ひとはく研究員の発表論文紹介(2018年)

兵庫県新産のタマムラサキ(ユリ科)

A new locarity of Allium pseudojaponicum Makino (Liliac.) in Hyogo Prefecture


2018年6月発行
著者:藤井俊夫
掲載誌:兵庫の植物、28号、5-6、2018年
内容紹介:この研究は兵庫県初記録となる植物についての報告です。タマムラサキは、ヤマラッキョウの仲間で、海岸の岩場に出現する複二倍体(2n-32)の多年草です。タマムラサキは、太平洋側の海岸に分布することが知られていましたが、瀬戸内では、初めての記録となります。ヤマラッキョウとの形態的な特徴が似ているため、標本での区別は困難です。そのため、生きている植物で区別点を確認する必要があります。
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海岸の岩場に生えるタマムラサキ(撮影:11月)



ヘスペロルニス目:最古の潜水鳥類の起源と進化

Hesperornithiformes: the Origin and Evolution of the Cretaceous Diving Birds.


2018年4月発行
著者:田中 公教 ・ 小林 快次
掲載誌:日本鳥学会誌「特集:恐竜学者の鳥のはなしと鳥類学者の恐竜のはなし」、67巻1号、57-68、2018年
内容紹介:恐竜は中生代の陸地で多様性を極めましたが、ほ乳類のジュゴンやマナティーのように、海の生活に適応したグループはごくわずかです。恐竜が海に進出したのは約1億年前、小型化し、翼や短い尾を獲得し、大空へと羽ばたき始めた、もっともっと後の時代です。水かきのある後ろ肢を使って高速で泳ぐその姿は、まさに「海鳥」そのもの!本稿は、肉食恐竜から鳥類が出現し、その長い進化のなかで成し遂げた、最初の水棲適応についての研究を紹介しています。

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最古の潜水鳥類ヘスペロルニスのなかま©服部雅人



言語音の認識が難しい高次脳機能障がい者が理解しやすい災害放送とは?-肉声への非言語情報の付加に注目して-

What kind of emergency broadcastings on disasters are easier for persons with neuropsychological impairments who have difficulty with the spoken language to understand -Attention to presence/absence of nonverbal information in real voice-


2018年3月発行
著者:三谷雅純
掲載誌:福祉のまちづくり研究、20巻1号、13-23、2018
内容紹介:緊急災害放送は全ての人が理解できることが大切です。しかし高次脳機能障がいは、音は聞こえても認識できないことがあります。高次脳機能障がい者にどんな放送が理解しやすいのかを調べるために、聴覚実験を受けてもらいました。実験に使った設問は「棒読み」と「リズムを強調した読み」、「棒読み」と「棒読み」にチャイムを付加した放送などの、それぞれどちらが理解しやすいかでした。警報にもよりましたが、女性アナウンサーがリズムを強調した方が理解しやすく、高次脳機能障がい者は特定のチャイムは注意喚起しないようです。

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(左図)「実験1-1:棒読み」と「実験1-2:リズムを強調した読み」の理解しやすさを比較した結果です。障がい者の自覚がない人、軽度の高次脳機能障がい者、中・重度の高次脳機能障がい者のそれぞれが、発話者(女性B、女性C、男性B、男性C)の異なる同じアナウンスを聞いた時の理解しやすいと回答した人数を表しています。 *:< .01, **:< .0.5。棒グラフは、■が「棒読みの方が理解しやすかった」、□が「リズムを強調した読みの方が理解しやすかった」と回答した人数です。

(右図)実験2:「棒読み」と「棒読みにチャイムを付加した読み」の理解しやすさを比較した結果です。棒グラフは、■が「棒読みの方が理解しやすかった」、□が「棒読みにチャイムを付加した読みの方が理解しやすかった」と回答した、それぞれの人数を表します。

詳しくはこちらをご覧ください
 >>言語音の認識が難しい高次脳機能障がい者が理解しやすい災害放送に関する論文の出版について

兵庫県立大学自然・環境科学研究所のWebページでも紹介をしています
 >>研究報告「言語音の認識が難しい高次脳機能障がい者に適した緊急災害放送」を探る研究をしました。



Function of nuchal humps of a cichlid fish from Lake Tanganyika: inferences from morphological data

タンガニイカ湖産シクリッドのおでこにあるコブの機能:形態データからの推測


2018年1月発行
著者:高橋鉄美
掲載誌:Ichthyological Research, Online First
内容紹介:おでこにコブがある魚はたくさんいます。例えばコブダイなんかは有名です。しかし、このコブが何のためにあるのかはよく分かっていませんでした。そこで、タンガニイカ湖のCyphotilapia gibberosaという魚を使って、コブの形態や脂肪の厚さなどを調べ、体サイズや体重と比較しました。その結果、コブは性選択(オスはコブが大きいほどモテる)と種認識(コブのある魚は同種であると認識)に使われていることが推測されました。
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Cyphotilapia gibberosaです。フロントーサという名前で売ってることがあります。美味です。

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