サイトマップ |
文字サイズの変更

ひとはく研究員の発表論文紹介(2021年)

苔類ジャゴケ属(ゼニゴケ目,ジャゴケ科)の系統再検討

論文名:Phylogenetic re-examination of the genus Conocephalum Hill. (Marchantiales:Conocephalaceae)
著者名:Akiyama, H. & Odrzykoski, J. R.
公表雑誌名:Bryophyte Diversity and Evolution 42 (1): 1-18. 2020
内容紹介:この研究は,世界に分布するジャゴケ属について調べたものです.ジャゴケConocephalum conicumは,以前は世界に1種だけがあって,これが広く北半球に分布すると考えられていました.遺伝子の塩基配列の違いに基づき,ジャゴケ属には世界で少なくとも6種があり,形態でも識別されることが明らかとなりました.日本にはこのうちの4種が分布しています.さらにこれまで同じジャゴケ属とされたヒメジャゴケが別属Sandeaであることもわかりました.
(2021年4月発行)
世界のジャゴケ属植物たち.AとBは日本で一番良く見かけるオオジャゴケです.

博物館における総合的な新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン策定の提案

論文名:博物館における総合的な新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン策定の提案
著者名:橋本佳延・鬼本佳代子・丸山啓志・高尾戸美・邱君妮
公表雑誌名:博物館研究 56(2)、25-28、2021年
内容紹介:日本の多くの博物館が参照している新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドラインは健康被害の回避といった直接的な影響を緩和する対策については触れられていますが、感染症対策によって生じる間接的な影響や博物館の持つ価値う失わせるような影響についての観点が欠落しています。本研究では、対策の副作用、科学的対応、社会的包摂性、リスクコミュニケーション、博物館経営の持続可能性、野外活動での対応の検討などガイドラインに新たに加えるべき視点を整理し、具体的な記述内容について提案しました。
(2021年4月発行)
図 感染症ガイドラインに望まれる追加の視点

日本固有種かそれとも日中の隔離分布種か? オチフジ(シソ科)に関する研究

論文名:A narrow endemic or a species showing disjunct distribution? Studies on Meehania montis-koyae Ohwi (Lamiaceae)
著者名:A.Takano, S.Sakaguchi, Pan Li, A.Matsuo, Y.Suyama, G.H.Xia, X.Liu, Y.Isagi
公表雑誌名:Plants 9巻,1159, 2020年 DOI:10.3390/plants9091159
内容紹介:本論文は、日本国内では兵庫県にのみ現存がしられる希少種オチフジが2011年に中国から新産報告されたことを契機に、日中のオチフジを同種とするべきかどうか、核遺伝子座の塩基配列やNGS(MIG-seq)を用いた分子系統解析、集団遺伝解析、分岐年代解析、および日中の植物標本庫での標本調査に基づいて検討しました。結果、日中のオチフジは中新世後期に分岐しその後遺伝的交流がないこと、明瞭な形態的差異がみられることから別種と結論しました。
(2021年4月発行)
日本のオチフジ

性選択はオス形質とメス形質の進化を介して産仔数を増加させた

論文名:Sexual selection increased offspring production via evolution of male and female traits
著者名:Daisuke Kyogoku、 Teiji Sota
公表雑誌名:Journal of Evolutionary Biology、34巻3号、501-511、2021年
内容紹介:この研究では昆虫のアズキゾウムシを21世代にわたり実験的に進化させました。その結果、オス同士が繁殖機会をめぐって競争すると、オスの性質だけではなくメスの性質も進化し、メスが残す子孫の数が増加することが明らかとなりました。ほかにもオス、メスともに体が大型化するなどの進化も見られました。オス同士の繁殖機会をめぐる競争はさまざまな分類群で広く見られるため、同様の現象はさまざまな種で見られるものと期待されます。
(2021年4月発行)
実験に用いたアズキゾウムシ

托卵ナマズによる水中産卵シクリッドへの托卵

論文名:Brood parasitism of an open-water spawning cichlid by the cuckoo catfish
著者名:Tetsumi Takahashi ・ Stephan Koblmüller
公表雑誌名:Journal of Fish Biology, 96: 1538-1542
内容紹介:托卵はカッコーなど鳥類では一般的ですが、それ以外の脊椎動物ではほとんど見られません。唯一の例外が、タンガニイカ湖に固有な托卵ナマズです。このナマズは、口内保育を行うシクリッドが湖底に産卵し、その卵を口内に入れる際に、自分の卵を紛れ込ませます。湖底での産卵が托卵するのに重要なのですが、なぜか湖底で産卵しないシクリッドの口内からも、托卵ナマズの稚魚が見つかりました。どうやって托卵したのかは不明ですが、新たな生態の発見ということで発表しました。
(2021年4月発行)
托卵された親魚(上)、その稚魚たち(下左)、そして親魚の口内にいた托卵ナマズの稚魚(下右)


Copyright © 1992-2021, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, All Right Reserved.