ひとはくでは、「国際生物多様性年」の今年,生物多様性体験ツアー「ファーブル生誕地南仏アベロンの生物多様性と世界最大の昆虫館ミクロポリス探訪」を実施します。じつは,2008年,ひとはくで「ファーブル展」を開催したときに,アベロン県副知事やミクロポリス館長をシンポジウムに招聘するため,現地に赴き,今回のツアーの予行演習をしてきたので,そのときの写真を交えて,今回は,ツアーのみどころを紹介していきたいと思います。

 

 さて,このツアーの魅力のひとつは,なんといってもファーブル生誕地を訪ねることでしょう。ファーブルが生まれたアベロン県サンレオン村には,彼の生家が小さな博物館としてそのまま残されています。外観はもちろん,家の中もファーブルがつかっていたベッドや暖炉などが当時のままに復元されています。周囲の風景も当時と大きくは変わっていないとのことで,詩情豊かな昆虫記を生み出した原郷をタイムマシン感覚で体験することができます。また,アベロン県は赤ワインやフォアグラで名産地として知られる農業地帯です。小高い丘を背景にぶどう畑や牧場が延々と広がる風景を楽しみながら,当地のおいしい名産品をたのしむのも,このツアーの魅力です。農村風景だけでなく,アベロン県では農産品の質と安全性を守るために環境保存にも取り組んでおり,サンレオン近くにフランスでは数少ない湿地保護区が設けられています。湿地に咲く美しい花々やそこを訪れる昆虫たち。南仏の貴重な自然にもふれることもできるツアーです。

 

 フランス・パリを訪れたことがあっても,ファーブル生誕地アベロン県サンレオンまで足をのばす機会はなかなか無いのではないでしょうか。今回のツアーでは,パリからアベロンまで,鉄道TGVを使って移動します。TGVはフランスの新幹線。ただ,日本とちがって,在来線を走る特急列車です。パリから南仏に向かって変って行く風景を車窓から眺めて,フランスの自然や風土の多様性を楽しめるのもツアーの魅力です。みなさんといっしょに,南仏アベロンに出かけていきたいと考えています。是非,この機会に生物多様性体験ツアー「ファーブル生誕地南仏アベロンの生物多様性と世界最大の昆虫館ミクロポリス探訪」に,ご参加ください。

 

 

sono2-1.jpgファーブル生誕地サンレオン。小高い丘の向こうには牧草地が広がっています。

 

 

 

 

sono2-2.jpgファーブルの生家内には,ファーブル一家が使っていて食器や家具等とともに,ゆかりの人々の肖像写真が飾られています。

 

 

 

 

 

sono2-3.jpgファーブルのベッドも復元されています。ファーブルの生家は一部屋しかない,ビックリするほど小さな家でした。貧しい暮らしの中から,あの詩情豊かな自然観察の感性がどのように生まれたのか,不思議な気がします。

 

 

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ファーブルが使っていた木靴や長靴も展示されていました。小柄な人であったことがわかります。

 

 

 

 

sono2-5.jpgファーブルがハチの生態研究につかった観察箱が生家の庭に展示されていました。この方法は,今でも受け継がれていて,わたしも,同じ方法でハチの生態を研究しています。

 

 

 

sono2-6.jpgサンレオンの地元では,湿地の保全にも取り組んでいます。

 

 

 

 

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わずかに残された貴重な湿原には,小さな美しい花々が咲き誇っていました。

 

             (自然評価研究部 昆虫共生系 橋本佳明)

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