収蔵資料の中から

名所図会(めいしょずえ)は貴重な環境情報



 当博物館の重要な機能として、「新しい都市環境の創出」があげられています。この機能は、単に「もの」を収集するだけでは果たせません。人々の生活と自然環境とのかかわり合いや、自然環境を構成する諸要素の相互依存関係等に着目した総合的な資料(言い換えれば情報)の収集が大切です。
 われわれが生活している環境は、長い時間経過のもとで、それぞれの時代の自然的・社会的・経済的諸条件に対応して成長してきたものですから、過去の生活風景は、昔の名所図会、古地図等に見ることができます。「新しい都市環境の創出」を導くヒントの一つも、この生活環境の成長過程に秘められていると言っても過言ではないでしょう。
 以上のような観点から、これまで三十三点の名所図会・古地図を収集しています。そのうちの一点「西国名所図会」を右に紹介しましょう。江戸後期、近畿を中心とする西日本の三十六カ所の名勝地風景を描いたもので、周辺の環境と共生した当時の人々のまちづくりや生活ぶりがうかがえます。

<写真:西国名所図会>

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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/27