ひとはく研究員の発表論文紹介(2026年)
土砂給源域と堆積域の宇宙線生成核種10Beを用いた隆起山地における地形発達史の復元
論文名:Reconstructing long-term landscape evolution of an uplifting mountain using cosmogenic 10Be in a sediment source-sink system著者:太田義将・松四雄騎・加藤茂弘・松崎浩之
雑誌の情報:Earth and Planetary Science Letters、690巻(120157)、2026年
DOI:doi.org/10.1016/j.epsl.2026.120157
内容紹介:本研究では、六甲山地の小流域において河床縦断面形や流域斜面の地形解析を進め、また河床堆積物中の宇宙線生成核種10Beの濃度を基に各流域の侵食速度を明らかにしました。次に、理論的地形学モデルを用いた解析により、山麓の活断層運動による六甲山地の段階的な隆起の加速と、それに応答した流域の侵食速度の増加による河床堆積物中の10Be濃度の時間変化を推定しました。また、対象流域からの流出土砂が堆積、保存された大阪湾沿岸部で掘削された摩耶埠頭580mボーリングコア(MYコア)を用いて、過去100万年間における堆積物中の10Be濃度の時間変化を明らかにしました。最後に、これら2種類の10Be濃度の時間変化を比較し、両者がおおむね一致したことから、地形学モデルを用いた地形解析の妥当性を検証するとともに、六甲山地の隆起過程と隆起に伴う山地地形の時間変化を明らかにしました。この研究は、侵食域である山地流域(Source)と、侵食・運搬された堆積物が蓄積、保存された堆積場(Sink)を結び付けて山地の地形発達過程を明らかにした重要な成果です。
詳細はこちらのページをご覧ください。→→https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-06-19-7
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兵庫県武庫川のドジョウにおける外来rag1アリルの検出
論文名:Detection of a non-native rag1 allele of Misgurnus anguillicaudatus in Muko River System, Hyogo著者:木村 亮太 ・ 高橋 鉄美
雑誌の情報:人と自然、 36巻、16-20、2026年
DOI:doi.org/10.24713/hitotoshizen.36.0_16
内容紹介:日本のドジョウと大陸のドジョウは、同じ種とされていますが、実は遺伝的に大きく異なります。本研究では、武庫川のドジョウを遺伝的に調べ、兵庫県では初めて、大陸のドジョウが入り込んで日本のドジョウと交雑していることを、明らかにしました。このような交雑は、大阪府などでも確認されています。ペットや釣り餌など、販売されているドジョウを放流することは、絶対にしないでください。同じ種であっても、このような問題が生じるのです。
詳細はこちらのページをご覧ください。→→https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20260204news.html
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| 武庫川のドジョウ |
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日本産シソ科タツナミソウ属のから見出された2新種、シコクタツナミソウとキビノタツナミソウ
論文名:Two New Species of Scutellaria (Lamiaceae) from Japan著者:高野温子・廣田峻・陶山佳久・狩山俊悟・矢原徹一
雑誌の情報:Japanese Journal of Botany(植物研究雑誌)、 100巻(3): 215-225、2025年
DOI:doi.org/10.51033/jjapbot.ID0281
内容紹介:シソ科タツナミソウ属は、分類が難しい植物として知られています。 その分類を見直すために日本各地に採集にでかけ、標本調査や分子系統解析などを精力的に行っています。発表した2新種はその過程で見出されたもので、シコクタツナミソウは高知を除く四国3県に、キビノタツナミソウは岡山以西の中国地方に分布しています。どちらも花冠長が2㎝越えの大きな花をつけますが、その大きな花ゆえにハナタツナミソウという既知種と誤同定されてきたのでした。
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| 図. シコクタツナミソウの花 |
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台湾から得られたカラスハエトリグモ属の1新種について
論文名:A new species of the genus Rhene Thorell 1869 (Araneae: Salticidae) in Hengchun Peninsula, Taiwan著者:山﨑健史・山口茉莉加・L.T.H. Phung・R.-C. Cheng・I.-M. Tso
雑誌の情報:Acta Arachnologica、 74巻 2号、115-121、2025年
内容紹介:台湾南部の恒春半島から、カラスハエトリグモ属の1新種を記載しました。形態的な特徴や、ミトコンゴリアDNAのCO1領域の塩基配列からも、他の種と異なることが分かりました。
学名は、産地の「恒春半島」から、ラテン語の「常に、永遠の」という意味のaeternaと、「春」という意味のverを組み合わせて、Rhene aeternaverと命名しました。
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| Rhene aeternaver 左:オス 右:メス |
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野生植物の生息域外保全に向けた兵庫県立人と自然の博物館の取り組み:種子植物 81 種の発芽状況に関する報告
論文名:野生植物の生息域外保全に向けた兵庫県立人と自然の博物館の取り組み:種子植物 81 種の発芽状況に関する報告著者:一町裕子, 黒田有寿茂, 石田弘明, 中濱直之
雑誌の情報:人と自然, 36巻、58-66. 2026年
DOI:doi.org/10.24713/hitotoshizen.36.0_58
内容紹介:兵庫県立人と自然の博物館では、400種を超える野生植物の生息域外保全を実施しており、絶滅危惧種も多数含まれています。これらのうち種子から発芽をさせた81種について、その生育条件と発芽状況を報告しました。この生育条件が発芽にとって最も適切かどうかは議論の余地がある可能性があるものの、「この生育条件でこれだけの種子が発芽する」というデータの公表は、生息域外保全事業にとって非常に意義深いものです。
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| 植物栽培の様子 |
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ノキシノブ倍数体種複合体に属する異質六倍体の新種、タジマノキシノブ(Lepisorus tajimaensis T. Fujiw.)
論文名:Lepisorus tajimaensis sp. nov. (Polypodiaceae), a new allohexaploid species in the Lepisorus thunbergianus polyploid species complex著者:藤原泰央・丸岡道行・岡 武利・米岡克啓・小木曽映里・海老原 淳・村上哲明・綿野泰行
雑誌の情報:Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 、 76巻3号、 169-188 、2025年
DOI:10.18942/apg.202514
内容紹介:従来、一種とされてきた日本産ノキシノブ(広義)には3つの基本種(狭義ノキシノブ、ナガオノキシノブ、ツクシノキシノブ)とそれらが交雑して生じた3つの倍数体種が認められていました。今回、但馬地方(兵庫県養父市八鹿町)で、狭義ノキシノブとナガオノキシノブ、さらには少し遠縁のウロコノキシノブという3種のゲノムを併せもった六倍体の新種、タジマノキシノブを発見しました。
詳細はこちらのページをご覧ください。→→https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20251114news.html
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| タジマノキシノブの生育環境(A)と植物体(BーE) |
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