まえに戻る  目次へ  つぎへ進む  

植物の冬越し

 植物は気温が低かったり、雨が少ないと、葉を落として休眠します。日本のように四季がはっきりした地域では、気温が低い冬のあいだに冬芽をつくって休眠します。熱帯のような一年中温暖な地域では、雨が少ない乾季に葉を落として休眠します。デンマークの植物生態学者ラウンキュー(ラウンケル)は、冬芽の地表面からの高さによって生活型を分類しました。これがラウンキューの生活型とよばれるもので、今でもよく使われています。




冬芽の位置  左から低木、高木、ツル植物、多年草、一年草の順。黒塗りの丸が冬芽をあらわす。




 冬芽を地表面より上につける植物は、アケビやフジなどのツル植物や高木・低木などで、木本植物に相当します。冬芽を地表面または地下につくり、冬を過ごす植物は多年生草本になります。冬芽をつくらず種子で冬を過ごす植物と、秋に発芽して冬を過ごし翌年の春に枯れる春の七草のような植物を一年生草本とよびます。

 冬に種子をつくって枯れる植物は夏型一年草と言い、キュウリ、ナス、トマトなどの野菜や、アメリカセンダングサのような帰化植物によく見られます。秋に発芽し、冬をタンポポのようなロゼット(地表面にバラの花びらを広げたように葉を広げること)で過ごし、春になると茎を伸ばして花や果実をつけるダイコンやカブ、春の七草のような植物は冬型一年草(年越草)とよびます。




ハルノノゲシ(年越草)のロゼット葉




 多年生草本は養分をたくわえる部分によって、区別することができます。根を大きくするサツマイモ、ヤマノイモや、地中に伸ばした茎を大きくするハス(レンコン)、ショウガ、ジャガイモなどと、葉が特殊化した球根をつくるタマネギ、ラッキョウ、ユリなどに分けられます。




ショウガ:地下茎に養分をたくわえる





(生態研究部  大谷 剛)


まえに戻る  目次へ  つぎへ進む  


Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2001/3/14