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チョウの翅裏のひみつ

 ひらひらと優雅に飛び回るチョウ。しかし、チョウたちの生活は、それほど穏やかなものではありません。生き物は、常に「食べる」「食べられる」の関係にあり、チョウを狙う生き物は、たくさんいます。では、チョウが、どのように、ゆっくり翅を休めて休憩しているのでしょうか?多くのチョウは、休憩中は翅を閉じています。私たちが、止まっているチョウを見ているとき、実は翅の裏側を見ていることになります。チョウが「敵から逃れる」ために、どのような戦略を持っているか考えてみると、翅の裏側のひみつが見えてきます。

枯葉?落ち葉?地味な翅裏

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図 1. コノハチョウ類の翅裏

 「木を隠すなら森のなか」という言い回しがあります。物を隠す時、同じような物のなかに紛れてしまうと、見えていているはずなのに、探し出すことがとても難しくなります。自然界には、これを応用した「かくれんぼ」テクニックをもつ生き物がたくさんいます。タコは、場所によって体の色や模様を変えて、背景に溶け込みます。ナナフシという昆虫は、茶色の細い枝のような体をしていて、木の枝などにうまく紛れ込んでいます。このようにその場に紛れるような色や模様のことを「隠蔽色(いんぺいしょく)」と言います。チョウは、鮮やかな色彩の翅をもつイメージですが、翅の裏側は、隠蔽色になっているものがたくさんいます(図1)。隠蔽色で、うまく隠れていれば、敵に襲われることも少なくなります。

ギョロリ・・・目玉だらけの翅

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図 2. フクロウチョウ類の翅.

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図 3. フクロウとフクロウチョウの翅裏(頭が下).

 皆さんは、百目(ひゃくめ)という妖怪をご存知でしょうか?全身に無数の目玉がある日本の妖怪です。想像しただけで、不気味さを感じます。目玉は、私たちにとって、ある種の不気味さの象徴なのでしょうか。自然界にも、目玉模様を嫌がる生き物がたくさんいます。畑などに、カラス避けのため、目玉模様の風船など見たことはありませんか?鳥などは、目玉模様を怖がることが分かっています。これには理由があります。鳥にも敵がいます。それは丸い目玉をもつフクロウやヘビなどです(図2?3)。とにかく、"目玉"を見たら大急ぎで逃げるという習性は、鳥たちにとって生き延びるために有効です。実は、鳥たちのこのような習性をうまく利用したチョウがたくさんいます。チョウが翅を閉じて、水分補給をしたり、休憩したりするときは、一番無防備な状態です。その時、翅に目玉模様があれば、鳥たちもビックリするでしょう。

翅の表と裏のギャップ

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図 4. 美しい翅表と地味な翅裏を持つモルフォチョウ類.

 青く輝く翅を持つモルフォチョウを知っている方は多いと思います。しかし、翅の表に比べて、裏側は目立たない地味な色をしています。では、なぜ、わざわざ表は青く輝くのでしょうか。一つの説として、万が一、鳥などに襲われたとき、急に輝く翅の表を見せることで、鳥などの目を眩ませているのではないかというものがあります。皆さんも、急に眩しい光を見ると、一瞬、目が眩んだ経験があるかと思います。このモルフォチョウの「目眩し」は、翅裏が地味だからこそ効果を発揮する技といえるでしょう。

最後に


 ここでは、翅裏のひみつについて、「敵から逃れる」という視点で、解説してきました。しかし、チョウの生活は、「敵から逃れる」だけでは成立しません。敵から逃れながら、うまく生きのび、そして、どれだけ多くの子孫を残すかも重要なポイントです。本当のひみつは、「敵から逃れる」、「子孫を残す」など、様々なチョウの事情を考えてこそ、明らかになります。しかし、そこには、まだまだ謎がたくさん残っており、わからないことだらけです。
 チョウ類は、世界に約17,000種以上いると言われています。それぞれ、生息場所が異なり、体のサイズも違います。そうなると、それぞれ生き延びて、子孫を残す戦略も異なってきます。多種多様なチョウが進化してきた背景は複雑です。身近なチョウでも、その生活史も考えながら観察すると、より一層自然の奥深さを感じることができるのではないでしょうか。


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