生活
地球上では、さまざまな生物が、それぞれの地域で、いろいろな生活をしています。
ここでは、人の影響の加わることの少ない自然河川での魚の餌の捕り方をとおして、生物の生活を紹介します。
音声案内 ※YouTubeにリンク English navi
森に囲まれた渓流(けいりゅう) 音声案内 ※YouTubeにリンク
世界に類のないほど透明で美しい西日本の渓流は,保水力豊かなブナ林より流れ出ます。急傾斜の山地に降る大量の雨は,急激な出水を繰り返してしばしば災害をもたらしますが,同時に魚の生息に好都合な深く大きな「淵(ふち)」とそれに続く「瀬(せ)」を交互に形成します。深い森は日光をさえぎり水温の上昇をはばんで,冷水性の魚の住む環境を提供します。 |
上流の群集 音声案内 ※YouTubeにリンク
岸田川のイワナ |
河川の最上流には,一般にサケ科の魚が優占(ゆうせん)しています。山地渓流(さんちけいりゅう)と呼ばれ,瀬や小滝によって魚の住む空間が小さな単位(淵)に分断されています。餌資源(えさしげん)が淵頭(ふちがしら)の一点に集中して流れ込み,そのうえ魚たちがお互いに相手を確認できるほど水は透き通っています。このため,魚たちは同種,異種を問わず個体同士の直接交渉によって餌資源を分けあって生活しています。 |
中流の群集 音声案内 ※YouTubeにリンク
中流域の勾配(こうばい)も緩やかになり河川が蛇行(だこう)する屈曲点に大型の淵とその前後に瀬が形成され、両岸も開けてきます。魚の餌としての陸上動物が落下するのは岸近くに限られ、かわって河床(かわどこ)の付着藻類が食物網(しょくもつもう)の基礎となります。この藻類の生産が盛んな季節をねらいすましたように、アユが海から遡上(そじょう)し占食(せんしょく)します。コイ科などの魚も多数いますが、中流の魚類群集を支配する魚はアユです。 |
下流の群集 音声案内 ※YouTubeにリンク
平野部を蛇行しつつゆったりと流れる下流域では,はっきりとした淵と瀬はなくなり,透明度もやや悪くなります。ここでは底生動物を捕食するコイ科の魚が優占(ゆうせん)します。下流域は最も人手が加わる場所であり,流路が改変され,自然河川はもうわずかしか残されていません。そのうえ,中国大陸やアメリカ大陸産の魚が侵入し,在来のコイ科を主体とする魚類群集に異変が起きています。 |