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展示の周辺

兵庫県南部地震建物被災状況図(陶版)

 この陶板がどのようにして作成されたかを紹介します。兵庫県南部地震が起こったのは、平成7年1月17日、神戸市役所も大きな被害を受け、被災状況を調べようとしても、地図や筆記用具さえ容易に準備できない状況でした。火事でなくなってしまった家、倒壊した家がどのあたりにどれくらいあるのか、このようなことがまずわからないと復興計画を立てることができません。
 震災直後から様々な調査が始まっていましたが、被災地全体の様子を最も明らかにしたのが、震災復興都市づくり特別委員会(日本都市計画学会関西支部と日 本建築学会近畿支部都市計画部会が合同で設立)によって行われた調査で、この陶板のもとになりました。1月29日に神戸で行われた会議で、神戸・阪神全域で被災した建物をすべて調べ、1/2,500の地図にその被災度を色塗りしようという膨大な作業の調査を行うことが決まり、総勢986人が約1ヶ月をかけて調査しました。特に被災のひどかった神戸市須磨区から西宮市に至る地域はその緊急性から約1週間で仕上げられました。朝早くから現地で被災した建物をひとつひとつ調べ、その被災度を判定して住宅地図に記入し、日が暮れたら作業所に帰って1/2,500の地図に色を塗るという作業の繰り返しです。調査に協力したのは学会会員に限らず、学生、研究者、行政マンと立場も様々で、神戸近郊だけでなく、北は東北、南は九州からの参加もあったといいます。交通も寸断された中、食事も寝るところもそれぞれで確保しなければなりませんでした。この地図は、まちが破壊されたショックや被災した人々を目の当たりにする辛さ、ある種の強い使命感等々を抱いて作成されたものといえます。
 これらの結果は図集としてまとまっただけでなく、有田焼窯元ヤマトクのご厚意でこのような陶板になり当博物館に寄贈されました。





(自然・環境マネジメント研究部 藤本 真理)








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Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2001/7/18