年配の方から、「昔は、蚊帳(かや)の中に虫(ホタルなど)を放して遊んだものだ」と聞くことがあります。

そこで、体験型展示として、「蚊帳遊び」を取り入れてみました。
即席の生体展示です。

「ひとはくサロン」で、六畳用の蚊帳をキャンプ用のタープにセットし、炎天下、お昼休みに深田公園でつかまえてきた虫たちを放しました。
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もちろん、メインは、観察ではなく、蚊帳の中に入って昆虫たちを手に取ることです。
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「初めて昆虫をさわった」という小さなお友だちもいました。セミをじっくり観察している子もいました。トンボに噛まれて、トンボが肉食であることを知った子もいました。
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ひょっとしたら、蚊帳の中で遊ぶこどもたちの表情こそが、いちばんの「展示」かもしれません。

生きものの「感触」は、図鑑やインターネットではわかりません。
しかし、虫をさわっていいのか、どうやってさわるのか、こどもたちも親御さんもご存じないことが多いです。この夏はぜひ、昆虫にふれて、生きものを感じてほしいと思います。

「楽しい蚊帳遊び」は、明日19日(木)も開催します。13時から15時です。
今日活躍した虫たちは、公園に放しました。おつかれさま。明日は、また、私がつかまえます。

この機会を逃した方は、23日(月)までの「神戸元町・夏の昆虫館」にぜひお越しください。
佐用町昆虫館では、いつでも、生きた昆虫に触れることができ、周囲で虫とりができます。ただし、4月から10月の土日祝日のみの開館です。


* * * * * * * * * * * 蚊帳遊びのポイント * * * * * * * * * * * * * * 

この蚊帳は六畳用の市販品です。ネットで購入できます。
ワクはキャンプ用の折りたたみ式タープです。これもネットでもホームセンターでも購入できます。
蚊帳は通常四隅を吊り下げますが、タープにすっぽりかぶせることで天井が高くなり、昆虫は、こどもたちの容赦ない攻撃から避難することができます。

蚊帳に入れる昆虫は、セミ、トンボ、チョウ、バッタなどです。
なるべく飛翔力のある種、樹上や草上で生活する種、こどもたちがさわっても安全な種、体が頑丈な種を選定しています。地表で活動する昆虫やすぐに落下する昆虫は、こどもたちに踏みつぶされやすいです。
これらを判断できる指導者が昆虫を選定する必要があります。

遊びのときは、必ず大人のスタッフによる指導助言が必要です。こどもたちだけだと、蚊帳の中でアミを振り回したり、時に残酷な行為をしてしまうことも・・・でも、彼らは悪くありません。こどもはそういうものです。
一度に蚊帳に入れる人数を制限することも重要です。

昆虫は、蚊帳から逃げます。逃げても困らない場所で実施することです。
屋外でも可能ですが、直射日光の当たる場所は、昆虫がすぐに弱るため、不向きです。


廃れてしまった蚊帳ですが、蚊帳があれば、殺虫剤を使う必要がなく、各部屋の窓を開けて風を通せるので閉め切った部屋でエアコンを使う必要もありません。保育園のお昼寝の時間に活用されるなど、その機能は、最近、見直されつつあるようです。

みなさんも、試してみられては?


八木 剛(自然・環境評価研究部)
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