本日、川西市立川西北小学校3年生の皆さんが
「環境体験学習」発表会のために博物館にお越しくださいました。

zentainoyousu.JPGテーマは学校近くの水路での生き物調査でした。
下の写真は、川西北小学校の横を流れる水路です(写真は2009年時の様子)。

  kawanisikitasuiro.jpg各グループで調査した内容を模造紙にまとめ
グループで協力して大勢の前で発表しました。

 

happyoukaidesu.JPG講師を務める三橋先生は、小学校が調査を始める時から、
現地でずっとお手伝いをしてきました。

 

senseinoyousu.JPG今日は三橋先生からさまざまな質問が出ましたが、
発表者はしっかりと答えていました。

 

happyoumae.JPGこの「環境体験学習」を通して、川や自然のことが
わかるようになったかな?

 

県下の小学校3年生みんなが取組んでいる「環境体験学習」ですが、
今日の川西北小学校のように、ひとはくで発表会を行ってみては如何でしょうか?


当館「環境体験学習」に関するページ
  ↓
http://hitohaku.jp/top/school/kankyo/20090619kankyoindex.html

(生涯学習課 西岡敬三)




saisyuu_fukei.jpg博物館では、川の学習がどのように展開されているのでしょうか。
ここでは、簡単にその様子を紹介したいと思います。

川西市立川西北小学校では、学校のすぐ横を流れる水路に着目して、3年前から、水生生物調べを中心とした学習を行っておられます。左は学校のグランドで、徒歩1分のフィールド。どこにでもありそうな水路ですが、この水路を対象として、1学期と2学期にそれぞれ調査した結果を班ごとに新聞風にとりまとめて、みんなの前で発表してもらいました(上のほうの写真のとおり)。
みなさん、いきものの名前だけでなく、川の様子などについて、よく調べられています。

学習のなかで、すべての班は、1学期よりも2学期のほうが数が多いということに気づいたようです。これがどうしてなのか、尋ねてみたところ、色んな意見がありました。数が多くなった要因は、エビ類(スジエビとミナミヌマエビ)の増加ということが、みんなの意見です。さらに、なんでエビ類が増えたのだろうか、という問いかけにも、色々な意見がありました。
台風で天敵がいなくなったとか、台風でゴミや水草が流されて住みやすくなったとか、エビが繁殖して増えたとか、なかなか良く考えていただきました。もちろん、限られた調査では、分かりませんので、さらに、どの説が正しいのかを調べるために必要なことについても尋ねてみました。みなさん、ともて良く考えてくれました。

逆に、「1学期に生き物が少なかった原因は?」、と尋ねたところ、ハグロトンボ、メダカ(?)、貝類(おそらくタニシとカワニナが混じる)という意見でした。さらに、どうして、これらの種類が減ったのかを、考えてもらいました。これも、少し回答に時間はかかりましたが、ハグロトンボは成虫になっていなくなったこと、メダカやタニシの餌が冬は多いが夏になると少なくなるのでは、水が濁っていたときがあること、泳ぎが苦手なんで台風で流された、秋になると大移動するのでは、といった意見がでました。
こうして原因をつきつめて考えてゆく過程で、「名前」を調べることの重要性にも、多くの子ども達が気づきました(カワニナとタニシの違いが分かってないと減ったか増えたか、分からないという子どものつっこみあり)。

さらに、汚れた水に出てくる指標生物「ニホンドロソコエビ」と、きれいな水に出てくる指標生物「サワガニ」、「カワゲラ類」も同時に見つかっていることが各班の発表を統合すると分かりました。どうして、このようにきれいなところの生物と汚いところの生物が一緒に出てくるのか、尋ねたところ、子ども達は、採集した場所(環境)がびみょーに違うことを理解していました。川の端っこで凹んでいて、泥が溜まったところだけで、ニホンドロソコエビが、流れが一番速くなっている大きい石のところで「カワゲラ類」が採れる、とこども達から回答がありました。良く観察されていて驚きました。

このような感じで、クラス全体で対話型で授業をすすめることで、各班ごとに積極的な意見の交換や、子どもどうしでシビアなつっこみあいもあり、盛り上がりました。
教科書にはのっていない、未知の問題(しかも自分達の調べた結果)に対して、証拠を手探りしながら、解決をはかってゆけるように、ヒントや考え方の整理をお手伝いするのが、今回の役割です。
このあと、水路でさらに生き物観察したり、他の班の意見を参考にして、引き続き、とりまとめが行われます。

見つけた生き物を、図鑑で名前を調べたり、専門家に名前を教えてもらい、強引に水質と関連づけるタイプの学習が今もたくさん行われています。ときにには、「汚れた水」と判定されたから、みんなで川のゴミひろいをやりましょう、となるケースもあります。これは、もはや「理科」ではありません。川のしくみや生き物と環境との関わりを体験を伴って考えることが大切です。

もし、川の学習を行っていて、観察や考察のポイントを整理したいと考えておられる学校がありましたら、ぜひ当館に学年やクラス丸ごとでお越しください。顕微鏡の画面をプロジェクターで映しながら、生物の調べ方をアドバイスすることもできます。
自然豊かな川でも、コンクリート張りの川でも、どんな川であっても学習のポイントは必ずあります。川のことなら、どんなテーマでもアドバイスします(もちろん無料です!)。冬になると、博物館は比較的空いてますので、川の生物の標本をみたり、色んな展示も見ながら、ゆっくりと学ぶことができます。

(みつはしひろむね)




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