ひとはくの研究とは
ひとはくでは、共生博物学に向けた実践的な研究活動を行うために、総合共同研究、部門研究、個人研究という3区分の研究テーマを持っています。
総合共同研究は、県政課題等の解決・提言に向けた大研究テーマを選定し、原則として全研究員が共同で取り組む長期研究です。これまでに、武庫川流域の自然・環境をテーマに分野横断で取り組む「武庫川研究」や「公園都市研究」、「六甲山研究」などが行われ、成果の一部は書籍などにもまとめられています。部門研究はひとはくの研究部門毎に時代の潮流を探るためのもので、代表的なものとして「丹波の恐竜化石」「ワイルドライフ・マネジメント」や「里山管理」などがあります。 個人研究は、個性的な研究員の持ち味を活かすもので、その成果は学会発表などの学術交流はもちろん、セミナーや企画展をはじめ、あらゆる館の事業の源泉となっています。
最近では、丹波地域をはじめ兵庫県内で発掘された各種化石に関する研究が注目を集めています。これらの詳しい内容は下記のページをご覧ください。
恐竜化石等の情報
研究に関する最近のニュース
2023年(令和5年)のニュース
- 兵庫県におけるミズコバギボウシの初記録(令和5年7月)
- 白亜紀中期のミャンマー琥珀から発見されたトコジラミ上科カメムシ類の新属新種とその異質なオス交尾器に関する示唆(令和5年7月)
- 日本の太平洋岸における外来フジツボの緯度勾配に沿った遺伝的変異の欠如と時間的な安定性(令和5年6月)
- アズキゾウムシの実験進化においてメスでのみ見られた再交尾率と交尾時間の応答(令和5年6月)
- 2種目の幻の水生ハムシ~キタキイロネクイハムシを青森県から再発見~(令和5年4月)
- 同種個体の微かな化学的痕跡はフジツボ幼生の着生を遅らせる(令和5年4月)
- 防風林の管理と景観は、チョウ類や開花植物の多様性維持に貢献している(令和5年4月)
- 万葉集の植物に関する考察2:わすれぐさ(令和5年4月)
- 交雑により駆動される棲み分けの進化にオスとメスが果たす役割は異なる(令和5年4月)
- モノテルペン-フランのハイブリッド分子の化学合成と付着生物阻害活性(令和5年4月)
- 橋本佳明 元 主任研究員(現 兵庫県立大学特任教授)が、日本応用動物昆虫学会 第9回(2023年次)論文賞受賞(令和5年3月)
2022年(令和4年)のニュース
- 日本では61年ぶりとなるガロアムシの新種を北海道から発見(令和4年12月)
- 南日本における萌芽林および人工林の植物の組成と多様性:生物多様性保全に向けて (令和4年10月)
- 国内希少野生動植物種における保全遺伝学研究の基盤としての遺伝情報 (令和4年10月)
- 水田雑草アメリカキカシグサ(ミソハギ科)の初帰化年の整理および四国・九州への新帰化 (令和4年10月)
- タンガニイカ湖に生息するTelmatochromis temporalis(カワスズメ科;カワスズメ目)の新しい生態型 (令和4年10月)
- 同種個体のかすかな化学的痕跡はフジツボ幼生の着生を遅らせる ~フジツボの生態解明から付着防除技術の開発にも期待~(令和4年9月)
- 防風林の管理と景観によって、チョウ類や開花植物の多様性が守られている(令和4年7月)
- 高精度に植物標本の自動判定を行うシステムの開発 (令和4年7月)
- 海岸の地中に生息するイソチビゴミムシにおける海流分散の可能性 (令和4年7月)
- 現在進行中の生態的種分化におけるマジック・トレイトの量的遺伝子座のマッピング (令和4年7月)
- AI画像認識システムを用いた植物の種名判定システムを開発 ~熟練した技術が必要な種の判定のサポートに期待~(令和4年6月)
- 気密性の低い段ボール箱でのマイクロカプセル化わさび成分シートによるヒアリ忌避効果の証明(令和4年4月)
- 海浜植物イソスミレの種子休眠・発芽に及ぼす温度の影響 発芽フェノロジーと冬季温暖化への応答 (令和4年4月)
- 万葉集の植物に関する考察1:たまも (令和4年4月)
- 目指せ!絶滅危惧種ミヤマシロチョウの復活 個体群の復活に適した再導入源を、遺伝解析から解明(令和4年3月)
2021年(令和3年)のニュース
- 兵庫県立大学附属中学校連携事業プロジェクト学習における絶滅危惧植物の発見報告(令和3年12月)
- 篠山層群より発掘されたトカゲ類化石の記載論文の出版および臨時展示の実施(令和3年11月)
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中濱研究員が10月29日(金)開催の「デジタル進化生物セミナー」に講演者として出演(令和3年10月)
※見逃し配信はこちらからご覧ください。 -
中山間地域での企業参入による経営耕地面積の拡大要件
-兵庫県養父市における農外参入企業11社への聞き取り調査より- (令和3年9月) - 東アジア・東南アジア産シダレウニゴケ(ウニゴケ科)とその近縁種の再検討 (令和3年9月)
- 私見:万葉集(巻16-3834)の解釈 (令和3年9月)
- 保全遺伝学の材料として重要な博物館標本 (令和3年9月)
- 生態学が上手くいかないとき:どのように繁殖時の相互作用が多種共存を促進するか (令和3年7月)
- 植物標本デジタル画像化の手法とOCRによるラベルデータ自動読み取り手法の開発 (令和3年7月)
- 淡路島より発見された恐竜化石の記載論文の出版および臨時展示(令和3年4月)
- 野生のサギソウ生育地で栽培品種由来の遺伝子を検出-遺伝解析から明らかになった、遺伝的撹乱の実態と拡散リスク(令和3年4月)
- 苔類ジャゴケ属(ゼニゴケ目,ジャゴケ科)の系統再検討 (令和3年4月)
- 博物館における総合的な新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン策定の提案 (令和3年4月)
- 日本固有種かそれとも日中の隔離分布種か? オチフジ(シソ科)に関する研究 (令和3年4月)
- 性選択はオス形質とメス形質の進化を介して産仔数を増加させた (令和3年4月)
- 托卵ナマズによる水中産卵シクリッドへの托卵 (令和3年4月)
- 橋本佳明研究員が3月24日(水)開催「外来種問題と企業活動の関わりを考えるウェビナー」に講演者として出演(令和3年3月)
2020年(令和2年)のニュース
- 繁殖をめぐる競争へのオスたちの適応がメスの産仔数を増加させる複数の機構を、実験室内での進化実験により解明(令和2年12月)
- 中濱研究員が12月23日(水)開催のバーチャル研究会「生物多様性のDNA情報学」に講演者として出演(令和2年12月)
- 草原内の防鹿柵の設置により、植物と昆虫の多様性が回復する (令和2年12月)
- 博物館と生態学(32)自然史標本の価値と情報をすべての人に (令和2年12月)
- 大阪府にヒメミコシガヤは産しない (令和2年12月)
- アリ擬態によるアリグモ属の捕食能力の制約 (令和2年12月)
- 隔離強化が種認識ではなく棲み場所の好みによって生じる時により容易に種が共存する (令和2年12月)
- あまりに、そっくりに化けると損もする-アリそっくりに擬態するアリグモ属が、擬態によって跳躍力や獲物の捕獲能力を低下させていることを発見(令和2年10月)
- 森のシカは、夏は落ち葉を、冬は嫌いな植物を食べて生きぬく-シカ糞の遺伝情報から、シカの食べる植物の季節変化を解明-(令和2年10月)
- 特定外来植物「ヒガタアシ」の日本への侵入経路を解明-原産地の北米東部から中国を経由した二次的な経路で侵入-(令和2年9月)
- 種内適応荷重:多種共存のメカニズム (令和2年9月)
- 地方公共交通分野へのソーシャル・インパクト・ボンドの導入可能性と運用スキームの提案 (令和2年9月)
- 育雛期間の進行に伴うアオバズクNinox scutulata japonicaの給餌内容の変化 (令和2年9月)
- マイクロカプセル化ワサビ成分のヒアリ燻蒸効果 (令和2年9月)
- 絶滅の危機に瀕したある日本淡水魚のddRADを用いた集団遺伝と系統 (令和2年9月)
- お花畑の保全は、植物多様性の保全につながるのか―文化的サービスと生物多様性の保全を両輪で推進するための計画―(令和2年8月)
- 篠山層群より発掘された獣脚類恐竜の卵・卵殻化石、ヒメウーリサス・ムラカミイのギネス世界記録への認定(令和2年8月)
- 140万年前のホモ属の卓越した技術を解明―エチオピア、コンソ遺跡出土の骨製ハンドアックスを詳細分析(令和2年7月)
- 自然界の「ムダの進化」が生物多様性を支える~生物種の個体数増加に寄与しない利己的な性質の進化が導く多種共存~(令和2年7月)
- 但馬地方に生息するニホンイヌワシの繁殖成功(令和2年7月)
- 絶滅危惧種ニッポンバラタナゴの保全に関する論文の出版および臨時展示の実施(令和2年7月)
- 篠山層群より発掘された獣脚類恐竜の卵・卵殻化石の記載論文の出版および臨時展示の実施(令和2年6月)
- 淡路島・和泉層群から発見された海鳥化石に関する論文の出版および臨時展示の実施(令和2年6月)
- 髙田主任研究員が令和元年度土木学会賞(論文奨励賞)を受賞しました。(令和2年5月)
- 書籍「外来アリのはなし」(編:橋本佳明 主任研究員)の出版(令和2年5月)
- マイクロカプセル化ワサビ成分を安全、簡便なヒアリ燻蒸・殺虫法に活用する研究成果の発表(令和2年4月)
- シカの侵入を防ぐ柵(防鹿柵)の設置は草原の植物や昆虫の多様性を回復させることを解明しました。(令和2年4月)
- 中瀬館長が令和2年度(第14回)「みどりの学術賞」を受賞することが決まりました。(令和2年3月)
- 「資料の管理と活用」ページを新設、新規技術の開発と社会貢献について記載します。(令和2年3月)
- ヒロハコモチイトゴケ種複合体の系統分類学的再検討によって判明した3新属(蘚類,コモチイトゴケ科)(令和2年3月)
- タンガニイカ湖に生息する、貝を産卵に使用するシクリッドの色彩変異(令和2年3月)
- ウスギナツノタムラソウ及び種内分類群の分類学的研究:レクトタイプ指定と新変種の提案(令和2年3月)
- 砂浜海岸における維管束植物の種数ー面積関係:海浜植物相の保全に向けて(令和2年3月)
- 遺伝情報を長期保存できる昆虫乾燥標本の作製方法を新たに開発(令和2年3月)
2019年(令和元年)のニュース
- 遺伝情報を長期保存できる昆虫標本の作製方法を新たに開発-「遺伝資源」としての昆虫標本を次世代に-(令和元年12月)
- わさび vs. ヒアリ:マイクロカプセル化わさび成分のヒアリ忌避剤としての有効性のベイトトラップを使った検証.(令和元年11月)
- 兵庫県南東部のアカマツ・コナラ二次林におけるカキノハグサの生育立地特性(令和元年11月)
- ハワイ諸島と台湾からそれぞれ見つかったオオタマコモチイトゴケ属Aptychellaの2新種(令和元年11月)
- 伊豆諸島固有種ニオイエビネと広域分布種ジエビネの自然交雑(令和元年11月)
- 聴覚失認者に認知しやすいチャイム音は存在するか―視覚刺激と数値計算の負荷による検討― (令和元年11月)
- 恐竜は群れで巣を守っていた! ~モンゴル ゴビ砂漠でアジア最大規模の獣脚類恐竜の集団営巣跡を発見~(令和元年7月)
- 小・中規模植物標本庫に適用可能な、簡便・低予算で最低限の画質を担保した植物標本画像撮影方法の開発 (令和元年6月)
- 海浜植物ウンランの海流散布の可能性 (令和元年6月)
- 自然系博物館における小さな子ども向けの日「Kidsサンデー」の設定とその初期効果 (令和元年6月)
- 岡山県に侵入した侵略的外来種アルゼンチンアリの防除に向けた、遺伝子型の同定 (令和元年6月)
- 近畿地方初記録の絶滅危惧植物、コツブヌマハリイ (令和元年6月)
2018年(平成30年)のニュース
- 中部ミャンマーの上部新生界より産出した長鼻類化石の新標本について(平成30年9月)
- 兵庫県新産のタマムラサキ(ユリ科)(平成30年6月)
- ヘスペロルニス目:最古の潜水鳥類の起源と進化(平成30年4月)
- 言語音の認識が難しい高次脳機能障がい者が理解しやすい災害放送とは?-肉声への非言語情報の付加に注目して-(平成30年3月)
- Function of nuchal humps of a cichlid fish from Lake Tanganyika:inferences from morphological data(平成30年1月)
研究テーマ
研究部門ならびに研究員の個々のテーマについては、下記の紹介ページをご覧ください。
![]() 山の中で発電機を回し、灯に集まる昆虫を採集しているところです。ブラックライトを用います。 |
![]() 「ミクロトーム」を用いて、木材標本の切片を切っているところです。 |
![]() 氷河時代からの環境変化を調べるため、数万年にわたる湿原の積物を、ボーリング調査によりサンプリングしています。 |
![]() DNA分析用サンプルを調製しているところです。 |
![]() 地層の堆積のようすを記載し、花粉などの分析用サンプルを壁面から採取しています。 |
![]() 里山の現状や変化をくわしく調べるためには、土壌や植生の調査が必要です。コナラの木の胸高直径を測定しているところです。 |
研究に関する規程等
公的研究費の管理・監査体制、および研究倫理に関する規程等を公表します。