春の日に川の土手を歩いているとピュルと鳴きながら地面から飛び上がる鳥がいます。見ていると、複雑な歌い回しで(とても文字にはできない)さえずり続けながらちょっとずつ上空へと舞い上がっていきます。どこまでのぼっていくのだろうか?首の後ろが痛くなってきました。青い空の高い所に小さなしみのような影になって、ヒバリはいつまでもさえずり続けています。

 

 

photo_1.JPG(写真1)飛んでいるヒバリ

 

ヒバリは、河原や田畑、草原など開けた草地にすんでいます。地上にいるときは、うすい茶色に黒の細かい模様があるため、なかなか見つけけることができません。この鳥は冒頭のような特徴的な行動をします。これは、ほかのヒバリに自分のなわばりがあることを伝えるための行動だといわれています。ヒバリが、さえずりながら再び地上に降りてくるまで数分、時には10分間、彼らはさえずり続けるのです。

 

 

photo_2.JPG(写真2)地上にいると見つけられない

 

ヒバリは、昭和生まれの人間には非常に馴染みの深い鳥です。昭和の大スター美空ひばりさんのおかげでもあります。でもそれだけではありません。かつて家のそばまでずっと広がっていた田畑は、丈の低い草地を好むヒバリにとって、とてもすみやすい環境でした。また、肥えた土にはエサとなる虫も多かったのでしょう。しかし、都市化にともなって田畑は少なくなりました。特に大都市である東京では、ヒバリがずいぶん減少したといわれています。この傾向は、日本だけでなくヨーロッパでも見られています。

 

 

photo_3.JPG(写真3)ヒバリのいる環境

 

ひとはくの近くでは、『恐竜ラボ』裏手の空き地にすんでいます。もしかしたらニュータウンとして造成された空き地は、田畑の代わりにヒバリのすみかとなっているのかもしれません。エサとなる動植物が多ければなおのことよいのですが。

さて、平成の子供たちはどれくらいヒバリを知っているのでしょうか?散歩中に「ピュルリリピュルリリ・・・」と何やら切羽つまったような鳴き声が聞こえてきたら、子供たちとともに空を見上げてヒバリを探してみてください。春先を過ぎると地上でさえずることが多くなるので、春の風物詩といえるでしょう。

 

遠藤菜緒子(自然・環境マネジメント研究部)

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