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◇ レッドデータブックについて

 1966年、国際自然保護連合(IUCN)から“全世界の絶滅のおそれのある動植物  のリスト”が発行されました。このリストは種名だけでなく、その生態、圧迫  要因、保護の現状などを取りまとめた資料集で、赤い表紙であることから”  レッドデータブック”と呼ばれています。 ●保護するための条約や法律  野生生物の絶滅をくい止める必要性については、近年ワシントン条約や種の多  様性条約などの締結により国際的なコンセンサスが出来てきました。さらにそれ  を受けて各国で国内法が制定されており、日本でも1993年4月「絶滅のおそれの  ある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が制定され、保護地区  の設定や捕獲・採取の制限、保護増殖事業など具体的な手だてが打たれ始めまし  た。 ●国レベルのレッドデ-タブック  このような保護対策の前提として、まず、貴重な動植物の生息状況の把握と公表  が必要であり、レッドデータブックはその重要な資料を提供するものです。  そのため、各国では国レベルあるいは地域レベルでの貴重性を尺度に政府や主要  な自然保護団体がレッドデータブックづくりを行っています。  日本では1989年に日本自然保護協会と世界自然保護基金日本委員会が植物につい  て、1991年に環境庁が動物について、多くの学者やアマチュアの協力を得てそれ  ぞれ日本版レッドデータブックを作成し公表しました。これによると、895種類  の植物と246種類もの動物がすでに絶滅したかあるいは絶滅の危機に瀕していま  す。その代表的なものは、動物ではイリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、トキ、  シマフクロウ、アホウドリなど、植物ではサクラソウ、ランの仲間などです。  この調査で明らかとなったことの一つは、日本の野生動植物全体の十数パーセントが  絶滅に瀕しているということです。 ●兵庫県のレッドデ-タブックづくり  兵庫県でも1991(平成3)年から1994(平成6)年の4年間で県下の貴重な野生動 植物等について調査が進められていますので、近いうちに兵庫県版レッドデータ ブックとして取りまとめられ、保全対策に役立てられることが期待されます。 ●13分に1生物種が姿を消している…  人間の活動が地球全体に及び、一層多くの物資やエネルギーを消費していくのに 比例して、人間以外の多くの野生生物は急速に姿を消しつつあります。世界レベ ルでは、年間に約四万種、つまり約13分に1種類ずつこの地球上から何らかの 生物種が姿を消していると推定されています。このような多くの生物の絶滅が どう地球の生態系に変化をもたらすのかはまだ未知数ですが、人類自体もその 影響から逃れることは出来ないはずです。  生物資源を保全する視点、種の多様性が生態系の安定性を維持するうえから重要 という視点、また生物全ての生存の権利を認めるべきという視点などさまざまな 視点から種の保全の重大性に対する関心と理解が求められます。  私たちの自然に対する態度や生活のありようが、結果的に多くの生物を絶滅に 追いやっていないかをよく考えてみる必要があるようです。                    (生物資源研究部 戸田 耿介)

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Copyright(C) 1995, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1995/12/18