東京都(9)、大阪府(7)に次ぐ3番目の多さで、県内6校のうち、今年度3校がひとはくを利用しており、近隣の他府県や遠くは秋田県の高校の利用があり、全国のSSH指定校と少なからずつながりがあります。また指定校以外でも、当館を利用している高校が多く参加していました。

 DSC_1877.JPG

 

 

 

 

 

 

神戸国際展示場が会場でした

 

 この度、発表の依頼があり古谷裕主任研究員と参加してきました。「兵庫県より産出する化石について」のタイトルで、現在博物館で取り組んでいる「丹波の恐竜化石」発掘に関する説明やそこで見つかったティラノサウルス類の歯、原始的な角竜の化石、小学生が見つけたカエルの化石についての解説パネル、化石のクリーニング工具を展示しました。また、恐竜化石を産出する篠山層群の岩石を持ち込み、石割体験もしてもらいました。100名を超える高校生や先生方保護者の方々が足を止めて説明に見入ったり、石割体験に挑戦していました。展示内容について古谷主任研究員と熱心にディスカッションする高校生もおり、大いに博物館の取り組みを紹介することができました。

DSC_1884.JPG ◄ひとはくの展示ブースと古谷主任研究員

DSC_1906.JPG篠山層群についてディスカッションしています

DSC_1895.JPG石割体験に挑戦!これは、何か入ってますね

DSC_1902.JPG DSC_1880.JPG

▲会場はいつも高校生でいっぱいでした。御影高等学校のキノコの標本展示と発表もありました。

西岡敬三(生涯学習課)

 

interp.jpg御影高校と兵庫きのこ研究会による『六甲山のきのこ展2010』が無事オープンしました。なんとか、これまで採集したキノコ181種を並べることができました。オープンと同時に、たくさんのお客さんがご覧になられています。まずは一安心です。
高校生の諸君も、インタープリテーションにも熱が入ります。ちゃんと、お客さんとの間をおいて立ち位置をきめて、『話しかけてくれオ〜ラ』を出すわけです。デパート1階のお姉さんが独特のオーラで話しかけてくるアレと同じです。高校生たちは、もはや立派な営業マンですね、ちゃんとオーラがでてました。総合学習はビジネスにも役立つかも知れません。何かの分野で『オーラ』を出せるってことは、大切なことだと思います。これも、ひとえに皆さんのがんばりが自信に繋がったのだと思います。

jiorama.jpg懸案だったジオラマも無事完成しました。上の二人が仕上げてくれました(ガラスに脂がつくのでアゴ乗せないで!)
キノコを土台に刺して、落ち葉などを散らして、その上に『ケープ(整髪スプレー)』をかけます。これは、落ち葉がちょっと湿った感を演出しつつ固定するためです。ケープには、雨や風の日にも1日中がっちりキープと書いてあります。大胆なことが、さらりと書いてありますが・・・。成分をみると、人体の不思議展に出てくる人体標本で使う樹脂と類似の材料がたくさん入ってます。そうなんです、毎日のヘアーセットは『プラスティネーション』だったのです。そう思うと、髪の毛がつんつんしている人、がしっとハードセットしている人とも仲良くできそうです。
話は脱線しましたが、ジオラマづくりにも色んなノウハウがあるので、またブログで紹介してゆきたいと思います。身近な材料に、意外な機能があるんです。

R0010515.jpg  R0010516.jpg
今年は、昨年とはちがって、臭いを体験できる展示もあります。洗びんのなかには、キノコの臭いを蒸溜抽出した液が入っています。こちらは、生ものですので、日持ちしません。定期的に液を足していますが、なかなかたくさん抽出できるものではありませんので、来館された際に『いい香り』が体験できることを保証できませんが、この点はご了承ください。
さらに、今年は兵庫きのこ研究会の皆さんによります美しい写真と水彩画が加わりました。こちらも必見です。実物標本、写真、水彩画、臭い、洒落たポスター、そして研究解析の結果と芸術と科学が融合しております。きのこ展の総支配人である河合先生から、『ルネッサンス』という素晴らしいお言葉を頂きました。
御影高校の皆さんのがんばりももちろんですが、今回そして前回もそうですが、この展示を進めるにあたっての最大の貢献者は、兵庫きのこ研究会の皆さんであることは言うまでもありません。これだけのキノコの鑑定をこなすためには、分類に関する高度な専門知識が不可欠です。しっかりとした基礎研究なしには到底できません。この場を借りて、あらため感謝したいと思います。
この展示をみて、もしきのこに関心をもたれる方が居られましたら、ぜひ『兵庫きのこ研究会』をのぞいてみてください。

zenntai.jpg ということで、来年度の4月18日まで展示しておりますので、ぜひひとはくへ何度も何度もお越し頂ければと思います。

(みつはしひろむね/臭い展示の持続可能性がとても心配)

tenji3.jpg宝塚市立西谷小学校の生徒らの学習成果を展示した『日本一のダリアを守りたい〜ふるさと西谷を感じよう〜』が、2月10日から開催されました。ひとはくの正面入り口から入ってすぐのオープンギャラリーにて展示しています。

tenji1.jpg西谷地区は、宝塚市の北側に位置しておりまして、三田からは結構近い場所にあります。この地区の畑ではダリアが栽培されており、いろいろな品種のダリアを見ることができます。この西谷地区は、ダリアの球根出荷数で日本一を誇るほど、園芸が盛んな地域なのです。
小学校では、こうした地域の自然に着目してダリアを中心とした学習が行われています。この展示は、この学習成果の発表でもあり、西谷地区のすばらしさを発信する機会でもあります。
展示は、模造紙に手書きで書かれたポスターだけでなく、透明のプラスティックのなかにダリアの花を封じ込めてつくる『封入標本』やダリア染めなどを並べております。

そして、小学生による展示だけでなく、この学習を全面的にサポートしてくださった地元の『ダリアを楽しむ会』の皆さんの展示もならべております。

tenji2.jpg  写真をご覧頂けるとわかるように、たくさんの封入標本がまるでお花畑のように並んでいます。それに加えて、生活のなかでのダリアの活躍を衣食住にわけて紹介されています。特に、ダリアの染色はとても簡単にきれいにできるようでして、その方法などを紹介しています。
ダリアに関心があるかたは、ぜひご来館ください。

展示の詳細情報は以下のとおりとなります。
◆期 間: 2010年2月10日(水) 〜 3月28日(日)
◆場 所: 兵庫県立人と自然の博物館 3階オープン・ギャラリー
◆観覧料: 無料 (博物館観覧料が必要です)
◆主催・共催: 宝塚市立西谷小学校 ・ダリアを楽しむ会・兵庫県立人と自然の博物館

最後に、この展示を担当および指導して頂きました西谷小学校の河口先生、ダリアを楽しむ会の岡田さん、1年間ご苦労様でした。日本一のダリア出荷だけでなく、ダリアの博物館展示でも日本一の内容だと思います。お二人のパワーと熱意に敬服です。
okada_kawaguchi.jpg

博物館にお越しいただき、そしてその帰りには、西谷地区への足を運んで頂ければと思います。
西谷地区は生物多様性にすぐれた場所でもあります。

(みつはしひろむね/大きな封入標本をみると研磨地獄が脳裏をよぎります)

 2/11(木・祝)に開催いたしました共生のひろば.発表者・共同発表者,聴講者をあわせて330名(!)が集まり,16件の口頭発表に耳を傾けるとともに,42件のポスターと作品の前で楽しい情報交流が行われました.
(詳しい内容はこちら)
聴衆口頭発表会場はほぼ満席!

 ミジンコやトビケラといった小さな生き物から、神社の林、臨海部での森づくりといった大きな環境とさまざまなサイズの対象についての研究や活動紹介があり、その内容の多様さに参加者は驚かされました。

 共生のひろばは小・中・高校生,大学生の若い世代の発表が年々増えており、異分野交流、地域間交流だけでなく世代間交流も活発になってきております。小学生の発表者の中にはあまりの緊張で、発表前の練習で涙を流す場面もあったと聞きました。大人達は、地域の自然・環境・文化をみつめる次世代のまなざしを頼もしく感じられ、温かく見守っておられました.
muko.jpg
元気よく発表する武庫小学校さかな委員会のみなさん

熱心にメモ取る少女.jpg 熱心にメモを取る少女

ポスター会場 作品を囲んで会話も弾みます!(ポスター会場)

 発表会の終了後に行われた茶話会には70名が集まり,お茶とお菓子を前にリラックスした雰囲気でお互いの発表内容についてや興味関心のある事柄についての会話を楽しんでおられました。

茶話会 お菓子と飲み物を囲んで楽しいおしゃべり

聴講者から発表者へメッセージカードの紹介や司会による参加者へのインタビューに耳を傾け,笑顔であふれました.集まったメッセージは発表者のもとに届けられます。多くの励ましの言葉が詰まったカードが、また新しい活動のエネルギーとなるといいですね.

メッセージ 励ましのメッセージが多数寄せられました!

 茶話会のはじめには,各種賞の授賞式が行われ,甲乙のつけがたい発表が多い中,下記の発表が表彰されました.

館長賞:「特に優れた発表」に対して授与される賞.
    OP-01    ミスジナガハグサ(イネ科イチゴツナギ属)の謎2
        −ミスジナガハグサとナガハグサの相違点−

        西野雅満(植物リサーチクラブ・ひとはく地域研究員)
    OP-15    コヤマトビケラの生活史−幼虫集合行動の目的を探る− 
        松岡純平・原口太志(兵庫県立福崎高等学校生物部)
    PP-18    NPO法人 日本ハンザキ研究所 が進める環境教育の実践
        田口勇輝・栃本武良(特定非営利活動法人 日本ハンザキ研究所)
    PP-24    丹波地方の溜池・湿地における湿生・水生植物の植生
        松岡成久(植物リサーチクラブ)

名誉館長賞:「ユニークな発表」に対して授与される賞
    OP-13    水生寄生蜂Apsilops sp.(ヒメバチ科:トガリヒメバチ亜科)の
                    生活史と寄主探索行動 
        長崎 摂(豊中市立第十四中学校)・平山智子(神戸女学院大学)
    OP-14    学校のプールにいたミジンコ(Daphnia pulex)の行動と生態
        〜耐久卵の殻の意味を中心に〜
        川底英剛・西拓樹・木嶋崇人・神野泰淳・美間克也・伊藤毅・高嶋志門・
        顧問 佐々木宏展(大阪府茨木市立三島中学校科学部)
    PP-21    エコトランクで楽しく遊ぶ!学ぶ!
        赤阪幸司・芦田博貴・遠藤健彦・大島達也・神谷亜依・高島基郎・田中洋次・
        南部恭宏・藤長裕平(兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科)
    PP-31    摘み菜ご飯、できたよ! おいしいな!
        西浦睦子・入口紀代里・鈴木久代・長町美幸・松浦百合・矢野直子
        (ひとはく連携活動グループ NPO法人さんぽくらぶ)
        平谷けいこ・社ひとみ(摘み菜を伝える会)

審査員特別賞:「データ量や活動量など努力量の多い内容や継続的な活動」に対し授与される賞
    OP-03    15年間で著しく減少した川西市加茂地区のヒメボタル
        畚野 剛・市原敏彦・井上道博・恵須川満延・澤山輝彦・中本二郎・平田信活(川西自然教室)
    OP-08    ムコのビオトープづくり活動を通して 〜いのちをかんがえる〜
        池野知行・小南亘輝・北川達也・紀之内拓巳・坪田祐典・松矢一輝・勝井悠生・原悠平・
        室山容一朗・大原創一朗辻元凌太・門田歓大・芝本光希・小南智輝・郡山佳太・松下修・
        藤奈央樹(武庫小学校 さかな委員会及び担当者)
    PP-23    六甲山におけるキノコの長期観測データを用いた出現種数の推定および気象要因との対応分析
       森田綾子・大西里佳・田中友香里・鷲見秋彦・中川湧太(兵庫県立御影高等学校)
    PP-28     「高校生と学ぶ」 〜植物画を描く上での自立をめざして〜
        田地川和子・貴島せい子・肥田陽子(ひとはく連携活動グループ GREEN GRASS)

注目大賞:会場から多くのメッセージを得た発表に対する賞
    OP-08    ムコのビオトープづくり活動を通して 〜いのちをかんがえる〜
        池野知行・小南亘輝・北川達也・紀之内拓巳・坪田祐典・松矢一輝・勝井悠生・原悠平・
        室山容一朗・大原創一朗辻元凌太・門田歓大・芝本光希・小南智輝・郡山佳太・松下修・
        藤奈央樹(武庫小学校 さかな委員会及び担当者)
    PP-24    丹波地方の溜池・湿地における湿生・水生植物の植生
        松岡成久(植物リサーチクラブ)
表彰

 共生のひろば発表会は1日で終了ですが,当日発表されたポスター・作品の一部は2/12から4/4まで当館2階の企画展示室で展示されます.
植物画お絵かき 植物画に挑戦!
ポスター作品 力作がいっぱい!
力作や楽しい作品が盛りだくさんですので、是非お誘い合わせの上,ご来館ください!


                              (連携・アウトリーチマネージャー 橋本佳延)










みなさん丹波の恐竜化石発掘地点の目印ともなっている煉瓦造りの建物ご存じですか?
かつて村営の発電所として使われていた立派な建物ですが、昭和38年以降使われていませんでした。
このたび、登録有形文化財となり、改装工事が行われ新しく生まれ変わりました。

 

発電所かつて → 発電所いま

▲第1次発掘のころ       → ▲今はスロープを使って2階から入れます

入口 発電所横

▲もちろんチータンがいるのは今日だけですよ(^^)

テープカット

▲今日2月11日(木・祝)10時からの竣工式では、辻丹波市長(中央)はじめ
関係者によるテープカットが行われました

2階から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲2階から発掘現場を見ることができます。今日も雨の中、発掘が続いています

1階

▲1階は実際に水力発電が行われ、解説ビデオとともに発電の様子を見ることができます 。この発電によって2階展示室照明と夜間のライトアップ照明がまかなわれます。

スタンプ

 

 

 

 

 

 

▲来場記念の大きなスタンプもあります

 

10時から16時まで開館しています(月曜・火曜は休館)
発掘現場見学時にあわせてご見学されてはいかがでしょうか?
もちろんひとはくにも、ぜひお越しください。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。
(恐竜タスクフォース&生涯学習課長 平松紳一)

米紋のキンカメムシ

2010年2月 9日
 休日に沖縄に行ってきました.ところが,低温で断続的に雨が降り風も強いと
いう最悪の天気 (ToT).しかも帰る直前に回復するという意地の悪さ (;¬_¬) 

 しかしけっこう幸運にも恵まれました.金武町の畑地をうろついていると路傍
に見た事のない美しいキンカメムシを発見.ノソノソした動きでしたので採集す
るまえに余裕で撮影もできました.そのときには風も弱まっていました.
 模様はある種のタマムシやフィリピンのカタゾウムシ類を彷彿させるデザイン
です.美しい.周りを探しましたが一匹だけでした.

4307tr.jpg
 キンカメムシは一般に大型で美麗,しかも日本でというか沖縄で見られる種類
はナナホシキンカメやアカギカメムシなどに限られていますので,カメムシのフ
ァンでなくても,知らない種なら「これはっ!」と思うのです.

 で,帰ってから正体を調べてみると,やはり日本のカメムシの図鑑には載って
ないやつです.ウェブで探すと,ありました.掲示板にありました.たぶん;

Scutellera amethystina

という種です.東洋区産で台湾にもいて漢字では「米字長盾椿象」と書くようで
す,「米」字模様のキンカメです.そういうふうにも見えなくはありませんが.

 掲示板での記述によると,2006年末に沖縄本島の名護岳と首里で相次いで発見
され,撮影されています.それ以降の続報はないようです.そのときの標本は残
ってないようなので,ひょっとしたらコレが日本初の標本かもしれません.

 もちろん,たぶん侵入種だと思われます.ヤンバルテナガコガネではあるまい
し,こんなに目立つ種が昔から棲息していて,人間がいままで気付かかずにいた
とは考えにくいからです.(キンカメムシには大移動して越冬する種もいるので,
自然分布や迷椿象の可能性もないではない)
 2006年(またはそれ以前)から継続して発生しているのか? すでに定着して
いるのか? そういった事が気になりますが,それもこれも,こういう「分かり
やすい種」での話です.誰も気付かないうちに侵入てしている地味な種が何百何
千倍もいて,それぞれ違った状況で「事態が進行」,ある割合で定着,蔓延して
いることが想像できます.

今日のプルプル3D

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問題のキンカメとゲットウにいるヨツメオサゾウムシ

昆虫共生 沢田佳久

臨時休館もあけ、週末からエントランスに新しい展示物が加わりました。
エントランスに入ると、真ん中に大きなものがおいてあります。

storknest2のサムネール画像

近づいてみると・・・コウノトリの巣の模型です。大きい!!直径約2mの実物大です。
日本の野生コウノトリは、一度絶滅しましたが、2005年から豊岡で飼育個体を野性に帰す試みが行われています。コウノトリは翼を広げると2mもある大きな鳥。今では、こんな大きな鳥が、こんな大きな巣を野外でつくり、繁殖しています。

storknest1

この巣は、『NPO法人 人と自然の会』のイベント『第148回ドリームスタジオ コウノトリを知ろう』(2009年9月20日)で展示するためにつくったものです。 

『NPO法人 人と自然の会』は、ひとはく連携グループの一員で、年間を通してひとはくでいろんなイベントを行ってくださっています。このイベントも、写真展『コウノトリのいる風景』(2009年9月18日〜11月20日)にあわせて企画してくださいました。

ひとはくは、さまざまな人、グループと一緒に活動しています。今週木曜日、2月11日(木・祝)には、そんなみなさんの活動発表会「第5回 共生のひろば」が行われます。

※聴講申し込みは締め切りましたが、下のリンクからプログラムや要旨を見ることができます。
http://hitohaku.jp/top/09event/09kyousei.html

ちなみに巣の横にある三角の解説パネルは、手でまわして裏までじっくりと見ることができます。
豊岡まで行くのはしんどいという方、ぜひひとはくまでお越しください。

(自然環境マネジメント研究部 遠藤菜緒子)

企画展『六甲山のきのこ展2010〜リアルな森の妖精たち〜』のポスターが完成しました。
制作デザインは、御影高等学校2年生の吉田咲季子さんです。Photoshop Elementsとタブレットを駆使して見事にデザインされています。前回の御影公会堂でのポスターから、格段にレベルアップしています。メインキャラの娘の髪型もマッシュルームカットに!絵が上手いだけでなく、内容構成できているあたりが凄いです。こちらから注文した『ブラックサタン・魔女風』デザインも、ちゃんとロゴデザインが『黒執事風』で対応。背景画像にも定点観測地の景観がわかる写真を採用しているのもGOO。ナイフにも何気にサインが入っているあたりがプロ志向、素晴らしいです。

poster_kinoko.jpg    0211raster.jpg
(左が前作で、右が今回作です。今回作は、茶色系で統一されてます。)

さて、この企画展は、2月11日から始まります。ただいま準備中。
以下のとおり、先生と生徒が並べ中でして、まもなく完成する見込みです。
tennji3.jpgこのところ、この展示会の準備に追われています。これまでもご紹介してきたように、この展示会は御影高等学校での総合学習の一貫でして(そのレベルをすでに超えてますが・・・)、高校生はもちろんのこと、兵庫きのこ研究会の皆さんの協力というか、全部おまかせでやっているものです。
私の役割は、ちょこっとお手伝いと技術指導だけです。

tennji2.jpg
左の写真にあるように、やっと全部のキノコを並べることができました。今年の展示では、約180種になります(1〜2種扱いに困っているのがまだある)。昨年よりも、物量的に圧倒しております。

展示解説パネルも増えています。
六甲山のキノコの出現種数の予測であったり、雨量との関係性を解析したものもあれば、キノコの水彩画や写真など、いろんなコンテンツが満載です。
兵庫きのこ研究会の岩崎さんによる美しい水彩画も加わり、賑わっています。


本日のメインイベント(工作)は、採れすぎたキノコを使ってのジオラマづくりです。この企画は、高校生からの提案です。ジオラマづくりを指南します。
eki_funyuu.jpg  jiorama2.jpg  jiorama3.jpg
こんな感じで、不飽和ポリエステル樹脂に、御影高校の校長室の前で採った土を乾かして(御影を代表する土です!)、練りあわせて基盤に流し込んでいきます。基盤となる木材は、MDFパネルを使い、端材で枠をつくります。
流し込みは2回に分けて行い、水たまりっぽい印象のところに、粗めの土をまぶせて行きます。

kugi.jpg  kugi2.jpg

あらかじめ、キノコを立てる位置をきめておき、板の裏側から釘をうって、そこにプラスティネーション化したキノコを差し込んで立てます。もちろん、マツの葉や落葉樹のはっぱも上から配置します。
割と簡単にできますので、興味のある方はどうぞ。戦車を置きたいと言って人もいました。

all1.jpgこんな感じ展示会の準備がラストスパートになっています。
きのこに関心のある方は、ぜひ2月11日以降に、ひとはくへお越しください。

(みつはしひろむね/箱庭づくりは癒されます)

1月12日から2月5日まで臨時休館していましたが、
館内ではメンテナンス、つまり館内外で補修や展示の準備、
来年度の「ひとはく手帖2010」の編集作業などが行われていました。

屋上の補修

▲ひとはくの上は橋。というより本館そのものがかつての「深田大橋」そんなわけで天井の上のドームの補修作業が行われました

天井の張り替え

▲天井の張り替えなども・・・

もちろん丹波市では、毎日休みなく発掘作業が続いていたのです・・・

発掘作業

▲第4次発掘作業は毎日行われています。かなり深く掘ってますよね


ラボの作業

▲ラボではクリーニング作業が休館中も毎日続いていました。お疲れ様です(^^)

さて、そんなある日のこと博物館に和服姿のお客様が・・・??

和服とマストドン

▲こんな光景は普段は見られませんね(^^)

これは博物館を舞台にした、ある広報誌の取材でした。

さて、昨日今日と大勢のお客様で賑わったひとはくも明日月曜日は休館日。
そして来週、11日(木・祝)には第5回となる「共生のひろば」が開催されます。

来週もひとはくに、ぜひお越しください。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。
(生涯学習課長 平松紳一)

2月14日は、パレンタインデーでございます。

が、ひとはくでは、バレンタインデーで告白する方もされる方も、まったく関係ない方も大歓迎の「ちんげんさいのスペシャルワークショップ」を開催します。ひとはくでは今年2回目の講談会。P1010646.JPG

 

1月の1回目は今年の干支トラさんが主役。この紙芝居講談は、小学5年生の女の子2人のデビュー作となりました。P1010649.JPG

その名も河南堂小斎(ちいさい)と河南堂野斎(やさい)。 P1010709.JPGなんと、いったん死んでしまいますが、トラさんの秘薬タイガーバームで元気に復活というお母さんと娘の役を好演しました。緊張気味のお二人でしたが、次回はどんな演技を見せてくれるか楽しみです。

 

 

さて、2回目の今回は、現在、丹波恐竜化石第4次の発掘中にちなみ、恐竜さんが主役でございます。

IMG_0887.jpg「恐竜講談で粘土恐竜を作ろう!」と題して、 IMG_0905.jpg恐竜化石から珍元斎がまったくの想像で書き下ろしました講談「ポップダンゴブラザーズ」を聞いて、みんなで想像して、好き勝手に自分だけのおもしろ恐竜を創造しようという趣向で、

IMG_0961.jpg完成後は、設置されているジオラマに粘土恐竜をおいて、みんなで記念撮影します。

 

この恐竜のポップザウルスとダンゴザウルス。20091101EventChara001.jpg

実はひとはく恐竜フェスティバルのキャンペーン恐竜として生み出された恐竜で、はじめはなんとビールを持っていました。 担当の半田研究員の「ビールはねえ。子ども向けやしねえ・・・。」との言葉に珍元斎は「うーん・・・。」

 

 

 

 

 

 

そこで、一緒に考えまして、お祭りといえば、ポップコーンとダンゴというわけで、片手にビールがポップコーンとダンゴに変わり、晴れて、あの昨年のひとはく恐竜フェスティバルのポスターなどのキャラクターとなったのございます。20091101EventChara002.jpg    

 

 

 

もし、たこやきとかいか焼き、わた菓子、フーセンだったら今回の講談も「タコイカブラザーズ」とか「ワタアメフーセンブラザーズ」なっていた訳でございます。

 

 

 

 

ま、それはさておき、

少し内容を紹介しますと、なぜか兄弟として育てられた草食恐竜のポップと肉食恐竜のダンゴ。それぞれその名のとおりポップコーンと草ダンゴが大好きですが、ダンゴはどうしても肉が食べたい気持ちが抑えられず・・・。地球そっくりのの星「ちたま」を舞台にしたファンタジー作品です。

 

現在、紙芝居を制作中で、 P1020332.JPG1月23日には、制作中の珍元斎をクマが襲い、あやうし珍元斎っ!ではなく、サンテレビのクマさんこと速形さんの取材で登場。 P1020356.JPG今回の紙芝居やひとはく手帖用の上田萌子研究員の似顔絵を描く様子を撮影!クマさんは14日の本番も出現します。この模様はサンテレビの夕方のニュースシグナル(2月19日か26日)の中で紹介される予定です。

 

というわけで、2月14日バレンタインデーは、恋人同士はもちろん、片思いの人もまだ恋には早い少年少女たちも、恋を忘れてしまった熟男熟女のみなさんも、恋より鯉がいいあなたも、恐竜講談を見に恋・・・・。うん、いや見にきてください!待ってます。

 

ひとはく謎の講談師 河南堂珍元斎

R0010388.jpg雪の降る寒いなか、本日(2/6)、川のなかに入って手作りによる川の自然再生を行いました。
兵庫県三田土木事務所が開催する、武庫川上流ルネッサンス懇談会というチームで実施しているものでして、ちょっとした工夫で川の自然をちょびっと再生する試みです。
これを、小さな自然再生と呼んでいます。手軽に日曜大工感覚で、川に手を加える訳です。
人間の健康でいえば、マッサージとかツボ押しぐらいでしょうか。

今回の試みは、魚がのぼりやすいように工夫することです。各方面からユニークな方々、スペシャルゲストが集まり、作業は大賑わいでした。作業時間は、朝9時から2時までみっちり。

現場は、武庫川上流の藍本地区にある日出坂の堰です。ここでは、古い井堰があるため、川のなかに段差があり、遊泳能力が乏しい魚は堰を超えて上流に行くことができません。
それで、2つの工夫を行いました。

1つめは、堰自体に簡単な階段上のプールや水がたまる場所をつくることです。
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上の写真のような感じで、急斜面だったところを階段式にして、水をためる訳です。堰の横側にフレームを取り付けて、板を固定します。左上の写真の右側にあるのが新たに設置した堰板です。
作業は全部手作業とはいきませんので、ハンマードリルが大活躍します。

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stone.jpgこんな感じで堰の下側にも石をぴっちり並べます。石には、鉄筋が差し込まれていて(既製品です)、川底にドリルで穴を開けて、そこに差し込みます。
さらに、隙間から水が漏れにくいようにするために、石の隙間には水中ボンド(エポキシ樹脂)を練って詰め込み、小石を噛ませます。ひとつづ丁寧にとめてゆきます。今の時期は、水が少ないので、劇的に魚がのぼりやすい感じに改善されてはいませんが、雨が降って水位がやや上昇すると、石や板が抵抗となって、水がせりあがり、落差が小さくなります。魚が遡上するのは雨のあとが多いので、現状よりは確実に落差は小さくなると思われます。

2つめの方法は、『魚道を造らず、魚道を創る』というオリジナルな技です。
何かというと、この堰の約20mぐらい下流側を石でせき止めて、小さなタマリをつくります。
ちょうど狭くなっている部分を活かして施工します。
R0010401.jpg  R0010406.jpg
石をネットにくるんで、小さなダム(武庫川新規ダムと呼んでいる人も・・・)をつくるわけです。
リレー方式で石を運びます。右上の写真のように、どんどんよどみが出来てみます。
今回の施工だけで約10センチぐらいの水位が上昇しましたので、少し雨がふれば、堰の落差はもっと小さくなると予想されます。このネットの部分に土砂が詰まり、植生が繁茂してくるのを期待しています。

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こんな感じで、約20〜30m区間をかけて川の段差を解消させてゆきました。
魚が上流へと遡上するのは、すこし雨が降って増水したときが多いので、今の見た目以上に段差が解消されるものと思いますが、果たして上手くゆくでしょうか。春先の雨と産卵期に期待です。

上手く行かなかったり、石が流されたりすることも予想されますが、それはそのときに直せばいい。
手づくりの川づくりだからこそ、直しや調整も自分たちで対応できるといった点がポイントでもあります。こうした小さな取り組み、『小さな自然再生』の技法を各地で開発&挑戦中ですので、次は別の事例も紹介してゆきたいと思います。
興味のある方は、今年度末にまもなく発刊されるリバーフロント整備センターが発刊する『FRONTムック』をご覧下さい。小さな自然再生をいろいろと紹介しております。

(みつはしひろむね/ちかごろ工作がつづきます)


今日は久々の開館日。心配された朝の雪はすぐにとけました。

ホロンピアホールでは三田市高齢者大学様の教養講座が行われ、
定員500人のホールは超満員!!みなさんの熱気があふれていました。

三田市高齢者大学様

▲こんなに超満員はなかなかありませんよね(^^;

そして館内では、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎のみなさんが
丹波の恐竜化石発掘現場を見学された後、ひとはくに来られました。

先山研究員の説明

▲先山主任研究員(中央)から説明を受けるみなさん

化石を持ってみる

▲本物と同じ重さの尾椎のレプリカを持って、思わず「重い!」

フロアスタッフとあそぼう「画伯の日」も行われ、
3階の展示室周辺には「未来の画伯たち」が熱心にスケッチしていました。

画伯の日

▲みなさんの力作は館内で展示させていただきます(^^)

明日も
11:00〜デジタル紙芝居「スミスネズミと100年の森」
11:30〜展示室ツアー。「ボルネオジャングル体験ツアー」
14:30〜デジタル紙芝居「スミスネズミと100年の森」
15:00〜フロアスタッフと遊ぼう「画はくの日〜森にいきる(ひょうごのどうぶつ)〜」

そして明日はいろんなセミナーも開催される予定です。
また賑やかになりそうです。

これを読まれたみなさん!ひとはくに、ぜひお越しください。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。
(生涯学習課長 平松紳一)

ひとはくの本館4階の「ひとはくサロン」には、情報コーナーがあります。

映像資料(3D立体地図、バーチャルミュージアム、ビデオ図書館、自然とまち情報)や

クイズに挑戦 などが、パソコン画面(情報端末)で見ることができます。
 

jyouhou.jpg saronn2.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲ 4階の「ひとはくサロン」の情報コーナー

 

さて、その情報コーナーの外(博物館の建物の西側)に面したところは、
ガラス張りになっていて、そこから外を眺めると、深田公園の広い芝生地やまわりの樹林が見えます。


fukatakouen2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▲外を眺めると・・・今朝(2月6日)は雪景色!


 

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▲午前9時ごろのようす

 

10jigoro.jpgのサムネール画像  

▲午前10時ごろのようす

 

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▲午後2時ごろのようす

 

 窓ぎわには、台のような展示物があります。そこには「深田公園 植物情報」と書かれた案内があります。

saronmaru.jpg  syokujyou.jpg▲窓ぎわにある「深田公園 植物情報」の展示物

 

この「深田公園 植物情報」の内容は、月に1回くらいの頻度で入れ替えられています。


案内には、外での「かんさつ場所」と「植物の観察ポイント」などが書かれています。

博物館に来られたときに、外を眺めるついでに見てください。                                                    (できれば、外に出て、植物を観察してもらえると、うれしいです。ただし、外には特に表示などはしていません。)

 

今朝、この「深田公園 植物情報」のため、「ひとはくサロン」で、窓をあけて写真を撮りました。
そうすると・・・(実は、あとで気がついたのですが、)

 

kouenhidari.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲「ひとはくサロン」からみた風景 (雪景色)

 

雪景色の中で、こっちを見て写真を撮っている人の姿が!! 写っていました!!(赤丸の中心部分)

下記の「ひとはくブログ」記事に掲載されている写真を見てください。


<見てほしい写真が掲載されている「ひとはくブログ」記事>
    タイトル 「●今朝のひとはく 〜雪景色!!今日から開館しています(^^)」 
    アドレス http://hitohaku.jp/blog/2010/02/post_612/


その記事の1枚目の写真(ひとはくの建物を写したもの)を注意深くみると・・・
中央付近に窓が1つだけ開いています(黒っぽい小さな四角)。その窓から撮った写真が上記の雪景色の写真です。

そうです。博物館の内外で、同時に(偶然に)写真を撮っていたのです。
久しぶりの雪景色、何人かの館員が写真を撮っていたのでした。

                                       (自然・環境再生研究部 小舘 誓治)

ひとはくは1月12日から臨時休館していましたが、今日から開館しています。

ところが、昨夜からの雪で周辺は真っ白!!


雪のひとはく

▲緑の芝生が一面真っ白に!!

雪の深田公園

 

凍った池

▲博物館北側の「万年氷!?」にも雪がかぶっていました

こんな日はひとはくの館内でゆっくり過ごしてみてはいかがですか?

今日6日(土)、明日7日(日)は、
11:00〜デジタル紙芝居「スミスネズミと100年の森」
11:30〜展示室ツアー。「ボルネオジャングル体験ツアー」
14:30〜デジタル紙芝居「スミスネズミと100年の森」
15:00〜フロアスタッフと遊ぼう「画はくの日〜森にいきる(ひょうごのどうぶつ)〜」

ひとはくに、ぜひお越しください。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。
(生涯学習課長 平松紳一)
 

ひとはくは、現在メンテナンス休館中です。

が!ぼっーとしている訳ではないんですよ。

明後日からの開館に向けて、準備を着々と進めています。(展示の準備をしたり、来年度のセミナー手帖を編集したり・・・。この姿をお見せできないのが残念ですが。)

さて、今日は館の外へ出て、発掘現場の様子を紹介しましょう。

寒いな。と思ったら、雪がちらついていました。

こんな日も、休まず発掘作業は続いています。

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上から見た発掘現場(丹波市山南町)

 

 

 

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作業しているところがとっても急なのが

分かるでしょうか。

 

 

 

今日は、三枝主任研究員から報道関係向けのレクチャーがありました。

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報道陣に囲まれる三枝主任研究員

 マスコミの注目も大!

 

 

骨片が800ぐらいで、保存状態のよい歯もいくつか見つかってるようです。

また、今日は一番寒いぐらいで、今年は天候にも恵まれ作業がしやすいとのこと。お天気の神様、このままよろしくね。

現在、化石を含む泥岩層を上から順に掘り下げて、4次発掘調査予定区域の1/10ぐらいが化石の密集する層に達しているところです。

今のところ、大きな部位は出ていませんが、これから何が起きるか分かりません。

まだまだ期待がもてそうです!

                    小林美樹(生涯学習課)

 

 

hiiragi.JPG 今日は節分.
豆をまいたり,恵方巻きを食べたりする以外にも,ヒイラギの枝にイワシの頭をさして家の角や門などに飾る風習があります.
ヒイラギの葉のトゲは鬼の目をつき刺し,イワシの臭いは鬼が嫌うとされるので,魔よけの役割があるとされているのです. 

 さて,このヒイラギ,老木になるとトゲが無くなってきて,楕円形の丸っこい葉になります.校庭や公園などに植えられている大きめの樹を見てみてください.一部の葉にトゲがないことがあります.
葉のトゲは,自らが動物などに食べられないための防御策.樹が小さい時は,とても鋭いトゲを持っていますが,大きくなると,動物に食べつくされる心配がなくなるからかトゲを持たない葉が増えてきます.

(自然・環境評価研究部 研究員 布施静香)

 

参考:クリスマスの柊と節分の柊は別物です.クリスマスの柊の記事はこちら

 

河南堂珍元斎でございます。

さて、「フラハチ君の冬越し」のその2の一席でございます。

つづいて、冬編。2010年1月24日。すっかり三田は底冷え。フラワータウンも冷蔵庫状態でございます。冬越しと観察のため、大谷研究員の観察箱に引っ越ししたフラハチ君たち。このきびしい寒さの中どうしているか・・・(以下 フラハチ=フ  珍元斎=珍 大谷研究員=大と表記)

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フ:「おっ、久しぶりやな。」

 

珍:女王バチさんは、寒さで産卵停止中。働きバチたちは互いによりそいあたためあっています。美しいですね。絆って感じですねえ。

 

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フ「アホかいな、わしらは、こないでもしとらな生きられへんのんや。女王バチさんが産卵はじめはるまで、なんとかみんなで生き延びていかなあかんさかいなあ。」

 

大:セイヨウミツバチは5千匹はいないと冬越しできないんです。寄り添っても温度の維持ができないんですね。まあ、この観察箱は20度の湯たんぽであったかくしてあるので大丈夫ですが。

 

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珍:えさはどうしてるんでしょう?

 

フ:「ちゃんとわしらが蓄えた蜜を食うとんねん。そやけど、これがなくなったらエライこっちゃなあ。あったかい日には蜜とりにいかんとなあ・・・。」

 

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 大:そのとおりです。温度が8度くらいならじっとしていますが、10度を超えると、ハチたちは飛べるので、なんとか蜜を探しにいきます。冬に活動するのはミツバチたちだけです。DSCF0006.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珍:へえ、寒さにも強いんですね。でも花はあるんですか?

 

 大:2月には梅が咲きます。暖かい日を見つけては、梅の蜜を探しにでかけるはずです。

 

 

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フ:「ひとはくはメンテナンス休館中らしいな。わしらは年中無休やぞ。」

 

珍:館はメンテナンスですが、僕らは働いてますけど。でも虫なのに、2月から働くんですか。ほんまにハタラキバチですね。見習わないと・・・。

 

 

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大:あったかくなるとまた増え始めるはずです。今度は、フラハチの外の巣箱に分けた群を見にいきましょう!

 

珍:フラハチ君!無事冬越しすることを祈っています。仲良くあたためって冬を乗り越えるんですよ。あったかくなったら、またきますね。

 

 フ:「おう、まかしときな!また来いよ。」

 

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では、つづきは春のおたのしみ・・・。

 

河南堂珍元斎でございます。

さて、「フラハチ君の冬越し」の一席でございます。フラハチ君については前のブログ、捕獲大作戦!(その1http://hitohaku.jp/blog/2009/09/post446/ その2 http://hitohaku.jp/blog/2009/09/post_449/ )、飼育中(http://www.hitohaku.jp/blog/2009/09/post_464/)をお読みいただき、

今回はその続きで、秋から冬にけてのレポート!

まずは秋編から。捕獲から2カ月たった11月1日。秋も深まり、冬越しと観察のため、大谷研究員の観察箱に引っ越ししたフラハチ君たち。どういてるかなと巣をのぞいてみました。(以下 フラハチ=フ  珍元斎=珍 大谷研究員=大と表記)

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フ:「あっ、また、へんなおっさんが来たぞ・・・」

珍:女王バチさんは一生懸命1日1,500個の卵をうみ、働きバチたちはそれを喜ぶかのように、女王バチを中心に輪になって踊っています。いや、それとも、お世話をしているのでしょうか?

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フ「アホかいな、わしらは、女王バチさんのにおいをかがしてもろとんやがな。卵産みはったんを喜んで踊っとうわけでも、お世話しとうわけでもないがな。」

大:そうなんです。ロイヤルコートって呼ばれる行動で、働きバチにとって女王バチのにおいは精神安定剤のような効果があるんです。DSCF0442.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珍:あっ、働きバチが帰ってきて巣の中へ・・・・

尻ふりダンスです。自分が蜜をとってきた場所を教えているのでしょうか?

 

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フ:「尻の先はちゃんと蜜をとった方向をさしとうけど、わしら、つい興奮が抑えられず、尻を向けてしまうんやがな。」

 

 大:ダンスは本能的な興奮しての行動で、自分が蜜をとりに行った飛行行動を再現しているように思います。ダンスよりもニオイで伝達されているというほうが現実的かと考えています。

 

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珍:よくよく見ると、背番号がついています。野球でもをするんでしょうか。だれがエースで4番なんでしょう?すごいハチたちですね。

 

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 フ「ちゃうがな、貼られたんがな。そのおっさんに。研究やいうて、わしらが生まれたてで、ハリが固まらんうちに、つかんでボンドでつけられるんや。だいぶん慣れたけど、やっぱ邪魔な気するけどなあ。」

 

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大:はい、刺されないように生まれたての子どもに、1時間で3ミリ×5ミリのゼッケンを50枚くらいつけます。それで、番号別に、ハチの行動を追跡調査して研究しています。

 

 

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珍:あっ、これは日本酒。フラハチたちは研究されているだけじゃかわいそうなので、たまには、ごほうびにお酒もらっているんですね。

 

大:いえ、ハチの群をあわせる時に使います。酔ってにおいがわからなくなるんです。観察のためのは数が多すぎたので、フラハチたちの群をわけるため、お酒で酔わせて群の一部を他の群に合流させました。

 

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珍:へえ。どこにいるか酔ってわからなくなるんですか。僕もたまにありますけど・・・。。さあ、うまく冬が越せるかどうか?乞うご期待。

つづく・・・。

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