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展示の周辺

池沼と海(3F 但馬海岸)

 但馬の沿岸やその沖合いでは、暖かい海にすむスルメイカから冷たい海にすむハタハタにいたるまで、いろんな魚が水揚げされます。が何といっても、但馬海岸の海の幸を代表するのはズワイガニでしょう。このカニは、山陰地方ではマツバガニ、北陸地方ではエチゼンガニとも呼ばれます。焼きガニにしてよし、カニすきにしてよし、刺身でもまたよしととても人気があります。

 ここ30年ほどの、但馬海岸でのズワイガニの水揚げの様子をみてみましょう。1970年に5000トン捕れていたズワイガニは、1990年には300トンしか捕れなくなってしまいました。 明らかに捕り過ぎです。

 漁船の高速化・網の大型化という技術の進歩によって、人は私たちの暮らしになくてはならない生物の数を極端に減らしたり、ある場合には絶滅させてしまう力を持ってしまいました。ここで必要になってくるのは、捕り方や量をきちんと計画し、海の生態系を壊すことなく利用する方法を探ることです。

 冷たい海の底にすむズワイガニは大きくなるのにとても時間がかかり、一人前の雄になるのに10年近くかかるといわれています。ズワイガニの数や大きさが回復するように、捕ることのできる期間を冬から春先に限ったり、甲羅の大きさが9cmに満たないカニは捕らずにその場で生かしたまま放すという約束を実行に移しました。その結果、1990年付近を境に、少しずつ捕れる量が回復してきました。

 図には、1kg当たりの単価も折れ線で示してあります。1kgというと立派な雄ガニ一匹の重さです。カニの値は、捕れるカニの量ときれいに逆の関係になっています。カニの捕れる量が少なくなるとたとえ高くても人々は競い合って買ってしまうようです。逆にいえば、資源の枯渇を招かない捕り方をすれは、私たちの食卓をズワイガニがにぎわす回数ももう少し増えるに違いありません。

(生態研究部 田中哲夫)



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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/07/15