昨年に,ヒアリについて,「見慣れない赤いアリに注意」というフレーズが注意喚起のチラシやポスターに使われたためか,今も,赤い体色のアリを見つけた方から,ヒアリかもしれないという問い合わせが博物館にあります.特に,この時期,胸部と腹部の一部が真っ赤なムネアカオオアリの結婚飛行シーズンで,このアリを見て,ヒアリと思う方が多いようです.
 台湾で撮影したヒアリの生態写真(肉眼での印象に近い倍率)とヒアリ・アカカミアリの体色と在来アリの体色に比較表を掲載しておきます.見てわかるように,ヒアリは,むしろ茶色から黒っぽく見えるアリで,決して,赤いアリではありません.また,殺人アリと騒がれたことで,みなさんのイメージの中では,ヒアリは巨大なアリと思われている方が多いようですが,体長は,小型の働きアリで2mmぐらい,一番大きな働きアリでも6mmほど,女王アリも1cmぐらいの大きさです.アリ界では,ヒアリは中肉中背のアリです.ムネアカオオアリは働きアリでも体長1cmぐらい,女王アリは2cmもある日本で最大のアリです.
 人博では,小型から大型の働きアリまで,実物のヒアリ標本を展示しているので,一度,実物を見に来てください.「百聞は一見にしかず」です.実物を実際に見ることができるのが,自然史博物館の良さ.そして,人博では,外来生物の事や生物多様性を学ぶことができるセミナーも多数開講しています.「百見は一考に如かず,そして,百考は一行に如かず」です.正しく知って,正しく怖がり,正しく行動できるようになれますよ (系統 昆虫 橋本佳明)

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