膜翅目概要タイトル

刺すハチ刺さないハチ

(刺さないハチ、ハバチの仲間(左4頭)には、アシナガバチ(右)などに擬態して身を守るものもいます 写真 内藤親彦 神戸大学)

ハチという名称は、刺されたときの痛みの表現「アチッ」からきているという。「ハチ」と聞くと、たちまち「刺される」ことで頭がいっぱいになる。したがって、極端な言い方をすれば、「ハチ」は「ササレルムシ」という別名の昆虫1種を指す。一般の人がそう思っているにもかかわらず、刺すそうとして攻撃してくるハチは、10万種を軽く超えるハチ類全体ではわずかしかいない。

. -指輪をつけた指をさされたら- 

 1年間(実際には8月から10月の約3ヶ月間)に平均で約30名(多い年では70名以上)もの人命が失われていることを考えると、ハチによる刺症害は無視できません。ここSFUで最近変わった事故が起きたので、情報として流させていただきたいと思います。ミツバチの研究をしていた女子学生が手の指を軽く刺されてしまったのですが、指に強い圧迫感を感じてきた時には既に指輪をはずせない状態になっていたのです。血液の流れが阻害され、危機感を覚え急遽医療センターで「指輪」を切断するという処置が施されました。もし、人里離れたフィールドでそのような状態になり、ニッパーなどの道具をもっていなかったらどうなったでしょうか。ハチに刺された時もっとも怖いのは、もちろんアナフィラキシィー・ショックですが、どんな人でも刺された箇所とその周辺は腫れます。そして、その腫れが完全にひくまでは2日間くらいかかるのが普通です。最近では、若者フィールドワーカーもおしゃれになり、男女問わずリングをつけているのを見かけます。もし、野山でハチに刺された時は、必ず直ぐに指輪を外してください。もし、それが非常に意味のある大切な指輪であったとしても、その時ばかりは許されるでしょう。切断する羽目になったら、後でどうなるか・・・?良く考えてみてください(これは冗談です)。もし、仕事柄、ハチ刺され防止のパンフレットを作成したり、講習会などで話をされる機会をお持ちの方は、是非以上のことも加えていただければ幸いです。

 

 5-3. ハチにさされたら その2. -ハチの毒や針を吸引して抜き取る道具-

 スズメバチを始めとするハチ類に刺されて命を失う方は、日本だけでも毎年約30名(多い年では70名以上!)います。正確にはその被害は、巣が大きくなり野外の働きバチの密度の高まる8月から10月の3ヶ月に集中するので、ひとつきに10名ということになるかも知れません。この数字はハブやヒグマによる被害をはるかに上回り、スズメバチは今や最も危険な生物の代名詞になりつつあります。特に最近では都市近郊での増加が目立ち、蜂毒アレルギーの方にとっては予断を許さぬ状況となってきています。

5-アシナガバチの針

(アシナガバチの針
 写真 橋本佳明 人と自然の博物館)