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ひとはく研究員の発表論文紹介(2024年)

化石クリーニングにおける到達困難な空間への挑戦:世界最小の削岩機「和田式エアースクライブ」の開発

論文名:The challenge of hard-to-reach spaces in mechanical fossil preparation: Development of the Wada air scribe,a novel short-bodied air scribe with an adjustable handle
著者名:田中 公教・ 和田 和美・新谷 明子・池田 忠広
公表雑誌名:Palaeontologia Electronica、 27巻1号、1-19、2024年
doi10.26879/1296
内容紹介:エアースクライブは、化石クリーニングで使われるペン型の削岩機です。従来だと10 cm 以上の長さがあり、複雑な形の化石や顕微鏡下での作業がしづらいという課題がありました。そのため、本研究では世界最小かつハンドルを取り付けることで作業角度を調整できる「和田式エアースクライブ」を開発しました。この新型エアースクライブによって、これまで到達困難だった空間や顕微鏡下での化石クリーニングを効率よく行うことが可能になりました。
詳細はこちらのページをご覧ください。→→https://www.hitohaku.jp/infomation/news/hard-to-reachspaces.html

アマナ属(ユリ科)の種認識

論文名:Species delimitation in Amana (Liliaceae): transcriptomes battle with evolutionary complexity
著者名:M.-Z. Wang, J. Wu, S.-L. Zhang, L.-M,Mao, T.Ohi-Toma, A. Takano, Y.-H. Zhang, K. M. Cameron, P.Li
公表雑誌名:Cladistics 2023 1-22. doi:10.1111/cla.12565
doi10.1111/cla.12565
内容紹介:アマナ属は東アジアに分布し、全ての種が春植物(スプリングエフェメラル)と呼ばれる早春に開花し夏までには地上から姿を消す植物です。アマナ属の分類は度重なる種間交雑や遺伝子浸透、形態形質の平行進化などにより複雑なものになっていましたが、本研究では外部形態、染色体数、トランスクリプトーム解析等を行い、アマナ属には少なくとも12種が認められ、うち一種は新種であることを示しました。
早春に咲くアマナ(Amana edulis)

群集動態によって駆動される実現ニッチ幅の多様性の進化

論文名:Evolution of realized niche breadth diversity driven by community dynamics
著者名:Daisuke Kyogoku
公表雑誌名:Ecology Letters、 27巻1号、e14369、2024年
doi10.1111/ele.14369
内容紹介:様々な環境や餌を利用する生物もいれば、限られた環境や餌だけを利用している生物もいます。こうした「利用する環境や餌」の多様性がなぜ生じるのかを、コンピューターシミュレーションで検討したのがこの論文です。場所や餌の好みの進化が、生物の個体数に強く影響されることなどが予測されました。この研究はとくにチョウ類などの植食性昆虫を想定していて、実際に昆虫で報告されているパターンをうまく説明することができます。
シミュレーションで得られる「利用する環境や餌」の
多様性の例。昆虫1は2種類の植物を利用しています
が、昆虫2は1種類の植物しか利用していません。


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