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現在の主な収蔵資料


三 昆虫



1 阪口コレクション
 故阪口浩平氏(元京大教授)が生前に収集し、研究した約5万点に及ぶ昆虫標本です。阪口氏はノミの研究家として世界的に著名で、同氏が研究した3819点に及ぶノミのプレパラート標本が含まれています。そのなかには同氏が発見し、新種として学会に発表したときに用いたタイプ標本14点も含まれていて、学術的に極めて価値が高いものです。
 ノミは成虫が生きた哺乳類と鳥類にだけ外部寄生する特異な昆虫ですから、採集も簡単ではありません。今後日本ではこれ以上のコレクションは作られないと思われます。世界に誇れる貴重なものです。
 ノミ以外では、チョウ4万2千点、甲虫2千点、セミやカマキリなど2千点と実に多彩です。これらは東南アジアはもとより、アフリカ、南米など世界各地から集められ、一般の興味を引くものがたくさんあります。また、今日では入手困難となった種も多数含まれていて、基礎的コレクションとして高い価値があります。
 阪口コレクションは他県の博物館や個人コレクターからの譲渡希望にもかかわらず、県内の公共機関での永久保存と公開を強く希望されたご遺族の好意で準備室で入手することができたものです。これまでに淡路島津名町で催された「くにうみの祭典」で既に一部公開されています。

2 田中コレクション
 前神戸山手女子短期大学長の田中梓氏の寄贈によるものです。ハエ類(約7千5百点)を中心として、ハチ類、甲虫類、カメムシ類を含み1万3百点にも達します。これらは主に神戸近辺で採集されたもので、近年の土地開発により既にその古里を失ったものも多いのです。かつて神戸にもこのようなムシがいたという、証拠標本を多数含む貴重なコレクションです。

3 仲田コレクション
 川西市在住の仲田元亮氏の寄贈によるもので、カメムシ類を中心に甲虫他を合わせて約千8百点の標本です。この中にはタガメやオオクワガタなど、すでに見ることの少なくなった種を多数含んでいます。都市近郊の自然を後世に伝える重要なものとなるでしょう。


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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/27