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兵庫県立自然系博物館(仮称)準備室ニュース

No.4  1991.3.25



ネコ科動物の危機

 最近、ヒョウやトラといった、野生のネコ科の動物が世界中から減少して、すべての種がワシントン条約の附属書に載るようになってしまいました。これは地球規模の環境悪化を反映していると考えられます。
 ネコ科の動物は新鮮な肉を食べるように進化したグループですから、餌にしている動物たちよりも多くはなれません。餌動物が少なくなると、その動物が全滅するかなり前に、捕食者は餌が獲れなくなって死に絶えます。
 ネコ科の動物は餌動物がたくさんいることによって支えられているのですが、この数が十分であったとしても、餌動物が環境汚染を受けていたとしたら問題です。たとえ、餌動物にまったく異常が出ない程度の化学物質による汚染であっても、捕食者は通常それらを体外に出す仕組みをもたないため、体内にどんどん蓄積され凝縮されて、捕食者の繁殖能力や子供に悪影響を及ぼしてしまいます。
 ネコ科の動物は待ち伏せて餌を狙います。環境が変化して隠れる物や場所がいつもと違ってしまうと、餌を獲りにくくなり、繁殖低下や飢死につながるのです。
 自然系博物館では、こうした地球上の自然の変化状況を正しく判断し、正しい対処をするために、「自然と人間」に関するあらゆる情報を、収集し、研究し、提供していきます。

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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/27