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「人博(ひとはく)がやってくる」の成果とこれから




丹波の森公苑で展示「大いなる自然の中で(上久下いきもの新聞)」
について発表する山南町立上久下小学校の子どもたち

・県下各地へ出かけてみました

5月23日三原町立中央公民館から始まったキャラバン事業「人博がやってくる」は、10月9日県立神戸生活創造センターで、大きなトラブルもなく終了することができました。事業の概要については、ハーモニーNo.38で紹介させていただいたところですが、準備の大変さからすると各地域2週間という開催期間は、あっと言うまでした。展示会場は様々で、三原町では淡路ファームパークイングランドの丘という観光施設に、加美町では箸荷(はせがい)という集落の施設に、明石市では明石文化博物館という系統の異なる博物館へと、規模も種類も様々なところへ出かけました。


・数字で見る成果

開館10周年を記念し、展示、セミナーをセットにして研究員が10地域をキャラバンした成果を数字で見てみましょう。全地域の来場者総数は、21,089人、セミナー数51、その受講生は2,636人でした。それぞれの地域で立ち上げた地域実行委員は各地域10〜20人で構成し、総勢約150名でした。  また、10周年記念ウィークには、キャラバンの展示やビデオ上映を行い、11月4日のひとはくフェスティバルでは、キャラバンでお世話になった緑町、南淡町、佐用町、明石市、市島町、竹野町、各地から展示品や自慢の産品の出店があり、大いにもりあがりました。そのフェスティバルも含んだ10周年記念ウィーク中の総入場者数は36,803人でした。




      
加古川市で行われたひょうご・水辺ネットワークによる
「水辺の生きもの調査会」
     

・地域との連携

「人博がやってくる」は、1名の研究員が各地域のコーディネーターとして館でチームを組み、地元で立ち上げた実行委員会と連携して、搬入・搬出から展示、セミナー、リサーチプロジェクト(ハーモニーNo.39裏表紙参照)の企画・広報までを協働実施しました。最大の成果は、一連の作業で地域の方々と館員が直接交流できたことです。最初は互いに戸惑いもありましたが、地域とともに企画・実施しようという趣旨を共有できたある瞬間から、うまく動き出したように思います。テーマについて議論したこと、展示物のわかりやすい配置を検討したこと、重たい展示物を運んだこと、地元からの展示で多くの人が来館したこと、1畳分もある巨大封入標本をつくったこと、サンテレビに出演したこと、反省会で盛り上がったこと等を通じて、多くのノウハウを蓄積することができました。今後も継続することや、今回培った関係を大切にすることなど、大きな責任も感じています。




      
竹野町で行われた「森川海竹野エコツアー」
での2日目昼食の流しそうめん

・みんなの声

「学校や地元市民グループによる調査・展示への参画は有意義で今後も継続して欲しい」、「調査などを通じて地域の自然を知る良い機会になった」など、よい評価もたくさんありました。一方、もっと多くの市民グループの参画を図ること、地元を巻き込むには、準備期間が足りなかったこと、広報が十分にできていなかったこと、実施時期は農繁期や学校の行事を避けるべきこと、反省会は非常に重要であることなど多くの指摘も受け、今後の事業に活かしたいと考えています。



・これから

博物館では、キャラバン事業「人博(ひとはく)がやってくる」という形を事業のひとつの柱にすえて、今後も継続して実施しようと考えております。資金確保、公募方法など課題も多くありますが、地域で何かある時に「博物館もいっしょにやろう」という依頼を受け、地域づくりの何かに役立てればと考えています。実施方法は多彩ですので、
協働をお考えの方は生涯学習事業室(電話 079-559-2003 電子メール caravan@hitohaku.jp)までお問い合わせ下さい。

(生涯学習事業室 藤本真里)



         
西宮市で行ったセミナー
“まちの大木で鳥のねぐらを探そう!”から(日本野鳥の会兵庫支部 協力)



<編集後記>

昨年ひとはくは10周年を迎えました。
今号では「ひとはくのこれから」を考える特集を組んでみました。またこの機会に、表紙のデザインを一新しました。いかがでしょうか。

(シンクタンク事業室・古谷 裕)

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Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2003/5/1