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ユニバーサル・ミュージアムをめざして95

高次脳機能障がい者には聞こえない J-アラート

三谷 雅純(みたに まさずみ)



 2017年 8月29日に全国瞬時警報システム(ぜんこく・しゅんじ・けいほう・システム、J-アラート)が鳴り響きました.東北や北海道が中心だったので,わたしの住む近畿では,鳴ることはありませんでした.朝,テレビを付けると全国瞬時警報システムのニュースをやっていたので,目にした方が多いと思います.

 わたしは「全国瞬時警報システム」や「全国瞬時警報システムの訓練」のニュースに接するたびに,本当に大切な情報ならば,もう少し何とかならないのか,という感情が湧いてきます.それは全国瞬時警報システム,つまり J-アラート の警戒を伝える音声が,ロボットのような男声(おとこ・ごえ)だからです.

 その音は、明らかにフォルマント合成の人工合成音声です.フォルマント合成の音(肉声の声ではなく「音」)は機械的な変換はすぐに出来ますが,高次脳機能障がい者には,何を伝えようとしているのか,よく理解できません.厳密には,聴覚的な認知の苦手な高次脳機能障がい者や失語症者は,ということです.詳しくは,

三谷雅純 (2015):聞くことに困難のある人がわかりやすい音声 :視覚刺激の付加により高次脳機能障がい者の理解は進むか.(人と自然 26: 27−35)
http://www.hitohaku.jp/publication/r-bulletin/NO26_004-1.pdf



三谷雅純 (2016):公共放送で使われる人工合成音声が聞き取りにくいコミュニケーション障がい者の実態把握.(JR西日本あんしん社会財団 平成27 年度研究助成 研究実績報告書)
http://www.jrw-relief-f.or.jp/results/2014/img_2014/kenkyu2014_06.pdf

をご覧下さい.

 今,学会誌「福祉のまちづくり研究」に投稿をしている わたしの論文では,高次脳機能障がい者には,アラーム自体も認識が難しいことを述べています.アラームも認識できないのでは,一部の人には「警報システム」に役を果たせないことを意味します.

 独居しておられる高次脳機能障がい者は、案外,多いのです.







三谷 雅純(みたに まさずみ)
コミュニケーション・デザイン研究グループ
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
/人と自然の博物館

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