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展示の周辺

アカマツ林の土壌・スダジイ林の土壌
〜3F 森と里「六甲のアカマツ林」の展示から〜

 六甲山系の再度山で現在みられるアカマツ林は、人によっていったんハゲ山同然に破壊され、そこに植林することによって回復した林です。この地域一帯は、人による植生破壊がなければ大龍寺の周辺に残されたようなシイ・カシ類などを主体とした照葉樹林が広がっていたと考えられます。
 アカマツ林と照葉樹林とでは植生と土壌にそれぞれどのような特徴や違いがあるのでしょうか?

アカマツ林 スダジイ林
ABCは、土の層(鉱質土層)

マツ林とシイ林の特徴は?

 再度山のアカマツ林(約90年生)は、高木層に落葉樹のコナラが混じりその下層に照葉樹のソヨゴやヒサカキが多くみられます。また、将来高木層を担う、樹高2m程度の照葉樹のスダジイも生育しています。
再度山の南側にある大龍寺周辺のスダジイ林(照葉樹林)は、200年以上もの長い間人の手が加わっていないため、アカマツ林ではみられない照葉樹が多く、太い木が目だち、また立ち木の本数が少ないなどの特徴があります。

マツ林の土壌の特徴は?

 アカマツ林の土壌は、スダジイ林の土壌と比べると、落ち葉がたまった有機物層(Ao層)が厚い。また落ち葉が分解されてできる腐植が多く黒っぽい色をした鉱質土層のA層が薄く、全体的に土の色がやや赤みがかって明るく角ばった礫が多いなどの特徴があります。
 この地域の土壌は花崗岩の風化物を材料としているので、もともと砂礫質なのですが、植生が破壊された時期に雨で細かい土粒子が流され、礫がさらに多くなったと考えられます。また植生が回復し始めてからの時間が短いことやマツの落ち葉が分解しにくいこと、マツの根に共生する菌やその遺体が水をはじき下層へ水分が供給されにくいことなどの影響で乾燥化が進み土壌の発達が遅れていると考えられます。
 再度山のアカマツ林は下層にスダジイの幼木がみられることから、いずれ照葉樹林へと変わっていくと考えられます。しかし、一度破壊された森が元にもどるのに長い年月が必要なように、土壌が発達するのにも長い時間がかかりそうです。

(生物資源研究部 小舘誓治)



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Revised 1999/02/02