編集後記


 正月早々、我々のごく身近な海で老朽化したタンカーが沈没してしまいました。冬の幸のハタハタやズワイガニを宿す、澄み切った冬の海には重油の天井が張ってしまいました。海鳥には地獄のトリモチのようです。岩肌に付着して逃げるに逃げきれない海草は、十字架に磔られたような運命を恨んでいるにちがいありません。届く太陽光線が少なくなった海の生物たちも嘆き悲しんでいます。もうこれ以上海を汚すのはやめましょう。海の命も金では償われないのですから。古くなったタンカーは、そく廃船にすべきでしょう。
(生態研究部 武田 淳)


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Copyright(C) 1997, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1997/06/18