5月18日(日)ドリームスタジオの見学を終えて、企画調整室でPCに向かってると、
「「自然の流れ」に、でっかいカメがおんねん!」と、藤本研究員と科学コミュニケーターの高瀬さんが、興奮気味に、やってきた。


「でっかいクサガメが歩いてんのん、見たことあるけど・・・ でかいって、どれくらいなん?」

藤本さん、両手を肩幅くらいに広げ、「これくらい!」と、6、70cmくらいを示す。

「そら、ないやろ〜〜」(冷静)

「高瀬が写真撮ってるで!」というので、見せてもらうと、水面が光ってよくわからない写真だったが、甲羅の模様は、クサガメやアカミミガメとは違うことがわかった。

正体がわからないのも困るので、とりあえず、現地を見に行ってみることに。


実験セミナー室に置いてある、柄の長さ1.8mほどの丈夫な魚網を取り出し、肩に担いで、深田公園へ。

「そんな網に、入れへんで。めっちゃ、でっかいねんから!」と、藤本さん。

「頭から半分くらい突っ込んで、持ってきたらええがな」と、私。

 

ちょっとワクワクしながら、「自然の流れ」に着いた。

季節は進み、ガマの葉は伸び、ずいぶんアオミドロが繁茂している。
水際から1mほどのところに、白っぽい、ハンドボールみたいな物体が沈んでいるのが見えた。
逃げられないよう、さっと網を入れてみるが、動きがない。

あっけなく、網にすっぽりと入った。

「あれ。入ったね・・・」


それほど巨大なカメでは、なかったのだった。
ときどき、いてはります。「うちの田舎には、こんなにでっかいヤンマがいる」って、両手の人差し指を立てて30cmくらいの大きさを示す人とか。
気持ちは、よくわかる。


引き上げてみると、カメは死んでいた。
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生きたカミツキガメじゃなくてよかった。
ペットで飼われてるリクガメっぽい。見たことある。


さて、どうしよう・・・?

「水に戻しとこか?」(藤本)
「なんでやねん。来月、トライやるウィークでここの管理すんのに、腐ったカメが沈んでたら、イヤやろが。」
「カメが出てきたら、トライやるの中学生も喜ぶやんか!」
「喜ぶかいな。臭いがな」

でも、とりあえず、だれか研究員にきいてみるか?
いらん、って言われたら、土に埋めるか、燃えるゴミだな。

高瀬さんが用意してくれた袋に入れて、持って帰ることに。
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ううっ、臭い!

5月のさわやかな風は、腐敗臭も容赦なく運んでくれるのだった。

男の子の私が、担いでいく係・・・
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ズッシリと、けっこう重い。しかも、臭い。

グォーン、グォーン。
背後から聞こえるウシガエルのうなり声は、ご苦労さん!と言ってるようだ。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

博物館に帰ってググってみると、ヒョウモンガメっぽい。

展示などで使えるかどうかわからないが、生態研究部に電話すると、和田さんがおられた。
「えーっと、和田さんは、カメに興味ありますか・・・?」

事情を説明すると、ウミガメを研究している客員研究員の岡本さんと、いっしょに見に来てくれた。
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お二人は、寸法を測ったり、写真を撮ったり。

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岡本さんいわく。
立派な個体ですね。
売ってるのは数センチですから、ここまで大きくするには、だいぶかかりますよ。10年とか・・・
甲羅の状態からして、丁寧に育てられたんだと思いますよ・・・

専門家には、いろんなことがわかるんだ。感心。

そばで素人たちは、
死んだから捨てられたのかな? でも、あそこまで運ぶのも、重たいで。
それとも、逃げ出して歩いてきたのか?、はたまた何かに絶望して・・・
名前付けなあかんな。ふかちゃんとか・・・
などと、たわいのない話を繰り広げるのだった。

「ところで、これって、うれしかったですか?」(藤本さん)

「まあ、そうですね」(岡本さん)

がんばって担いできた甲斐があったというものだ。


最後には、段ボール箱に収まったカメさん。
博物館の冷凍庫へ向かったのだった。
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(八木 剛 記)

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