2010年のはじまりは、2010年代10年のはじまりでもあります。2000年代の最後の年は変化がもてはやされ、新しさが期待された年でした。しかし、もし創造が本当にあるとすれば、2010年代の10年に期待します。そして、前向きの創造を成し遂げることができなければ、この地球も、日本という国も、日本に住むわたしたち1人1人も、よりよい未来に歩みを運ぶことが出来なくなってしまいます。


2010年は国際生物多様性年です。10月には、名古屋で、日本初の生物多様性条約加盟国会議(COP10)が開かれます。わたしたち自身がその要素のひとつであり、またそれなくしてわたしたちの生などあり得ない生物多様性、その持続的利用と保全について、今年はじっくり考え、行動したいものです。 

そういう年に向けて、篠山層群の化石は、恐竜だけでなく、多様な生き物たちのすがたを見せてくれます。1億何千年か前の奥丹波で活動する生き物たちのすがたを、現在うごめく生き物たちと比べながら観察するのも楽しいことです。

山陰海岸をジェオパークに、という運動も具体的な姿が見えてきたようです。兵庫県のうちでも、奥丹波や但馬の自然に焦点が当てられるのも、2010年代のあり方かもしれません。

kanchou1-1.JPG                        (写真1:「猫崎(豊岡市竹野町)と夕日」) 

SATOYAMAイニシアティブという動きもかたちが見えてきました。里山の維持管理に兵庫方式を提唱し、モデル実験をしてきた実績を、2010年代には日本の教科書に育て上げたいものです。

kanchou1-2.JPG  (写真2:「兵庫方式で管理され明るくなった里山の林内の様子。」)


 ひとはくは2010年にもたくさんのメニューを整えて皆さんと一緒に考え、行動する準備を整えます。ひとはくの活動に積極的に参画し、とりわけきびしい状況を示している自然環境について、自分の頭で考え、自分のからだを動かす日々をつくりあげてください。地球の環境をよくするのも悪くするのも、地球に生きるすべての人に負わされている責任です。

                                              

                                                                    岩槻邦男(兵庫県立人と自然の博物館 館長)

 

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