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山崎断層の姿


 山崎断層は、数十万年前から大地震を起こしてはずれ動き、地形を変えてきました。断層は山地の尾根や河谷、段丘や扇状地といった地形を切断して数十kmも続いています。
 西北西から東南東にのびる大原・土万・安富・琵琶甲などの断層では、左横ずれの断層運動が卓越しています。これらの断層を横切る尾根や谷は、そろって左へとずれています。
 一方北東から南東にのびる草谷断層にそって、いなみの台地を刻む谷が右へとずれています。断層沿いには凹地が作られているところもみられます。
 山崎断層が、ここ数千年〜数万年の間に作られた低地や小さな扇状地などを横切るところでは、それぞれの地形をつくる地層の中に、昔の大地震の記録が残されています。
 こうした埋もれた地震の記録を掘り出して、大地震の起きた時代を知ることができます。このような調査方法を「活断層のトレンチ(発掘)調査」とよび、大原・安富・琵琶甲・草谷の山崎断層系をつくる4つの活断層では、最新の大地震の時代や、各断層の活動周期(大地震の繰り返し間隔)が、しだいにわかりつつあります。


 山崎断層系・安富断層による河谷と尾根の左ずれ地形。赤矢印の断層にそって尾根と谷筋(点線)が左へずれている。中国自動車道は、ここではまさに安富断層にそって走っている。
(撮影:岡田篤正)
 山崎断層系・大原断層による河谷の左ずれ地形。赤矢印の断層にそって谷筋がそろって左へずれている。
(撮影:岡田篤正)
 兵庫県が行ったトレンチ発掘調査であらわれた琵琶甲断層(赤矢印)。断層を境に砂礫の層が1.5m以上くい違っている。
(撮影:加藤茂弘)



 直線状にのびる山崎断層系(赤矢印)を境に、北側の中国山地と南側の吉備高原では高さや起伏が大きく異なる・加古川左岸の段丘地形(いなみの台地など)もよくわかる。
(国土地理院発行50mメッシュ数値地図から、Bird's View Proにより加藤茂弘作成)



左ずれ谷の出口をふさぐ閉塞丘。安富断層(赤矢印)の左横ずれ運動により右方から移動してきた尾根の末端部が、河谷の出口をふさぐようにして位置している。
(撮影:岡田篤正)
 山崎断層系・土万断層による左ずれ地形。赤矢印の断層にそって尾根と河谷がずれている。古い断層上を中国自動車道が走る。
(撮影:岡田篤正)
兵庫県が行ったトレンチ発掘調査であらわれた安富断層(赤矢印)。断層にそって、くさび状に地層が落ちこんでいる。
(撮影:加藤茂弘)



文・写真:加藤茂弘(自然・環境評価研究部)
写真提供:岡田篤正(京都大学理学部))

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Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2002/06/26