岩槻邦男のコラム9

2009年10月14日

 10月は自然の季節の分かれ目でもありますが、人が設定した年度の上半期から下半期への移行期にもあたります。最近では、衣替えという言葉は流行りませんが、エコスタイルと呼ばれる服装から旧来のすがたに戻る時で、男性はネクタイを締め直す季節です。国のエコスタイルはなかなか徹底しませんが、先行していた兵庫県では遥かに徹底しており、周囲に気を使う心配もなく、安心してエコスタイルをとることができるようになりました。国では9月も自動的にエコスタイルが要望されますが、県は6月、9月は各個に状況判断をすることになっています。現実には、東京ではネクタイ派が多いのに対して、兵庫県ではエコスタイルが断然優勢だったように見ました。

 年度の半ばに達した時ですから、10月のひとはく月例報告会では、09年度の前半を見通しながら先月の実績を評価しました。単年度の中間というだけでなく、ひとはくでは新展開第2期5年間のちょうど中間に当たる時でもあります。5年の目標値の半分が達成されたかどうかを確かめ、達成されていないとしたら何が問題だったかが洗い出されないといけません。第1期では、目標値の設定自体にさまざまな問題が含まれていましたが、第2期では、第1期の経験に基づいて目標値を設定していますので、自己評価に向けて下手な言い逃れはできません。

 ひとはくの外の動きを見ますと、今年度の上半期には、県では知事選もありましたが、国政選挙では変革も刻まれました。これが吉と出るか、凶につながるか、変革を演出した国民の参画と恊働を含めて、厳しい行動が求められます。もっとも、一足早かった change は、もうノーベル平和賞で顕彰もされています。変えようと思うこと自体が、未来をつくる夢を育てることであり、未来へ向けての重要な一歩を刻んだことだからでしょうか。

 ひとはくの新展開は最初の5年を終え、第2期も峠にさしかかりました。ここまで来ると、活動は日常化し、試行錯誤から脱却しますから運用は効率的になります。誉めていえばそうですが、逆にマンネリ化してはじめの意欲が吹っ飛んでしまうのも人間の弱さの現れです。その意味でも、節目ごとに現在を洗い直し、初心に戻ることが肝要であり、ひとはくの月例報告会はその役割を有効に果たしているものと、10月の第2金曜日に実感しました。(月例報告会については、このブログの第4回に、現状をちょっとだけ紹介しました。)
 ひとはくの新展開は、企画されただけでも顕彰に値するものだったはずです。さらに、第1期の実績も、それ相当に評価されてもよかったはずです。しかし、残念ながら、それが客観的に評価されるほど世の中は進んでいません。もっとも、客観的な評価というのは、何かで顕彰されるようなことだけではないはずです。ありがたいことに、ひとはくの活動は県内でも識者には徐々に認知してもらえているようですし、業界内でも相応に評価していただけていると、私は勝手に自負させてもらっています。ひとはく内で、諸々の制限、困難に遭遇しながらも、前向きな企画がひとつひとつ積み上げられているのも、構成員の自信とやる気の現れでしょう。その成果がもっとも大きな収穫です。

 ひとはくが発信するさまざまな事業のうちで、セミナーは『ひとはく手帖』で紹介されているように多彩に展開しています。昨年度はわたしも10回シリースに取り組みましたが、三田に遠くて参加いただけない人にも活動内容の一面を知っていただけるように、内容の一部を紹介する『生物多様性のいまを語る』という書を研成社から上梓しました。宣伝を兼ねてになりますが、ひとはくの情報発信活動のひとつを見ていただくために報告します。ひとはくの活動に、檄を飛ばしているだけでなく、自分も参画しているという歓びを実感してもいます。


岩槻邦男(人と自然の博物館 館長)

 

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